過去の放送内容
2007年10月14日放送
特集
国道沿いビジネス
ゲスト
森永卓郎さん(経済アナリスト)、長澤まさみさん
番組内容
ここは、「ロードサイド銀座」と呼ばれる激戦区!
2000年に大規模小売店舗法、いわゆる大店法(中小小売店を保護するため、1974年に施行された大型店を規制する法律)が廃止されて以来、大きな土地がある国道沿いには巨大なお店が次々と現れ、しのぎを削っています!
「大通り沿いは繁華街に比べて、ビジネスチャンスがまだまだあると思います」
と語るのは、国道沿い店舗の開発一筋30年の大和ハウス工業株式会社支社長。
企業と地主をつなげる国道沿いビジネスの影の立役者と言われる存在です。
「ユニクロ」や「洋服の青山」など、大和ハウスが国道沿いの店舗を手がけ、成功のきっかけとなったのです。
そんな大和ハウスが掲げる国道沿い店舗の立地ポイントは…
周りにたくさんお店を出店している場所であること。
そして、カーブや坂道がない見通しの良い場所であること。
そう!国道沿いならどこでも良いというわけではありません。
大激戦の国道沿いビジネス、そこにはがっちり儲けるための秘訣があった!!
ということで、本日のがっちりマンデーは…国道沿いでがっちり!国道沿いビジネス!!
国道沿いで世界 No.1!
『がっちり!国道沿いビジネス』!まずは…国道沿いといえば誰もが見かけるこの看板!
紳士服の専門店「洋服の青山」!
紳士服業界では常にトップを走り続けているこちらは、年間スーツ売り上げ数、何と265万着!
ギネスにも載った世界ナンバーワンのお店!!
そしてこの「洋服の青山」こそ、日本の国道沿いビジネスのパイオニアなのです!
昭和49年、「洋服の青山」が一号店を出したのが、国道2号線沿いの広島県西条。
アメリカの大型ショッピングモールを視察した当時の社長が、「日本にも、モータリゼーションの時代が来る!」と国道沿いに次々と出店したのです!
では、国道沿いで成功した秘訣は一体何なのか??それは…大きく目立つ看板!
国道沿いを車で走っていても一目でわかる看板は、国道沿いビジネス一番のポイント!
確かに国道沿いにあるどのお店も看板がでかいっ!でかいっっ!!
そんな「洋服の青山」が出店場所を選ぶポイントとは…
幹線道路と生活道路の交差点の近く!
交差点の近くならいくつもの入口を設けることができ、近くのお客さんも遠くのお客さんもどこから来てもゲット!
そしてもう一つのポイントは、渋滞しない道路沿い!
誰でも渋滞する道路は走りたくないもの。
国道沿いでも、渋滞しにくい場所が最適な場所なのです。
こうして厳選された土地に建てられた「洋服の青山」。
しかし、世界一になるには更なる工夫が…。
それは、国道沿い「安さ」の秘密!
良い品物をどうしたら安く売ることができるのか?それには…
▼国道沿い安さの秘密1
大量の商品を全部買い取りし、仕入れ値を削減
駅ビルや街中などと違い、国道沿いに大きな店を出すことで巨大な売り場面積を確保。
そのため、大量の商品を全部買い取りで仕入れることができ、仕入れ値を大幅に削減できるのです!
国道沿い「安さ」の秘密はこれだけじゃない!
▼国道沿い安さの秘密2
駅前より土地代が安くコストダウン!
国道沿いは駅前や繁華街に比べ、土地代が安い分コストダウンできる!
だから品物を安く売ることができるのです!
さらに、大通り沿いには大きなメリットが!!
街中のデパートなどでは、ほとんどが買うかどうかわからないウィンドウショッピングや何かのついで買いのお客さん。
それなのに、応対するたくさんの従業員が必要です。
しかし、国道沿いに車で来るお客さんは最初から買う気マンマン!
だから、余分な従業員を雇わずに効率よく接客でき、人件費を少なくできるのです!
つまり、国道沿いは
1. 広い土地が安く借りられる
2. 大量に仕入れることで仕入れ値を下げることができる
3. 買う目的を持ったお客を相手にするので効率がいい!
これら国道沿いのメリットを最大限に生かし、スーツの売り上げ数世界ナンバーワンの「洋服の青山」ができたのです!
○○は駅前よりも国道沿い!?
『がっちり!国道沿いビジネス』!続いては…
国道沿いのラーメン店といえば誰もが知っているこちら、「幸楽苑」!
ラーメン市場は何と7,000億円!
しかもその9割が個人経営というラーメン業界にあって、全国381店舗という異例の大型チェーン展開をしている「幸楽苑」は、何とラーメン店で初めて東証一部上場を果たした会社です!
こちらが一番のオススメ!「えびワンタンメン」!
「幸楽苑」は、昭和29年創業。
福島の会津若松市から全国展開をスタートしました。
そして現在、381店舗のおよそ9割が国道沿いを初めとする大通りにあるのです!
普通ラーメン屋というと、駅前に一店舗ずつ個性的なお店が多いというイメージですが、「幸楽苑」はどうして大通り沿いにお店を構えているのでしょうか?
実は、駅前やビジネス街は外食産業の激戦区!
お店の賃料も高く、土日は誰も来ないなんてことも…。
しかし郊外の国道沿いでは、ご近所の人から仕事で通りがかる人まで、曜日や時間帯に関係なく幅広いお客さんが来店し、意外と集客率が高いんです!
しかし、大通りならどこでも良いというわけではありません。
国道沿い成功のポイントは、国道沿いで近くに住宅街があることなのです!
しかしここで一つの疑問が…。
それは、赤坂TBSの近くにある「幸楽苑」。
赤坂は土地が高いのに、どうして「幸楽苑」を出店したのでしょうか??
実は、赤坂にある「幸楽苑」は広告塔なのです!
人通りの多い駅前の店舗で名前を覚えてもらい、休日には家族で車で食べに来てもらう。
それこそ、ファミリー層を獲得する「幸楽苑」の広告必勝法!
こちら、ラーメン屋さんでは定番の「半チャンラーメン」。
実は、日本で初めてこの「幸楽苑」がネーミングした商品で、商標登録されているメニューなんです!
みなさん知っていました?
国道沿いの「幸楽苑」、それは…従来の常識を覆す、新しいラーメンビジネスでした!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:ラーメン店が国道沿いに出店するのは難しいのでは?
森永さん:実は、他の業種と比べるとラーメン店は難しいです。
なぜかというと、ラーメンはものすごく多様化していて、それぞれのお店の味がある。
そして、そこに固定客がつくというビジネスモデルができている。
その中できちんと利益が出るビジネスモデルを作ったところが、幸楽苑のすごいところです。
加藤:地域によって全然違う国道沿い企業がたくさんあるのですか?
森永さん:地方でビジネスモデルを作って、それが当たれば同じビジネスモデルで全国展開していける。そこで急速に売り上げを伸ばしていって都心店を出すというのが、成功するための一つのルートになっているんです。
お値段以上!国道沿い
『がっちり!国道ビジネス』!お次は…今、国道沿いビジネスで最も勢いのある企業の一つ、家具・インテリアショップの「ニトリ」!
1967年に北海道で創業した「ニトリ」は、郊外の国道沿いを中心に日本全国に157店舗!
生活用品から大型家具までを揃え、今や家具業界売り上げナンバーワンまでに成長しました!
こちらのお店が大通り沿いにこだわるその理由とは?
家具やお持ち帰りの家庭用品はファミリー層がターゲット。
大通り沿いは家族が車で来るのに一番便利な立地なのです。
また、布団や家具などは買ったらすぐに使いたい!かといって、車で行けないお店では配送してもらうのが面倒…。
そこで、「ニトリ」は駐車場にこだわった!
とある「ニトリ」のお店では、5階建ての3階分すべてが駐車場になっています!その数423台!
さらに!「ニトリ」が郊外の大通り沿いにこだわるもう一つの理由が…。
それは、広い敷地の確保!
家具や生活雑貨を扱うお店が品揃えを良くするためには、大きな売り場面積が必要です。
広い敷地が確保できるのも、比較的土地が安い郊外の国道沿いだからこそなのです!
しかし、売り場面積が大きいとその分従業員が必要となり、コストもかかってしまうのでは…?
店舗作りにその秘密がありました!
「ニトリ」では売り場を原則2階建ての店舗にして売り場階数を減らす代わりに、ワンフロアを広くとり見通しを良くすることで、人件費を抑えているんです。
例えば、7階建ての売り場の各フロアに従業員が5人必要とすると、合計35人の従業員が必要です。
しかし売り場面積が広くても、見晴らしを良くすれば一つのフロア8人でも2階建てで、合計16人の従業員ですみます。
つまり、人件費を抑えることができるのです。
比較的安い土地に大きな売り場を作り、見晴らしを良くするなどの店内の工夫で人件費などのコストを抑える!
その結果、評判の安さが実現するという訳。まさに国道沿いだからこそできるワザ!
さらに、コストを下げるこんな秘策もありました!
千葉県柏市の国道16号沿いにある「ニトリ」は、大型電器店と同じ敷地に出店しています。
国道沿いで土地を探しても、なかなかピッタリの土地は見つかりません。
しかし、1店舗では広すぎる土地を他社と共同で借りれば、少ない出費でお目当ての土地を借りることができる!
さらに集客率を上げるという相乗効果をも生んでいるんです!
国道沿いの利点プラス様々な工夫で、「ニトリ」はホーム用品業界のトップロードを走り続けます!
大通りに21世紀の公演出現!
『がっちり!国道沿いビジネス』!
続いては…大通り沿いビジネス発の新しい事業として、今最も注目を集めているアミューズメントパーク!
広さ1350坪の室内に24種類のアトラクションを展開する「アメイジングワールド」は、子どものための室内プレイグラウンド。
様々なアトラクションが1時間600円で遊び放題(12歳以下)!今、話題のスポットなんです!
実はこの会社、もとはパソコン関連の企業!ITバブルがはじけ、業績が今ひとつ伸び悩んでいた時、子どもたちが安全に遊べる「室内プレイグラウンド」を思いつき、2004年7月、愛知県の大通り沿いに第一号店をオープンさせたのです。
でも、どうして大通り沿いに出店したのでしょうか??
激戦区の国道沿いは様々なテナントが出るけれど、つぶれるお店が多いのも事実。
ここも、元々スーパーマーケットがあった場所なのです。
というのも、遊園地ビジネスは施設を作る最初にお金がかかります。
でも、一度作ってしまえばお客さんが来てくれてどんどん儲かる!
そこで、以前のスーパーの天井や柱、そして商品貯蔵庫などをそのまま再利用!
こうやって、出店する際の初期投資を最小限に抑えているんです。
しかしこの場所、元々あったスーパーがつぶれてしまった所…。
お客さんは来るのでしょうか?
遊園地などの娯楽施設は買い物ついでに遊びに来るのではなく、その場所に遊びに行くという目的がはっきりしています。
だから、多少立地や条件が悪くても交通の便さえ良ければ大丈夫なのです!
さらに、アメイジングワールドは完全会員制。
不審者の入店を防止し、安心して遊んでもらえるようにセキュリティもバッチリ!
だから、少々子どもから目を離してしまっても大丈夫!
子どもが遊んでいる間、大人はマッサージシェア!
これなら運転に疲れたお父さんも大満足!!
大通り沿いの利点を最大限に生かしたアメイジングワールド。
国道沿いビジネスには、まだまだ大きな可能性が残されていました!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:「アメイジングワールド」は何がすごいかというと料金がすごい。
普通、電車でもバスでも子どもが半額。
でも「アメイジングワールド」は、大人の方が安い。お父さんは1日で500円なんです。
要するに、お父さんが子どもを連れてきてくれればいいわけです。
そこで、お父さんの値段を安くして子どもを連れてきてもらう。
子どもが遊んでいる間、1時間ごとに600円でがんがんと料金が上がっていくんですね。
加藤:絶対数も子どもの方が多いですしね。
森永さん:つぶれた店を有効活用するというこのビジネスモデルは、全国にどんどんと広がっていく可能性があると思います。
加藤: 2階構造にしたり大型電器店と抱き合わせにしたりと、「ニトリ」も考えていますね。
森永さん:「ニトリ」と家電がくっついているのは、まだ初期形態なんですね。
これから色んな業種がくっついて、最終的に全部がくっつく可能性がある。
そういう所が一ヶ所できたら便利だと思います。
進藤:国道沿い、これから来そうな業種は何ですか?
森永さん:それは銀行です。
郊外の人は銀行に行くのが結構大変なんです。
わざわざ駅の近くの銀行に行く。
そうすると駅前にわざわざ出なくちゃいけなかったり、駐車場がなかったりします。
銀行は今、預金を集めるのではなく投資信託など、いろんな金融商品を扱うようになりました。
そうすると、ATMではなかなか買えないわけです。
そこで人が相手をしないといけない。
でも、車を停めてもらわないと充分に説明できない。
今はまだ少ないけれど、これから大きくなろうとする金融機関はロードサイドをやっていかないと、お客さんが得られなくなると思います。