過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2007年8月19日放送

特集

劇団四季

ゲスト

浅利慶太さん(演出家・劇団四季芸術総監督・四季株式会社代表)

番組内容

CDの売り上げが落ち込む、音楽業界。
ハリウッド映画が席巻する映画業界。
今、日本のエンターテインメントビジネスが大苦戦!
そんな中、なぜかひとつだけ絶好調なところがありました!
それが…劇団四季!

通算公演回数、6726回はもちろん日本一!「キャッツ」!
同一劇場での連続ロングラン!なんと9年目、「ライオンキング」!
他にも実に162作品を次々と世に送り出し、しかもそのどれもが満員!満員!!の大ヒット!

今日のがっちりマンデーは、スタジオに劇団四季代表 浅利慶太さんを迎え、
超人気!劇団四季の知られざる正体に迫ります!

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劇団四季の儲かるヒミツ

とにかく連日超満員!経常利益率20%!
企業としては大成功の劇団四季!
その成功のヒミツは、驚くほど「当たり前」なところにありました。
できそうでできない、その「当たり前」とは?

芝居がウマいこと!
これ、一見当たり前の事のように思えますが、確かに四季の舞台を見てみると、歌も踊りも、とにかくハイレベル!
そこには、浅利代表が考えた、斬新なノウハウがありました。それが…

『とにかく、稽古!』

一体、どんな稽古が行われているのか?
去年、リニューアルしたばかりの四季芸術センターに行ってみました!

そこはとても稽古場とは思えない巨大な施設!
その広さ、なんと5000坪!

中に入ると、何やら歌声が…
この声の持ち主は、劇団四季が誇る大人気俳優 石丸幹二さん。

このセンターには、声の響く広〜い稽古場が14室、研究室が33室あります。

その中でおよそ600名の俳優と研究生が、ダンスにバレエに、そして発声にと、日夜激しい稽古を行っているのです。
しかもこの稽古場、ただ広いだけじゃない!
実はこの稽古場は、電動で床が斜めに!

四季の舞台はお客様から見えやすいように床が斜め。
だから稽古場にも、舞台と同じ環境が用意されているんです!

次に目に止まったのは、廊下に貼ってある奇妙なお習字。そこには…

『一音落とす者は、去れ!』

とあります。
これは、「舞台では、作家の書いた言葉を完全に客席に伝える事が一番大事。
その中で、音を一個でも落とすような不注意をした人は劇団から辞めてもらう」という事なのだとか…、
実に厳しい!

稽古場や舞台裏、あちこちで貼ってあるこの表は、浅利代表が考えた、俳優を育てる練習法の極意。
いくつもの発声法や呼吸法の基礎が書かれているんです。

中でも、最も大切な練習法が…母音法!
日本語は「あ・い・う・え・お」の5つの母音に、子音がついて言葉になります。
母音法とは、子音をとって母音だけで発声する練習法の事。
母音を強調して声に出す事で声がハッキリし、お客様に歌や台詞をきちんと理解してもらえるのだとか。

こうした独特の理論とたゆまぬトレーニングが、四季のハイレベルな舞台を支えているのです。

四季の芝居がウマい理由

▼理由1:オーディション
年に一度行われる大型オーディションには、音大・芸大出身のエリートや演劇経験者が集結!
今回のオーディションで、全国から集まった応募者は993名。
この中で、一次審査の書類選考、二次審査の実技を終えて最終選考に残ったのは、わずか149名。
最終選考では、浅利代表が登場。
辛口の浅利代表の言葉に、ピンと張り詰める受験者の面々。

そんな中、いよいよ最終審査がスタート!
審査が終了し、今回のオーディションで選ばれた合格者はたったの7%、77名。
四季にとってオーディションとは、優れた俳優を育てるための第一歩なのです。

▼理由2:お給料制
俳優業のかたわらアルバイトなんて事が当たり前とされる演劇界で、劇団四季は業界初のお給料制を導入!
しかも、2〜3年でも主役級の俳優であれば、大学初任給の倍とは言わずともかなりの所得を得られるのだそう。
芸能人が所属する某プロダクションとは違い、役さえもらえれば、わりとちゃんとしたお給料がいただける劇団四季。
きちんとしたお給料があるから、芝居だけで食べて行ける!
だから四季の俳優は原則、テレビや映画に出る事はありません!
演劇以外の仕事をさせず、舞台に集中できるから、四季の俳優は芝居がウマい!

でも、ウマいのはそれだけじゃない!そう…

『商売もウマい!』

今では劇団四季の代名詞とも言えるロングラン公演。
実はこのロングランこそ儲かりのタネ!
セット・照明・音響機材など、一つの舞台にかかる初期投資はとにかく莫大!
公演期間が短いと儲けるのが大変。
でも、ロングラン公演をすれば…長くやればやるほど儲かる!

しかし、ロングランには一つ大きな問題が。
それは…「劇場を借りられない!」。
貸し劇場は一ヶ月単位で借りるのが基本。
当時、長期公演を行える劇場はどこにもありませんでした。

『だったら自分の劇場を作ってやる!』

という事で、総工費なんと10億円!
劇団四季は日本演劇史上初の専用劇場キャッツシアターを建設!

見事24年のロングランを成功させたのです!
さらに、四季が作ったもう一つの日本初が…
商売がウマい四季のヒミツチケット電話予約!
チケットはプレイガイドか直接劇場で買うのが一般的だった当時、日本で初めて「電話予約」の仕組みを導入したのも劇団四季。
このシステムが、現在のチケットぴあの原型といわれているんです。

芝居がウマくて商売もウマい!当たり前の事を徹底的にやる!
劇団四季の躍進はまだまだ続きそうです!

▼スタジオでお話を伺いました。
浅利代表:四季の役者は芝居がウマいと言うが、芝居の面白さは8割が本。演出や出演者の魅力や衣装は残りの2割。本が良ければ、かなり下手な役者がやっても明晰に言葉が客席に届く。役者の魅力ではなく、作品の魅力でお客様は観に来て下さる。

進藤:演出と経営とを両立させるポイントは?

浅利代表:自分が納得する面白い芝居、つまり本を感動的に見せればお客様は喜んで下さる。

加藤:演出家はお金を使いたいという意識で、色々な事をやりたいのでは?

浅利代表:面白く見せるのにお金は関係ない。我々が売っているのは、「生きがい」。劇場に来て、人生ってすごいものなんだな、生きてて良かったなとお客様が感じて下さるものを提供するのが我々の仕事。

日本の文化を変える!?四季の壮大な思い

日本一儲かる劇場ビジネスの形を確立した劇団四季。
しかし、四季には知られざるもう一つの「儲からない」顔がありました!

その一つが…子どもたちをタダで四季のステージに招待!

子どもの頃から舞台を楽しむ習慣を身につけてもらおうと、日生劇場と劇団四季が始めたこの無料観劇。
小学生を対象にしたこのプロジェクト、なんと43年間も続いていて、665万人の子どもたちが四季のミュージカルを観て育ちました!

そしてもう一つが…超ハードな地方公演!

劇団四季といえば、大都市の専用劇場だけだと思われがちですが、実は日本中を飛び回っている劇団なんです!
その公演は1年間でおよそ120都市!

しかも北は北海道の利尻島から南は沖縄の石垣島まで、どんな小さな町にもガンガン行く!
気になるのがやはり、そのハードなスケジュール。
今回取材班が向かったのは、金沢市の石川県厚生年金会館。なんと次の日には、60km離れた富山県で同じ舞台を上演する予定。
一体どうやってそんな事を可能にしているんでしょうか?

午後6:30
「夢から醒めた夢」の開演!
巨大な天使と悪魔のオブジェが象徴的な舞台。
ハードな地方公演といっても、セットの規模やクオリティはそのまま!

午後8:45
公演は無事終了。
舞台裏では、スタッフが一斉に走り出す!!
聞くところによれば、2時間半ぐらいで撤収するのだとか。
富山公演の上演までわずか21時間!
撤収もとにかく大急ぎ!だから、セットにも様々な工夫が!

セット・オブジェには釘を一本も使わない!
ピンで止めているだけ!
だから、高さ4mの巨大オブジェも…あっという間。
30分もかからず解体する事ができる!

さらに、セットを運ぶスタッフを見てみると…あれ!?
俳優さんの顔にはまだメイクが残っています!
そう、俳優も総出で撤収のお手伝い!
メイクを落とす暇もないスピード作業。
スタッフも俳優もお構いなし!
垣根はありません。
俳優といえども、一人2役3役は当たり前なんです。

そして午後11:00
明日の公演場富山へ無事出発!

翌日、朝8:00
富山県、オーバードホールに運搬車が到着。
残り10時間、昨夜の疲れが残る中、セットの立て込み開始。

午後12:00
セット完成。
休む事なくリハーサルがスタート!

そして午後6:30
無事、富山公演を開く事ができました!

実は、この地方公演を始めて今年で50年目。
コストが高く、チケットの値段も抑えているので大きな利益は出ないそうです。
子どもたちに、そして日本中の人々に本物のステージを楽しんでほしい。
日本一儲ける劇団四季の本当の目的は、この儲からないステージを続ける事にあるのかもしれません。

▼スタジオでお話を伺いました。
進藤:今後、この劇団がどんな風に育ってほしいと思いますか?

浅利代表:僕が死んだら潰れるかもしれない(笑)。

加藤:後継者を育てればいいのでは?

浅利代表:後継者は簡単に育たないよ(笑)。僕らは絶壁を這い上がってきた野生動物だが、今の時代にそんな野生動物を作るのは無理。だから、システムでやれるようにはしていて、経営はもうできる。今は(舞台の)作り方、創造方法をシステムでできるようにしている。

進藤:最後に、浅利さんが「これを演出してみたい」という夢を教えて下さい。

浅利代表:来年、中国でハムレットを、韓国でマダムバタフライを一生懸命演出してみたいという夢があります。

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