過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2009年11月15日放送

特集

儲かる農業

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、板東英二さん

番組内容

今日のがっちりマンデーは、儲かる農業!農業っていうと、後継者がいないとか減反とか、厳しい状況を伝えるニュースばかり。でも、探してみると日本のあちこちに、農業で儲けている人たちが!若者が大規模農場でキャベツやレタスを作って年商10億円!青森の小さな農園が、世界12か国と輸出取引。日本のりんごが海外では10倍も高く売れる!長野の熱い青年農家が、りんごで作ったお米が大人気!などなど、儲かる農業のヒミツに迫ります!

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大規模農業でがっちり!

儲かる農業!まずやってきたのは、長野県御代田町。

お話を伺ったのは、農業生産法人トップリバーの社長、嶋崎秀樹さん。農業生産法人とは、農業を農家ではなく会社組織でやるための仕組み。嶋崎さんは、農業に会社の手法を取り入れることでがっちり儲けているひとなんです。トップリバーでは何を作っているんですか?

嶋崎さん:レタス・白菜・キャベツなどですね。
スタッフ:年商はどれくらい?
嶋崎さん:約10億円ちょっとですね。

なんとトップリバーは年間売上げ10億円!レタスや白菜、キャベツと作っているモノは普通なのに、儲かり方が普通じゃない!何でそんなに儲かっているんでしょう?

トップリバーの儲かりポイントその1:規模はなるべく大きく!
農業がなかなか儲からないひとつの原因は、作る規模が小さ過ぎて効率が悪いということ。そこで嶋崎さんが考えたのが、「会社」で人を雇って大規模に野菜を作るというやり方!

トップリバーは、東京ドーム6.5個分という広い畑で野菜を生産!人手不足で耕す人がいない農家の方から安く借りているので、土地代は激安なんだとか。レタスの収穫をしていたのでお邪魔してみると、

トップリバーにいる社員35人はほとんど20〜30代の若者。しかも、働いていた会社を辞めて転職してきた人ばかりなんです。でも、ハードな野菜作りのお仕事に何で若者が集まるのでしょう?それは、トップリバーが「会社」だから!

報酬はもちろん給料制。6年目には、年収600万円ほどになる人も!しかも社員寮まで完備!日々の農作業はタイムカードで管理。出社時間はほとんど4時台!

決して楽ではないけど、一般の会社のような安心して働く仕組みを作ることで、農業をやりたい若者を集め大規模な畑作りを実現しているのです。

トップリバーの儲かりポイントその2:野菜は計算して作る!
嶋崎さんによると、今までの農業は、とにかくたくさん野菜を作って、農協を通し市場で売るというもの。これだと野菜がとれ過ぎて値段が暴落したり、せっかく作ったのに捨てたりなんてことも。すごく無駄!

そこでトップリバーが取った手法は、野菜を"作ってから売る"んじゃなくて、"売るのが決まってから作る"というもの。

営業担当の社員が売れる野菜をリサーチ。そして、スーパーやレストランに直接野菜を売り込んで、どんな野菜をいくらでいくつ売るかを契約。その契約に基づいて、どの畑でいつ・何を作るのかを細かく計画。売れる分だけ作るから無駄なく安定した儲けが得られるんです!

嶋崎さん:これは組織農業として当たり前のことなんですね。それが日本中あまりなされていない。

普通の会社が当たり前にやっていることを農業に取り入れる。それが、トップリバーの儲かるヒミツなんですね!

りんごの輸出でがっちり!

儲かる農業!続いてやって来たのは、青森県弘前市。青森と言えば「りんご」の生産量日本一!そのりんごでいま儲かっていると評判の「片山りんご」を訪ねました。お話を伺ったのは、代表取締役社長の山野豊さん。で、どれくらい稼いでいるんですか?

山野さん:5〜6億円の間。がっちりです!

他のりんご農家が不況に苦しむ中、売上げをぐんぐん伸ばして6億円!なんでそんなに好調なんですか?

山野さん:端的に言うと輸出ですね。イギリス・中国・スイス・ドバイと、いろんな所に出しています。

「片山りんご」は、りんごの輸出で儲かっている会社。取引先は、ヨーロッパ、アジア、中東など世界12か国にも及びます。でも、りんごの輸出ってそんなに儲かるんですか?

山野さん:海外で買ってもらうと、10倍くらい値段が違うと思います。

海外だと日本の10倍高く売れる!?そこには意外な儲けのカラクリがあったのです。

日本だと、大き過ぎたり小さ過ぎたりするりんごはジュースやジャムなどの加工用にするしかないんです。すると、たとえば果物用に出荷される20kgのりんごが1箱3,000円の値が付くのに対し、加工用のりんご20kgは1箱100円と、値段が極端に下がって赤字が出ちゃう!ところが!

日本では小さ過ぎるりんごがヨーロッパではちょうどいいサイズ!しかも、日本のりんごは安心・安全で美味しい!ということで、けっこういいお値段で売れるんです。元々タダ同然でしか売れないりんごだから、輸送費を差し引いても儲けが出るってワケ!

一方、お隣の中国ではヨーロッパと真逆で、「むつ」のような大きいりんごが人気!大きいりんごは縁起が良いということで、大きければ大きいほど中国では高く売れるんだとか。というわけで、片山りんごでは大きさや品質ごとにりんごを細かく選別。普通サイズは日本、大き過ぎたり小さ過ぎたりするりんごはそれぞれのサイズをお好みの国に輸出することで、無駄なく儲けているのです!でも、国ごとで人気のサイズが違うことにどうやって気づいたんでしょう?

きっかけは、1997年のりんご価格暴落。値段が安くなり過ぎて、売れば売るほど損をするという状況に困り果てた、創業社長の片山寿伸さん。「日本でダメなら、海外で売ってみるか!」と、ダメもとでヨーロッパにりんごを輸出してみたところ、なぜかイギリスで小さいりんごだけ大人気!

「ひょっとして、売れるりんごのサイズが国によって違うのでは?」と、山野さんが世界中を飛び回って、どこの国でどの大きさのりんごが売れるのか、懸命のりんごリサーチ!結果、片山りんごの輸出先を12か国まで拡大したのです。そんな山野さんのパスポートはスタンプでいっぱい!それに、

山野さん:苦労したんです。体重が増えて髪の毛が減りました!

髪の毛は減っても、売上げは伸びていますよ、社長!

スタジオにてお話を伺いました。
森永さん:りんごだけでなく他の農産物も人気になってきて、いまブームなのが「イチゴ」なんです。これも世界マーケットになっていくと思います。

進藤:それに、トップリバー!

森永さん:そもそもトップリバーができたというのは、規制緩和のおかげもあるんですよ。
2009年から農地法が改正されて企業が農業をやってもいいですよということになったので、企業展開が進んでいっているんですよね。

洋ランのクローン技術でがっちり!

儲かる農業!続いてやってきたのは、徳島県美馬市にある「河野メリクロン」。
お話を伺ったのは、社長の河野通郎さん。

「河野メリクロン」で作られているのは、洋ランの一種シンビジウム。お祝いの贈り物として大人気のお花で、お値段もお花の常識を超えた高級品!

河野さんが生んだ過去最大のヒット品種「あんみつ姫」は、1鉢2万円以上もしますが、愛らしい形と淡いピンク、2か月咲き続けるという丈夫さが人気を呼び、1986年の発売以来、およそ300万鉢!およそ600億円以上を売り上げた稼ぎ頭!今ある会社の建物が「あんみつ姫」の儲けで建ったと言っても過言ではないそうなんです。でも、何でそんなに儲かるのか?それは、社名にもなっている「メリクロン」という技術があるから!

そもそも、シンビジウムというお花は育てるのが大変。最初に花をつけるまで2年以上かかっちゃう!しかも、数を増やすのはさらに大変で、これまでは「株分け」という、茎を2つに分ける方法しかなく、1,000株作るのに10年もかかっていたそうなんです。「メリクロン」は、こういったシンビジウムの増やしにくさを一挙に解決した夢の技術なのです!一体どんな技術なのか?現場では謎の作業をしている人々が!一体何をしているんですか?メリクロン担当の石上尚史さんに伺いました。

石上さん:簡単に言いますとコピー、クローンですね。

まずシンビジウムの根元から約1ミリの新芽を取り出す。これを養分の入ったフラスコに入れて培養すると、1か月で1センチほどに成長。これを半分に切って、また培養を繰り返していくと、どんどん苗が増えて、1個の新芽から2年で数万本の苗が作れる!

この「メリクロン技術」、元々フランスで生まれたランの培養技術でした。これを、洋ランの一種シンビジウムの栽培に応用できないものかと、若き河野青年は独学で研究を開始。16年の試行錯誤の末、1985年、ついに大量生産に成功!シンビジウムの国内シェアを一気に拡大したのです。そしてもうひとつ、河野メリクロンがすごいのは、

メリクロン技術で大量生産が可能になったからこそ、500種類以上のシンビジウムを開発できた!これは、日本にある品種の約半分なんです。

河野さん:河野メリクロンは、洋ランでがっちり!

オリジナルブランド米でがっちり!

儲かる農業!山道を登ってやってきたのは、長野県東御市八重原にある「信州ファーム荻原農場」。こうべを垂れて収穫を待っているのが、お米。

でっかいコンバインから登場したのが、荻原昌真さん。お米って儲かるんでしょうか。年間売上げはどれくらいなんですか?

荻原さん:お米は儲かりますよ!年間9,000万円の売上げがあります。

儲かっているとは言うものの、長野のお米は、あきたこまちが人気の秋田県や、魚沼産コシヒカリで有名な新潟県のように、人気のブランド米が無いのが悩みなんだそう。そこで!

荻原さん:オリジナリティを出したいなと思いまして、信州りんご米というものを作っています。

荻原さんが作っているのは、「信州りんご米 やえはら舞」という名前のお米。2kgで1,280円。なんと、信州産のりんごを堆肥にして土作りに使っているのだそうです。実際どんな味なんでしょうか?お米を買いに来た女性に試食してもらうと、

女性:これくらいおいしけりゃだいじょぶ!粘り気があって甘みがある!

かなりの好感触!長野ならではのオリジナル米、ちょっと味見してみたくなりますよね。荻原さんのブランドPR作戦は話題を呼び、「信州りんご米 やえはら舞」は2006年に全日空ファーストクラスの機内食用のお米として採用されました。「やえはら舞」というブランドも完全に定着。今年収穫した200トンのお米は、すでに予約だけで売り切れ状態なんです。そんな荻原さんが今挑んでいるのが、農業自体をかっこいいブランドにすること!

荻原さん:雑誌の編集長をやっています。Agrizmっていう雑誌です。

荻原さんが編集長を務めるのがAgrizmという農業雑誌。今年2月に創刊したばかりで、1冊780円。累計5万部以上も売れているという大人気の本!

内容は、「レンコン3兄弟」とか「養豚業界のヒロイン」とか、農業でがんばっている若者の紹介。農業好きな有名人の連載に、農業とグラビアアイドルのコラボページも!でも荻原さん、こんな雑誌を作ろうと思ったきっかけは?

荻原さん:これを見た人が、このお兄ちゃんのお米を食べてみたいとか、このお姉ちゃんの作った野菜を食べてみたいとか。これで儲けてもらおうということですね。

農家からヒーローを出せば、そのヒーローの作る農作物もきっと売れるはず!それが荻原さんの狙いなんだとか。5万部も売れているのに荻原さんご自身はノーギャラでやっているんだそうです。

荻原さん:信州ファーム荻原農場は、やえはら舞でがっちり!

スタジオにてお話を伺いました。
加藤:お米にりんごを混ぜるっていうのもひとつの発想ですよね!

森永さん:最近は大量生産米でなく付加価値をいかに付けるかというので、知恵を絞っている方が多いんですよ。

加藤:美味しいお米って、お米だけで食べられますよね。そういうのを味わうために農家の方たちはがんばっているんですね!

進藤:森永さん、これを作れば絶対に儲かるという農作物を教えてください!

森永さん:それは「タイワンアブラギリ」という農作物です!木材としてよく使われる桐の一種で、種が油分をたくさん含んでいるので、バイオ燃料の解決に大きく役立つと私は考えています!

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