過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2010年9月19日放送

特集

儲からなさそうな業界

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、井森美幸さん

番組内容

今回のがっちりマンデーは、新シリーズ「儲からなさそうな業界」!
いろんな事情で各業界がきびしい世の中…しかし、逆境にも負けず儲けている業界があります!
そこで、記念すべき「儲からなさそうな業界」第1回目は「林業」!
その最前線をお届けします!

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奈良県発!儲かる森の作り方!

なかなか儲からなさそうな林業で、いま注目の儲かりそうな人。
その一人目を探しにやって来たのは、奈良県橿原市にある一軒のお宅。
出迎えてくれたのは清光林業 株式会社の岡橋清元会長。
なんと岡橋会長のご自宅は、敷地面積1000坪の大豪邸!これは儲かってそう!
そんな、岡橋会長があるモノを見せてくれました。それは…

岡橋会長:これは古い山の証文です。これは確か安政3年のやつだと思うんですけど。元禄時代のやつも何通か残っていまして、それが一番古いかな。今から300年以上も前になるんです。

実は岡橋会長、江戸時代中期から奈良に山林を持つ大林業家、岡橋家の17代目当主なのです!
その岡橋家がお持ちの山林は、実に1900ヘクタール、なんと東京ドーム406個分!
しかも、岡橋さんの山が多くある奈良県吉野町は、吉野杉と呼ばれるヒノキの名産地。
そこで、実際に岡橋さんが所有する吉野杉を見せていただくことに。

岡橋会長:これが吉野で代表される吉野杉。樹齢250年の人工林(植林した木)です。こういう木がたくさん吉野には残ってるんです。

この名木、売れば1本500万円以上!
どう考えても儲かっていそうですが、林業全体の不振の影響はやはり避けられない…特に、吉野の林業には大きな問題があったのです。
それは…

岡橋会長:山から木を切り出す方法が問題だったんです。

そう!吉野の山は傾斜が急で、山から木を出すのが大変。
そのため、木の運搬にはどうしてもヘリコプターが必要でした。
ところがその費用は1分1万円と、かなり高い!
このままでは木を切っても切っても赤字になっちゃう…そこで、あるアイデアが閃いたんです!

岡橋会長:道を作ろうじゃないかと考えたわけです。

山に道があれば木をトラックで安く運べる。そこで、30年前に山の中の道作りを開始!
ところが大変なことに!
なぜなら吉野の山は急斜面だらけ、せっかく作った道が、雨が降るたびに土砂崩れ、その度にまた一からやり直し。それでも諦めず、工夫を凝らして作り続け、道は完成!
木材の輸送コストはヘリコプターの4分の1に削減!
では一体、そんな道はどの様に作っているのでしょうか?
壊れない道作りのポイントを、現場で教えていただきました。

岡橋会長:なめるように歩かないとわからないんですよ。あっちこっち、あっちこっち、山をなめなわすような感じでね。

「壊れない道作りのポイント」
山に生えている草木を見る!

岡橋会長:これ"アゼビ"という木なんですけど土の硬い所、水気の少ない所に好んで生える植生なんです。だからこういう植物が生えている所は結構安定しているということで、道は通しやすいんです。こういう所をつなげていくわけです。

生えている植物の種類を観察して、地盤の硬い場所を見つける。
それで道のルートを決めていくのです。
その際、岡橋会長が自分の足で山の中を歩き回るんです。

「壊れない道作りのポイント」
水を止める!

岡橋会長:一番の強敵が水なんです。

山に雨が降ると雨水が道に集まる、すると水が川の様に勢いよく流れ、道を壊してしまうのです。
そこで、岡橋会長が考えたのが…

道を横切るこの黒い板。道に板をいくつも立てることで、雨水を道から外に逃がす。
だから崩れにくくなるのです。板と言ってもゴム製なので車が通っても大丈夫。
道を作れないと言われていた吉野の山に、岡橋会長が作り続けた壊れない道は、現在全長78km!今もグングン伸び続け、立派な杉をドンドン運び出しています。
これは100年先も儲かりそう!

長崎発! 3倍儲かる無節材とは?!

続いてやって来たのは、長崎県長崎市にある真樹販売株式会社。
出迎えてくれたのは取締役部長の佐賀里政則さん。
早速、どうやって林業で儲けているのか伺ってみました。

佐賀里さん:ウチの特徴は高く売れる木を作っているということです。大体、普通の木材と比べると3倍くらいの価値がある木です。

3倍高く売れる木とは一体どれほどスゴイ木なのでしょうか?
実際に見せていただきました。

佐賀里さん:これが高く売れる木です。全く節が無い、木目のきれいな模様が出ているんです。

そう!このヒノキ、枝があった所に残る節の模様が全く無い!その名も「無節材」。
木目がキレイなので、高級材として非常に高く売れるんです。
では、この無節材どうやって作っているのでしょうか?

佐賀里さん:一番重要な作業になるのが、"枝打ち"という作業です。

枝打ちとは、木がまだ細いうちに枝を切り落とす作業のこと。

切った枝のあとは、木が成長するにつれ自分で修復し、キレイになくなるんです。
でも、ただ枝打ちをすれば良いというわけではありません。本当にスゴイのはここから!

佐賀里さん:施業台帳というのがありまして、私ども全部の山林データを履歴として残しております。山の木を全部調べました。1本ずつ丸3年掛けました。これはなかなか無いと思います。

なんと!持っている森の木の細かいデータを全部調べてストックしている!
真樹販売の山林にある木は約40万本!その1本1本をキチンとデータ化。
だから、どの木をいつ枝打ちすれば良いかも、データに基づいて正確にわかる!
さらに、30年後に何本木が採れるか、なんて事までわかるんです。
そんな真樹販売が林業を始めたのは45年前。
それからひたすら、木を植え続け世話をする、という作業を繰り返し、ようやく7年前から普通のヒノキよりも3倍高く売れる無節材の販売が出来るようになったんです!

スタッフ:ただ植えたらいいってものではないですよね?
佐賀里さん:ないですね!やっぱり本当に良い木を作ろうとすれば、色々きちんと手を入れていくことは大事ですね。

そんな苦労の甲斐合って、真樹販売はここからは儲かりそうですね!

三重県発!スギを2倍儲かる木に!

続いて訪ねたのは、三重県の尾鷲市。
ここは、市の面積のなんと91%が山林で、昔から林業が盛んな街なんです。
こちらでがっちり儲けているというのが、畦地製材所。
一体、どうやって儲けているのでしょうか?畦地秀行社長に聞いてみました。

畦地社長:ウチはスギで儲けていますね!

畦地製材所、儲かりの秘密はスギ!
でもスギは、あっちこっちの森で植えられているので…

ヒノキやマツなど他の木材に比べて、値段が安く儲けるのがなかなか大変!
しかも…

畦地社長:スギは水分をたくさん持っていますので、乾かしにくいという問題があります。

切ったばかりのスギが含む水分は、ヒノキの2倍!だから乾かすのも大変。

畦地社長:天然乾燥で置いておくと借金まみれになりますから、天然乾燥は在庫をたくさん持たないといけないんです。

そのため最近は、専用の乾燥機を使い、80℃以上の熱風で乾かすのが一般的。
しかし、高温で乾燥させると割れたり曲がったりして、使い物にならないことが結構ある!
ところが畦地社長は、この2つの弱点を一挙に解決し、スギを儲かる木に変身させたのです。
では一体、どうやって解決したのでしょうか?

畦地社長:これがウチの乾燥機ですね!

これぞ秘密兵器!特殊な乾燥機「愛工房」。
中に入ると…

木を乾かしています。では、普通の乾燥機と何が違うのでしょうか?

畦地社長:この乾燥機は低温で乾かすんです。

この乾燥機の特徴は、中の温度が45℃とややぬるい。
高温での乾燥より少し時間は掛かりますが、曲がったり割れたりすることが少なくなり、そのうえ強度が増すのです。
さらにもうひとつスゴイことが!それは…

畦地社長:ニオイが違うでしょ。他の乾燥方法ではこのニオイは全部飛ばしてしまいます。

なんと!45℃で乾燥させると、とっても良いニオイになるんです。
でも、何でそんなことになるのでしょうか?
低温乾燥機を開発したアイ・ケイ・ケイ株式会社の伊藤好則さんに聞いてみました。

伊藤さん:養分を全部残したまま、水だけを出してくれる温度なんです。

そう!45℃なら水分だけを蒸発させ、養分を残せるんだとか。だからスギが元々持っている良いニオイや、ツヤがより引き立つってワケ!
畦地社長は45度で乾燥させたスギを「尾鷲香杉」と命名しました。
では、その気になるお値段はいくら位なんでしょう?

畦地社長:大体、1.5倍〜2倍くらい違いますね。

乾燥の仕方だけで値段が2倍!そんな畦地製材所はスギでがっちり!

世界初!?木から石油が作れる!?

続いてやって来たのは栃木県宇都宮市。ここには木を木としてではなく、スゴイことに使う新しいビジネスがあるそうなんです。
そこで、栃木県森林組合連合会の潮田健司さんに伺ってみることに。

潮田さん:世界初の新技術のシステムがあります。

そして、こちらが世界初の凄いシステムが眠る、栃木県塩谷町にある栃木サイト!って、あんまり凄い感じがしないのですが…ここで一体、何をしているのでしょうか?

潮田さん:木からバイオオイルを作っております。

このバイオオイル、ひょっとしたら石油の代わりになるかもしれない凄いモノ!
工場などの燃料はもちろん、発砲スチロールやプラスチック製品の原料にもなっちゃう!

潮田さん:国の支援を受けて実験中ですので、実用するように頑張っているところです。

では一体、どうやって木からオイルを作るのでしょうか?

潮田さん:技術を持つ新日鐵化学さんと一緒に行っているので、新日鐵化学の野本様からご紹介して頂きます。

バイオオイルは、栃木県の森林組合が新日鐵化学の技術提供を受けて作っているんだとか。
ということで、新日鐵化学株式会社 主任研究員の野本英朗さんに解説していただきました。

まずは、こちらが世界初!木からオイルを生み出す最新マシン!
では一体どうやって木からオイルを作るのでしょうか?

まず原料となるのは、粉末状にした木。これをマシンの中に入れて、特殊な液と混ぜ合わせます。

スタッフ:液体というのはどういうものなんですか?
野本さん:企業秘密なんですが、そんなに値段の高いものではなく、皆さんもよくご存知の液体だと思います。

その後、その気になる液体と混ざった木の粉末は、この筒型の装置に移動します。

野本さん:こちらの装置は家庭にある電子レンジと同じ設備なんです。

これまた家庭にある電子レンジと同じ仕組みの機械で、先ほどの混ぜ物を加熱します。
すると、熱で木の成分が分解され、バイオオイルになっちゃうんだとか!
こうして出来たバイオオイルのエネルギー量は、石油の半分もあるというから結構スゴイ!
そして、この技術は他にもメリットが!それは…

今の日本の林業では、曲がったり細かったりする商品にならない様な木は、運び出すのにお金が掛かるので、山に捨て置かれる事が多い。その量、実に年間800万トン!
ところが、バイオオイルマシーンを山に持ち込めば、その場でゴミだった木がコンパクトで価値の高いオイルに大変身!
まさにゴミの山を宝の山に変えるかもしれない夢の装置なのです。
今後バイオオイルが、日本の林業の救世主になるかもしれませんね。

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