過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2010年4月18日放送

特集

付録ビジネス

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、黒木メイサさん

番組内容

今日のがっちりマンデーは「付録ビジネス」!
今、雑誌の付録はすごい勢いで進化中。
本や雑誌が売れないと言われる中で、付録が人気なものだけはとにかく売れているんです。
儲かる付録ビジネス、そのヒミツに迫ります!

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女の子に大人気!「ブランド付録」

儲かる付録ビジネス!と言っても、まだピンと来ないそこのお父さん!
会社や街中で、見かけた事はないですか?女の子がもっている、あのカバン。
実は、ぜ〜んぶ雑誌の付録なんです。

中でも、今ダントツの人気を誇っているのがファッション雑誌「sweet」の付録!
この「sweet」、雑誌の売れ行きが悪くなった出版業界では異例の、月105万部を突破!

でもなんで、そんなに「sweet」だけが売れているのか?
その秘密を探るべく、がっちりスタッフは出版元の宝島社へ!

マーケティング部の桜田さんにお話を伺いました。

スタッフ:sweetがこんなに売れているとは…
桜田さん:そうですね、日本一ですね。日本一なんです。

おおー、自信満々!

そんな「sweet」には、およそ「付録」という響きには似合わない豪華なブランドバッグが!
「sweet」が売れるヒミツは、雑誌の付録とはとても思えない、有名ブランドとコラボしたバッグや小物が付いていることなんです。
でも、ブランドなら何でもいいってワケじゃない!

桜田さん:読者層の好きなブランドを厳選していて、それがうまく合った時でないとなかなかうまくいかないんですね。

「sweet」の読者層に合わせつつ、旬のブランドを選ぶのがポイント。
でも、なんでこんな高そうなブランドバッグが、雑誌の付録として安く買えるのか?

桜田さん:これらのブランドアイテムは、ブランドさんからご提供いただいているのではなくて、すべて編集部が企画から製作まで行っています。

付録をブランド側に作ってもらうのではなく、宝島社の編集部で作っているんです。
なぜカバンや小物を出版社自ら作るのかというと、ずばり「その方が安く作れるから」!
雑誌の付録は数万個、数十万個も作ることで、劇的に安くなる!
大量生産だから付録の原価が下げられるというわけです。

たとえば、同じオモチャでも1万個作った時は、1個あたりコストはおよそ10円。
しかし100万個作ると1個あたりのコストは半額の約5円に!

桜田さん:今100万部という部数を出している雑誌であるからこそ、付録の単価が下がっていくので、作れるという仕組みになっていますね。

つまり、「sweet」が売れれば売れるほど、豪華な付録がどんどん安く作れるというわけ。
この付録雑誌で成功したノウハウを使って、宝島社では新しいビジネスをスタート。
それが、「ブランドムック」!

こちらが、発行部数120万部「キャス キッドソン」のブランドムック1,500円!
こうなるともう、付録というよりブランドバッグそのものを売っている感じ!
他にも、「マークバイマークジェイコブス」は、1,260円でおしゃれなポーチとタオル、ミラーまで付いて60万部!
「イヴ・サンローラン」は、1,300円で100万部の大ヒット!

なんでそんなに売れているのか?
特別に、ブランドとの会議にお邪魔させていただきました。

宝島社編集部の藤定修一さんと根本江利子さんに、レスポートサックジャパンの大峯千春さん。
この日は、「レスポートサック」ブランドムックのデザイン会議。
ブランド担当者がデザインを決めるのかと思いきや、

根本さん:OLさんならこういうドット柄とか。
藤定さん:本屋さんに並んだときの見え方のバランスとか、これとこれだと黒・黒になっちゃうんですよね。
大峯さん:そうですねー。

提案をしているのはブランド側ではなく編集部。
ブランド側のプランに、編集部が商品の柄から陳列したときの見栄えにいたるまで、細かな提案をしているのです。
こんなことが出来るのも、今まで「sweet」などの雑誌の付録で培った、小物作りのノウハウがあるから。
しかも、何を作れば書店で売れるのか、最近の流行の傾向はどうなっているのか、といった出版社独自の情報を持っている。
だから自信を持って、売れる商品の企画を提案することができるというわけ。
そしてブランドムックを出すことは、ブランド側にも大きなメリットが。

大峯さん:書店でブランドの名前が出るということは、普段、私どものショップに足を運でんでいただけない方の目に触れる機会が大変増えますので、認知度がより広まるんです。

当たり前ですが、どんな有名ブランドのショップよりも、本を並べてくれる書店やコンビニの数の方が圧倒的に多い!

大峯さん:昨年、発売して反響がありまして。実際、店頭の売上げにも結びついたんです。

今後も、「ロベルタ・ディ・カメリーノ」や「マリメッコ」など、続々と有名ブランドがムック化。まだまだ宝島社の快進撃は続きそうです!

学研の付録雑誌「大人の科学マガジン」

儲かる付録ビジネス!続いては、「学研教育出版」。
学研といえば、子供向け学習雑誌「科学」でおなじみ。
いろんな実験や観察キットが付録になっていて、楽しみながら科学が学べるとあって子供に大人気でした。
そんな学研の「科学」も昨年、少子化のあおりで休刊を発表。
しかし、今そんな学研の「科学」の付録が大人向けにバージョンアップ!それが、

西村さん:「大人の科学マガジン」です。売れてます!

と言うのは、「大人の科学マガジン」編集長の西村俊之さん。

こちらが、「ミニエレキ」が付録の号。表紙を飾っているのはなんと、あの布袋寅泰さん!
中を見るとミニエレキのパーツが。これらは2時間ほどで組み立てられ、

西村さん:誰でもロックミュージシャンになれます。

この「ミニエレキ」が付録の号、発行部数は10万部!
他にも、独特の写真が撮れる35mm二眼レフカメラが付録の号は、12万部!
プラネタリウムの号は1万個の星が簡単に見れるとあって、シリーズ最高の44万部を発行!
付録のチョイスはかなりマニアックなのに、どれも相当売れている!

なんでそんなに売れているのか?
「大人の科学」ファンの方を訪ねてみました。
迎えてくれたのは、中野区にお住まいの宇田道信さん29歳。部屋にあったのは、

「別冊大人の科学マガジン」の付録、アナログシンセサイザー!

スタッフ:何が楽しいんですか?
宇田さん:え?ツマミをいじって、音が変わっていく感じが。

さらに、ミニエレキも!

スタッフ:子供のころからこういうの好きだったんですか?
宇田さん:好きでした。理科的なものが好きでしたね。

小さい頃から理科や科学が大好きだった宇田さん。

宇田さん:エレキギターの一番大事な、ピックアップ。仕組みを知らなくてどうなってるんだろうなあと思って。真ん中に磁石があって、導線がグルグル巻かれているだけなんですよ。

こういったマニアックさに、「大人の科学マガジン」の売れているヒミツがありました。
で、宇田さん一番のお気に入りが、

宇田さん:テルミンです。

(テルミンで演奏中)

宇田:ん〜♪

ところで、このマニア心をくすぐる付録は、どうやって選んでいるのか?
編集長の西村さんに聞いてみると、

西村さん:この原理や仕組みが面白い、これを伝えたいっていうのがスタートに必ずあります。

単純明快、編集長が面白いと思うモノを選んでいただけ!
幼い頃から学研の「科学」が大好きだったそうで、そんな編集長だからこそマニア読者の気持ちが分かる。科学好きな男たちのマニア心をくすぐる付録で、「大人の科学マガジン」はますます人気を高めそうです!

▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:「科学と学習」ってぼくら買ってたじゃないですか。それをいちばん買ってる世代がまた買ってるってことですよね?
森永さん:そうなんです。編集長が勝手に選んでるって言っていましたが、その編集長が科学マニアなんですね。

加藤:あと黒木さんね、正直に言って付録のバッグ持ち歩いて「あ、付録だ」って思われるのって恥ずかしくないんですか?
黒木さん:変な話ですけど、たとえばこれが大金を払って買ったイヴ・サンローランのバッグだったら、現場で使っていて土の上とかに置けないけど、付録のバッグだから海とかにも持って行きやすいですし。
進藤:使いやすいわけですよね。それに「イヴ・サンローラン」という喜びがあると。

森永さん:「ムック本」の何が良いかというと、「書籍」はほとんどコンビニに並ばず本屋さんに行ってしまうんです。でも「ムック本」というとコンビニに置けるんです。本屋さんにはなかなか行かないけどコンビニに行く人はいっぱいいるわけです。
加藤:ブランド側もコンビニに置かれることでブランドの浸透率も上がりますしね!

ずーっと買わせる模型付録雑誌「デアゴスティーニ」

儲かる付録ビジネス!続いては、少しずつ雑誌を買い集めてファイリングすれば百科事典が完成する「デアゴスティーニ」!
毎週買うと付いてくる付録が人気の秘密。
2年前にがっちりマンデー!!で取り上げた時、スタジオには付録の「ハーレーダビットソン」の模型が登場。加藤さんも大喜びでした!
そのことをマーケティング部の望月斉さんに伺うと、

スタッフ:反響はありましたか?
望月さん:反響ありましたねー。けっこうお問い合わせがありまして、売上げがポコっと。

そんなデアゴスティーニ、いま一番の人気シリーズが、

「週刊 航空母艦 赤城を作る」!
もはや、空母赤城のことを書いた紙面よりも付録の存在感の方が断然大きい。
完成するまでに全100号!しかも2年以上かかる大作!
でも、さすがに2年もかかるんじゃ飽きちゃうんじゃないですか?

望月さん:飽きる人?作る人は飽きないと思いますけどね。

失礼しました、すごい自信!
その自信の裏には、飽きさせずに最後まで買い続けてもらうための色々な工夫があるのです。

たとえば、創刊号の付録には船底の骨組みが一部。
これだけではちょっと地味で作る気持ちが盛り上がらない。
しかし、箱の中にもう一つ入っているのが、

「零戦」!
空母の花形・零戦が一機あれば、やっぱりドドーンと空母に並べたくなっちゃいますよね。
そしてさらなる作戦が。

実はこれ、煙突の一部。
煙を下向きに流す赤城の煙突は、ファンにとってはたまらない大人気アイテム。
だから煙突の部分をちょっとだけ入れて期待感をあおる。
ああ、煙突を完成させたくなってきた!
でも、やっぱり100冊そろえるまでに、どうしても中だるみしちゃう。
もちろんそこにも対策が!

望月さん:こちらです、ケースですね。

ただのケースかと思いきや、艦上機がキレイに収納できる優れモノ。
しかも創刊号から12号まで買い続けた読者だけがタダでもらえる、タダモノじゃないケースなのです。
ところが、12号まで買ってもたった4機しかそろわない。
こうなると空いている所にも埋めたいって思うのがマニアの心情!
でも、すべてそろうのは、かなり先の予定とのこと。
こうした様々な演出のおかげで、デアゴスティーニの模型シリーズは、創刊号を買ったほとんどの人が完成するまで買い続けるのだとか。

ちなみにこの「週刊 航空母艦 赤城を作る」、少しずつ組み立てながら100号まで買っていただくと、約14万円!こりゃ儲かりそうですな。

日本よりすごい!韓国の付録商戦

儲かる付録ビジネス!なにやら「付録がすごいことになっている場所がある」との情報を聞きつけ、番組スタッフが向かったのは、韓国!
一体どんなことになっているのか?

さっそく、ソウル繁華街の近くにある書店「キョボ文庫」へ。
中に入ると、あれ、結構日本と似た普通の書店じゃないですか?と、思いきや!

スタッフ:これ何ですか?
韓国の方:これが付録なんですね。
スタッフ:これは?
韓国の方:お醤油ですね。

なんと!雑誌が平積みされた付録の真ん中に何故かお醤油が!こ、これが付録?

スタッフ:これはスパム?
韓国の方:はい、スパムですね。
スタッフ:これは?
韓国の方:日本で言うと天ぷら粉ですね。

料理本にはお醤油とスパムがセット!
オシャレな女性誌に、洗剤と天ぷら粉がセットって!
地下鉄の売店にある雑誌にも、なぜかゴマ油の付録が。
これってみなさん買っているんでしょうか?

スタッフ:韓国では当たり前なんですか?洗剤とか。
お客さん:一般的ね、珍しくはないわよ。
スタッフ:洗剤欲しい時、本屋さんに来るんですか?
お客さん:僕のお母さんは良く買いに行くよ。

日用品を書店で手に入れてしまう韓国のみなさん。
しかし、なんでこんなに変わった付録を付けた雑誌が韓国には多いのか?
謎を解明すべく、韓国の出版社「ソウル文化社」へ。
お話を伺ったのは、編集部次長のチャン・ウンソンさん。
雑誌に色んな付録を付けることで売上げをグンと伸ばしているという。
赤ちゃん雑誌には柔軟剤。健康雑誌にはなぜか、ホットケーキの粉とケチャップ。
そして極めつきは、

ファッション雑誌に付録として付けられたミキサー!
なんでこんな組み合わせになったのでしょうか?

チャンさんによると、きっかけは約20年前。韓国に広まった雑誌ブーム。
雑誌の種類が増え、ライバル誌に差をつける為に付録合戦がエスカレートしていったのです。
でも、良い付録を付けるとなるとお金がかかる。
そこで、ある出版社が考えたのが「広告のスポンサーに頼んで付録を付けてもらおう」という作戦!
「すみません、何か付録を…。」
「うーん、じゃあ宣伝代わりに我が社の製品をどうぞ!」
もちろんファッション雑誌といっても広告は、食品メーカーや電器メーカーまで様々。だからファッション雑誌なのに、洗剤やハンドミキサーなど、雑誌の内容とはあまり関係の無い付録が多くなったってわけ。
不況の嵐が吹き荒れる中、韓国の雑誌業界の付録パワーはますます盛り上がりを見せそうです!

▼スタジオにてお話を伺いました。
森永さん:韓国って元々「おまけ文化」なんですよね。
加藤:確かに韓国料理屋さんに行ったらタダの小鉢がいっぱい出てきますもんね。小さいキムチとか!

進藤:そして「デアゴスティーニ」シリーズですが。
森永さん:この「航空母艦 赤城」の大きさの完成品を買うと、だいたい60万円くらいするんです。だからこれが全部で14万円かかるって言ってもこちらのほうが安いんです。

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