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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2007年7月8日放送

特集

キッコーマン、儲かりのヒミツ

ゲスト

キッコーマン(株) 茂木友三郎 代表取締役会長CEO

番組内容

先日、サンフランシスコである日本企業のアメリカ進出50周年記念パーティが大々的に行なわれました。
その会社が50年前にアメリカに初めて売り込んだ商品が「おしょうゆ」だったのです。
なんとこのおしょうゆ、アメリカでは「キッコマン」と呼ばれているのだとか!
日本伝統のおしょうゆが、今や世界で愛される調味料になったその裏側にはキッコーマンの熱い戦いの歴史がありました。
今回のがっちりマンデーは、しょうゆ王国キッコーマン!
その儲かりのヒミツに迫ります!

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野田市とキッコーマンの成り立ち

キッコーマンの本社があるのが千葉県野田市。
野田は江戸時代からしょうゆの生産地として栄えていました。
その理由は、なんと言っても、野田の立地条件です。

野田は利根川を利用した常陸地方の大豆、下総台地の小麦、行徳の塩など原料の確保に絶好の条件を備えていました。
そして、出来上がったしょうゆは江戸川を使って江戸まで運べるという、まさにしょうゆのための町なのです!

そんな野田で、今から90年前、しょうゆを作っていた8つの醸造家が一緒になって設立したのがキッコーマンの全身となる「野田醤油株式会社」。

しょうゆの商標が統一されたのが1940年代で、それがこの亀の甲に萬印、キッコーマンでした。

▼醤油の製造過程
それでは、おしょうゆが出来上がるまでをカンタンに見ていきましょう!

しょうゆの原料は、大豆と小麦、それに塩!
蒸した大豆と炒って砕いた小麦をまぜて麹菌を加えます。
この麹菌がしょうゆの味と香りを決める、しょうゆメーカーの命なのです。
江戸時代から受け継がれてきたこの菌は、キッコーマン菌と名付けられ全国各地の秘密の場所で厳重に保管されています。

キッコーマン菌の働きで、しょうゆ麹となった原料に、食塩水を加えながらじっくりと発酵し、熟成させていきます。
この状態を「もろみ」と呼び、時々圧縮空気でかき混ぜながら半年間待ちます。
熟成したもろみは布にのせ、三つ折りにして絞っていきます。布からにじみでてきたのがおしょうゆです。

もろみをプレス機でしぼることでしょうゆが流れ落ちます。このしぼりたてのしょうゆのことを「生しょうゆ」と言います。
生しょうゆとは、加熱して殺菌する前の絞りたてのしょうゆのことです。

生しょうゆは色が市販のしょうゆよりやや薄めで、味もさわやかでやわらかい感じがするそうです。

なぜキッコーマンはここまで成長したのか

それはどこよりも早くアメリカ市場に進出したからなのです!
終戦後の街中で、アメリカ人がスキヤキを食べている光景をキッコーマンの社員が偶然発見し「アメリカでもしょうゆが売れるはず!」と思い、その時からキッコーマンのアメリカ上陸作戦がスタートしました。

これがしょうゆの輸出を始めた1960年代前半にアメリカで流したCMです。
これによってキッコーマンの知名度は一気にアップ!
ところが、ほとんどしょうゆは売れませんでした。
しかし、そこでキッコーマンは諦めませんでした。

▼キッコーマンのアメリカ上陸大作戦その1はテリヤキソース!
やはり、アメリカ人の舌に合うしょうゆを作らなければダメだと思ったキッコーマンは、しょうゆにワインやスパイスなどを加えた今や皆さんがよく御存知のテリヤキソースを作りました。
テリヤキソースはステーキやバーベキューにも合うと、除々に売上げアップ!

▼キッコーマンのアメリカ上陸大作戦その2は現地工場建設!
それまでキッコーマンはアメリカから大豆や小麦を輸入して製品を作り、それをまたアメリカに輸出していました。
しかし、重くて輸送コストのかかるしょうゆはどれだけ売れてもほとんど儲けは出ませんでした。

その時「アメリカにしょうゆの工場を作るしかない」と強く提案したのが、現会長である友三郎さんだったのです。
当時の会社の資本金が36億円だったのに対して、工場建設費用は36億円以上かかりました。
社内には反対の声もあった中、1973年ウィスコンシン州にキッコーマンしょうゆ工場が完成!

しかしその直後、オイルショックが勃発!
原料の高騰などで工場の収支が悪化し、赤字が膨れ上がりました。

ところが、この頃アメリカで始まったのが「日本食ブーム」!
そのブームに乗ったキッコーマンはアメリカで作ったしょうゆの売上げが伸び始め、工場建設は大成功でした。

現在、キッコーマンの海外での売上げは全体の28パーセントを占め、ここ30年間毎年およそ1割ずつ伸びています。

今やグローバル企業となったキッコーマン!
しかし、会社には古くから残っている伝統もあるのだとか。
3年前の2004年に牛久崇司さんが社長に就任するまでは、キッコーマンの基盤となった野田の創業8家が代々社長を引き継いでいました。
この創業8家には暗黙のオキテである「不文律」があるのです。
それは、創業家は一世代一人しかキッコーマンに入社できないというもの!
さらには、入社したとしても将来役員になれる保障もありません。

このように8つの家がバランスよく支えていくという設立当初からの知恵が現在の経営にも生かされているのです!

▼さて、スタジオでは会長の茂木友三郎さんにお話しを伺いました。
加藤さん:アメリカに工場を作るのは会長がやられたんですよね?

A:私が担当の課長でした。その時にアメリカで本格的に商売始めました。本格的に始めるというのは、それまではお客さんが日本人・日系人だったが、それを一般のアメリカ人に対しても商売を始めたということなんです。しかも、日本料理じゃなくてアメリカ料理にしょうゆを使ってもらおうと思った。だから、日本食ブームになった時にしょうゆが売れたとの解説があったが、あれは正確に言うと正しくない。要するに、アメリカ人がアメリカ料理にしょうゆを使い始めたということなんです。

進藤さん:キッコーマン=しょうゆというイメージでしたけど、95年に社長に就任されてから、つゆとたれも始めたんですか?

A:日本ではしょうゆの需要が減っています。その代わり、つゆ・たれが増えている。なぜかというと、かつてはしょうゆを買ってきて自分でつゆやたれを作っていたけど、今は既製品をお店で買います。だから、しょうゆは減って、つゆ・たれは増えるわけです。それで増える方の商売を始めなければいけないと思い始めたんです。

進藤さん:つゆ・たれを作るのに色々と苦労はありますか?

A:まず1番の問題として、私どもはつゆ・たれを作っている会社にしょうゆを納めているわけですよ。だから、お客さんと競合することになるのが苦労する点です。でも、そこはつゆとたれの方が付加価値が高いので仕方ないです。

キッコーマンは世界有数のバイオメーカー

キッコーマン本社、しょうゆ・つゆ・たれの工場など会社のすべてがあるのが千葉県野田市!
そこには企業城下町の枠を超えたキッコーマンとの密接な関係があったのです。

それでは緊急企画、「野田市へ行きたい」

▼その1:野田市の水道
しょうゆを作るのに欠かせないのが水。
キッコーマンがしょうゆ作りで余った水を野田市民になんと50年以上も提供してきました。
1975年に野田市に移管されるまで野田市の水道はキッコーマンが運営していたのです。

▼その2:野田市の銀行
1900年にキッコーマンが設立したのが野田商誘銀行。
もちろん、商誘としょうゆをかけたダジャレです。
商誘銀行は1944年に千葉銀行に譲渡されました。

▼その3:東武野田線
しょうゆやその原料を運搬するのに必要だったのが鉄道。
1944年に東武鉄道に譲渡するまでの20年間、船橋から大宮の間をキッコーマン鉄道が走っていました。
当時は、しょうゆ工場の中に駅まであったのだとか。

▼その4:キッコーマン総合病院
こちらは今でも野田市でキッコーマンが運営している病院、その名もキッコーマン総合病院。
設立当初は社員の福利厚生が目的でしたが、現在では野田市民にとってなくてはならない存在になっています。
なんとこちらの病院では院長から看護師まで全員がキッコーマンの社員なのです!

このように野田市と共に歩んできたのがキッコーマンでした。

そして、こちらが野田市にある「キッコーマン研究開発本部」。
100年以上の歴史を持ち、世界トップレベルのバイオ技術を持つ、すごい研究所です。
しょうゆ作りとは麹菌という微生物を使った、まさにバイオテクノロジーなのです。

おそらく日本で最も歴史のある研究所に潜入しましたが、残念ながら撮影はNG。
しかし、この方、2年前新開発の発酵酵素ルシフェラーゼの取材を受けてくれた服部憲晃さんでした。
今回も実験を見せて頂くことに!

ルシフェラーゼとは、ホタルの光の素となる酵素のこと。
この酵素の開発により従来は2、3日かかっていた雑菌などを調べる検査が、10秒程度で出来ることになり全国の保健所や全国給食会が衛生指導をする目的で使われています。
現在では全国500ヶ所の保健所が採用。さらには結婚式では光るシャンパンタワーなどにも利用されています。

そして、なんでもルシフェラーゼに負けないほどのすごい酵素が開発されたのだとか。
その名も「タンナーゼ」。
長く置いておくと紅茶やお茶は濁ってしまいます。
ところが、このタンナーゼをほんの少し入れるだけで6時間経っても全く色が変わらないのです!

どこのメーカーがこのタンナーゼを使用しているかはお答え頂けませんでしたが、大手飲料メーカーや食品加工会社などは使用しているそうです。
キッコーマンはこの分野でも儲かっているんですね!

そして、こちらではキッコーマン製品の官能評価が行なわれています。
官能評価とは、主に自社製品の味や香りを味覚に優れた研究員がチェックする商品開発には絶対欠かせないものです。
しかし、キッコーマンでは主婦のモニターの方達に官能評価を依頼しているそうです。

実際に会社の中にも社員の官能評価機関はあるのですが、社員だけの意見だとどうしても偏りが出てしまうので、主婦の方の忌憚ない意見が凄く重要になっているのです。
キッコーマンは研究所レベルで主婦の本音を商品作りに生かしているんですね!

▼引き続き、茂木友三郎会長にお話を伺いました。
進藤さん:やはりすごいのはバイオですよね?

A:バイオは将来が楽しみなんです。しょうゆはバイオ製品の中で1番古いものの1つで、しかもバイオ製品は割合利益率の高い商品が出る可能性がある。ただし開発費がかかるからいいことばかりでもないんです。

加藤さん:シンプルな経営哲学みたいなものはありますか?

A:私自身はこれからも新しいものにチャレンジしたいという気はあります。保守的になると人生は面白くないですよ!

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