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2006年2月5日放送

特集

世界一の魚屋さん マルハ

ゲスト

(株)マルハグループ 五十嵐勇二 本社社長

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「世界一の漁師」から「世界一の魚屋」へ!

年間売り上げ7500億円、グループ企業168社(国内109、海外59)、従業員数1万人と、まさに大企業のマルハ。

創業は明治3年(1880年)中部幾次郎が引き継いだ家業の林兼商店という小さな鮮魚店でした。その後、林兼商店は南氷洋への捕鯨や、大船団を組んで遠洋漁業への進出と、半世紀をかけて日本一の漁業会社に成長していったのです。
創業時から使用していた商標がこの、丸に「は」のマークで、これには波を丸くおさめるという願いが込められていました。

1945年、敗戦の年に大洋漁業株式会社と社名変更、戦後の食糧難を世界中の海から取ってきた鯨や魚で救ったのです。戦後、大洋漁業の業績は爆発的にアップしてゆきます。
なぜなら、マルハグループの中部謙専務によると、世界中の海から魚は取り放題で、獲れば獲るほど儲かっていたから!最高では、600隻の船を所有するまでに!船団はどんどん巨大化していきました。

漁業は日本の食卓を支える貴重な第一次産業。今でも新聞の株式欄をみればそのことがわかります。最初に表示されているのが、水産、農林に関する会社なのです。
もちろんマルハもありました!

1977年、世界一の漁業会社に成長していた大洋漁業に大きな試練が訪れます。業界のみならず、日本中を揺るがしたある協定が世界各国で結ばれたのです。
それが、200カイリ協定!もともと世界の海は、狭い領海と広大な公海の2つがあって、この公海では魚は獲り放題だったのが、77年から各国が沿岸200カイリ水域での操業をきびしく管理することになったのです。

つまり、豊富な魚場はほとんどが200カイリ水域内にあって、今までのように自由に魚を取れなくなりました。世界一の漁師企業が創業以来の大ピンチを迎えたのです。
80年代以降、生き残りをかけて経営の多角化に乗り出した大洋漁業はゴルフ場の運営やマンション販売、さらにはミンクの毛皮コートの販売など様々な事業に参入しました。
しかし、これがすべて大はずれ!みるみる業績は下がっていきました。
93年に「マルハ株式会社」と社名変更してからも苦しい経営環境は続いていました。

このマルハの危機を救ったのが、2000年に当時の日本興業銀行から幹部役員として迎えられた五十嵐勇二でした。

五十嵐は次々と不採算部門を整理縮小、経営システムの合理化など大胆なリストラに着手したのです。中でもメディアを賑わせたのが、50年前大洋漁業時代に設立した大洋ホエールズ、現在の横浜ベイスターズの売却でした。
そんな中、五十嵐が掲げたマルハ再建のキーワード、それが「世界一の漁師」から「世界一の魚屋」へ!

「世界一の魚屋」戦略とは?!

▼世界一の魚屋戦略1 買い付ける
自前で魚を獲るのがダメならば、世界中から買えばいい!
世界各国の港に社員を派遣して、魚を買い取り日本に送るという、水産物の輸入販売システムを強化したのです。

現在、国内で消費される年間1000万トンの水産物の内、一割に当たる100万トンを販売しているのがマルハで、世界5大陸のすべて、60ヶ国と取引するその規模は世界一のお魚専門商社なのです。

ちなみにもっとも売れている儲かる魚は、マグロとエビなんだそうです。

▼世界一の魚屋戦略2 養殖する
自前で獲るのがだめならば、育てればいい!
マルハはマグロ、カンパチ、ハマチ、真鯛などの養殖を全国各地で展開。
中でもマグロの養殖に乗り出したのは日本一早く、奄美大島の沖合いに作られた巨大養殖場から全国に最高品質の本マグロを出荷、一番儲けの大きいマグロの計画的な販売が、マルハの収益に大きく貢献しているのです。

この奄美の養殖マグロ、どこで売られているのかというと…
夜明け前の午前4時の東京築地市場に届いてました!
マルハマークの奄美産養殖本マグロに買いが入ったようです。
結局この62キロの養殖本マグロは22万円で取引されました。

▼世界一の魚屋戦略3 加工する
マルハの年間売り上げ7500億円の内、3割弱が水産物加工食品の売り上げ。
これが意外とすごいんです!

まずは魚の缶詰。
代表的な3種、サンマ、サバ、イワシで、マルハはダントツのトップシェアを独走しています。

そして発売から50年以上の歴史をもつフィッシュソーセージは、33%のシェアを誇っています。

さらにマルハは原材料となる魚のすり身の卸売りでも世界最大手、国内外の食品加工会社にすり身を供給しているのです。
そしてここ数年、アメリカでヘルシーブームに乗って大人気なのが、カニかま!
全米カニかまマーケットで20%のシェアを占めているのがマルハのカニかまなのです。
こちらがアメリカ風カニかまサラダ、この通りカニかまの量が半端じゃない!

BSEや鳥インフルエンザの影響もあり食肉市場が停滞する中、近年のヘルシー志向で世界的に需要が拡大しているお魚マーケット。
あなたが食べようとしているちくわや、さばの味噌煮、マグロのお寿司も、気づいてないだけで実はマルハの商品なのかもしれませんよ!

▼さて、スタジオでは早速マルハの五十嵐社長にお話を伺いました。
Q:大洋漁業がいろんなビジネスに手を出したんですね。
A:ありとあらゆるものに手を出しました。真珠の養殖もやりました。野球の球団、大洋ホエールズもそうですね。

Q:いい選手と契約するの資金を作るために相談すると、「鯨一頭持ってくるよ!」
A:鯨一頭とれば球団契約できると考えてましたから(笑)それでおつりがくるぐらいでしたから。1977年漁業からの撤退を徐々にやってきた。90年頃までに バブルの崩壊は手を広げた分の整理ができてなかった。ようやく撤退の整理が完了したのは最近の話です。

Q:大洋漁業時代はいろんな研修があったときいていますが?
A:昔は船に乗って数ヶ月の研修キャンプがあったらしいです。やりたくて入ってきた人がたくさんいました。

マルハのお魚機能性ビジネス

今、スーパーやコンビニでバカ売れしているマルハの水産加工食品、それがこのインパクトのあるCMでもおなじみ、フィッシュソーセージの「リサーラ」。

魚の頭部に多く含まれる、血中の中性脂肪を下げる効果のあるDHA、ドコサヘキサエン酸を練りこんだソーセージで、特定保健用食品にも認定されているのです。
さらに、DHAといえば、頭が良くなるとの学説も。そこで先日、受験シーズン限定で発売されたのがこのちくわ。つまり、DHAを練りこんだ機能性ちくわ、というわけです。

マルハの新しい儲かりビジネスは、お魚機能性食品ビジネスなのです。
魚には、このDHAを初め、間接痛に効果のあるコンドロイチンや、スキンケアには欠かせないスクワレンなど、今をときめく機能性素材が多く含まれています。
マルハは他の食品会社に、これらの機能性素材を供給するメーカーとしてもしっかり儲かっているんです。

そんな儲かりの種を次々に生み出しているのが、つくばにあるマルハ中央研究所。
普段、一般には非公開の研究所内に川田が潜入しました。
最初にお会いしたのが、マルハのDHA博士、丸山一輝さん。

さっそく、DHAの抽出をみせてもらうことに。
巨大なマグロの頭をお湯でグツグツと煮ていくんだそうです。
待つこと5時間…

賢くなりたい川田は、出来立てほやほやのDHAを飲ませてもらうことに。
しかし、これには大きな罠が仕掛けられていたのです。
ホントは、この段階では生臭さすぎて全く飲める状態ではないんです!
DHAはその抽出よりも、匂いの除去の方が難しいとのこと。
そのための装置がこちら、丸山博士が3年もの歳月を費やして開発したんだそうです。

これが、精製後のDHA。
透明なサラダ油といった感じに見えます。
味見すると、甘い!

ここ数年のDHAマーケットの拡大は、マルハにとっても追い風なんです。

そして次に発見したのが、ネズミ!
玉井忠和博士は今、コラーゲンを研究中なんです。

博士によると、牛や豚よりも魚コラーゲンの方が美容効果が高いとの研究結果が出ているんだそうです。
そして、これが魚のコラーゲン。

最後に川田が見つけたのが官能検査室!
機械では判定できない微妙な味の違いを人間の味覚と嗅覚でチェックする場所なんです。
ここマルハの官能検査室でも、やっぱりソーセージを食べていました!
マルハ以外の他社製のソーセージも入れて味や食感の違いを評価しているんです。
もちろん、メーカー名は伏せたまま。

早速、川田もソーセージの官能検査に挑戦!
まずは匂いをチェック。
次は、食感と味の検査。川田に各社のソーセージの微妙な違い、わかるんでしょうか…

「四つ食べてみて、どれが一番美味しかったですか?」

川田はマルハのソーセージを選ぶことが出来るのか?
ところが、他社の商品を選んでしまった川田。
失礼しました、マルハさん…

でも、この地道な研究の数々がこれからのマルハの儲かり、お魚機能性ビジネスを支えて行くのがよくわかりました。

▼マルハの儲かりのヒミツをたくさん知ったところで、引き続き五十嵐社長にお話を伺いました。

Q:魚には儲かりそうな素材がたくさんあるんですね。
A:おいしさと安心・安全、健康の要素があるんです。健康志向が高まっていますから、お魚機能性ビジネスはますます拡大すると思われます。

Q:機能性素材でどのくらい儲かりましたか?
A:化成食品事業に関しては、全体の規模として他のものも含めて100億いかないくらいですが、経常利益は1割くらい儲かっています。一昨年開発して話題になった「骨までおいしいちくわ」は今はそれほど伸びていないですが(笑)、これから期待しています。

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