過去の放送内容
2008年6月15日放送
特集
ヒット商品の儲かるサイズ
ゲスト
森永卓郎さん(経済アナリスト)、スザンヌさん
番組内容
今日のがっちりマンデーは、様々なサイズに大注目!
ヒット商品の長さや厚さ、角度や重さ、そこには計算された儲かるサイズがありました!
ヒット商品のサイズのヒミツを大公開!
今日は大きさや重さを変えただけで売り上げUP!
ヒット商品の儲かるサイズを徹底解明します!
儲かる「幅」でがっちり!その1
儲かるサイズ、まずは「幅」!
その幅にはワケがありました!
儲かるサイズは49mm。
これは一体何のサイズなのでしょうか?
それは、携帯電話の幅!
携帯の長さや厚さは様々ですが、各社の売れ筋製品の幅のほとんどが49mmなのです!
ドコモの携帯も、auの携帯も49mm!
一体なぜ49mmばかりなのでしょうか?
そんな疑問を解消すべく訪れたのは携帯の年間売上3400億円を誇るNEC!
疑問に答えてくれたのはピンクのシャツが素敵なデザイナーの佐藤敏明さん(NECモバイルターミナル事業部チーフクリエイティブディレクター)。
Q:1mm〜2mmでは変わらないのではないですか?
佐藤さん:いや、それが分かるんです!
Q、なぜ49mmなのでしょうか?
佐藤さん:携帯電話の場合は実際文字を打つとか数字を打つという目的があるわけですよ。
10人いたら10人快適に操作ができなきゃいけない。
人間の手の感覚はスゴイ!
目で見ただけではわからない違いも手で触ると分かってしまうほど敏感にできているのです。
佐藤さん:ちょっと持っただけでも使い勝手が悪いとか、もしくは特に文字を打つとき指の移動がしにくくてバランスが悪いというのがすぐバレるんです。
そのため携帯は1mm幅が違うだけで操作するときに違和感を感じて売れなくなることもあるのだとか!
NECではモニター調査の際、ミリ単位で違う携帯を準備!
手で持った感触、操作のしやすさなどをチェックした結果、ほとんどの人が選んだサイズが49mmだったのです!
佐藤さん:NECは49mmでがっちり!
続いての儲かる幅は22.5mm!
日本で一番売れている缶ビール、アサヒスーパードライ!
その飲み口の幅が22.5mmなのです!
近年、発泡酒などの登場により売り上げ競争が激化!
ナンバー1ビール、スーパードライとてウカウカできない状況なのです。
何か打つ手はないかと調査したところ…
森雅年さん(アサヒビール株式会社酒類本部マーケティング本部):缶ビールは半分以上の方が、直接缶から飲んでいます。
缶ビールを飲む半分以上の人が、グラスに移さず缶のまま飲んでいることが判明!
これまで飲み口の幅はグラスに注ぐことを前提に作られたものでした。
そこで、缶から直接飲んでも美味しい飲み口を作ろうと、2004年にスーパードライの飲み口サイズの変更に踏み切ったのです!
森さん:横幅を4mm広くしました!
ご覧のように4mm拡げて22.5mmに変更!
でも、4mmくらいたいしたことではないのでは?
森さん:たかが4mmですけど、されど4mmで全然違うんですよ!
缶ビールにとって、飲み口のサイズは本当に重要なんです!
同じビールでもグラスが違うと飲んだ感じが違いますよね。
人間の感覚というのはそれぐらい微妙なものなんです。
缶も同じですよ。
そう!
ほんのちょっと飲み口の大きさが違うだけで飲んだときの感覚が変わる!
穴のサイズを大きくすると喉に入ってくる量が多くなり、美味しいと感じられますが、大きくしすぎると口からビールがこぼれてしまいます!
アサヒではサイズの違う様々な飲み口を試作!
1000人以上で飲み比べてみました。
森さん:この形を作るのに5年かかりました!
こうして5年の歳月をかけ、最も缶ビールが美味しいと感じる飲み口の幅を導き出したのです!
それが22.5mm!
飲み口の幅を4mm拡げたことで、出てくる量を20%もUPすることに成功し、グラスで飲む感覚に近づいたのです!
儲かる幅を見つけたスーパードライは10年連続売り上げナンバー1を達成しました!
儲かる「幅」でがっちり!その2
次の儲かる幅は、14.6cm!
これは2005年発売以来、大ヒットしているコクヨのノート「SlimB5」の幅!
通常サイズのノートと比べてみると、横幅が3.3cmもスリムになりました!
ちょっと中途半端なこの14.6cmという幅ですが、なぜこのサイズにしたのでしょうか?
このノートを開発したコクヨさんに聞いてみました。
田中幸辰さん(コクヨS&T株式会社マーケットデザイン部):実はですね、高校生のノートを調査していきますと、約54%の方が右側の部分を余白として余らせているという調査結果がありました。
学生さんが使っているノートを実際に見てみると、本当にページの右側を使っていません!
これはもったいないと感じたコクヨさんは…
田中さん:今までが規格サイズといいまして、A判・B判のノートサイズが当たり前だったんですね。
使っている人が当たり前だと思っていたノートのサイズをもう一度見直そうとなりました!
これまでノートは通常規格もA判かB判ばかりでした!
そこで、コクヨはノートの新たなサイズ開発をスタート!
従来のノート作りは"書きやすさ"を追求するものでした。
しかし、コクヨが目指したのはノートの"読みやすさ"!
人がノートを見るときの平均距離は28cm。
研究を進めていくと、ノートを読むときに一度に見渡せる有効視野は15cm幅であることがわかったのです。
学生さんたちが書いたノートに余白部分があったのは、ページ全部に書くと読みにくくなるからだったのです。さらに…
田中さん:日本人の平均的な手の大きさを調べました。
その結果、95%の方の手のサイズが18.5cm〜21.3cmの幅に収まることがわかったのです。
手のひらの平均値を調べ、誰もが持ちやすいサイズを導き出したのです!
田中さん:ノートの横幅をどれくらい短くしたらいいのかという新しいサイズの検討を始めました。
B5サイズの幅を2mmずつ小さくしたノートを作成!
1000人以上に実際に使ってもらったのです!
その結果、9割以上の人が読みやすく、書きやすく、持ちやすいと感じた幅を発見!
田中さん:それが14.6cmです!
儲かる幅、14.6cm!
こうして、通常のノートより3.3cm狭いSlimB5が完成しました!
3.3cm分、紙の量も少ないので値段も10円安くなっています。
普通のノートより10円お得!
新しいノート、SlimB5は幅を狭くすることで、広く知れ渡り大ヒットしました!
田中さん:コクヨは14.6cmでがっちりです!
続いての儲かる幅は、28.28cm!
この幅で儲かっている会社があるということで、早速そのクネットジャパンさんに電話をしてみました。
Q:そちらの会社は何を作っている会社なのですか?
クネットジャパンさん:クネットを作っている会社です!
クネット?一体なんのサイズで儲かっているのでしょうか?
待ち合わせしたお方は、株式会社クネットジャパン副社長の古賀勝彦さん。
でも、クネットは一体どこに?
古賀さん:これがクネット!手すりです!
クネットの正体、それはクネっと曲がった手すりのことだったのです!
実はこの変わった形の手すりがスゴイ!というのも、
古賀さん:のぼりの時は目の前にある取っ手の所を引きつけながら、自然な手首の角度で楽にのぼることができます。
普通の手すりと比べてみると、確かに通常の手すりでは力が入りづらい。
でも、クネットなら手首の力が入るので身体を引きよせて楽にのぼれます!
古賀さん:降りる時は怖いというおじいさんとか多いですけど、クネットならこうやって杖のように身体を支えながら降りることができるんです。
階段降りるときは身体を支えることが重要!
通常の手すりだと支えづらい。
ところが、クネットだと水平部分があるので杖をつくように身体を支えることができる。
古賀さん:曲がってるだけなんですけどね。
なぜならこのクネット、高齢化社会が進む今あっちこっちから引っ張りダコ!
駅・神社・公園など階段の多い様々な場所に設置、その数なんと37,000箇所!
確かにスゴイ!
ところで、儲かる幅はどこのこと?
古賀さん:この長さは28.28cm!2828、そこにヒミツがあります!
実はこのような曲がった手すりには弱点がありました。
階段の幅は広いものから狭いものまで様々!
クネクネの部分をイチイチ階段にあわせて変えていたらお金が掛かります。
しかし、クネットの幅28.28cmは日本中の様々な階段を計測して平均値を出したものなのです!
古賀さん:この28.28cmの間隔で95%の階段に対応できます!
曲げ1個だけですから、生産効率がいいんです。
28.28cmならほとんどの階段にあわせることができるので、クネクネ幅を変えなくても大丈夫!
様々な階段に対応できるのでクネットジャパンの商品はこのクネットだけ!
開発費はもう掛からない!ということは、
古賀さん:儲かりますね!
28.28cmでまだまだ儲かります!
▼スタジオにてお話を伺いました。
森永さん:欧米と比べて日本の特徴として携帯でメールをすごく打つ傾向があります。
外国では通話をメインに使っている人が多いので、実はもっと小さい携帯も普及しているんですよ。
でも、その小さな携帯でメールを打とうとしても打てないんです。
今の携帯がメールを打つのに一番良いサイズなんです。
手が覚えているので今後も変わらないと思いますよ!
儲かる「体積」でがっちり!
儲かるサイズ、お次は「体積」!
この体積にはワケがある、儲かる体積190cc!
これ一般的な缶コーヒーの体積。
缶コーヒーといえば190cc、およそ190グラムのショートサイズの缶がすっかりおなじみ!
しかし、缶ジュースなどは350ccのサイズが主流。
なぜ缶コーヒーだけこの小さな190ccのサイズなのでしょうか?
最初に190ccにしたのが…
黒柳伸治さん(株式会社ポッカ・コーポレーション マーケティング本部コーヒーチーム):はい!ポッカです!
この顔でおなじみのポッカコーヒー!
発売から37年、売上げ累計87億本を売り上げる超ロングセラー缶コーヒー!
でも、なぜ190ccという半端な体積になったのでしょうか?
黒柳さん:当時は外で本格的コーヒーを飲むには喫茶店に行くしかなかったんですね。
そこで創業者の谷田利景氏が「どこでも飲める本格的な缶コーヒーをつくれ!」と新商品の開発を指示したのです!
黒柳さん:元々喫茶店で飲んでいるコーヒーの量を調べると120gくらいの容量だったのです。
缶コーヒーで飲んでもらう部分にはお得な量を飲んでもらおうというところで1.5倍くらいの190gを採用しました。
標準的なコーヒーの量はおよそ120cc。
その1.5倍お得感を出したサイズ、それが190ccだったのです。
喫茶店のコーヒーが一杯140円の時代に、1本60円でしかも量は1.5倍!
これがウケて大ヒット!
その後、各社が相次いで190ccの缶コーヒーを発売!
缶コーヒーのスタンダードサイズになったのです!
黒柳さん:ポッカは190gでがっちりです!
続いての儲かる体積は3リットル!
これは昨年発売された大ヒットしているTOTOのネオレストの洗浄タンクの体積!
でも、このトイレのタンクはどこへ?
宇野恭子さん(TOTO株式会社一体形便器販売推進グループ):タンクはこの後ろにあります!
これがそのタンク!で、その体積は?
宇野さん:3リットルです!
通常便器の後ろにタンクがあるタイプですと、1回に13リットルぐらい流していました。
ネオレストは通常13リットルあるタンクをグーンと小さくして便器に内蔵した超優れモノ!
でも、そんなに少ない水で大丈夫なのでしょうか?
宇野さん:今まではタンクから100%水を流していたんですが、水道から直接持ってくる水と合わせて使うことによって節水効果が得られます。
これまではタンクに貯めておいた水を流し、その勢いを使って便器の洗浄を行なっていました。
しかし、こちらのネオレストはまず水道から直接引いた水で便器を洗浄。
その際、トルネード式という渦を巻く水流にすることで、洗浄効果をUPさせ、少ない水で流せるようになりました。
その後、タンクに貯めた3リットルの水で一気に押し流す!
水道とタンク、両方の水を使った新システムなのです!
宇野さん:水道から直接持ってくる水が2.5リットル、タンクから出てくる水が3リットルで、この役割を効率良く使い分けることで5.5リットルという少ない水で洗浄できるようになったんです。
その結果、タンクの体積が従来の13リットルから3リットルへ!
4人家族で使った場合、2リットルのペットボトルで年間なんと22,000本分の節水になります!
ネオレストは30万円とかなりのお値段ですが、発売10ヶ月で36000台の大ヒット!
宇野さん:TOTOはタンクの体積を小さくしてがっちり!
▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:トイレはやっぱり進化していますね。
13リットルと5.5リットルでは倍以上違いますよね。
森永さん:水道の水を直接使うというのが発想の転換だったんですけど、水道水の水圧ってマンションとかだと弱いところもあるんですよ。
だから最後に一気に流すところはタンクの役割ですね。
進藤:今後注目の儲かるサイズを教えて下さい!
森永さん:それは16:9です!
2011年の7月24日からテレビ放送が完全に地上波デジタルに切り替わります。
10年間で直接の経済効果だけで40兆円、そして関連産業まで入れると 212兆円の経済効果があると言われています。
それでこの地デジがいいのは、データボタンを押すと色んな情報が出てくるんですよ。
これでテレビ放送を使ってまたさらに産業が起こってきます。
そしてもう1つ良いことは16:9になると今までのテレビでは写りきらなかったコメンテーターの私が見られるようになります!