過去の放送内容
2008年7月13日放送
特集
サカタのタネ
ゲスト
(株)サカタのタネ 坂田宏 代表取締役社長
番組内容
今日のがっちりマンデーは、サカタのタネ!
サカタのタネといえば、小袋に入った種を売っている会社としか思わない方が多いですよね?
ところが、今サカタのタネは年商は466億円。
扱う種の種類は1200種類以上。
ここだけの話、種ビジネスは儲かっています!
その成功の鍵は世界進出!
サカタのタネから作られた野菜は世界中で食べられています。
まさに儲かりのタネ!
そんなサカタのタネの研究施設をテレビ初公開!
そして、人気のガーデニングでもがっちり!
儲かりのタネ作りでがっちり!
日本一売っている種会社、サカタのタネ!
そのヒミツを探りに静岡県掛川市へやって来ました。
早速、がっちりマンデー経済予報士見習いの岡村仁美が潜入!
岡村:サカタのタネの種を開発している研究所にやってきました!
こちらは新しい種を研究しているサカタのタネの心臓部!
さすがに種会社だけあって、研究所にも花がいっぱい植えてあります。
しかし、研究所らしい建物がありません。
そこで、(株)サカタのタネ掛川総合研究センター場長の古木利彦さんにお話を伺いました。
岡村:こちらに研究所があると伺ったんですが、どこに研究所があるんですか?
古木さん:この辺の畑もハウスも全部が研究所になります!
岡村:広いですね!
研究所とは畑のこと!
これがその32ヘクタール、東京ドーム7個分という広大な研究用の畑なのですが、実はお見せできないのです。
それにはこんな訳が…
古木さん:ここは本当に研究の一番大事な所です!
我々「種屋」にとって、ここでやっている仕事の規模の大きさといったものが非常に重要な企業秘密になってきます。
どれくらいの規模でどんな仕事をやっているかが重要なんです。
研究用の畑は種業界では超企業秘密!
例えば畑の広さでは、力を入れている品種の畑はどうしても他より広くなる。
だから、畑の広さを見せると、サカタのタネが次にどの品種を売り出そうとしているかが同業者にバレてしまう危険性があります!
しかし、今回は坂田社長が御出演にあたり、「畑の中だけなら」と撮影を特別に許可して頂きました!
ここからはテレビ初公開!
(株)サカタのタネ掛川総合研究センター育種第2課長の川村学さんにお話を伺いました。
岡村:こちらでは何を作ってらっしゃるんですか?
川村さん:私はブロッコリーを作っております。
Q:ブロッコリーを担当してどのくらいですか?
川村さん:15年間、ずっとブロッコリー一筋でやっております。
サカタの研究員は担当が決まると、その野菜一筋!
ずっと同じ野菜の種開発を担当します。
川村さんも15年前に先輩の研究を受け継いで以来、ブロッコリー一筋!
そんな川村さんが開発したブロッコリーはスゴイ!
川村さん:全世界で5、6割くらいのシェアを取っていますので、みなさんが食べるブロッコリーの半分に1つはサカタのタネの品種を食べているという事になるかと思います。
なんと世界シェア60%!
世界中で2人に1人は川村さんが開発した種からできたブロッコリーを食べていることになります!
これ以外にもサカタのタネには儲かるタネがいっぱいあります!
ほうれん草も国内の50%がサカタのタネ!
黄色と白の粒が特徴の大ヒットとうもろこしのピーターコーンは100%サカタのタネ!
そして、プリンスメロンも100%サカタのタネなのです!
実は、あのプリンスメロンはサカタのタネが開発した大ヒット商品!
1962年、高級品だったメロンを安い値段で食べられるようにとサカタのタネが作ったのが、このプリンスメロンだったのです。
研究用の畑では、ヒットを狙って常に新種の種を開発中です!
続いて、とうもろこし担当の(株)サカタのタネ掛川総合研究センター育種第2課の矢越常弘さんにお話を伺いました。
矢越さんは大ヒットとうもろこしの開発者!
矢越さん:これは「ゴールドラッシュ」という品種です!
岡村:すごい売れそうな名前ですね!
ぎっしり並んだ粒は、さながら金貨の様!
矢越さん:どうぞ生で食べてみてください!
岡村:そのまま!?甘っ!
生で食べても甘いとあって、ゴールドラッシュを作る農家がドンドン増えています!
開発のポイントは「皮が柔らかいとうもろこし」を作ること。
そのため、試作品をかじり続けた矢越さんは…
矢越さん:私、とうもろこしをかじり過ぎて歯がグラグラになってしまいました。
かじり続けた開発期間はなんと10年!
そりゃグラグラにもなります!
こちらの研究畑では、(株)サカタのタネ掛川総合研究センター育種第1課の木田淳さんにお話を伺いました。
岡村:何を作ってらっしゃるんですか?綺麗ですね!
木田さん:人参です!
やはり人参は見栄えが一番大切なんで、色に関しては非常に気を使っています。
木田さんは人参などの根菜類のベテラン!
岡村:人参って作っている段階では土の中に埋まっているから、良い人参か悪い人参か分からないですよね?
木田さん:見分けられません!
抜いてみてどうかと…非常にギャンブル性が高いですね!
だから、抜くまではすごくドキドキします。
木田さんが開発した人参がこちらの「ベーターキャロット」。
その特徴は、人参特有の臭みが少なく、これが大ヒット!
岡村:この人参を作るのにどのくらいかかったのですか?
木田さん:通算で10年以上ですかね。
出来たときはさぞかし嬉しかったのでしょうね!
儲かりのタネ作りでがっちり!その2
コチラの温室では、(株)サカタのタネ掛川総合研究センター育種1課の黒羽将樹さんにお話を伺いました。
岡村:ここでは何を作ってらっしゃるんですか?
黒羽さん:イボの無いタイプのきゅうりを作っています。
岡村:ツルツルです!これが、きゅうりですか?
黒羽さんが開発したのは、イボの無いきゅうり「フリーダム」。
普通のきゅうりと比べてみると、フリーダムはツルツル!
イボが無いことで洗いやすく、お弁当などを作る加工業者さんから引っ張りだこなのだとか!
イボ無しきゅうりを開発した黒羽さんが次に紹介してくれたのは…
黒羽さん:両極をいくイボイボのものなので「味さんご」。
今度はイボだらけのきゅうりです!
岡村:なんかもうゴーヤみたいですね。
このイボイボきゅうり、歯応えが良く漬物にもってこい!
こうしたきゅうりの開発期間は…
黒羽さん:私が入社する前から研究をやっていましたから当然10年以上です。
これまた10年以上の年月がかかっていました!
つまり、どの野菜も開発には平均10年以上かかっているのですが、なぜそんなに時間がかかるのでしょうか?
それは、サカタのタネの野菜は"遺伝子組み換え"をしていないからなのです!
遺伝子組み換えなら、時間をかけずに優れた種を作ることができます。
しかし、安全性が問題視されているため、サカタのタネでは遺伝子組み換えは行なっていません。
そのため、時間と手間が膨大にかかります!
まず、1つの花から花粉を取って、それを別の花に受粉します。
すると、2種類の花が交配した新しい種ができる。
これだけで半年から1年の時間が必要となり、こうした交配を何度も何度も繰り返して、優れた種を作っていくのです。
その品種を作るのに何百何千という組合せの中から、新しい品種が生まれてくるわけです!
そこまでして1つの種開発に力を注ぐにはわけがありました!
それは、一発のヒットがとにかくデカイから!
その証拠として、プリンスメロンは開発から40年以上経った今でも売れ続けています!
1つの優れた種を開発すれば全世界を相手に商売ができる!
10年以上の時間や研究費をかけても、その先にはビッグヒットが待っています!
このように長い時間をかけてできた優れた種を「F1種子」と言います。
F1種子とは、元の種が持っていた「美味しい実が生る」や「病気に強い」などの優れた面だけを受け継いだ良いとこ取りの種のこと!
このF1種子をたくさん作れる開発力が、サカタのタネの強さなのです!
そんなに売れている種が集まっているのがコチラ、栃木県矢坂物流センター!
そして、シャッターを開けると、巨大な段ボールがぎっしり!
もちろん箱の中身は全部種!
特別に箱の中身を見せてもらうと、種がびっしり!
これは650kgの小松菜の種。その数は…なんと約2億5000万粒!
小松菜の種は10粒が約1円なので、この1箱でなんと4000万円相当!
こちらの袋にはメロンの種が70万粒入っているので、1袋だけで3200万円もします!
売れている種だらけの貯蔵庫は、まるで宝の山!
これを袋詰めにして、種苗店や農家に販売するのです。
しかし、ここである疑問が…
確かに、農家はサカタから種を買って野菜を作ります。
しかし、そこから農家の人が種を取って同じ野菜を作ったら、もう種を買ってくれませんよね?
そこで、(株)サカタのタネ執行役員の黒木達司さんにお話を伺いました。
黒木さん:その種をまくと味が落ちてしまったり、病気に弱かったり性質がバラバラになってしまいます。
実は、サカタのタネから作った野菜でできた種を使っても、全く同じ野菜ができるとは限らないのです!だから…
黒木さん:毎年買って頂けるということがサカタのタネの商売の仕組みになります。
農家が同じ野菜を安定して収穫するには、同じ種を毎年買わなければいけません。
だから、種ビジネスは儲かる!
そうなってくると重要なのは、販売している種を生み出した親の種。
これは原種と呼ばれ、種業界では命より大事といわれています。
なぜなら、原種が手に入れば、誰でも同じ種を作れるから。
だから、原種の管理はとても重要なのです!
Q:盗まれたら大変なことになりますよね?
黒木さん:大変なことです!
そんな事は考えることもできません!
それほど大事な原種は、一体どこで保管されているのでしょうか?
サカタのタネの社員さんに聞いてみました。
Q:原種の場所はどこですか?
社員の方:いや、わからないですね。
どこかにあるという話は聞いているんですけど…
社員さんの誰に聞いてもわかりません。
それならば、坂田社長に聞いてみましょう!
この人が知らないわけがない!
Q:原種はどこにありますか?
坂田社長:原種の場所ですか?
原種庫っていうのがあるんですけど、その場所は教えられないですね!
会社にとっては一番の財産ですから!
▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:社長は原種の場所は当然知っているんですよね?
坂田社長:もちろん知っています。
我々は95年間ずっとこの種苗業界やってきましたけど、原種というのはそれぞれ10〜15年かかっているから当然大事ですし、95年の蓄積があるわけですから、これは本当に会社の財産であり心臓部です。
進藤:その原種を見つけ出すために、皆さんすごく時間をかけて開発されているんですね。
坂田社長:種って遺伝子の塊ですよね。
その遺伝子を我々は長年の研究で作っていくわけですけど、種は生き物なんですよ。
ですから、工業製品などの工場から作るものとは違うというのが一番の違いですね。
ガーデニングでがっちり!
サカタのタネには、もう1つの儲かりの種がありました!
そこで、横浜にあるサカタのタネ本社にやってきました。
さすがサカタのタネ、会社の周りは綺麗に育てられたお花や緑でいっぱいです。
実はこの花は、社員の皆さんが育てています。
(株)サカタのタネ造園緑花部課長代理の大川幹夫さんにお話を伺いました。
大川さん:社員は花に触ったり野菜に触ったり土をいじったりというのが、パソコンの前にいるよりも大好きな人間がほとんどです!
本社勤務の社員さんも花や野菜を育てるのが大好きな人ばかり!
花壇では野菜まで作っています。
大川さん:建前上は会社の花壇ではあるんですけど、家がアパートで庭が狭いですから、会社の花壇で個人的にガーデニングをしているというのが正直な感想でしょうかね。
ガーデニングはもう1つの儲かりのタネ!
そこでサカタのタネガーデンセンター横浜を訪れました。
早速、(株)サカタのタネガーデンセンター横浜の小林亨店長にお話を伺いました。
小林店長:ピークで1800名近いお客様がいらっしゃいます。
種に限らず、ここに来ればガーデニング関連のものは何でも揃います!
そして今、大人気なのは野菜関連の売り場!
食の安全に対する不安から、自分で野菜を作る人が増えているのです。
お客さん:近くに畑を借りていて、畑で野菜を育てています。
夏は「きゅうり」と「トマト」と「枝豆」と「ピーマン」と「ししとう」を作っています。
Q:八百屋さんに行かなくてもいいですね?
お客さん:野菜はいつも買いに行かないです。
そして直営店の強み、種の種類がとにかく豊富!
ひまわりだけでもこんなにたくさんあります。
人気なのは、ひまわりの種「画家シリーズ」。
名画に描かれたものと同じイメージのひまわりを育てられるです。
さらには、こんな愉快なガーデニング商品も…
小林店長:サカタの「さかさスプレー2」です。
逆さにしても使えるサカタオリジナルの霧吹き!
小林店長:こちらは中にガーデニングに必要なものを入れながら、座って移動するというガーデンバギーです。
これに乗れば農作業もラクチン!
ガーデニング関連でサカタは、2007年の売上げが100億円以上と、もう1つの柱となっているのです。
▼スタジオにてお話を伺いました。
坂田社長:種というのは見た目だけではわからないので、蒔いて最後に収穫しなければわからないじゃないですか。
それでもなおかつ商売で売るわけですから、その品種の名前を覚えて頂くというのは何よりも重要なんです。
品種名っていうのは、覚えやすくて特徴があって、そういった色々な思いが入るんですね。
加藤:1番好きな品種名はありますか?
坂田社長:やっぱりアンデスメロンです。
なぜアンデスかというと、「作って安心、売って安心、買って安心」というところから「安心ですメロン」になり、略して「アンデスメロン」になりました。