過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2006年9月3日放送

特集

大きいモノ業界

ゲスト

南海キャンディーズ・森永卓郎さん(経済アナリスト)

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ショベルカーとタイヤ

建設用機械の総合メーカー、日立建機株式会社の土浦工場でとんでもなく大きいモノを作っていると聞いて、訪ねてみました。
何を作っているのかというと…そう、ショベルカー!!
大きいものになると、EX1900の190tクラスになるんだとか。

こんな巨大マシーンに、今世界中から注文が殺到しているんです!!
でも、日立建機にとってこんなのはまだまだ小さいクラス。
ここでは、モンスターと呼ばれる世界最大級マシーンEX8000を作っているのです。
街の建設現場でよく見かけるショベルカーと比較してみると…

アームを最大に伸ばした時の高さは、20.5m!
大きさをインド象と比べてみると重量はインド象1100頭分(800t)!
一回で11tトラック6台分の土砂をすくってしまうんだとか。
まさにモンスターマシーンなのです。05年の頭に発売を開始。

Q:主にどこで使われているのですか
A:カナダ、オーストラリア、インドネシアの鉄鉱石や石炭の採掘現場で用いられています。

ここ最近世界的な原油や鉄鋼の不足で、150t以上の大型ショベルの受注がうなぎのぼり!
工場はフル稼働状態で、生産が追いつかず大型ショベルは今注文しても、2年待ちなんだとか。

ショベルに一番大切なのは、稼動を確保できる信頼性。
ショベルカーが止まってしまうと、後の作業がすべて止まってしまうのです。
人は交代しても、機械は交換しないので、24時間フル稼働なんです!
このモンスターEX8000は2台がカナダで活躍中です!
国内の工場では大きすぎてスペースがないため、今現地で組み立てている真っ最中なんです!
気になるお値段は、一台10億8000万円。

そして、超大型ショベルカーですくった石炭や鉱石を運ぶのが、超大型ダンプカー。
この超大型ダンプカーには最大で300tの積荷を運ぶことが出来るものもあるんです。
なんと、街でみかける11tトラック30台分にもなるんです!

そんなとんでもない重さを支えているのが、これまたとんでもない大きさのタイヤ!
世界に誇る日本のタイヤメーカー、ブリヂストンが世界最大のタイヤを作っていました!
それがこちら!!

一本の重量は5.1tと、4.1tトラックを軽く越えちゃっています!!
現在、世界の鉱山で走る超大型ダンプトラックのタイヤとしてこのタイヤに注文が殺到して、生産が間に合わない状態にあるんです。
お値段は一本400万円以上。
世界的な原油や鉄鋼の不足は、以外にも日本の大きなモノづくり企業にとって儲かりの追い風となっていたのでした!

▼スタジオにてお話を伺いました。
加藤:山ちゃんどうですか。
山ちゃん:いや、すごいですね。若干悪ふざけぐらいの大きさですしね(笑)

加藤:やはり、需要があるんですか。
森永:中国やインドが経済成長しました。モノを作るには鉄が必要なのですが、鉄鉱石が足りないので、どうしてもあのようなパワーショベルやダンプカーが必要なんです。ところが大型建機を作って欲しいといわれても、それを作るための鉄鋼がないという悪循環が続いていたのです。しかしここのところようやく注文に応じきれるようになってきたんです。

進藤:ここで問題です。モンスターショベルの最高時速は何キロでしょうか?
正解は…、最高時速2キロなんです!!

ロケットと風力発電用風車

日本の大きいモノ業界のトップランナーといえば、三菱重工業。
巨大客船や飛行機のエンジンなど、世界をまたにかけ、ありとあらゆる大きなモノを作っています!
中でもとびっきり大きいモノを見せてもらうためにやってきたのが、愛知県の飛島工場。

厳重なチェックを受けた後、工場長の野田さんに案内してもらうことに。
そう、ここでつくっているのは、純国産H-II Aロケットなんです!!

直径は4.5m。完成したロケットの全長は50m!
こちらの工場では、先端についている人工衛星以外のすべてのパーツを作ってます。
これまでは、国家事業として数多くのメーカーが技術を持ち寄り作られてきた国産ロケット。
しかし、生産コストなどの見直しにより、現在は、開発・製造・打ち上げまですべてを三菱重工が仕切っているんです!

Q:国産ロケットの実力はどのくらいですか
A:世界でNo.2です。やっぱり一番はアメリカです。

▼H-II Aロケットのここがスゴイ:1 軽く強く
ロケットの場合、300tあっても上に乗る人工衛星は数トンなので、機体のほとんどが燃料タンクなのです。
この燃料タンクをいかに軽く丈夫に作るかが、ロケット屋さんの腕の見せ所。
直径4、5mのロケットの外壁の厚さは、なんと2mm。
極限までの軽量化と圧力に耐える強度が求められる超ハイテク技術なのです。

▼H-II Aロケットのここがスゴイ:2 驚きのエンジンパワー
東京?名古屋を40秒で通りすぎてしまうほどのパワーをもつエンジン。
その最高速度は秒速10km(マッハ3)なんです!
エンジン部分を見せてもらおうとしましたが、国としての重要機密ということで断られてしまいました。

現在は2機のロケットを製造中で、年間としては3機の製造が精一杯なんだとか。
三菱重工では今年から民間へのロケット販売を開始。
購入から発射するまですべてお任せでそのお値段は50億円なり!!
そしてこの会社にはこれからの儲かりが期待される大きいモノがありました。
横浜の三菱重工工場敷地内に建てられた日本最大の風力発電用巨大風車。

ブレードと呼ばれる羽根の長さは92m。地上からブレードの先端までは116m。
横浜山下公園のマリンタワーより大きいんです。

出力は日本最大の2400kw!
普通の家でいうと、1200〜1400軒分くらいの電気を作っています。
1200世帯分の電力を一年間賄うと、ドラム缶にして6000本の石油が浮くことになるそうです!!
でも台風などが来たらどうなってしまうのだろう…と心配になりますが、日本のメーカーなので、大きな台風などが来てもいいように丈夫に作ってあるそうです!!
1980年、中古のヘリコプターのプロペラを使って小さな風車を作ったのをきっかけに2000台以上の風車を製造し、世界中に販売しているのです!
国内では、三菱の風車も含め1000台の風車が稼動していますが、総電力需力の0.1%を賄うのみ。
しかし風力発電は、CO2を出さないクリーンなエネルギーでありながら、経済性にも優れているのです!!
昨年2月の京都議定書の発行で、何が何でもCO2排出量を減らさなければいけないのです!!
まさにいま、風力発電に追い風が吹いているんです!!

加藤:風力発電は、日本ではもう下火になっていると思っていました。

森永:今まで日本では、あまり普及していませんでした。それには二つ理由があります。一つ目は、地形です。日本には山が多く、風が安定して吹かないのです。もう一つは、台風・落雷が多く、環境が厳しい中で動くモノを作らなければならなかったことです。それを解決したのが日本のメーカーなんです。

プラズマテレビと巨大水槽鑑賞用パネル

がっちり取材班は、世界一大きい薄型テレビが発売されると聞いて、大阪へ!
やってきたのは、松下電器のショールームへ。
なんと世界最大103インチプラズマテレビが!!

横2.3m、たて1.3mと、セミダブルサイズのベットに匹敵するんです!!
もちろんテレビの画像規格でもっとも高画質なフルハイビジョンに対応!
家庭用のプラズマテレビとしては、これ以上の大きさのモノを作る予定は当面ないという松下電器さん。
気になるお値段は、600万円!

あのギネスブックに、世界一大きいと認定された巨大水槽観賞用パネルが、沖縄の美ら海水族館にあるんです。

7500tもの水圧に耐える素材は、ガラスではなくアクリルパネルなのです。
高さ8.2m、幅22mと畳120畳の大きさで、厚さは60cmなんだとか。
そのアクリルパネルを作ったメーカーが四国の香川県にあると聞いてやってきました。
そのメーカーは、株式会社日プラ。
従業員80名の小さな会社です。

さて、どのようにしてその水槽を作っているのでしょうか…
まずは厚さ4cmのアクリル板を削って表面を平らにしたら、透明感を出すために、ダイヤモンドで磨きます。ここからがポイントで、水圧に耐えられるようこのアクリル板を何枚も重ねて、日プラが開発した、アクリル板と全く同じ屈折率をもつ接着剤ではり合わせていきます。

この技術によって、20枚以上のアクリル板を重ねても、アクリル板の下にある手がくっきりはっきり見えちゃうんです!!

工場で社長を発見したので、質問してみました。

Q:スゴイ技術ですね。
A:われわれにしてみたら、当たり前の技術なんです。「あれには苦労しました」なんていっているようじゃ、世の中には出せません。

Q:この先大手のメーカーが参入してきたらどうしますか。
A:大丈夫です。われわれはとにかく一つのモノを受注すれば、最初の1から100まで全部われわれの手で納めていく、中小零細企業なんです。しかし大手のような下請け企業をいかに使うかということを考えている企業がわれわれと同じ事をやったとしても成功しないと思うのです。

確かに小さい会社ながら、昨年第一回ものづくり日本大賞で内閣総理大臣賞を受賞。
日プラがこれまでに手掛けた巨大水槽は120件!
世界40カ国と直接取引きして、全世界の巨大水槽のシェアの70%を獲得しています!

▼引き続きスタジオでゲストに質問しました。
森永:アクリル板を重ねているとは思いましたが、同じ屈折率の接着剤を使っているとは思いませんでした。そこが肝ですね。

進藤:あの製造法は、他社が絶対にまねできる方法ではないということで、特許を取っていないそうです。

森永:特許をとると、技術を公開しなければいけないので、ものすごく技術に自信があれば、ノウハウとしてためておいたほうがいいですよね。そっちの方が、独占企業になれますから。

加藤:プラズマテレビもありました…103インチはどのくらいはなれてもみえるんですかねえ。

進藤:あのテレビは、学校、病院、ホテルからの受注があるそうです。

森永:電器メーカーは、実際今売れ筋の50インチのモノを売りたいんです。103インチのテレビは、置ける家がほとんどないんです。ですが、大きいテレビをお店で50インチのものの隣においておくことで、お客さんが、50インチでいいじゃんと納得して買ってくれるんです。

進藤:大きいものを作るためには、やっぱり日本ならではの細かい技術が支えているんですね。

森永:大きいモノを作れるのはハイテク企業なのです。

進藤:今後大きくなったらもっと儲かるものはなんですか?

森永:カニです。食べる時にものすごく手がかかりますよね。特に小さいと一生懸命むいてもすこししか食べられないですし。カニは大きくなると極端に値段が指数関数的に上がるんです。ところが今カニの養殖技術では大きいカニが育てられないんです。まだ自然界のカニを超えられていないのです。だから、大きいカニを養殖できたら儲かりますね。

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