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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2006年8月13日放送

特集

ヤマト運輸

ゲスト

ヤマト運輸(株) 小倉康嗣 代表取締役社長

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便利を追求!クロネコヤマト

お中元、お歳暮など、今や私たちの生活に欠かせない宅配便。
年間配送個数はなんと、11億2千万個!そんな宅配便業界でトップを走り続けているのが、クロネコマークでお馴染みのヤマト運輸!

売上高は1兆1千億円!
経常利益は687億円と、飛脚くんやペリカンちゃんをおさえて堂々の第1位!

しかし、なぜこれほどまでに躍進できたのでしょうか?
そこには、クロネコのあくなき挑戦と戦いの歴史がありました。

宅配便業界の王者、クロネコヤマト。
その歴史は意外に古く、今から87年前の大正8年に「大和運輸」として創業しました。
関東一円の荷物を運んでコツコツと業績を伸ばしていましたが、戦後は長距離トラック輸送への参入が遅れ、苦しい経営が続く中小企業でした。
そんなヤマトを1973年、大ピンチが襲います。
それが、オイルショック!
ガソリン価格の高騰で輸送コストが急上昇。
中小企業のヤマト運輸はひとたまりもなく、あっというまに倒産寸前の大ピンチに!
この会社のガケッぷちに社長へと就任したのが、創業者の長男である2代目社長小倉昌男。
この小倉社長は、就任するなりとんでもないことを宣言します。
「もう大口はやめる。ヤマトは小口便だけでいく!」。

当時運送会社の儲けの大半は、企業から出されるたくさんの荷物をまとめて輸送する大口便。
家庭から出る個人の小さい荷物である小口便は、数が少ない上に手間がかかり儲からない、というのが業界の常識でした。

しかし、小倉社長は考えました。
「お客さんは、小口便が不便だから使わないだけだ。便利にすれば、お客も荷物も絶対増えるはずだ!」
そう、便利にすれば儲かる!!

小倉社長は反対する周囲を押し切り、日本で初めての本格的宅配便サービスをスタート。
それが、「クロネコヤマトの宅急便」です。

では、一体何をどう便利にしたのでしょうか?
小倉社長は、業界の常識を覆す二つの便利サービスを打ち出します。

▼便利その1 「とにかく早いネコ」
とにかく着くのが遅かった当時の荷物。昔の小包は、地方へ送ると一週間以上かかった事もありました。
東洋大学教授経済学博士の松原聡さんに話を聞くと…
「郵便は次の日で届かないと困るけど、荷物はそんなに緊急性が無いので2〜3日で届けばいいという程度のニーズしかなかった。競争相手もいない訳ですから、みんながそんなものだと思っていたんですね」。

このように、荷物は手紙より遅く着くのが当たり前でした。
ところが、ヤマトが打ち出したのは「全国どこでも翌日配達」!これは便利ですよね。

▼便利その2 「どこでも取りに行くネコ」
重い荷物をいちいち窓口に持っていくのはとても不便。
そこでヤマトが始めたのが、「電話一本で集荷」!
今では当たり前のサービスも、実はヤマトが始めたものだったのです。
今までになかった超便利なサービス「宅急便」は、あっというまに大人気!
初日、たった11個の荷物でスタートした宅急便は今や、一日約300万個の荷物を運び、年間約7370億円の売り上げを上げる巨大儲かりサービスへと成長。
今や「小口便」や「宅配便」というより、「宅急便」という言葉の方が一般的なほど!
あの名作アニメ「魔女の宅急便」も、もともとヤマトの商標登録とは知らずに作られていたんだとか!

さて、そんなクロネコの便利さを支えているのが…セールスドライバー!
なぜただの「ドライバー」ではなくて、「セールスドライバー」なのでしょうか?

もともと運送会社の運転手といえば、「トラック野郎」と言われるほどの荒くれ者の代名詞でした。
そのため、荷物をくれるお客さんとは営業部の人間がやりとりしていました。
これをクロネコヤマトは大転換!
営業部をまるまるなくし、ドライバー自ら営業を行う一人二役に。
誕生したのが、セールスドライバー!
人件費が節約できる上、普段荷物を運んでいるドライバーがチラシを配ったり、御用聞きをしたほうが効率的だし、お客さんも安心。
まさに一石二鳥のアイデアなんです。

世田谷深沢5丁目のエリアを担当するセールスドライバー暦4年の田制亮太さんの仕事を追ってみました。
配達だけでなく、お客さんとの会話も忘れないのがセールスドライバーの仕事。
お客さんとなんとも軽快なセールストークをしているご様子!

一方、原宿のエリアを走り回っているのは、セールスドライバー暦2年の渡部雅史さん。
一日100個以上の荷物を運んでいるそうです。
その渡部さんの仕事ぶりを追ってみると…走る走る、とにかく走る!
そんな渡部さんにとって大事なのは、何より時間を守ることなのだとか。
「配達の時間に間に合わないとちょっと負けた気がするっていうか…個人的に(配達は)戦いですね!』
渡部さんにとってセールスドライバーとは、まさに時間との戦いなのです!

便利を追求!クロネコヤマト

さて、お客さんを便利にして儲けるクロネコ。
世の中の隠れた不便を見つけて次々と便利にしていきます。

▼ヒミツその1 儲かるネコは何でも運ぶ!
おじさんが重そうに持っているゴルフバッグを発見!
そこで1984年、「クロネコヤマトのゴルフ宅急便」。

そして88年には、生モノを送りたいおばあちゃんを発見!
そこで「クール宅急便」。

さらに、地方のヤマト社員が発見したこんな不便も!
リンゴの名産地、長野県。長野営業所の一番の収入源はもちろん、リンゴの配送。
しかしリンゴのシーズンの秋が終わり、冬になると暇になってしまいました。
困ったヤマト社員がふと観光バスに目をやると、そこにスキー板を重そうに担いで歩くスキーヤーの一行が!
その時のひらめきで生まれたのが、「スキー宅急便」!
重たいスキー板を代わりに運んでくれるスキー宅急便。
早速サービスを始めてみると、これが予想を超える大人気!
なんと初年度だけで年間およそ25万個も配達したのです。

今やスキーヤーに欠かせない「スキー宅急便」は、隠れた不便を見逃さないヤマト社員のクロネコ魂のたまものだったのです。

さて、クロネコのお仕事に欠かせないものといえば、お馴染みとなったウォークスルー車という名の配送車。
一見フツーの軽トラに見えますが、実はクロネコの工夫がぎっしり詰まった、アイデアのかたまりなんです!

▼ヒミツその2 儲かるネコはアシが違う!
たとえば、外から見えない隠れた窓。
それは助手席の床にありました。
この小窓、その名も「ネコ窓」。

何でこんなタイヤしか見えない所にあるかと言うと、車が動く時に見えにくい障害物にタイヤが乗り上げないかを簡単に確認できるからです!
そして、運転席から荷物を取りに行く時に助手席を折りたたんで行けば、危険な車道に出る事なく車内をスイスイ移動できるんです!

助手席側には2段のステップを設け、腰を曲げる事なく乗り降りもラクラク!
荷台の下には台車を収納できる台車収納装置付きで、荷台のスペースを広げる事に成功!
他にも実に12ヶ所以上もの独自の工夫が、随所に散りばめられているのです。
安全で効率的な究極の配送車なんです!

ところが、最近ウォークスルー車と全く違う最新型の配送車をヤマトが開発したとの情報が!
街角で張り込んでいると…あれれ?
失礼ながら、これはどうみても昭和の香り漂う、いわゆる「リヤカー」。
何を隠そう、このリヤカーこそがクロネコの最新スタイルなのです!

自転車は、よく見ると電動!これなら荷台が重くてもラクラク。
もちろんクール便にも対応しています。
そして荷台を見ると、屋根が斜めになっていますが…
これは、雨の日に水が溜まらないように、雨が流れ落ちるようになっているのだとか。
さらに横からも開ける事ができるので、荷物を濡らさない工夫が!
小回り抜群で、車が通れない道もスイスイ!
しかも、この最新リヤカーの完成を待っていたかのように、駐車違反に厳しい新しい道路交通法が施行されました。
しかし、自転車だからまったく問題なし!と、まさにいいことづくめ。

お客さんが便利になれば、かならず儲かる。
ヤマト運輸成功の裏側には、どこまでも「便利さ」にこだわり工夫をし続ける、あくなきクロネコ魂があったのです。

▼さて、ヤマト運輸の儲けのヒミツについて学んだところで、スタジオでは小倉社長にお話を伺いました。
Q:小倉社長は昨年45歳の時に、祖父・父がやっていた会社の社長に就任なさったということですが、プレッシャーなどを感じることはありませんか?
A:ありますね。会社は大きくなって、今社員は全国で13万人を超えています。
規模が大きいということは、それだけプレッシャーになりますね。

Q:最終的には配送車はリヤカーとして進化するんですね。道路交通法が新しく施行されることを知った時点でリヤカーの導入を決めたのですか?
A:そうではなく、ずいぶん前から始めています。何度でも集配に来てほしい、きめ細かく荷物を届けていくということを実現するにあたって試行錯誤しているうちに、お客さんの中に小さな営業所を出して自分の足で何度も行けるように工夫しました。

Q:営業所の話が出ましたが、ここ最近は拠点を細分化していて、その結果トラック1200台が不要になったとのことです。

A:2300店舗を3300店舗に分割して、1200台のトラックを削減することで営業所を細分化しました。一つの営業所で大体半径500メートルをカバーしています。それくらい小さい範囲なんです。500メートルだったら、リヤカーの方が便利になります。

Q:そしてヤマト運輸には、「業界初」のサービスがたくさんありますね。「時間帯お届けサービス」や「ご不在連絡票」、「宅配ロッカー発送サービス」、「お届け予定eメールサービス」、「超速宅急便」、「パソコン宅急便」など便利なサービスがいろいろあります。ですが、他社がことごとくそのアイデアを真似していますよね。腹が立ちませんか?
A:真似されているという感覚はないですね。競争の中ではごく自然のことだと思います。

戦うクロネコの歴史

今や、日本最大の宅配サービスへと成長したクロネコヤマト。
その道のりには、さまざまな障害がありました。
なかでも一番の障害は…なんとお役所。
クロネコの歴史は、実はお役所との戦いの歴史だったのです。

▼戦うクロネコRound1 VS運輸省
宅急便の全国のネットワーク完成にかかった歳月は、なんと15年。
ずいぶん長くかかっていますが、その原因となっていたのが運輸省(現在の国土交通省)でした!
そもそも、運商業者が全国各地、町から町へと荷物を運ぶためには、運輸省が交付する路線免許が必要でした。
「全国どこでも…」のサービスを目指すクロネコも、もちろん申請しました。
ところが、これがほったらかしに。なぜそんな事になったのでしょうか?

このことについて、東洋大学教授経済学博士の松原聡さんは次のように説明しています。
「地元の運送事業社がヤマトに対して免許を出すことをすごく抵抗したわけですよ。旧運輸省は地元の言う事を聞いちゃったんですね。だからヤマトが免許をくれと言ってもなかなか免許を出さない!ある種意地悪をして、地元の言う事を聞いたために出さなかったんですね…」。

あまりにも理不尽なこの状況に、クロネコが怒った!
1986年、自らの監督官庁である運輸省の大臣を相手に「不作為の違法確認の訴え」をするために裁判を起こすという、前代未聞の戦いを始めたのです!
免許の申請を5年も放置した理由など、お役所が説明できるわけもなく、4ヶ月後にはあっさり免許を交付。
不公平な条件なら、自分の会社の監督官庁でも訴える。
つまりクロネコヤマトは、曲がった事が大キライな戦うネコなのです!
ところが、そんなクロネコの前に、またまた新たな「不公平」が!

▼戦うクロネコRound2 VS総務省
宅急便の取扱店は全国におよそ30万ヶ所、その中で12%をしめているのがローソンやセブンイレブンなどのコンビニチェーン店でした。
そこへ2004年、郵政公社がローソンでも「ゆうパック」の取扱いを開始すると発表!
これにクロネコが怒った!

郵便局の配送車は駐車違反にならない、公的機関だから税金を取られないなど、民間に比べて様々な面で優遇されている郵政公社。
これで民間とライバル争いするなんて「不公平だ!」というわけで、郵政公社を相手取り、裁判スタート!

さらに、ヤマトは全国の新聞紙に数億円もの広告費を投じて意見広告を掲載。
「ヤマト運輸は郵政公社との競争に賛成です。但し公正ならば」。

そんな熱いヤマト運輸、最近では新しい儲かりのタネが生まれようとしています!
近年、運送業界が熱く注目しているのが、「メール便」!
クロネコヤマトでも、その取扱い件数は17億3千万冊!売上高はおよそ1205億円!
すでにメール便は、宅急便に次ぐ儲けの柱なんです!

郵便なら120円のA4サイズが、クロネコメール便なら80円と、40円もお得!
さらに、日経ビジネスなどの雑誌の発送を担当している新井宏邦さんに聞くと、「クロネコメール便ですと、郵便と違って休日も配達して頂ける上、配送状況の確認もできるようになっているので、とても安心してお任せすることができます」とのこと!

クロネコメール便がどうしてそんなに儲かるかというと…まず何より量が多い!
このメール便利用者の9割以上が、企業のダイレクトメールや通販のカタログ。
しかもその数は、年々増加中!
配達するのは宅急便と同じセールスドライバー。
手間は変わらず、お客だけが増えるので儲かるのです。

しかし、そんな儲かるメール便でもクロネコが運べないものがありました。
それは「信書」、手紙やハガキのこと。
郵便法第五条によって、郵便局以外は個人から個人への手紙は運べない、ということになっていたのです。

ところが、2003年。新しい「信書便法」の施行によって、民間企業もお手紙を運ぶ事ができることに。
ついにクロネコさんもお手紙を運べるぞ〜!ところが…

引き続き東洋大学の松原さんにお話を伺うと、「法律では入ってもいいのですが、ヤマトが10万本のポストを作らないといけない事になっていますから、事実上入れないんですよ。そこが決定的な両者の対等な競争ができていない原因なんです」。

まだまだ不公平なお手紙ビジネスの世界。
クロネコは新たなる戦いを始めるのでしょうか?

▼スタジオで、早速社長にお話を伺いました。
Q:VTRにもありましたが、信書、いわゆるお手紙についてはどうなさるおつもりですか?
A:法律もいろいろ変わってきたので、やろうと思えばできると思います。ただ、例えばポストを10万本作らなければならないなどの制約があるので、残念ながら今我々はそれをやっていません。

Q:今後取り組む予定はあるのですか?
A:恐らくポストを作った方はヤマト運輸を思い浮かべていたのだと思いますが、でももし10の業者がポストを作れば、日本中に100万本のポストでいっぱいになりますからね(笑)今はその予定はありません。

Q:お役所と戦わなくてはいけないことを「怖いな」とお感じになったことはありますか?
A:うちの会社はもともとそのようなDNAがありますから(笑)お客様を見て便利なサービスを追求していくことを優先した場合には、自ずと戦うという策を使うことはあります。解決策があれば、逃げずにやっていくということです。

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