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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2006年9月17日放送

特集

ワコール

ゲスト

(株)ワコールホールディングス 塚本能交 代表取締役社長

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ワコール誕生のヒミツ!

日本の女性下着メーカートップのワコール。シェアは国内No.1の27.1%で、独走状態。
年間売上げ1600億円!創業以来60年間、トップの座を守り抜いてきました。

そんな女性下着王国誕生のきっかけは、創業者故塚本幸一が偶然目にしたあるモノでした。

終戦の翌年、昭和21年。
戦場から命からがら帰ってきた塚本は、京都の叔父へ帰国の挨拶に訪れます。
その時商売人の叔父は、ネックレスを売りにきたセールスマンと商談の真っ最中。
「こんな時代にネックレスを買う女性なんておるんかいな?」。
ところが、「めちゃめちゃ売れとるんや」と、自信満々の叔父。
塚本は半信半疑のまま、自分もネックレスを仕入れ、販売訪問を開始しました。
これが何と、主婦や娘たちに飛ぶように売れたのです!

塚本は直感しました。
「女性というのは、どんなに貧しくても美しくなるためならお金を惜しまない??
そうだ、俺は女性を美しくするものを売ろう!」
この発想こそ、女性を美しくする会社「ワコール」の出発点でした。

そんなある日、一人の行商人が奇妙な形をした商品を売り込みにやってきました。
それはブラパット。
ピラミッド型に巻いた針金に綿をかぶせ、布でくるんだお椀状のもので、女性の服の下に入れると胸が膨らんで見えるというものでした。
この奇妙な商品は、どこへ売り込んでもあっさり追い返されていたのです。

しかし、塚本は違いました。「これはいけるわ!」。
ブラパットは、ネックレスと同じで女性を美しくする商品。
だったら売れるに違いない!
さらに塚本はブラパットを改良し、パットにひもをつけ、「乳バンド」として売り出すことに。
これが、面白いことにバカ売れ!

1949年には「和江商事」を設立。
日本初の量産ブラジャーを売り出したのです。

そして、世の中をあっと言わせる、全く新しい販売戦略を打ち出しました。
それは…下着ショーの開催。
当時、ブラジャーやランジェリーという言葉は一般的ではなく、使い方すら知らない人がほとんど。
そこで塚本は、下着でプロポーションが整っていく様子や、正しいブラジャーの着用の仕方をショー形式で見せていったのです。
もちろん、お客さんは女性限定。
これが、「美しくなりたい」と願う女性心理を突いて大成功!
ブラジャーはあっという間に全国区の商品になり、売り上げも大幅アップしたのです。

ワコール・大ヒット商品の開発秘話!

こうして、日本にブラジャーそのものを根付かせたワコールは、以後も様々な人気ヒットブラを連発!
そんな数々のブラジャーの中でも、わずか半年で120万枚というケタ違いの売り上げを見せた超大ヒット商品がありました。
それが…1978年に発売された「フロントホックブラ」。
ホックを前に取り付けたブラジャーです。

フロントホックブラ誕生の裏側には、ちょっとした偶然がありました。
それは、当時の新商品だった「ガードル」のポスター撮影の時。
そのガードルの特徴は、ヒップラインを美しく見せるというもの。
当然、モデルの後ろ姿をアピールした撮影となりました。
しかし、カメラマンからある要望が…バックショットのガードルをきれいに見せるために、急遽その上にあるブラジャーのホックをなくしてくれ、と頼まれたのです。
大慌てで後ろのホックをなくし、前にホックのあるブラジャーを撮影用に一つだけ作った坂東さん。
こうして、新型「ガードル」のポスターは完成しました。

ところが、これが店頭に飾られると…何と、一般客の女性から「あのブラジャーはどこで売ってるの?」と予想外の大評判に!
新商品のガードルではなく、大慌てで作ったブラジャーのほうが大反響となったのです!
そこでワコールは正式に78年「フリリブラ・フロントホック」を発売しました。
後ろ姿が美しく見えるだけでなく、簡単に胸もとでホックを留められるとあって大人気!
さらに、このフロントホックブラには、あるこだわりが。

ワコール ブランド事業部総合プロデューサーの板東敬子さんに話を聞きました。
「やっぱりこの音にもこだわりましたね。ちょっと恥ずかしいなって思いながら"パチン"って止めてるのって、可愛いじゃないですか」。

こだわったのは、この「パチン」という音。胸もとで"パチン"と止める仕草がかわいいと、女性だけでなく、世の男性のハートまでも鷲づかみ!
年間280万枚を売上げ、業界を騒然とさせる大ヒット商品となったのです。
女性が美しくありたいと願う限り、ワコールの躍進は止まる事を知りません!

▼さて、スタジオでは塚本社長にお話を伺いました。
ちなみに、社長から下着のアートでもある「ショーツ・フラワー」をプレゼントとして頂きました。

加藤:女性下着を扱うことについては抵抗ありませんか?
A:抵抗はありますね。下着自体が恥ずかしいというよりも、女性のお客さんが多い売り場に入りづらいんですね。先月売り場を30ヶ所回った際に、売り場の人に饅頭を持っていって、「一個食べたら2%くらい売上げを上げてね」と言いました(笑)

加藤:フロントホックブラは夢ですよね。画期的だったんじゃないですか?
A:画期的ではありましたね。前でとめるものなら何でも売れた時期でした。

進藤:お父様の後を継いだということですが、どういう方でしたか?
A:こわい。勉強しろとは一切言わないですが、だらだらしているのが嫌いな人だった。昔からよく言われたのが、何かあってトロンとした顔をしていると、「魚の腐った目をしてるな、お前は」と怒られました。

加藤:そう言われて、悔しいなと思いませんでしたか?
A:いや、言う通りだなと思いました。すごく素直なんですよ(笑)

進藤:継ぐことが決まった時、嫌だと思ったことはありましたか?
A:それはめちゃくちゃ嫌でしたね。社長の息子ということで優遇されることも嫌でしたし。会社に入り外回りから帰ってきたら、新聞に出てたんですよ、「10年後に社長を譲る」と。当時はまだ主任でしたから、「知りません」としか周りに言えませんでした。決まった以上はやるんだろうとは思っていましたが、何をやったらいいかと聞かれても何もありませんでしたから。とりあえず後で後悔しないように、やれることだけはやろうと思っていました。

加藤:一番重点に置いたことは何ですか?
A:やれることを増やしたこと。今できることしかやらなかった。人の話を聞いたり、いろんなことをしながら、手数を増やしていきました。
加藤:なるほど、独特の哲学がありますね〜

王者ワコール 開発の現場 新たな儲かり戦略

数々のヒット商品を連発する女性下着メーカーの王者、ワコール!
そんなワコールにはヒット商品を生み出すスゴイ施設があるんだとか。

向かった先は、美の研究所でもあるワコール人間科学研究所。
篠崎彰大所長にお話を伺いました。
こちらは小さな研究所ですが、やっている事がスゴイ!
子供からお年寄りに至るまで、何と40年も日本女性のカラダを測り続けているんです!
その数、延べ35000人以上!
しかも、一人の女性のサイズを何年にもわたって計測しているんだとか。

Q:あの方は今何をなさっているんですか?
A:一人の女性から、158ヶ所を測っています。

マルチン式計測法と呼ばれる世界共通の人体計測法では、人体の158ヶ所を測ります。
バスト部分だけでも50項目以上。
こうした計測を年齢別に記録する事で、どんな体型にもフィットしやすい商品の開発に役立つんです。
現在では「三次元計測装置」も使用。
カラダの輪郭線や断面図など、様々なデータ約4万点が瞬時にコンピュータにインプットできるのです。

ちなみに篠崎所長、35000人もの女性を測って来た研究所の所長ともなれば、一目見ただけでボディサイズが分かってしまうのだとか!!
計測の達人の目に狂いはありません!
集められたデータを元に作られたのが、日本女性の20代と40代の平均的なカラダを再現したもの。
しかしコレ、ただの模型じゃありません!
形だけではなくて、実は柔らかさも再現しているのだとか。

これがワコールのヒミツ兵器、人体模型ソフトダミー!
試作品のブラジャーの"たるみ"や"締め付け"具合などをテストできるんです!
肌の感触を忠実に再現すると、40代のバストは"寄せて上げる"事が簡単なのに対し、20代のバストは張りがあって、寄せにくい事が分かるんです!

ちなみに、ソフトダミー一体の値段は、何と3千万円もするのだとか!!
ちょっと高いですが、売り上げには確実につながっているヒミツ兵器なのです。

そんなワコールの研究所が開発したのは…歩くだけでシェイプアップできる、「おなかウォーカー」。

今年七月に発売以来、売り上げ急上昇。
ポイントはこのY字構造。自然に腰のひねりが大きくなった歩き方に変わり、腹斜筋を鍛えお腹が引き締まるんだとか。
美しいカラダに"見せる"商品から、美しいカラダを"作る"まで進化したワコールは、女性下着の文化革命を断行中です!

ワコールの新しい戦略とは!?

下着業界トップを独走中のワコールも、様々なライバルの登場に油断はできません!
業界2位の「トリンプ」も若者をターゲットにした低価格戦略を展開!
そこで、ワコールも新しい戦略で迎え討ちます!
高級ブランド店が建ち並ぶ通りにある、銀座の「ワコールディア」は、そんな新戦略の一つ。
他社の低価格戦略とは真逆に、一着数万円もする高級下着で勝負!

さらに、お店にはスゴイサービスがありました!
案内されたのは、14平米ものフィッティングルーム。
ホテルの一室と見まがうほどの広々空間!しかも、コンシェルジュがご接客。

渋谷にあるワコールの直営店「ブールマルシェ」のキーワードは「男」。
一見普通の下着屋さんのようですが…よく見ると男性客が多い!!

Q:どうして男性客が多いんですか?
ブールマルシェ店長 小林智絵さん:男性客が気にするような、いかにも下着屋を思わせるマネキンが少ないんです。

男性の目のやり場に困るのが、下着を着けたマネキン!
そんな男性に配慮し、マネキンがほとんどないんです!
それに加え、何と正面の入り口の他に、人通りの少ない裏口を設けたんです!
そこには、男性客用の商品も並び、恥ずかしさを感じさせません。
このように男性客を呼び込む事で、売上げアップを狙っているのです!

新しい戦略を展開するワコール。業界トップの座は、当分揺るぎそうにありません!!

さて、スタジオには1体3千万円の人体模型ソフトダミーが用意されました。
加藤さん・進藤さんがさわってみると…「うわぁ〜」「これはすごいわぁ〜」と感動のご様子。

進藤:商品開発は男性もなさるんですか?
A:やはり女性が多いです。でも、男性のデザイナーもいますよ。

加藤:社長は「もっとこうした方がいいのでは」と商品開発に口出しするんですか?
A:僕は何も言いません。出来上がったものは見ますが、いいか悪いかを判断したり、口出しすることはありません。分かりませんから(笑)

加藤:でも、社員が商品を作っていて「どっちにしようか迷っているんですが、社長どっちがいいですか」と聞かれることはないんですか?
A:ないです。素人に聞いても仕方ないと思うからじゃないですか(笑)社長が何か言ってしまうと、周りの社員が合わせようとするんですよね、だから僕は何も言いません。

加藤:でも、逆にそれはいいことですね。
A:知らないから逆にいいと思ってるんですよ。僕は物を作る経験もないですし、下着のことは何も分かりません。だからいろんな機会に女性から話を聞いて、素直にそれを伝えられるんです。いいデザインをした人たちを年間で表彰したり、宴会したり。地方に行っても宴会したり、と。

加藤:宴会社長ですね(笑)
A:宴会は大事だと思います。地方に行って「ご苦労さん」という宴会をするのに、本社の役員が飲んで座っている時に、社員の皆さんが僕のところに酒を注ぎにくるんですね。でも、それでは彼女らがホステスになってしまう。だから、とりあえず上座に座っているけど、僕が注ぎに回る。そうすると、彼女らが主役になる。極力少人数で全員と話せるような雰囲気を作るようにしています。彼女らが主役その気になってくれるような晩餐にするように努めます。本当に頑張っている人を中心にして権威力を持ってもらうことが、我々の仕事だと思います。
加藤:今の発言を聞いて、社長を魅力的に感じましたね〜

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