過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2006年6月18日放送

特集

儲かる小さい部品

ゲスト

伊藤洋一さん(住信基礎研究所 主席研究員)・中澤裕子さん

■放送内容をシェアする

携帯電話の小さな部品でがっちり!

まずは、携帯電話の小さな部品で儲かっている三社の企業をご紹介します。

(1)神奈川県の(株)シコー技研。
こちらでは、直径2.8mmの世界最小の部品を作っています。
実はこれ、バイブレーション機能で振動を起こすためのモーターなのです。
高速回転することで振動する仕組みになっています。

世界中にマナーモードが広まったのは、モトローラに白木学社長が売り込んだのがきっかけ。
その後モトローラに続いて、インテルやノキアなどが次々と採用。現在では世界の携帯電話の約半分にシコー技研のモーターが入っているのです。
白木社長によると、車内での「マナーモードに切り替えて下さい」というアナウンスは、「シコーに切り替えて下さい」ということなのだとか!

そしてシコー技研の商品に、注文(クレーム)が多いのは、やはり日本のメーカーとのこと。
特にソニーは、品質を徹底的にするために一番多いんだそうです。
バイブ機能で時刻を知らせる時計、計測終了を振動で伝える体温計、振動で臨場感を伝えるゲーム機やヘッドフォンなど、様々な商品をシコー技研のモーターが揺らしています。
そんな世界最小モーターを開発した白木社長の夢…それは、「バイクで世界に出たHONDAのように、バイクで世界に飛び出す!」ことだそうです!!

(2)続いては、(株)ストロベリーコーポレーション。
こちらで作っているのは、ちょうつがいを意味するHinge(ヒンジ)。

一見地味に見える小さな部品ですが、折りたたみを自由自在にするためにノートパソコンやビデオカメラなどにも使用されています。
その世界シェアは50%、売上100億円!!
このヒンジは、微妙な開け閉めの強弱をつけたりゆるみを防ぐために8つの小さな部品でできています。

それら一つ一つをストロベリーコーポレーションでは手作業で組み立てます。
だからこそ世界中のメーカーに安心を与え、信頼されるという訳なのです。

(3)続いては、精密部品業界最大手のアルプス電気。
1948年の創業以来、小さな精密機械を作り続け、今では家電、車、パソコン、携帯電話など世界中でアルプス電気の部品が大活躍。売上は6500億円!
アルプス電気で最も売れているシェア世界一の商品を見せて頂きました。
それは、携帯電話などで使われる、幅1cm・4mmの小さな部品。
実は、携帯電話の側面に使われるスイッチだったのです。

携帯電話以外にも、AV機器などの操作ボタンに使われ、年間生産量は100億個!
世界のおよそ半分のスイッチをアルプス電気がまかなっています!
電気製品自体が小さくなっていく世の中なので、次々に新製品を開発していかないと遅れをとっていくという現状があるのです。
そして今年、アルプス電気は世界最小のスイッチの開発に成功しました。
それは、縦3.5mm、横3.55mmの小さな部品。何と、米粒よりも小さいのです!
従来のスイッチよりも0.4mm小さいのですが、このわずかな差が他のメーカーとの差につながっていくのです。

創業から60年、アルプス電気の熟練の職人が金型から製品を作ることで技術を培っていきました。携帯電話の番号ボタンにも、老舗ならではの独自のアイディアが。
それがこの小さな3つの点。

普通は、スイッチの真ん中を押すと1点だけで電気が通る仕組みになっています。
ところがアルプス電気のスイッチには電気を通す点が3つあるので、そのうちの1点にほこりがついても他の2点で電気を通すことができるのです。
仮に2つの点に埃がついていても、残り1つの点があるので大丈夫。
また今までの分析からすると、ゴミは1ヶ所に集中しやすい分析結果があるので、3つの点全てに埃がつくことはまず考えられないのだそうです。

こんな優れた技術を持っているアルプス電気。
「でも、もし真似されたらどうするんですか?」と質問すると…
「そのためにも、次の新しい技術をどんどん導入していきたい」という前向きなお答えが!
今後のさらなる開発に注目したいですね。

さて、携帯電話の部品で儲かっている企業の取り組みを見たところで、スタジオでゲストの方と対談しました。
伊藤さん:最近の小さな部品はどんどん中に入り込んでいるので、一般受けしない面もあります。でもこれらがなかったら世界中の携帯電話はできなかったので、日本メーカーの威力を感じます。

加藤さん:携帯電話のちょうつがいもスゴイですね。昔の携帯電話はちょっとのことですぐに壊れてしまうことがよくありましたが、最近は頑丈になってきています。この携帯、ある程度のところまでいくとカチッと開いたり閉じたりするという気持ちよさがたまらなくいいですよね!(笑)

進藤さん:アルプス電気のスイッチが使われている家電製品は、テレビ、リモコン、DVDプレーヤー、ミニコンポ、ノートパソコン、携帯電話、電話機、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、乾燥機などなど。一日に絶対何回かはアルプス電気のスイッチを押してるという計算になりますね。

中澤さん:たった数mmの差でも大きく変わってくるということを考えると、すごいですよね。

伊藤さん:最近は中国やインドが進出するとはよく言われますが、こういう分野で日本ががっちりやっていけば可能性は広がると思いますね。

世界最小のロボットとサイコロ!?

(4)ミクロの世界を操るスゴイ男がいるということで、訪れたのが名古屋大学。
名古屋大学工学研究科マイクロシステム工学、生田幸士教授に見せて頂いたのは、開発真っ最中の世界最小医療手術ロボット「ハイパーフィンガー」。
人の手が届かない臓器の裏などでも、繊細で複雑な手術を可能にする医療手術ロボットなのです。

米手術ロボットはとにかく巨大で場所をとって大変ですが、教授は小型化によりお医者さんの使いやすさを実現しました。
生田教授は、さらにとんでもなく小さい医療ロボットの開発に成功しました!
それは、特殊なプラスチックで作った1000分の1ミリサイズのマイクロ医療ロボット。
操縦かんを握ると、ロボットが動くのです!

レーザー光線という光のエネルギーでモノをつかんで動かすという方法で、マイクロロボットを動かしているのです。
この技術を使うことで、細胞に直接触れて構造を調べることが可能になり、最終的には人間の細胞がなぜガンになるのか、ある薬を入れたらなぜガンが死んでいくのか、ということまで分かるのです。
近年の医療はどんどん小さくなっています。
五年後には、世界中の研究所での実用化をめざしているとのこと。
そうなれば、さらに世界の医学が進歩することは間違いなしです!

(5)10数年前、アイボなど癒し系ロボットの先駆けとなった、光に反応して動く世界最小ロボット「ムッシュ」で一斉を風靡したのが、EPSON研究開発部の宮澤修さん。
実はこの「ムッシュ」は、生みの親の宮澤さんの愛称からつけられていたのです。

そして宮澤さんは最近、新たな世界最小ロボットを開発しました。
それは、世界最小の空飛ぶロボット。
8.9グラムの軽さで空中を自由自在に飛ぶことができます。
これは、災害現場など人の行けない所に入って何かを調べることに役立てようというもの。
カメラ付きなので、実際に映像を撮ることも可能なのです。

最小ロボットにとっての最大の難関は、飛ぶことではなく、空中で揺れをなくして姿勢を制御すること。
それを可能にしたのは、ジャイロセンサーと呼ばれる小さな部品。
これはもともとデジタルカメラの手ぶれ補正でも使われていた技術。
世界最小ながら揺れや動き、方向までも感知するという、元々あった自社の高性能部品を使うことによって、空飛ぶマイクロロボットを完成させたのです。

このジャイロセンサーは様々なものに応用が可能。
カーナビでは車の動きや向きを感知するセンサーとして、練習用ゴルフパターはジャイロセンサーの手ぶれ計測付き。
独自の精密部品をアピールすることも、企業が真剣に取り組む大事な要素なのです。

(6)下請けの中小企業も負けていません!
こちらは従業員12名の入曽精密。斎藤清和社長が作ったのは、1円玉の隣のちっちゃな点。
皆さんはこれが何だか、想像できますか?

実はこれ、0.3ミリ四方の世界最小サイコロなのです。
お値段は9万9900円!最近やっと2個売れたのだとか。
1、2個しか売れないと赤字になると話す斎藤社長。
では何のために最小サイコロを作ったのかというと…我が社にはこういう加工ができる技術があるということを知ってもらうためなんだそうです。
さらに、斎藤社長が作ったもう一つの商品があります。
それは、世界一フェアなサイコロ。お値段は4万9875円!

世界一フェアなサイコロとは、出る目が均等でどの目も6分の1の確率で出るというもの。
一般のサイコロは作りが粗いため、1と6が一番出やすく、次に5が出やすい、一番出にくいのが2という作りになっているのです。
各面の重心を設計から切削まで、わずかなブレもなく均等に作ることで、世界一フェアなサイコロを作ることを実現。
そして昨年、わずか12名の零細企業ながら、キャノン、トヨタなどの大企業と並び、日経モノ作り大賞を受賞しました!!

スタジオのゲストの方には、入曽精密の二つのサイコロを実際に見て頂きました。
特に、目を凝らしても見つけることが難しいほどの世界最小のサイコロには、思わず笑いが出るほど驚いていたようです。

伊藤さん:名古屋大学の医療手術ロボットは、病気になっている細胞を見つけて分析し、どう治療したらいいかということが将来的に分かるものです。
これは、人間の体にとっても楽なものだと思いますよ。

進藤さん:今後、これが小さくなれば儲かるなと思うものがあれば教えて下さい!

伊藤さん:それはUSBメモリーです。今の大きさの半分くらいの細さになって、ペンのようにスーツの内ポケットにさすことができたら、きっと売れると思いますよ!!

驚きの連続の儲かる小さい部品シリーズはいかがでしたか?
皆さんも、身の回りの小さなものに注目してみて下さいね。

■放送内容をシェアする

このページの先頭へ戻る

Copyright© 1995-2024, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.