過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2007年10月21日放送

特集

意外と知らないキリンビール

ゲスト

キリンビール 三宅占二 代表取締役社長

番組内容

生ビール、発泡酒、そして第3のビール!
常に、抜きつ抜かれつの熾烈なシェア争いが繰り広げられるビール業界の中で、常にトップを争う老舗中の老舗、それがキリンビール!
キリンビールは今年で創業100周年!
その歴史はまさに波乱万丈と言っても過言ではありません。
スタジオにはキリンビール一筋37年!代表取締役社長の三宅占二さんにお越し頂きました。
今回のがっちりマンデーは、キリンビールの意外と知らない儲かりのヒミツに迫ります!

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キリンビール成長の歴史と改革

今やビール業界では押しも押されもしない巨人、キリンビール!
しかし、もちろん最初から大きかったわけではありません。
そこには、まさに日本のビールの歴史とも言うべき波乱万丈の物語がありました!

キリンビールの誕生は古く、明治3年に遡ります。
アメリカ人のウィリアム・コープランドさんが横浜に作った小さなビール工場「スプリングバレーブルワリー」がその始まり。

そして、ちょうど100年前の明治40年、当時日本最大の財閥「三菱財閥」の協力で正式に麒麟麦酒株式会社が発足します。
というわけで、意外と知られていませんがキリンビールは今も三菱系の会社なのです!
ちなみに、三菱商事さんや三菱電機さんの宴会ではいつもキリンビールが飲まれているそうですよ。

徐々に売り上げを伸ばすキリンビール。
しかし、設立当時から、ある巨大なライバルが存在していました!
それが、大日本ビールなのです!

明治39年時点で、キリンビールのシェア20%に対して大日本ビールはなんと72%のシェアを誇っていました!これでは敵わない!
しかし、ビール業界2番手の地位に甘んじていたキリンビールに第二次世界大戦終了後、大きなチャンスがやってきます!

それは、大日本ビール分割!
占領軍GHQの命令で、大きすぎる大日本ビールはサッポロビールとアサヒビールに分割されることになったのです。

これはキリンビールに大チャンス到来!
キリンビールを一気に業界No.1に押し上げた人気商品が、このご存知キリンラガービール!
独特の苦味とまろやかな味わいのヒミツは、なんとわざわざビールの本場ドイツから醸造技師を呼び寄せたところにありました。
その本場の味わいが、日本人にも大好評!
さらに戦後、ビールは他のお酒と違って税金が安かったこともあり、庶民のお酒として一気に国民的大ブレイクを果たしました!

キリンビールは昭和41年にシェア50%を獲得!ピーク時には、さらにそのシェアを63%にまで伸ばし、その後45年間、ビール業界の王者として君臨し続けたのです。
ところが、昭和62年、ダントツの王者キリンビールに恐るべき刺客が襲い掛かります!

その名は、アサヒスーパードライ!これまでのビールとは一味違う「辛口」を武器に当時年間100万ケース売れれば大ヒットと言われたビール業界において、なんと1350万ケースを売り上げたという超特大ヒットとなったオバケ商品なのです!

スーパードライのおかげで、アサヒビールは一気に業界でのシェアを伸ばし、あれよあれよと言う間に2001年にはキリンビールからトップの座を奪い取ったのです!

キリンビール代表取締役副社長の田村潤さんに当時の様子を伺いました。
田村さん:やっぱりアサヒビールに抜かれたのは悔しかったですよね。
入社してからずっとキリンビールがトップでしたし、それに誇りに思っていたので悔しくて寝られませんでしたね。

ダントツのトップからまさかの転落の屈辱を味わった王者キリンビール!
しかし、これをきっかけにあることに気付いたのです。

田村さん:あまりにもこれまでお客様に視線がいっていませんでした。
競合ライバルメーカーに対してばかり視線がいっていた時代があったのです。

そう!キリンビールが負けて初めて気付いたのは、「ビール会社はお客様に美味しいと思わせなきゃダメ」という当たり前のことだったのです!
そのためにキリンビールは常識破りの改革を進めました。

キリンビールの大改革 リベート営業や〜めた!

アサヒビールに首位を明け渡した2001年、キリンビールは以前までどのビール会社も当たり前にやっていた「リベート営業」を完全に撤廃したのです!
では、一体リベート営業とは、どの様なものなのでしょうか?

リベート営業とは、ビールの最大の売り場所である飲食店で、「とにかくうちのビールだけ売ってほしい!
もし、そうしてくれるなら色んなものを無料であげましょう!」といういわばメーカーからお店へのオマケ戦術!

皆さんも見たことありませんか?
居酒屋に並ぶビール会社のロゴ入りサーバーや冷蔵庫に看板。実はこれ全部ビール会社からの無料サービスなんです!ビール業界では激しいライバル企業との競争の結果、こんなお金のかかる営業が当たり前になっていました。

ただし、このオマケ作戦、ビールはたくさん売れますが、ぶっちゃければ味は全く関係ナシということになります…。お客さんが何を飲みたいかよりも、ライバル企業に勝つことを重視した作戦がリベート営業でした。

そして、当時の荒蒔康一郎社長が、遂にこのリベート営業の完全撤廃を宣言したのです!
では、キリンビールは一体、現在どの様にビールを売っているのでしょうか?

実際の営業現場にがっちりマンデーがお邪魔させて頂きました!
同行させて頂くのは、キリンビールの東京首都圏担当の営業ウーマン、倉内夕子さん。

早速、倉内さんと共に、全国72店舗を展開するスーパー、コモディイイダに向かいました!

倉内さん:こんにちは!お世話になります!

まずはお店の方にご挨拶。

さて、倉内さんはどんな営業テクニックを展開するのでしょうか?
倉内さん:提案をいくつかお持ちさせて頂いたんですけれども、ブリしゃぶとかはお召し上がりになったことありますか?

あれ?なぜか倉内さんはビールの話ではなく、ぶりしゃぶの話をしています。
その後も、

倉内さん:ブリ自体はマグロに次いで日本人にはポピュラーなお魚です。
ブリは11月頃から12月頃をピークに需要が最高潮になる様でして…

なぜかビールの話は一切ナシ!
いくらで売りますとか、安く売りますとか、そういう話は全く無くて一体、大丈夫なんでしょうか!?

番組スタッフ:なんでブリしゃぶなんですか?
倉内さん:一番搾りの目線を変えて、少しアレンジするだけで、こんなに美味しくなるような料理をクローズアップしています。美味しい料理と一緒に一番搾りを召し上がって頂きたいのです!

そう!これこそが新しいキリンビールの営業戦略なのです!

キリンの営業戦略

▼キリンの営業戦略その1 食べ物大作戦
キリン営業チームが、ビールが美味しく飲める様な現在流行している食べ物を徹底調査!
それをお店に薦めるという作戦なのです。

もちろん、その横にはしっかりとキリンビールが置かれています!
ブリが売れればスーパーは儲かる!
ブリしゃぶと一緒にビールが売れればスーパーもキリンも儲かる!
そして、美味しいビールの飲み方を発見してお客さんも大満足なのです!

さて、今度は栃木県の鬼怒川温泉にやってきました!
迎えてくれたのは、栃木県担当のキリン営業マン、安武直幸さん。
そして、安武さんと共に鬼怒川パークホテルズへ向かいました。

▼キリンの営業戦略その2 何にでもすべりこめ!

一見、よくある温泉ツアーのチラシ。
しかし、よく見るとなんとここにも"キリンビール"の文字がありました!
実はこのツアー「ビールが美味しく飲める温泉グルメツアー」という題目で、安武さんが企画したのです。

「これに掛かるお金(企画料)はゼロだよね」と語るのは鬼怒川パークホテルズの小川さん。
営業マンが企画を代行することで、通常はホテルが旅行会社に支払うはずの企画料を無料にすることが出来るのです!
秋の行楽シーズンを狙い撃ちした人気のツアーで、ホテルもキリンもお客さんも大喜び!

なんと、安武さんの営業術はこれだけではありませんでした!

▼キリンの営業戦略その3 叱って育てる!
安武さんが向かったのはホテル内の宴会担当部門。

安武さん:では今日は美味しい生ビールの注ぎ方をみんなで練習したいと思います!

なんと安武さんが始めたのは、美味しいビールの注ぎ方教室でした。
この注ぎ方ひとつで、かなりビールの味に差が出てくるからです!

安武さん:ビールを注ぐときの角度は45度!
ビールジョッキというものはよく出来ていて、持ち手の部分を軽く持てば自然と45度になるんですよね。

するとここで安武さんがビールサーバーの中をチェックし始めました。

安武さん:これはヒドイですね。
ホースに汚れが付いているのが分かりますか?
これ毎日洗っていますか?やってないですよね?
ホースを洗ってあげないと固形物が残ってしまうので、毎週1回は必ず洗って下さい!

細かな箇所まで決して見逃さない!
たとえ、お得意さんでも時には厳しく叱ることもあるのです!
営業マンがお得意さんやホテルの従業員を指導するなんてとんでもないとされていたビールの営業の世界。
しかし、たとえ一時的に嫌われても、美味しいビールを出すことがお店のため、お客様のため、そして結局はキリンのためになると信じて今日もビールサーバーの汚れにまでこだわるのです!

美味しい生ビールでがっちり!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:リベート戦略をやめた時期はアサヒビールに負けている時期ですよね?

三宅社長:負け続けているときですから大変でした。

加藤:「やっぱりリベート戦略に戻せ」と会社の中からそういう声は上がりませんでしたか?

三宅社長:我々は軸をぶらさず、結果が出るまで歯を食い縛って頑張ろうと決意しましたので大丈夫です。

加藤:のどごし生のCMにはぐっさんが出ていますよね!

三宅社長:ぐっさんはCMの中でキリンビールの営業マンという役割です。
うちの営業マンは元気にやっているというのをお客様に伝えたくてあの様なCMになりました。

加藤:もしかして、今までのVTRにあった「キリンの営業マンはここまでやるよ」ということをお店側にもアピールするためのCMでもあるんですか?

三宅社長:そうですね!今回は消費者だけでなく、お店側に対しても訴えているというわけです!ですから、ぐっさんの着ていた黄色いジャンパーをうちの営業マンが着ているとお客様から「頑張って!」と言われることもある。キリンをより身近に感じて貰えたことが良かったと思う。

製造に隠された儲かるヒミツ

続いては、キリンビールの横浜工場へやって来ました!
こちらでは、ビールの製造以外にも様々な研究が行なわれています。

早速、がっちりマンデー経済予報士見習いの川田がお邪魔させて頂きました。
なんとこの工場、ビールだけに横浜市鶴見区"生麦"1丁目にあるんです!
工場の中に入っていきなり目に飛び込んできたのは大きな鉄の釜でした!

工場内で川田を迎えて下さったのは新製品開発グループ主査の太田雄人さん。

川田:大きな釜がいっぱいありますが、ここでは何をやっているんですか?
太田さん:こちらでは美味しいビールの素となる麦汁(ばくじゅう)を作っています。

こちらがビール工場の心臓部、麦芽とホップで麦汁を作る仕込み釜です!
一見、ただの金属の塊に見えますが、なんとこれ24時間の自動制御で1日450万本(350ml缶)ものビールを製造出来るハイテク装置なのです!
これ1釜だけでも数千万円、それが12基あるのです…
ビール作りにはお金がかかりますね。

そんな仕込み釜で作った貴重な麦汁を試飲させて頂くことに!

太田さん:こちらが麦汁となります。

川田:あれ?これビールの色と一緒じゃないですか?これ飲んでも平気ですか?
太田さん:飲んで平気ですよ。

川田:ん!?甘っ!マズイ…全然ビールじゃないんですね!
太田さん:そうですね!味は全然ビールとは違います。

この麦汁を発酵させて出来るのがビール!
麦汁は美味しいビールの決め手になるのです!

突然ですが、クイズです!

お馴染みのキリンラベル!
この中に、「キ・リ・ン」の三文字が隠されています。さて、どこにあるでしょう?
答えはコチラ!こんなところに隠れていたんですね!

このラベルは当時デザインした人が考えた偽造防止ともいわれていますが、本当の理由は未だにナゾだそうです。
さて、キリンはラベルだけでなくパッケージにもこだわる会社として有名!

川田:パッケージ研究所、ここ何か匂いますね!

と川田がお邪魔させて頂いたのは、キリンビールパッケージ研究所!
研究所の中には、世界中から集められたありとあらゆるビールの入れ物がズラリと並んでいます。

実はこちらのパッケージ研究所はキリンビールの入れ物だけを研究開発している部署なんです!
何ともジャンルの狭い研究所ですが、ここでは様々なすごいヒットする入れ物が開発されるので、いわば王者キリンビールの縁の下の力持ちの様な存在なのです!

実はスゴイ入れ物

▼実はスゴイ入れ物その1 ビン

ほとんど同じに見える4社のビール瓶。でも、並べてみるとキリンビールのビンだけがちょっとだけ違うのがお分かりになるでしょうか?
そう!キリンビールのビンは「なで肩」なのです。
実はこれ、キリンビールの発売以来頑なに守っている伝統のカタチ!

そして、今回新しいビンが開発されました。
開発した松田晃一さんにもお話を伺いました。

川田が早速、新開発のビンと従来品を持ち比べてみることにしました。
しかし、たった1本では正直分かりづらいのか川田の反応はイマイチ。
こちらの新開発のビンは従来のものより130g軽いのです。
1本なら、たった130gでもそれが1ケースになると話は別です!
川田にビール瓶を詰めたケースを持って貰いました。

川田:では新しい方は…あっ!ホントに軽い!

これで酒屋さんも運ぶのがラクラクになります!
そして、運送トラックのガソリン代も節約になって一石二鳥というわけ。

▼実はスゴイ入れ物その2 カン
このジャンルでもキリンビールは他社より一歩リードを果たしています!
このわずかな違いがわかりますか?
各社の缶を合わせてみると、ピッタリ同じ!
でも、キリンだけ口径が小さくて合いません。

そう!キリンビールの缶は業界標準から2mm小さい。
たった、2mmと侮ってはいけません!
業界初26%の軽量化に成功し、このわずか2mmでアルミの使用量年間2.6万t分のコスト削減に成功したのです!

▼実はスゴイ入れ物その3 段ボール箱
これまた一見普通の段ボール箱。
ここにもまたキリンビール独自のこだわりがありました!
もうそろそろ予想がつきますよね?

松田さん:これが角が無いタイプの段ボール箱となっております。

しかし、一体何の意味があるのでしょうか?
まず、角が削られていることによる紙の節約はもちろん、ここに広告が書けたり、持ち易くて手が痛くないという利点があります。
そして何より、八角形になることで強度が増して重みに強くなるんです!

味にこだわり、入れ物にまでとことんこだわる!それがキリンビールなのです!

▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:我々がお店で見てて正直気付かない部分でもずいぶんと違ってくるものなんですね。

三宅社長:細かい部分でも積み重ねると大変大きなものになります!
環境のところまで意識したコスト削減の努力が広がっているんです。

加藤:なんでキリンだけがこういう事をしているんですか?

三宅社長:キリンは昔からコツコツ真面目にやるからです。

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