過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2008年7月20日放送

特集

日本交通株式会社

ゲスト

日本交通(株) 川鍋一朗 代表取締役社長

番組内容

がっちりマンデー、本日のテーマは…
「日交の黒タクの乗務員さんは、誇りを持ってハンドルを握っている」と、自分よりうーんと年上のお父さんたちに熱く語る、37歳・川鍋一朗3代目社長が率いる、タクシー業界最大手の日本交通株式会社!
年間売り上げ470億円、車の保有台数2600台、所属するドライバーが5800人と、業界トップの規模を誇っています!

…が!ほんの7年前には、会社がなくなっちゃうかも!という大ピンチに!
1900億もの負債を背負った会社を立て直した若社長の大改革とは?
誰が呼んだか、「タクシー王子」こと3代目川鍋一朗社長に、日本交通の事だけでなくタクシー業界の事、がっちり聞いちゃいましょう!

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会社存続のピンチ!
一朗社長の改革「トレードマークは桜にN」

日本交通の創業は、今からちょうど80年前の1928年。
現社長の祖父・川鍋秋蔵初代社長がたった一台のハイヤーで事業を始めた小さな小さな会社でした。
それが、1980年代には年間売り上げ450億円を超える、日本一のタクシー会社になったのです!

バブルの時代、現社長の父親・川鍋達朗2代目社長の時代、日本交通はゴルフ場やホテルなど、不動産事業に積極的に投資。
しかし、バブル崩壊でなんと、1900億円もの負債を抱える事に…。
そこに登場したのが、3代目の川鍋一朗!

慶應大学を卒業後、アメリカ留学でMBA(経営学修士)を取得という、正に正真正銘のエリートお坊ちゃま!

日本交通に入社したのは2000年、29歳の時でした。
それは、入社してすぐ役員会に呼ばれた時の事。
1900億という途方もない借金を前に元気なくうつむく役員たち。
30歳以上も年の離れた役員たちに一郎が発した言葉が…

「皆さん、この会社に対するアスピレーション(向上心)はあるんですか。もっとモチベーション(自発性)を上げて下さい!」

現場を知らないでただ横文字を並べる一朗に、役員たちは大反発!!
ついたあだ名が「アメリカ帰りのエコノミスト」。
その時の事をよく知る、日本交通株式会社専務取締役の林紀孝さんに伺うと、

林専務:やっぱりみんな「この若造め」みたいな感じはあったでしょうね。
(役員は)みんな60歳以上でね。

あっという間に仕事を干された一朗でしたが、まったくひるまず、

「僕を受け入れないなら、自分で新しいタクシー事業を起こす!」

と、ミニバンを使った会員制のタクシーを運営する子会社「日交マイクル」を設立したのです!
顧客の中心は、お金持ちの外国人。

当時のニュース映像では、

社長、おちゃらけ?…ではなく、

一朗社長(当時):Hi Good morning!

乗務員に自ら英会話を教えるティーチャー役!!
まぁ、ちょっと浮いちゃってはいましたが…。

一朗社長(当時):(タクシーは)今までは運送業だったと。
これをサービス業にしたい。

と、熱く語る3代目。
ここから、日本交通の大復活が始まった!!
…と思いきや、日交マイクルは月々1000万円の赤字を出す、散々な結果に。

林専務:一歩早すぎたのかなって部分はある。
彼も反省していると思うけども、相当辛かっただろうし、悩んだだろうし。

2005年、父親の死と同時に34歳の若さで社長に就任した一朗は、1900億円の借金返済のための大改革に取り組みます!
不動産業からピザ屋まで、30 社以上あったグループ会社を10社に絞りこみ、社員のリストラも慣行。赤坂の本社ビルや、元麻布の巨大な邸宅も手放しました。
現在の本社は、営業所を兼ねて品川の倉庫街に移転しています。

大胆なリストラで、今では負債がほとんどなくなるほど業績が回復した日本交通。
でも、資産の売却とリストラだけで業績が上がったわけではありません。
そこには、3代目の若社長が行った2つの改革があったのです!

一朗社長:タクシーはこれから、拾われる時代から選ばれる時代だと思っていまして…。

そう、「拾われる」から「選ばれる」タクシーを目指す!

一朗社長の改革「黒タク」導入

皆さん、最近のタクシーを見ていてある事に気付きませんか?

そう、今タクシー業界では「黒」がブームなのです。
確かに、料金は同じでもちょっと贅沢な感じがしますよね。
この「黒タク」に業界で一番こだわっているのが、日本交通。
でもそのこだわりは、外からの見た目だけではないんだとか。
一郎社長、日本交通の黒タクって何がすごいんでしょう?

一朗社長:わが社が誇る黒タク!早速どうぞ!

一朗社長:このドアサービスが黒タク第一のポイントです。
ハイヤーをイメージしてね、タクシーのビジネスクラス。

無線などであらかじめ待機している車に乗る時は、乗務員のドアサービスが基本。

一朗社長:まずこれ、入ってすぐ何か気付かれました?

スタッフ:間仕切りみたいなのがないですよね?

一朗社長:そうなんですね。

黒タクには、あの防犯用のパネルがない!さらには、

一朗社長:車内では広告をしないという事をやっています。
パネルの当たりにたくさん広告があるケースが多いんですけども。

確かに、タクシー内でよく見かける広告類も一切なし!

一朗社長:このタクシーに乗って頂いている間、この空間はお客様のためのもの。

もちろん乗務員は完全禁煙。
私物もお客様の目に絶対入らないようになっているのだとか。

一朗社長:後ろのトランクも言えることですね。
トランクをたまに開けると、雑巾がぶら下がっていたりとかありますよね。

トランク内もお客様のスペース。
余計な物は一切置かれていません。

Q:黒タクに乗っているというプライドってあるんですか?

乗務員:もちろん、やはりありますよね。

一朗社長:タクシーの乗務員の中で選ばれた者が乗ってるんですね。
黒タクに乗るのに、入社していきなりは乗れない。

そう、黒タクに乗るには

 ・3年相当の乗務経験
 ・過去に客からの苦情がない
 ・交通違反・事故を起こしていない

というのが必須条件なのです!

そして、サービスに関する社内研修を必ず受けなければならないのも日本交通流。
その黒タクサービス研修に潜入しました!

指導員:(客に扮して)あっ、日交さん。

乗務員:失礼ですが…名前を確認させて頂けますか?

指導員:はい、もう1回。ちゃんとやってよー。

あぁー、緊張してますね…

乗務員:市川様ですね。ありがとうございます。

指導員:はい、すぐ動作!確認したら動作!(客をほったらかして運転席に向かう乗務員)…で、俺乗せないでどこ行くの?俺乗せてよ!

でも、何でそこまでして黒タクに乗りたいのか?

乗務員:(黒タクを)選んで乗ってくれるというのが第一。
黒を狙って乗ってこられるお客様も大勢いますので。

そう、黒タクの方が稼げちゃう!
街を見ていても、黒タクを選んで乗ってくるお客さんが少なくない。
電話でタクシーを呼ぶ時も…

林専務:圧倒的に黒タク指定ですよ。

というわけで、通常の黄色より黒タクの方が1割ほど収入がアップするのだとか。

一朗社長:はい、皆さんおはようございます。川鍋一郎です。

月に一度の黒タク講習では、一朗社長自ら熱いメッセージが!

一朗社長:日本交通の黒タクと他社の黒いタクシーとの違いは何か?
たった1つ!
日交の黒タクの乗務員さんは、誇りを持ってハンドルを握っている!
この1点に尽きると思っています。

そして、こんな比較も。
日本交通の乗務員の年収は、この5年間で他社と比べると70万円以上も高くなってる!(データ:東京乗用旅客自動車協会)

一朗社長:結果は明らかに出ているんです!
お客様は明らかに日交の黒タクが良いと。

そりゃあ皆さん、目の色も変わりますよね〜。
現在日本交通では、従来の黄色が4割、黒タクが6割と、常に黒タクの方が多くなっているのです。

この日の午後、一心不乱にパソコンに向かう一朗社長。
あのー、何書いてるんですか?

一朗社長:これはですね、メルマガイチロー通信というのを書いているんですね。

週に1回、社員のケータイメールに向け、社長の思いを伝える「イチロー通信」を発行中!

例えば…

「クールビズを世の中に広めよう!」なんてメッセージも。
でも、社長に対してすっごい批判メールを返してくる人も少なくないんだとか。

一朗社長:「ふざけんなバカヤロー!」というのもいっぱいありますよ。

それがこちら。

「イチローちゃん、貴方が一番暑苦しい。君がいなければ、日本交通はクールビズ」

さらには、こんなのも!

一朗社長:「日交に勤めて38年目、おぼっちゃまが生まれた時に入社。最近こんな会社に入って恥ずかしいと思うこの頃です。」

メゲちゃだめですよ〜、一朗社長!

▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:あの批判メールって、社員は特定されるんですか?

一朗社長:追えばわかるんですけども、わかってもしょうがないと言うか…。
その人を追及して怒っても変わらないじゃないですか。
それはそれで、受け入れないけれど受け流す。

加藤:メール以外でもすごくビックリしたところがあったんです。
専務が社長の事を「彼」って言っているじゃないですか。
ありえないでしょ、専務が!

一朗社長:ちっちゃい頃から彼は私を知っているので。

進藤:ピンチから脱却した理由の一つに、あの黒タクがあれだけっていうのがありますけど…

一朗社長:そうですね。
自分たちがやった事で良かったのは、後ろ向きの構造の合間にも利益を上げていかないといけないと。
利益を上げるには、車の売り上げを上げないといけない。

加藤:黒タクっていうのは日交さんが一番最初にやられたんですか?

一朗社長:実は最初ではないんですよ。
他の会社もやってたんですけど、それを大々的にきちんとやったんですね。

加藤:真似したんですか?

一朗社長:うん、真似。

加藤:社長、正直(笑)!!

一朗社長: もう少しかっこよく言うと、これは戦略的には「強者の選択」なんですね。
一番最初にやるにはリスクが伴いますから。
色々な事をやっている中で良さそうなものを真似て、それをもっと大きな資本にする。

加藤:投資しやすいって事ですね。

一朗社長:そう、投資しやすい!
まぁ、真似なんですけどね…。

一朗社長の改革「お待たせしません」

日本交通は何をお待たせしないのかと言うと、そう、タクシーを呼んだ時の待ち時間がすっごく短くなったのだとか!
確かに、最近のタクシー、来るのが早くなったなと感じる方もいるのでは?
どうして早いのか?
それは、日本交通をはじめとして、各タクシー会社が導入したGPSを使った最新デジタル配車のおかげなんです!

以前は…

無線:青木公園周辺、空車ありますか?どうぞ

乗務員:はい、43、了解!

と、無線オペレーターとドライバーが直接話をして迎えに行っていました。これだと、

林専務:赤坂でお客様がお呼びになっても、新宿で無線を受けて飛んで行くっていう事もあった。

赤坂でお客さんが待っているのに、新宿にいる車が先に無線をとって大急ぎで赤坂に向かうなんて事も。

これじゃ、待ち時間が長くなって当然。
というわけで、日本交通のデジタル配車を見せてもらいました。

オペレーター:日本交通無線センター山本でございます。

お客さんが待っている場所を聞いたら…

オペレーター:それではお車をお探しいたしますので、このまま少々お待ち下さいませ。

これで終了。

Q:車、探してないですよね?

オペレーター:受け付けた後に自動処理という所に回しまして、自動で今、車を探しているところです。

GPSと連動したコンピューターが、お客さんが待つ付近の車を探しちゃう。

あー、近くに3台も発見!
その中で最も目的地に近い空車に、自動音声で待ち合わせ場所を伝えるというもの。
合わせて、目的地へのカーナビも作動。

乗務員:この車は近くにいるから選ばれたという状態です。

これと同時に、お客様にも自動音声で配車される車のナンバーが伝えられるのです。
このシステムによって、5分以上待ち時間が短縮されたのだとか。

さて、こちらは港区六本木、朝6時半、路上に一台のハイヤーが。
そこに表れたのは、川鍋一朗社長。

一朗社長:ハイヤータクシー業は朝早いんですよね。

この日は、自社のハイヤーでご出勤。走り出すと、すぐにメモを取り始める社長。

一朗社長:ハイヤーの新人さんの品質をチェックするという事で。
実際に乗ってみて、どういう人がどんなサービスをしているのかのチェックです。

そう、新人ハイヤー運転手のサービスと運転技術を、社長自らチェック。

一朗社長:自家用車・タクシーよりも高級な走りをしないといけない。エレガントな走り!

エレガントな走りで重要なのは、ブレーキングのなめらかさ。
運転手さんの緊張が伝わってきます。
現在日本交通は、ハイヤー乗務員を600人企業に派遣しているのだとか。
そして、会社に到着したところで社長からのアドバイス。

一朗社長:「さようでございます」という言葉を是非使ってほしいです。
「さようでございます」ってあんまり日常生活で言わないけど、これを言うと非常に決まる。

その他、「運転のウデは良い!但し、アクセルは急?」なんて感想も。

こんなナイスなアドバイスができるのも、去年の年末から一ヶ月間、社長業をお休みして、タクシー業務を実際に体験したから。
「パフォーマンスだ!」「社長の仕事は別にあるだろ!」という周りの大反対の中、新人ドライバーとして一ヶ月の乗務をやり遂げたのです!
この時の話は、スタジオで聞かせて下さい!

この日のお昼は、社員食堂で。
社長も普通に並んでいます。
もちろん、テーブルも乗務員の方と一緒。

乗務員:テレビでしか見たことがなかったんで…(社長に)初めてお会いしてカチカチになるかと思ってたんですけど、気軽に話してもらえて。

一朗社長:だんだん外に出てもまれて百戦錬磨になってくると、次会った時「社長、もっと給料上げてくれ!」ってね、ハハハ!

でも、いつのまにか一人ぼっちに…
乗務員の方がいなくなると、何やら物思いにふける社長…
やっぱり社長って孤独なの??

▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:毎日お昼はああいう感じで、ドライバーさんと一緒に食べるんですね。
それはやっぱり直接苦情を言われたり、色んな生の声を聞きたいから現場の社員と一緒に食べてるんですか?

一朗社長:そうでもないんです。
ただあそこに食堂があるから行っているだけなんで…。

加藤:何でそこまで正直なんですか(笑)?
「色々リサーチできます」とか言えばいいじゃないですか!

一朗社長:確かに、リサーチできるんです。
だから、あそこに行って暇そうな人を見つけて、ちょこちょこ回るんです。

進藤:情報収集のためでもあったのかもしれませんが、なぜ今になって一ヶ月間タクシーの運転手さんをやられたんですか?

一朗社長:会社が厳しい時代から少し良くなって、なんとなくみんなが「ふぅ〜、俺たち頑張ったよね」と少しゆるんできた。
社長でもこういう事をやってしまっていい位、思い切ってみんなやろうよという姿勢を出したかったんですよね。

加藤:それを一ヶ月間やって、実際にお客さんを乗せたわけじゃないですか。

一朗社長:一ヶ月で600名くらいのお客様を乗せましたね。

加藤:実際に運転してみて、何か気付いた事はありましたか?

一朗社長:一日走るのは大変ですね。
ランナーズハイってあるじゃないですか。
10時間くらい運転すると、ドライバーズハイというか、車幅感覚とかが自分の体の一部になったような感じで、すーっとどんな所もすり抜けられるんですよ。
自分でやってて、私もすごいびっくりしました。

加藤:でも、腰が痛くなったりとかは?

一朗社長:それを更に超えると、急激に体にガクッときて、なかなか大変な商売だなと身に沁みて感じました。

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