過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2010年10月17日放送

特集

理研

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、八田亜矢子さん

番組内容

今回のがっちりマンデー、テーマは「理研」!
正式名所「理化学研究所」は、あまり知られていませんが、実は天才科学者を次々と生み出し、「ふえるわかめ」やビタミンAなど、スゴく儲かるものを世に送り出しているのです!
そこで今回は、日本が誇るスゴい研究所「理研」のヒミツに迫ります!

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理化学研究所のスゴさとスゴい研究者!

まず初めにやっていたのは、埼玉県和光市にある理化学研究所の本部。
出迎えて下さったのは広報室・室長の加賀屋悟さん。
すると加賀屋さん、まず初めに理研全体を見渡せる場所に案内してくれたのですが…

なんと!ここ理化学研究所和光本所の広さは、東京ドーム約6個分もあるんです!
ここでは、物理学・化学・生物学・医学など、とにかく理系の研究がほぼ全部行われているのです。そして、何と言っても理研が生み出した科学者はスター揃い!

例えば、ビタミンB1を発見した鈴木梅太郎さんや、日本で始めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹さん。さらに、現在のトップである野依良治さんもノーベル賞受賞者なのです。

では一体、何でそんなにスゴいのかというと、その歴史は今から93年前の1917年まで遡ります。
当時、「今までに無い研究所を作ろう!」と、思いついたのは1900年にアドレナリンを発見した高峰譲吉さん。
そんな高峰さんの「資源の少ない国、日本を発展させるには科学者がのびのびとやりたい研究ができる、本当の研究所が必要だ!」という理念に賛同した科学者たちが集まり、1917年に理化学研究所を設立、日本初の独立した研究所としてスタートします。
ところが、いきなり大きな問題が発生。それは…

加賀屋さん:すぐに資金が乏しくなりました。

国の組織でもなく、企業の傘下でもない理化学研究所は、あっという間に資金が底をついてしまいました…
ところが!当時の理化学研究所所長・大河内正敏さんが、画期的なアイデアを思いつきました!それが…

理研の研究レベルは世界トップクラス!
そこで、この研究所が生んだ技術を商品化し、お金儲けをして研究資金にしようと考えたのです。
そして、1924年、理研は世界で始めてビタミンAの抽出に成功!
これを「理研ヴィタミン」という錠剤にして販売したところ大ヒット!
他にもアルミの加工技術を生かしたアルマイト製品や、発酵の技術を基に合成酒なども開発販売いたしました。

新技術を開発するごとに会社を作り、最大63社の巨大グループ「理研コンツェルン」を形成。
その後、第二次世界大戦の敗戦後に理研コンツェルンはGHQによって解体されてしまいましたが、理研生まれの会社は今も日本全国で活躍しています。
例えば、ビタミンAの錠剤を販売していた理研ビタミン株式会社は、「ふえるわかめちゃん」やノンオイルドレッシングで今もお馴染み。

さらに、理研の技術を基に感光紙を世に出した理研感光紙株式会社は、後に印刷機の会社として発展。コピー機・オフィス機器のトップメーカー、株式会社リコーとして大活躍!
理研生まれの企業は、今でも日本の技術産業を牽引しているのです。
そんな元祖儲かり研究所「理研」では、とんでもなく優秀な科学者たちが、日夜スゴい研究をしているんです。

そこで、スーパー研究者と待ち合わせ。
すると花壇で花の手入れをしている女性を発見!

一見、科学者には見えませんが…実はこの方、理研が誇るスーパー科学者で、農学博士の阿部知子先生なんです!
で、一体花壇で何をしていたのでしょうか?

阿部先生:花の手入れです。
スタッフ:ご趣味なんですか?
阿部先生:いえいえ、研究の一環です。新しい花を作る研究をしているんです。例えば、黄色い桜を作っています。

実は阿部先生、新しい植物を作り出すスペシャリスト!
なんと、科学技術賞(2007年)と、文部科学大臣賞(2009年)の二つの賞を受賞しているんです!

そして、こちらが阿部先生が作った黄色い桜。
さらに、先ほど手入れしていた花壇に咲いている花も、阿部先生が作った世界でひとつだけの花だったんです。

阿部先生:バーベナという花なんですけれど、長い期間花をたくさん咲かせるという新しい性質をつけたんです!

熱帯性のバーベナは、暑い盛りを過ぎると枯れてしまうそうですが、阿部先生が作ったバーベナは12月くらいまで咲くこともあるんだとか!
一体、どうやってつくっているのでしょうか?
今回は、その現場を特別に案内してくださいました。

阿部先生:これが理研にある世界最大で高機能のサイクロトロンという加速器です。

花の品種改良に使っているのは、直径18m・重さ8300tもある超最新鋭の加速器「超伝導リングサイクロトロン」なのです!
では一体、この機械は何を行うためのものなんでしょうか?

阿部先生:重イオンを加速する機械です。私たちは植物の細胞に重イオンを照射しているんですけど、光速の70%くらいの速さまで加速することが出来ます。
スタッフ:光の70%の速さってどれくらいですか?
阿部先生:「あっ」と言う間です。

ようするにこの機械、中が無数の渦巻状になっていて、そこにイオンなどの粒を入れると、どんどん加速させられ、スゴいスピードになったところで飛び出す!という機械。
そして、セッティングしてあった植物の種にイオンが激突する!という仕組みらしい。

こちらが、重イオンを種に当てている時の様子。
でもどうして、これで新しい植物が作れるのでしょうか?

阿部先生:DNAが切れちゃうんですね。イオンがヒュッと通ると切れちゃうんです。

植物の種に重イオンをぶつけるとDNAが切れる。それを植物が自分で復活させようとしたときに、ちょっと変わった植物がたまーに出来るらしいんです。
そして、今回重イオンを当てたのはトマトの種。一体どんなトマトが出来るのでしょうか?

阿部先生:どんな変異が生じるかは、育ててみないとわからないんです。場合によっては1年、2年かけて育てて様子を見るので、そこが大変です。

阿部先生が、この研究を始めたのは17年前。理研仲間との飲み会で、物理学者と話をしているうちに、普通は物理学の研究で使うサイクロトロンを、植物の新種作りに使うことをたまたま思いついたそうなんです。
最新鋭の設備が、科学のジャンルを超えて使えるのも、理研の大きな特徴のひとつ!
とは言うものの、大きな機械をちょっと使うだけでも大変そう…

阿部先生:これを動かすためには1日の電気代が約550万円掛かります。

技術の粋と阿部先生の強運で、他にも色んな新種の植物があるらしい。そこで、阿部先生が作った新種の稲を見せていただきました。

阿部先生:これは変わった稲で背が低いですよね。

こちらの稲は背が低いので風の被害を受けにくく、少ない栄養で在来種と同じくらいの米が採れるといったメリットがあるんです。
近い将来、阿部先生の研究が地球の食料問題を解決するかもしれません。

未来型コンピュータ!「ねんきん」コンピュータとは?

続いて、スゴい研究をしているという工学博士の原正彦さんのもとへ。
一体、原さんはどんな研究をしているのでしょうか?

原先生:「きん」を使ったコンピュータを作ろうとしています。
スタッフ:どんな「きん」なんですか?
原先生:「ねんきん」です。

「ねんきん」を使ったコンピュータとは一体???

そもそも粘菌とは、アメーバ状の菌の一種。1時間で1cmくらいの速さでゆっくり動くんだとか。
ではその粘菌で、何が出来るのでしょうか?

原先生:例えば迷路を解くとか。

粘菌が迷路を解く?
さっぱり意味が解らないので、実際に粘菌が迷路を解いたときの映像を見せていただきました。

迷路全体に広がった粘菌、スタートとゴール地点にはエサが置かれています。
すると、時間とともに粘菌がエサに集まり始め、エサを置いて24時間後には…

なんと!スタートとゴールを結ぶ粘菌の道が完成!
粘菌には、両方のエサを効率よく食べようとする性質があるからできるんです。
原先生は、こうした生き物の性質を利用したコンピュータを作る研究の第一人者なのです!

原先生:今のコンピュータは、正確で便利なんですけど、ある意味限界もわかっていまして、スピードや情報処理の限界があります。そこで、今までのコンピュータで出来なかった問題を、上手いこと処理出来るんじゃないかというのが我々の発想です。

今取り組んでいるテーマは、とあるセールスマンが営業先をいかに短い距離でまわるか?という問題。
いくつか選択肢がある中から正しいルートを見つけ出すというもの。

営業先が少ない道は簡単ですが、これがもし20ヶ所ともなると、その選択肢はなんと!
約56京4780兆通りにもなるんです!スーパーコンピュータでも答えを出すのが大変!
ところが粘菌の場合、最短距離は出せないけど、そこそこ最短を出すのが結構早いんです!
ジャンルによっては粘菌の性質を使った方が、計算が早いこともあるんです。
この粘菌コンピュータの研究を、大学や企業の研究所ではなく理研が研究しているのにはワケがあるんです。

原先生:1つの学問分野で出来るものではないので、色んな違う分野から研究室に集まってもらってます。

そう!粘菌コンピュータのような研究には、とにかく色んな分野のプロの科学者が必要。だから…

こちら生物学・遺伝子工学のプロである長谷川さんは培養学を担当。
さらに、粘菌の動きを知能に置き換える人工知能担当の方や、電子工学や化学、複雑系科学、生命物理、有機合成など様々な分野のプロが一緒に研究しているのです。
このように、理研には大学のような学部の境がないため、垣根を越えたスゴい人材が必要な研究に集結できるんです!

世界初!理研発のロボット「リーバ」

続いてやってきたのは、愛知県にある理化学研究所・名古屋支所。
こちらでは一体、何の研究をしているのでしょうか?
そこで、RTCロボット感覚情報研究チーム・リーダーの向井利春さんにお聞きしました。

向井先生:世界初のロボットを作っています。

実は向井先生、日本有数のロボットのプロ!
では一体、どんなスゴいロボットを作っているのでしょうか?
実際に見せていただきました!

こちらが向井先生が作った世界初のロボット!その名も「リーバ」。
なんだかカワイイこのロボット、本当にスゴいんでしょうか…?

向井先生:ではこれから実際にお見せします。

するとスタッフがベッドを用意しはじめ、その上に女性スタッフが仰向けで横たわりました。
ここで向井先生から衝撃の一言が!?

向井先生:お姫様ダッコ
スタッフ:お姫様ダッコするのが世界初なんですか?
向井先生:そうですね!腕を使って人を抱き上げるのは世界初です。

なんと、リーバは世界初!二本の腕で人間をお姫様ダッコできるロボットだったのです!
とは言うものの、お姫様ダッコに何の意味があるのでしょうか?

向井先生:介護でベッドから車椅子に移したり、その逆だったり、自分で動けない人を移すようなロボットです。

まだ開発中とのことですが、体を自由に動かせない人を優しく抱っこして運ぶ介護ロボットなのです。
ところが…

あれあれ?いくら開発中とはいえかなり手伝っていませんか…

向井先生:なるべくロボットに詳しくない人でも使えるように、触って指示するというやり方を採用しています。

実は、向井先生が行っていたのはロボットの操作。

向井先生:上腕の裏側を前に撫でたんですけど、これは前に行きなさいという指示なんです。

難しい操作方法を覚えたり、リモコンを使ったりしなくても動かせ、誰でも感覚的に操れる!介護ロボットにはコレが重要なのです。

向井先生:弱く触るとゆっくり動いて、強く触ると早く動くんです。

そう!触るだけなので、力がない人でも介護できる!
この介護ロボット「リーバ」は現在、理研と東海ゴムが共同開発中。
今後も改良を続け、数年後には東海ゴムから販売する予定なんだそうです。

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