過去の放送内容
2008年9月21日放送
特集
ちょっと改良で大ヒット
ゲスト
森永卓郎さん(経済アナリスト)、はるな愛さん
番組内容
がっちりマンデー、本日のテーマは"改良して大ヒット"!
続々と登場する新商品、その中で大ヒットの栄光をつかめるのはごく一握りだけ!
でも、あきらめてはダメ!
ちょっとした改良で爆発的に売れる商品もあるのです!
ちょっと改良で大ヒット!
業界のタブーを破ってがっちり
最初にやって来たのは、岐阜県高山市にある平和メディク株式会社。
ここで何を作っているのかというと…
石丸要課長(商品開発化):当社で生産しているのは、こちらにあります綿棒を中心とした衛生用品になります。
この会社は綿棒の国内シェア40%と、No.1の老舗メーカーなのです!それで、綿棒をどうちょっと改良したのかというと…
黒い綿棒を作っちゃった!
でも、白を黒に変えただけで本当に売れるのかと思いきや…
1本およそ4円と従来の白よりも2倍以上のお値段でありながら、年間1億本を売り上げるバカ売れ商品になったのです!
しかし、白を黒にするだけでなぜ売れたのでしょうか?
石丸課長:実は黒い綿を使った綿棒の方が、取った耳垢がよく見えるというのは我々の中では常識でした。
黒い方が取れた耳垢を見やすい!
試しに、チョークの粉を黒と白2つの綿棒につけてみると、確かに黒の方がハッキリとわかる!
取れた時の爽快感がウケたというわけ!
このように、間違いなく売れるであろうブラック綿棒がこれまで作られることがなかった理由は…
この業界で黒はとんでもないタブーだったからです!
石丸課長:今まで白いものを作っていた工場で黒い繊維を持ち込んで作るということは、白い繊維の中に黒い繊維が入るということなので、白い繊維を使っている綿棒そのものがすべて不良品になってしまいます。
清潔感が第一の綿棒に、ちょっとでも黒が混じったら大問題!
だから黒は絶対にタブーだったのです。
では、一体どこで黒の綿棒は作られているのでしょうか?
Q:黒い綿棒が見当たらないのですが?
黒川雅博工場長(常務取締役):白い綿棒とは一緒に製造できないですからね。
隔離というか別棟で黒い綿棒を製造させてもらっています。
ブラック綿棒の製造ラインは完全に隔離されたところにありました。
「白から黒へ」と、ちょっとした改良に見えても、そこには「業界のタブー」への挑戦があったのです。
平和メディクは業界のタブーを破った改良でがっちり!
斜めに改良してがっちり
続いてのちょっと改良は洗濯乾燥機!
今から10年程前に松下電器が発売したのは、その当時ヨーロッパで流行していた横型ドラム洗濯乾燥機でした。
しかし…
松岡真二さん(国内ドラム洗技術グループ):膝を曲げてかがんで行なう洗濯物の出し入れということなので、非常に毎日のことで主婦への負担が大きい。
結局、使い勝手が悪くほとんど売れませんでした。
そこで、「洗濯層のドラムをちょっとだけ斜めにしてみよう!」と生まれたのが、世界初の"ななめドラム"だったのです!
ななめドラムは、あっという間に年間30万台近くを売り上げる大ヒット商品になりました!
でも、どうやってドラムを斜めにする改良が生まれたのでしょうか?
松岡さん:上層部の方から「もっとトガッた商品にできないか!」ということで「このままではダメだ」と改良を重ねました。
経営陣の要求に技術者が見事に応えた結果が、このななめドラムだったのです!
ドラムが斜めになったことで、洗濯物の出し入れがラクラク!
でも、このちょっと改良、技術的にはかなり大変なことがあったのだとか…
松岡さん:やはり斜めに回転するということで、振動というのが一つ大きなポイントになります。
ドラムを斜めにすると、縦型や横型よりも振動が大きくなる!
これを抑えるために…
松岡さん:軽自動車並みの「ダンパー」を使いまして、振動を抑えるようにしています。
ななめドラムは、軽自動車にも使えるようなダンパーとサスペンションで支えられています。
ちょっと斜めにするのには、ちょっとではないスゴい技術が使われていたのです!
そして、この改良には思わぬプラス効果が…
松岡さん:元々、ドラム式というのは縦型に比べて節水のタイプなのですが、さらにこれを斜めにすることで底の角度の部分が使えるということで、従来よりもさらに節水が図れるようになりました。
角の部分で洗うことで、縦横のドラム式に比べて大幅な節水に繋がったのです!
ちょっと斜めに改良しただけで良いこと尽くし!
松下電器はドラムを斜めに改良してがっちり!
女子高生のアドバイスでがっちり
こちらは、携帯電話の覗き見防止フィルター。
画面に貼ると、正面からは普通に見えるのに、斜め45度より外側からは見えなくなります!
このフィルターをちょっと改良して大ヒットさせたのが、大阪にある従業員25人の小さな会社、(株)サンクレスト。
一体何が改良されたのでしょうか?会社にお邪魔すると…
植田社長:がっちりマンデーさん、おはようございます!
いらっしゃいませ、サンクレストの社長の植田です!よろしくお願いします!
テンション高い!
これが、(株)サンクレストが2001年に発売した覗き見防止フィルターで、色はブラック。
植田社長:確実に売れると思いました!
ところが、6ヶ月で300枚しか売れなかったんですね。
そこで植田社長がどうしたかというと…
フィルターの色をピンクに変えちゃった!
すると、半年で300枚から年間20万枚を売り上げる大ヒット!
でも、なぜピンクになったかというと…
植田社長:あまりの売れ行きの悪さに、一番のユーザーである女子高校生の意見を聞いてみたところ、「黒はダサい!」と言われましたね。
「なぜ黒だけなんですか?ピンクとかブルーとかグリーンがなんで無いんですか?」と言われました。
女子高校生の意見は、「黒は嫌だ!」
植田社長:その時は申し訳なかったんですけど、女子高校生をちょっとバカにしてしまったんですね。
半信半疑のまま、ピンクやブルーなどのカラフルなフィルターに改良!
すると、瞬く間に大ヒット!
植田社長:この「メールブロック」というネーミングも女子高校生が考えました!
女子高校生が名付けた「メールブロック」。
これまでになんと、累計1700万枚を売り上げているのだとか!
すっかり女子高校生の意見を聞くようになった植田社長、今では…
月に1度の女子高校生への街頭マーケティングリサーチ!
植田社長が女子高生に意見を聞いている新しい商品とは、ケータイを飾る「ジュエリーシール」!
植田社長:キャラクター何がいい?
女子高生:今流行ってるキャラクターだったらピンクパンサー!
このようにして、若い女性の生の声をゲット!
植田社長:素直な気持ちで話を聞く。
一つずつの商品の感覚とかヒントがそこに隠されているんですよ!
それを頭にインプットして、素直に引き受けて商品化します!
この活動のおかげで生まれたのが、ハローキティーなどのキャラクター付きメールブロック。
これもバカ売れなのだとか!
植田社長と女子高生:ジュエリーシールでがっちり!
▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:(植田社長の)あの気持ちが新しい商品を生み出しているんだよね。
だって、女子高生にあんな風に普通は聞きに行けない。
進藤:ウザいとか言われても絶対にめげないそうですよ。
加藤:でも、ある意味そこに特化するというのは、商売のやり方としてはすばらしいことですよね?
森永さん:今ある商品を改良していこうと思ったら、どういうところにマーケットがあるかということを必ず押さえないといけないんです。
はるな愛さん:服でピンクは着にくいけど、ちょっと小物でピンクを持ちたいって女性は多いんですよ。
エコクリップでがっちり
発売から半世紀以上、ほぼ変わらない形で売られていたもの、それが"魚肉ソーセージ"。
売り上げに関しても、ここ数年はほぼ横ばいが続いていました。
ところが、昨年ニッスイ(日本水産(株))のおさかなソーセージがちょっと改良され、40%も売り上げがアップする大ヒットになっていました!
Q:どんな改良をしたのですか?
天野浩史さん(ニッスイ家庭用食品部):ここです!
アルミの留め金が無くなったんです!
たしかに、おなじみのアルミ製の留め金が無くなっている!
これ、どうやって留めているのでしょう?
天野さん:超音波を当てましてシールして留めております。
従来はアルミで留めていた部分も、フィルムと同じ素材のシールに代え、超音波で加熱して切断。
フィルムと一体化させるといった改良に成功したのです!
名付けて「エコクリップ」!
フィルムメーカーとの共同で、なんと10年の歳月を費やして完成させた高度な技術なのです。
アルミの留め金が付いていたソーセージを歯で噛み切ろうとして、よく痛い思いをしたことありませんでしたか?
こんな痛い思いをする必要が無くなりました!
そして、この改良でもうひとつ思わぬ効果が生まれたのだとか!
天野さん:「エコクリップ」にして完全密封の状態になります。
したがって、これまではフィルムの内側に凸凹を付けて、ソーセージとフィルムを密着させていたんですが、完全密封が実現することによって、今回(エコクリップ)は非常に剥がれ易いフィルムを使用することができました。
完全密封が難しいアルミの場合、フィルムの内側にかすかな凸凹をつけてソーセージを密着させていました。
この為、ソーセージとフィルムの密着度が高く、剥きにくい上、ソーセージの表面が剥がれちゃうこともありました。
一方、エコクリップは完全密封が可能になり、フィルムの内側の凸凹は無くてもOK!
簡単にスルリと剥けちゃいます!
この違いは一目瞭然ですよね!
Q:味の方はどうですか?
天野さん:味の方は、非常に美味しく仕上がっています!
現在、ニッスイのソーセージ工場では、53年間続いていたアルミの留め金を使った生産ラインを全廃!
すべてエコクリップのラインに切り替えました。
この、ちょっと閉じ方を改良するのに掛かった費用は…10億円!
でも、あっという間に回収できそうですね!
ニッスイはエコクリップに改良してがっちり!
クルッとトガる改良でがっちり
あの家電メーカーのシャープが、創業して間もなくの1915年に発売した画期的なペン、それがシャープペンシル(エバー・レディー・シャープペンシル)だったことをご存知でしたか?
つまり、シャープという社名はシャープペンに由来していたのです。
発売からおよそ一世紀!
このシャープペンの歴史はまさに改良の歴史でした。
戦後まもなく、最初に消しゴムが付きました。
サイドノック方式や、振ると芯が出るフレフレ機能。
「シャーボ」なんていう、ボールペン機能が付いたマルチペンが大ヒットしました。
そんな様々な改良がなされてきたシャープペンに、今回また新たなちょっと改良が…
がっちりマンデー経済予報士見習いの岡村仁美が調査しました!
岡村:こちらのシャープペン一見普通に見えるんですが、あるちょっとの改良の結果、大ヒットしているんだそうです!
何が改良されたんでしょうね?
では、さっそく行ってみましょう。
岡村がやってきたのは、品川区にある三菱鉛筆(株)。
そして、その改良されたシャープペンがこちらの"クルトガ"。
一体どこが改良されたのでしょうか?
岡村:確かにスゴく書き易いです。
でも、どこが改良されているのか分からないんですけど…
中山協さん(横浜研究開発センター):実は字を書く度に、芯の先が少しずつ回転しているんです。
芯がくるっと回る?
でも、このクルトガ、1本472円と少々高めのお値段ながら、今年3月の発売以来、半年で100万本を売り上げる異例の大ヒット商品となったのです!
何がそんなに違うのでしょうか?
従来のペンとクルトガで、同じ文字を書き続けてみました。結果は、こんなに違います!
確かに、これまでのシャープペンはだんだん文字が太くなっていくのに対し、クルトガは細い文字のまま美しい!
中山さん:ここのところになります。ここが少しずつ回転することで字が常に細く濃く書ける様になっているのが、このシャープペンの特徴なんです!
これまでのシャープペンは、書き続けると芯先が片減りして、文字がだんだん太くなっていました。
しかし、クルトガは紙に押し付けるごとに中のギアと連動した芯がちょっとずつ回転するので、常に先端が尖った状態になっている為、文字の太さがずっと変わらないというわけ!
岡村:ちょっと気付いちゃったんですけど、「クルトガ」っていうネーミングはもしかして…?
中山さん:ネーミングは商品開発部の斎藤が考えました!
斎藤拓郎さん(商品開発部):クルッと回って尖(トガ)るから「クルトガ」です!
ペン先がクルッと回ってトガるから「クルトガ」!
まさに、そのまんまのネーミング。
三菱鉛筆はクルッとトガる改良、クルトガでがっちり!
▼スタジオにてお話を伺いました。
進藤:(実際にクルトガを試してみて)日本人の感覚ってすごいですよね。
書き心地がやっぱり全然違うというのをみんな感じるんですね。
森永さん:細かいところまで気付くというのが日本人の感性なんです。
進藤:これを「ちょっと改良」したら売れる商品を教えて下さい!
森永さん:「醤油鯛」というお弁当によく入っている醤油ケースなんですが、今は全部お魚の形しか無いんですよ。
これを例えば、カメやキリンやペンギンやイルカに変える
進藤さん:残念ながら……、ペンギンはあるそうです。
はるな愛さん:ヘアピンって黒しかないじゃないですか?
透明のヘアピンって無いから、スケルトンのヘアピンがあると髪をアップにした時に良いですよね。
加藤:それいいよー!