過去の放送内容
2008年6月22日放送
特集
フジッコ
ゲスト
フジッコ(株) 福井正一 代表取締役社長
番組内容
がっちりマンデー、本日のテーマは「フジッコのお豆さん♪」でおなじみのフジッコ!
ほかほかご飯の友を作り続けて半世紀、1997年には東証1部上場を果たしています。
フジッコがここまで大きくなったのは、たった2つの食材にこだわり続けたから!
それが昆布と豆!
昆布製品の売り上げ152億円、豆製品の売り上げ140億円、とフジッコは日本一の昆布と豆カンパニーなのです!
スタジオには、今年で就任4年、2代目福井正一社長ががっちり登場!
昆布と豆で大成功、フジッコのこだわり戦略に迫ります!
昆布でがっちり!
フジッコの本社があるのは、兵庫県神戸市。
朝の8時半にお邪魔してみると、朝礼の真っ最中!
A:みなさん起立願います!
皆さん:社是創造一路!
フジッコの朝礼ではこのように社訓を唱和するのが決まりなのです。本当に真面目な会社なんですね!
福井社長ももちろん参加!
そして、お隣にいるこの方が社長の父親でフジッコ創業者の山岸八郎会長!
フジッコの創業は1960年。
山岸会長が奥さんも含めてたったの3人で始めた「富士昆布」という昆布の加工会社でした。
当時の主力商品はとろろ昆布!
これが「磯の雪」と名付けた最初の商品!その当時のことを山岸会長に伺うと…
山岸会長:昆布の業界というのは資金を要せず出来た。
大手のメーカーはいなかったんですね。
昆布業界を選んだのはただ参入し易かったからと正直に語る会長。
ちょうどその頃、大阪に誕生したのが、主婦の店ダイエーだったのです。スーパーマーケット時代の始まりでした。
山岸会長:これは何か商売が変わっていくというような兆候が見え始めました。
スーパーに商品を置いてもらうために山岸会長がしたこと、それが昆布のパック詰め!
それまでは店先での量り売りが主流だった昆布製品をプラスチックのパックに詰めて売る!
スーパーマーケット急成長の流れに乗って、フジッコの昆布製品は飛ぶように売れたのです。
このパック売り戦略では今でもフジッコが業界をリードしています。
スーパーやコンビニでよく見かけるこのスタンド型のパックもフジッコがいち早く導入!
手に取りやすい上、商品名と中身がよく見える!
これがフジッコの知名度UPに繋がったのです。
フジッコが創業当時から作っているのは、とろろ昆布!
人気の秘密はなんといってもこの薄さ!
でも、どうやってこんなに薄い昆布が作られているのか?
やって来たのは兵庫県と鳥取県の県境にある浜坂工場!
まず、最初に見せてもらったのが巨大な昆布倉庫!
利尻や道南など、すべて国産品で、300トンもの昆布が保管されていました。
浜坂工場の砂連尾(じゃれお)昇工場長にお話を伺いました。
砂連尾工場長:昆布は年に1度、夏から秋にかけての時期しか採れないものですから、その時期に当社が年間使う原藻を仕入れている。
昆布が採れるのは夏から秋にかけて年に1度だけ。
採れた昆布はこの場所で1年間低温保存されるんだそうです。
それでは、とろろ昆布の作り方。
カットした昆布をプレス機でギューっと押し固め、凝縮された昆布の塊に。
側面を裁断して、綺麗な長方形に成形します。
この裁断された面を専用の機械で薄く削っていくというわけ。
その驚くべき薄さは…
砂連尾工場長:ここのラインは1000分の24ミリ。
なんと0.024ミリ!これ毛髪の太さの3分の1!
この細さがとろろ昆布独特の食感になるのです。
1日の生産量8000キログラム。
これをパックにすると3万2000袋分になります。
しかし、毎日スーパーでそんなにとろろ昆布を買う人がいるとは思えませんが?
専務取締役の奥平武則さんにお話を伺いました。
奥平さん:とろろ昆布ですから、昆布うどんがありまして、うどん屋さんのルートに業務用として販売しています。
立ち食いそばや、街のうどん屋さんで、知らないうちにフジッコのとろろ昆布を食べているかも?さらには…
奥平さん:昆布製品はおにぎりの芯ということで、おにぎり用に特別に炊いた昆布を業務用としてコンビニに納めています。
コンビニの定番といえば昆布系!
私たちの食べているおにぎりの昆布がフジッコ製の確立は3個に1個なのだとか!
これは儲かります!
▼スタジオにてお話を伺いました。
進藤:女性のデモンストレーターの導入もいち早く進めていたそうですが?
福井社長:市場があるんですが、そこには昔問屋さんが買いに来ていたんですね。
その問屋さんをターゲットにして、こうやって女の子たちが自分達の商品を配ったり、温かいご飯の上にとろろ昆布をまぶしてそれを配っていたんです。
配るのが女性というのもポイントですね。
お豆さんでがっちり!
昆布の次にフジッコが開拓したもうひとつの市場。
それは豆。
でも、どうして昆布屋さんが豆?
奥平さん:年によって天候が違って、海面の温度が違ったり流氷が流れてきたりすると、昆布は一気に採れる量が少なくなるんですね。
そこで昆布関連製品の開発ということで昆布豆を開発したんです。
これが昆布と大豆を混ぜた昆布豆!
フジッコが豆を使い始めたキッカケは使う昆布の量を減らすための苦肉の策だったんだとか!
創業から16年目の1976年に発売されたのが、フジッコのおまめさんだったのです!
保存料・着色料などを一切使わない無添加が受け大ヒット!
でも、無添加だと日持ちしないという欠点があるはずですが…
奥平さん:殺菌する時にレトルト殺菌釜で殺菌して、それで連続生産ができるようになった。
そのレトルト殺菌釜でお豆さんを作っているのが大自然に囲まれた和田山工場。
この日作っていたのは、豆に昆布や野菜を混ぜ込んだ五目豆。
蒸しあがった国産大豆はこの大きな釜の中で味付けされます。
豪快!この量で約2000パックのお豆さんになるんだとか!
味にムラが出ないようにかき混ぜているのは、機械ではなく人!
フジッコのこだわりはこの手作り感なのです。
和田山工場の西垣朋子係長にお話を伺いました。
西垣係長:機械でやると豆が潰れたり飛び跳ねたりするので、下から丁寧に手作業で混ぜるという作業になります。
ならばと、スタッフが挑戦!こんなの簡単でしょと思いきや…
かなりの重さに大苦戦!このへっぴり腰では全然無理!
こちらが本職!さすが滑らか!
次に味付けされた豆に昆布と野菜を混ぜる。
これもムラ無く均等がポイント!
やはり熟練の手作業で行なわれていました。
混ぜられたお豆さんはここから、オートメーションでパック詰め!
中の空気を抜いて、真空パックにしてから、保存料無添加でも常温保存を可能にしたレトルト殺菌釜へ!
西垣係長:真空包装したお豆さんを温水で熱をかけて殺菌する工程です。
100度を超える蒸気によるレトルト殺菌で2ヶ月以上の常温保存が可能になったのです!
1986年のある日、フジッコにとって忘れられない事件がありました!
会社の電話が次々に鳴り出したのです。
「豆から白い粉が吹き出ている!これ食べても大丈夫なの?」
奥平さん:表面に白い斑点状の物が沢山できているというクレームが多発した時期があったんです。
たしかに豆の表面に白い粉のようなものが…
もしや豆にカビが生えた?
研究室では正体不明の白い粉を取り除く方法を大慌てで探ることに!
奥平さん:その白い物が何だと探求していったら、それがイソフラボンだったんです!
白い粉の正体は、イソフラボン!
取り除こうとしていた成分は実は身体に良く、しかも儲かる成分だったのです。
がっちりマンデー経済予報士見習いの岡村仁美がその実態を調査しに行きました!
岡村:ということで、よく耳にするイソフラボンとは何なのかを探るためフジッコの研究室にやってきました!行ってみましょう!
日本最大の豆メーカーであるフジッコはイソフラボン研究でも日本一!
本社内の研究室では…
研究開発室の伊藤千明さん:これはイソフラボンを精製しています。
今まさにイソフラボンの精製中!
岡村:大豆から取るわけですね?
伊藤さん:大豆の仲の胚軸という部分があるんですけど、こちらの中にイソフラボンがたくさん含まれています。
これがその胚軸!胚軸が集められてイソフラボンは作られていたのです。
岡村:イソフラボンにはどんな効能があるんですか?
伊藤さん:更年期障害の予防や骨祖しょう症の予防にも効果があります。
岡村:女性にとってはうれしい成分ですね。
フジッコはイソフラボンそのものを商品化!
その名も、フジフラボンと名付けて販売!
イソフラボン入りスナックを作る食品加工会社や、イソフラボン入り美容液を作る化粧品メーカーなど、企業を相手にがっちり年間5億円を売り上げていました!
なんとイソフラボン入りのストッキングや肌着まで!
伊藤さん:イソフラボンを外から着けることによって美肌効果が期待できるからです。
その女性にはうれしい採れたてのイソフラボンを頂くことに!
岡村:苦いですね!
伊藤さん:大豆の苦い成分がイソフラボンです。
豆にはまだまだ儲かる可能性がありそうですよね!
▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:原油高で大豆の値段が上がっているというのもありますが?
福井社長:我々は北海道の大豆を使っていることもありますし、国産も使っていますので、そこまで煽りは受けないですね。
進藤:昆布やお豆というとパン食というよりご飯の友なので、考え様によっては追い風なのでは?
福井社長:確かにそうですね!
初めて思いました!冷凍ギョウザの事件によって、小麦や大豆の値段が上がっていることよりむしろ冷凍食品が売れない分、こちらが売れるということはあります。
デザート事業でがっちり!
日本一の昆布と豆カンパニー、フジッコ!
でも、昆布とお豆さんだけではなんとなく心配!
そこで次なる第3の柱作りを始めました。
1987年、満を持して発売したのがフジッコのしば漬け!
このCMでフジッコのしば漬けが大ブレイク!
一気に30億円を売り上げる大ヒットとなりました!
奥平さん:古漬けというスタイルの商品は日持ちのするタイプ。
それからだんだん浅漬けの方向に全体的にいったんですね。
我々も古漬け製品で美味しいものを沢山作ったんですけど、なかなか成長しませんでした。
漬物は第3の柱にはなりませんでした!
岡村:しかし、今年になってフジッコが驚くべき漬物を開発したとい噂が業界に流れました!
これがその漬物ですか?
見た目は同じでも、それぞれ右側の漬物が驚くべき漬物ということですが一体何が?
食べてみると…
岡村:何コレ!?フニョフニョしてますよ。
研究開発室の田村真也主任:ソフト漬物です。
ソフトつけものとは、歯が弱った高齢者のための柔らかい漬物のことなのだとか!
今、老人ホームなどで大反響を巻き起こしているそうです。
岡村:どうやって作っているんですか?
田村主任:それは企業秘密です。
この食べると必ず笑ってしまう食感!
昆布、豆に続く第3の柱を探し続けて10年。
1993年に発売を開始したあるデザートが爆発的なブームになりました。
奥平さん:当時若い女性研究員が中華街から探してきたフィリピン原産のナタデココという発酵食品だったんです。
ナタデココ!90年代半ば、ヘルシー志向の波に乗って、デザートといえばナタデココという全国的なブームになったことを覚えていますよね?
これ実はフジッコ発のブームだったのです。
奥平さん:早く作れ、そら作れで、その年に一気に数十億売った覚えがあります。
生産が追いつかない程売れたナタデココの大成功で、フジッコはデザート事業を拡大!
今もっとも力を入れているのが、この粘りが特徴のカスピ海ヨーグルトなのです。
家庭でヨーグルト菌を培養するキットもフジッコ製!
これまでに160万セットを販売しました!
岡村:これがカスピ海ヨーグルトですね?
研究開発室丸尾俊也さん:今カスピ海ヨーグルトから粘りの物質を取り出しているところです。
普通のヨーグルトに比べて、どれだけの粘りがあるか見せてもらうことに!
丸尾さん:こちらが市販されている普通のヨーグルトです。
そしてこちらがカスピ海ヨーグルトです。
そして最後のヨーグルトがまだ試作品で、さらに粘りの成分が増えたものなんです。
粘ると一体何がいいのでしょうか?
丸尾さん:最近発表した研究ですとコレステロールの値が改善され、今流行のメタボリックシンドロームに効果が期待されます。
この粘り成分が、メタボに効果あり!ということは、これもスゴイ売れそうですね!
第3の柱がデザート部門になったフジッコ!では社長、第4の柱は何でいきますか?
▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:ナタデココブームのときに社長は入社されたんですよね?
福井社長:かなり盛り上がっていましたね!
生産が追いつかなく、大きな会議室が無くなって生産工場になってしまいました。
駐車場を壊して、そこで培養していました。
でもブームは去るもので、ナタデココで最盛期は60億円売り上げたんですが、翌々年は半分の30億円になりました。