過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2008年3月2日放送

特集

ABCマート

ゲスト

(株)エービーシー・マート 野口 実 代表取締役社長

番組内容

今回のがっちりマンデーは靴屋さんのお話!
でも、靴屋さんでそんなに儲かっているところがあるのでしょうか?
あるんです!それがABCマート!
1990年の設立以来、20年も経たずに全国に370店舗、従業員3500人、年間売上780億円と急成長を遂げた日本一の儲かり靴屋さんなのです!
今日はABCマート儲かりのヒミツを徹底検証します!

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ABCマート流、儲かりのヒミツ

現在、全国で370店舗をチェーン展開する日本一の儲かり靴屋ABCマート!
その年間売上は東京靴流通センターの看板でおなじみのチヨダに次いで2位ながら、経常利益では100億円以上の差をつけてダントツの1位なのです!

でも、ABCマートがこんなに儲かる靴屋さんだったなんて知らなかった人が多いのではないでしょうか?そこに実は、キチンとした理由があったのです!

▼ABCマート儲かりのヒミツ1 販売員が多い
がっちり取材班は、都内では平均的な売り場面積という上野店へ伺いました!
早速、売り場を覗いてみると、販売員の平均年齢は23.7歳と若く、ほぼ全員が正社員なのだとか!それにしても販売員の数が多く、1店舗あたり約15人を配置していて、同業他社と比べても4割ほど多いそうです。

しかし、なぜこんなに多いのでしょうか?
エリアスーパーバイザーの吉岡一平さんにお話を伺いました。

吉岡さん:やはり接客が一番ですので、1分でも1秒でもお客様をお待たせしたくないという気持ちから従業員の比率が高まっているのだと思います!

確かに、皆さんも「この靴いいなぁ、試しに履いてみたいなぁ」という時に店員が近くにいないという経験はありませんか?
ABCマートで、このような事は絶対にあってはならないことなのです!
買ってくれそうだと思ったら素早く接客するために、店内に多めの販売員を配置しています。

ところで、靴販売ビジネスの天敵って何だかわかりますか?
それは、なんと言っても欠品!
靴は種類が多い上、サイズも人それぞれなので、少しでも合わないと買ってもらえないのが靴業界なのです!
そこでABCマートは欠品の問題に取り組みました!

▼ABCマート儲かりのヒミツ2 欠品させない

靴の箱についているのが、このバーコード!
皆さん当たり前だとお思いですが、12〜13年前にバーコードで商品管理を始めたのは、靴業界ではABC マートが初めてだったのです!
売れ筋商品をコンピュータでキッチリと管理するため、ほとんど欠品が起きないようになりました。
しかし、それでも欠品が起きてしまった場合はどうするのでしょうか?
実はここからがABCマートのスゴイところです!

店員さん:3〜4分お待ち頂いてもよろしいですか?

そう言うと、店員さんは店を飛び出して猛ダッシュ!
近くにあるABCマートへ在庫商品を走って取りに行くのです!

店員さん:多いときだと、日に5〜6回は走りますね。

そんな事情から都心部では複数の店舗をエリア内に展開し、各エリアごとに商品を融通し合う協力体制ががっちり出来上がっていました。
欲しい靴がその場で手に入れば、お客さんも喜び、もちろんお店も儲かります!
倉庫には「在庫が無くても無いとは言わない」という張り紙までありました!
欠品を無くして売るチャンスを絶対に逃さないというのがABCマート最大の儲かりのヒミツだったのです。

ABCマート流、儲かり戦略

今や絶好調のABCマートですが、そのスタートは夫婦で営む小さな会社でした。
それが1985年に設立されたABCマートの前身、国際貿易商事。

創業者はABCマートの元会長である三木正浩さんでした。
この頃、海外から衣料品を買い付ける仕事を細々とやっていた三木元会長でしたが、29歳の時にロンドンで出会った一足の靴が彼の運命を変えたのです!

▼ABCマート儲かり戦略その1 ホーキンス独占販売

三木元会長がロンドンで見つけた靴、これこそがイギリスの老舗馬靴メーカーのホーキンス・ブーツでした。
「これは絶対に日本で流行る!」と三木会長はひらめき、なんと一人でホーキンス本社に出向いて直接交渉したのです!
そして三木元会長は「日本で必ず自分が売ってみせる!」と熱く語り、ホーキンスの独占販売権を手に入れました。

まずは、ホーキンスの卸業者として各地の靴屋に販売しました。
すると、三木の予想は見事的中したのです!
ホーキンスの中心価格は15000円程度でしたが、当時の日本の靴マーケットは大まかに言うと高価な革靴か安い運動靴の2つの選択肢しかありませんでした。
そんな中、ファッション性が高く、価格も手頃というホーキンスは若者の間でたちまち大ヒットし、アメ横の靴屋では入荷1ヶ月待ちの店が続出しました。

そして1990年、念願の小売業への進出が決定し、誕生したのがABCマート(上野アメ横店)だったのです!
ABCマートは国内でのホーキンス販売すべてを取り仕切ることになりました。

2002年には卸業を辞め、完全に小売業に転換し、それ以来なんと年に60店舗ずつABC マートは増え続けているのです!
当時、三木元会長が口にした一言「俺は負ける喧嘩はしない」という言葉から、それだけ絶対に成功するというスゴイ自信があったのです!

▼ABCマートの儲かり戦略2 メーカーとの直接取引

ABCマートのナイキ・アディダスなどのブランドシューズは他の店舗より少しだけ安い!
その理由をエリアスーパーバイザーの吉岡一平さんに伺いました。

吉岡さん:メーカー直取引!うちの場合は、メーカーと直取引をさせて頂いているので、その分がやっぱり違うのかなと思います。

そう!以前までの[靴メーカー→問屋さん→小売店]という流通を、靴メーカーとの直接取引に変えることで流通コストを大幅にカットすることができました!
これも90年代にABCマートが起こした靴の流通革命だったのです。
10年ほど前は10000円もしたブランドシューズが、今では5000円で買えてしまいます!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:卸業をやっていた会社が小売業をやるというのは、結構色々なところから圧力が掛かったのではないですか?

野口社長:当然、直接仕入れて売った方がリーズナブルに販売も出来ます。当時、一番の問題は靴の内外価格差(1990年代以前、靴の価格は海外より国内の方が圧倒的に高かった)だったんです。この内外価格差を無くしていこうというテーマもあって、小売を始めました。

進藤:店内の様子を見せて頂きましたが、交換日記みたいな物がお店にあるんですか?

野口社長:新卒の子や新人の子と教育担当者をお店で必ず決めていまして、相談したいことか何かを交換日記に書いてやっています。

加藤:従業員を増やすことと、更に在庫を増やすことは店にとってリスクになりませんか?

野口社長:売れるものをどんどん回していけば多少売れ行きの悪いものもカバーできます。

加藤:近い店舗をいっぱい作るよりも、1つ大きな店舗を建てた方が良いような気がするんですけど、どうですか?

野口社長:案外そうじゃないんですよ!やはり人間って歩く道は大体決まっていて、同じ街中でもこっちの道は歩くけど、こっちの道は歩かないというのがあります。それによって店に入るか、入らないかの違いも出てくるんです。

隣町の店がライバル!?

日本一の儲かり靴屋、ABCマートのライバルはどこなのでしょうか?
やはり売り上げNo.1 の東京靴流通センター?それともスーパーやデパートの靴屋さん?
全国でもトップクラスの売り上げを誇る池袋店の大島勝利店長に聞きました!

ズバリABCマートのライバルはどこなのでしょうか?
大島店長:ライバルですか。ここのライバル…新宿にある新宿本店ですね!

なんとライバルは同じABCマートの新宿本店という答えでした!

番組スタッフ:仲間ではないんですか?
大島店長:仲間じゃないです!敵です!
池袋店猪狩さん:新宿本店よりも品揃え豊富の池袋店!

池袋店の他のスタッフも新宿本店に並々ならぬライバル心を燃やしている様子!
それでは次は、新宿アルタのすぐ近くにあるABCマート新宿本店に伺いました!

池袋店の人達が新宿本店にライバル心剥き出しだと聞いてみると…

新宿本店松本さん:言っていろよって感じですよね。まぁ何だかんだいつも勝っていますよ。もう池袋は昔で、今はウチ(新宿)ですから!

新宿本店高岡さん:新宿本店の方が池袋店よりもスタッフの人が良いので、ウチは人で勝負です!

ABCマートのライバルは他の靴屋ではなく隣町のABCマートだったのです!
新宿・池袋は各エリアに4店舗ずつ出店する超儲かり地区!
もちろん、両地区の4店は欠品などを補完し合う仲良しグループ!

そんな中、この池袋店と新宿本店の売り上げを巡る戦いは半端ではありません!
その発端を池袋店の大島店長に伺いました。

大島店長:池袋店がABCマートの中でトップだったんですよ!ただ、2004年に新宿本店が出来てからは、そちらが売り上げトップになったんです。

池袋店と新宿本店は常に売り上げの全国トップを争う超ライバル関係だったのです!
ここ3年間の売り上げを見てみると、2005年は池袋店の勝利、 2006年もギリギリ池袋店の勝ち、そして昨年は新宿本店に逆転されてしまいました!

そんな新宿本店の売り上げUPに貢献したのが、ABCマートのNo.1販売員でもある小野大輔店長!
何度も全店個人売り上げNo.1になったことがある小野店長の接客に密着しました!

お客さん:白色は無いですか?
小野店長:5分だけお待ち頂けますか?

出ました「5分だけ」!ということは隣の店に走ります!
全力疾走30秒で隣の新宿店に到着し、靴をピックアップしたらまた走って新宿本店に戻ります!
取材よりも大事なのは待っているお客さんなのです!

番組スタッフ:一番偉い店長なのになぜですか?
小野店長:お客様をお待たせしないという事だけです!

ご立派!小野店長の頭には新宿エリアの在庫が全て入っているそうです。
ところで、売り上げが1番になったら、何かご褒美が貰えるのですか?

小野店長:特にご褒美は無いですけど、前日の自分・前日の店舗、前年の自分・前年の店舗に打ち克ちたいという気持ちが、自分のモチベーションやお店のモチベーションになっていると思います!

彼らが走るのはお金の為ではなく、自らのプライドのためなのです!
ABCマートには、そんな彼らのプライドをくすぐるすごいシステムがありました!
池袋店の大島店長に連れて行かれたのは倉庫脇のスペース。

大島店長:これを使うと、クリック1つで全店の売り上げがリアルタイムにわかるんですよ!

今、全国でどの店が一番売り上げを伸ばしているか、そして何がどれくらい売れているかがリアルタイムでわかるシステムを開発したのです!

大島店長:池袋店は今現在の売り上げが170万円、ライバルの新宿本店が150万円と池袋店が勝っていますね!現時点の時間ですと、池袋店が全国トップです!ありがとうございます!

さらに、全販売員の個人売り上げもリアルタイムでランキング!
このデータは社員なら誰でもアクセス可能になっています!
でも、どうやって1人1人の売り上げがわかるのでしょうか?

靴が売れたら箱に自分の社員番号と商品の値段を書き込み、レジへ持っていくと社員番号をキーボードに打ち込んでから会計をしてくれます。
これで刻一刻と変わる個人と店の売り上げがリアルタイムで集計できるというわけなのです!
ABCマートは、そんなシビアな数字を販売員のやる気に変えてしまいます!

徹底した現場主義!

本社は渋谷マークシティの19階にありました!
週末の土曜日にお邪魔すると、野口社長を発見!社長、一人で休日出勤大変ですね!

野口社長:休日出勤というわけではなくて、土日は私も含めてみんな働いています。みんな現場のお店の方に出ています。

社長も店舗に向かうというので、同行させて貰うことにしました。
なんと移動は車ではなく基本的に電車!これから新宿店へ連絡なしで向かいます!
連絡なしで突然社長が登場したら、スタッフは一体どんなリアクションを取るかと思いきや、意外と普通でした。

店員さん:前にも応援販売で来て頂いたことがあるので、そこまで極端な驚きはないです。

書入れ時の土日は本社の総務担当から役員まで現場に行き、お店のフロアに出るのがABC マート流!

野口社長:ランニングシューズの中でもトレーニングシューズになりますので、これにはヒールカウンターが入ってないんです。

社長自ら販売に入り接客もこなします!
靴に関しての知識もかなりあるようですね!
社長が走って在庫のピックアップをするのも当たり前!
この接客には、やはり何か意味があるのでしょうか?

野口社長:一番には売れ筋の把握があります。データを見れば売れ筋の順位はわかるんですけど、例えばどんなお客様がお買い上げになったのか、どの靴と迷われてお客様がお買い上げになったのかなどの重要な情報が現場にはたくさん詰まっています!

あくまでも現場にこだわることがABCマート究極の儲かり戦略だったのです!

▼スタジオでお話を伺いました。
進藤:やっぱり現場には重要な情報が詰まっていますか?

野口社長:データは売れたものしか出ないですよね。その靴が売れた理由はやっぱり現場じゃないとわかりません。例えば、どの靴と迷われたか、どんなファッションのお客様が何を選んだかということを知るにはやはり現場が良いんです。

進藤:VS構造もすごく熾烈でしたね?

野口社長:どの店もライバルの店を決めていますから、そこは負けたくないんですね。みんなプライドがありますから、勝ちたいという本能が強いんです。

加藤:例えば、もともと新宿店にいた従業員の方が、池袋店に転勤みたいなことはあるんですか?

野口社長:ありますよ!行った次の日には、その行った店舗に染まっています!すっきりと前の店を忘れ、今の店でどっぷりとやっています。

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