過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2005年3月27日放送

特集

スポーツビジネス

ゲスト

二宮清純さん(スポーツジャーナリスト)

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スポーツビジネスで大成功!!な大リーグ

ついにプロ野球パ・リーグが開幕!
東北楽天ゴールデンイーグルス、新生オリックスバファロース、福岡ソフトバンクホークスと、今年に限っていえばプロ野球が盛り上がるのは間違いなさそうです…

しかし、儲かりマンデーが一番気になるのは赤字経営で苦しむプロ野球界がどうすれば儲かるのか?ということ。

そんな中、海外にはスポーツビジネスで大成功を収めている国がありました。
そう、それはアメリカ!野球、バスケット、アメフト、アイスホッケーと4大スポーツがそれぞれ大人気という裏側には、ウハウハの儲かりテクニックが隠されていたのです。

NYヤンキースのスーパースター、アレックス・ロドリゲス内野手の年俸総額は、何と10年間で270億円!
そんな金額が乱れ飛ぶアメリカメジャーリーグが年間でいくら稼いでいるかというと…
報知新聞大リーグデスクの蛭間豊章さんによると、球団収入は日本が1千億円であるのに対して、アメリカは5千億円!
メジャーリーグは、日本のプロ野球の何と5倍も儲かっているんです。

なぜそんなに儲けることができるのでしょうか?
元読売巨人軍で野球解説者の槙原寛巳さんにお話を聞いてみました。

アメリカの場合は、団体として利益を追求します。
例えば、大リーグは最大の収入源であるテレビの全国ネット放送権の管理を大リーグ機構が一括して行い、各球団に均等に分配します。
その一方で、日本の場合はてんでばらばら、放送権でまともなお金が入ってくるのは巨人と、巨人戦を持つ球団だけなのです。

また、大リーグには儲かっている球団が儲かっていない球団に収入を分配する制度があります。
それが収入分配制度!

収入分配制度とは、入場料収入などで大きな差がある各球団の売り上げから一律34%を大リーグ機構が吸い上げて、各球団に均等にばらまく、というシステム。
球界全体で儲けて戦力を均等に分散しよう、という考えがありました。

そして、儲かるメジャーリーグの最大のキーワードがありました。
それは、プレーオフ!

プレーオフとは、レギュラーシーズンの最後に上位のチームだけで行われるリーグ優勝をかけたトーナメント方式の試合のこと。

ワールドシリーズ

リーグチャンピオンシップ

プレーオフ

このような流れで儲かるメジャーリーグを支えていたのです。
こちらが、2000年に優勝したNYヤンキースのレギュラーシーズン162試合の入場料収入とプレーオフ以降の16試合だけで稼いだ収入。

1試合あたりの入場料収入で比較してみると、プレーオフ以降の試合の儲けがいかに大きいか、一目瞭然。

また、Tシャツやキャップなどのグッズ収入は、プレーオフに参加した者だけが手にできる、特別ボーナスなのです。これがまたすごく売れるんだとか!

コストパフォーマンスNo.1!!オークランドアスレチックス

そんな儲かるプレーオフに狙いを定めて大成功した球団がありました。
それは、ア・リーグ西地区のオークランドアスレチックス。
世界一の金持ち球団NYヤンキースの3分の1の年俸で、過去5年のうち4度もプレーオフに進出。
2004年の選手年俸の総額を同地区の球団と比べてみても、ダントツのコストパフォーマンスなのが一目瞭然。

かつては単なる貧乏球団だったのを、97年のジェネラルマネージャー(GM)就任以来、儲かる球団に作り変えたのが、ビリー・ビーン。

今シーズンからプレーする藪選手の獲得を指示したのもこの人。
では、ビリー・ビーンGMのアスレチックス、プレーオフ進出戦略とは?

▼アスレチックス儲かり戦略(1):選手は出塁率で選ぶ
独自のデータを駆使して、他のチームが見向きもしないようないい選手を安い値段で獲得する、これがビリー・ビーン流なのです。
彼は、いいところで打つ「チャンスに強い選手」というのを真っ向から否定。
それはたまたま運がよかっただけのこと、と考えます。
記憶によるヒーローより、地味でもこつこつ塁に出る、出塁率の高い選手を選ぶのです。

▼アスレチックス儲かり戦略(2):バント・盗塁禁止
こちらが、ビリー・ビーンが使用する、過去の統計による得点見込み表。

ノーアウト一塁の時の得点見込み表は0.896あるのが、送りバントで走者を二塁に進めると0.682に下がってしまいます。
つまり、送りバントはアウトを一つ増やすだけで割に合わないことになります。
そして、昨年の盗塁数とその失敗数を見てみると、ア・リーグ14球団で最も少ないのは、やはりアスレチックスでした。

人気のスター選手に金をかけるより、地味でもチームの勝利に貢献する安い選手を集めて必ずプレーオフに進む。
これがビリー・ビーンGMの信念なのです。

新生!東北楽天ゴールデンイーグルス

そのように、小さな投資で最大限の儲けを出す、オークランドアスレチックスを手本に設立されたプロ野球新球団がありました。

それが…東北楽天ゴールデンイーグルス。

旧近鉄とオリックスからの分配ドラフトで獲得した選手がほとんどということもあって、選手の平均年俸は13球団中12位の2902万円。
ダントツ1位の巨人の半分以下です。

それにも関わらず、選手年俸の圧縮の他、10万円の特別ファンクラブの創設やバックネット裏の砂被り席オークション、人気アイドルグループのモーニング娘。による応援歌、試合後のロッカールームでの取材解禁など、楽天イーグルスはこれまでの球団が考えもしなかったような儲かる仕組みを次々と編み出しています。

好調のオープン戦を三木谷オーナーと観戦するのは、オーナーの指名でジェネラルマネージャーに就任したマーティ・キーナートさん。日米の野球ビジネスを良く知る理論家です。

そこで経済予報士見習いの川田が、開幕直前のキーナートGMを直撃!

川田:会員制で10万円のファンクラブを設けたと聞きましたが、実際の売り上げは?
キーナートGM:すごいですよ、2億5千万円以上の売り上げが出ています。
川田:楽天の三木谷社長は、4年後に黒字化すると話していましたが、もしかしたらもうすぐかもしれませんね。
キーナートGM:すぐになってほしいですけど、私の契約も監督の契約も3年なので、4年目も働けるように頑張らないと!

そして、お手本にしているアスレチックスのことを聞いてみました。

キーナートGM:いかにお金を出さないで強いチームを作るか。ヤンキースの予算とアスレチックスの予算を比べると、アスレチックスはヤンキースの3分の1以下。楽天の場合は今年の予算を見ると、読売ジャイアンツの3分の1以下ですね。
川田:3分の1以下ですごい成績を残せたら、それは改革ですよね。
キーナートGM:成るでしょうね!
川田:アスレチックスのことを真似ていると聞いたのですが、その中でバントや盗塁をしないという作戦もあるそうですね。
キーナートGM:送りバントの場合、1アウト相手にあげることになる。バントは高校野球から残っている昔の考え。ただ、バント・盗塁禁止はGMの権限ではないので、監督と話しながらそういう野球になる可能性はありますね。

楽天イーグルスのプレーオフ進出、応援してますよ!

二宮清純さんにスポーツビジネスについて聞きました!

さて、今回はスポーツジャーナリストの二宮清純さんにスポーツビジネスについてお話を聞きました!
Q:アスレチックスのやり方って画期的ですよね。
そうですね。野球は9回の試合の中で27回アウトをとったら終わりになるゲーム。
そのように逆の発想をすることで、
出塁率が高い→アウトが少ない→負けない!
ということを考え出したのです。
だから選手を出塁率で選んだり、バントや盗塁を禁止するという策をとった訳なんですね。
一見当たり前の考えに思えますが、実は今までになかったスカウティング戦略なんです。

Q:アスレチックスのような作戦をとるチームが増えると、野球の試合自体がおもしろくなくなるのでは?
確かにそうですね。この戦略は弱者の知恵。弱者が強者に勝つにはどうすればいいかということを考えて編み出した作戦なんですよ。

Q:NYヤンキースは日常的に客が入って儲かっていますが、プレーオフになるとさらに儲かるんですか?
そうです。プレーオフがなぜ注目を集めるかというと、緊張感があるからなんですよ。
レギュラーシーズンは消化試合も多い一方で、プレーオフの場合は一つ負けたら終わってしまう。
だからレギュラーシーズンとプレーオフとでは、選手の真剣さが違うんですよ。

Q:ですが、球場に入れる人数には限りがありますよね?
だから大リーグTV放映権料というのがあるんです。これは、全国ネット放送収入と違って地方局からのローカル収入はそのまま球団の利益になる、というもの。
メジャーリーグは「競争と共存」なんですよ。他のチームと競争しなくてはならない。
しかし、自分のチームだけダントツで強くなって他のチームが弱くなったら、試合がつまらなくなってお客が来なくなる。
だから相手の戦略も充実させないといけないんです。ここが普通のビジネスと違う所なのです。

Q:そのようなメジャーリーグのやり方がある一方で、日本のプロ野球はどうしたらいいのでしょうか?
日本もプレーオフ制度を充実させることが必要だと思います。
現在のパ・リーグのプレーオフは、2位と3位のチームが戦って、その勝者が1位のチームに挑んで対決し、リーグ優勝が決定する訳です。
しかしこのやり方は、2位と3位が戦いその勝者が勢いをつけて1位に臨むのですから、1位にとっては不利になります。このやり方では何らかの問題が生じてしまうんです。
そこで私個人の試案として、セ・パ8球団全16球団を東西4ブロックに分け、各地区の上位2チーム計8球団でプレーオフを戦い、リーグチャンピオン日本一を決める、というやり方が有効なのではないかと思っています。
8チームで戦うというのはアメリカと同じ方針であり、そうすることによって一試合の価値が高まって放映権料も高くなるのではないでしょうか。

Q:球団数を増やすことによって、黒字になるんですか?
なります!それは今までの考えを変えることを意味します。
それまで日本のプロ野球は巨人の一極集中型でした。
ところが視聴率の伸びは停滞してきているので、収益構造を変える必要があると思います。
個々の球団が自立して皆で儲けるという、新しいビジネスモデルを進めることによって、放映権料を分配していくのが有効ではないでしょうか。
それはつまり、プレーオフ制度の充実と収入分配(成績上位に厚い傾斜配分方式)でプロ野球は再生する、ということなのです!
そしてそれは同時に、ビジネスチャンスの拡大にもつながることなんです。

Q:NYヤンキースは巨額の年俸で選手を集めてくることで成り立っている訳ですよね?
NYヤンキースの場合、大都市のため地方局からの放送権料収入が大きい。
さらに高額年俸選手の活躍でプレーオフに確実に進む。NYヤンキースはスター選手に対して大きな投資をしていますが、それ以上の見返りを得ることも可能なので経営が成り立っているんです。

Q:日本のプロ野球経営はどうやったら変わるんでしょう?
プロ野球は地域密着型を進める必要があると思います。
アメリカで一番お客が入っているシアトルマリナーズの本拠地、シアトル市の人口は56万3千人。
一方、楽天の本拠地である仙台市の人口は102万6千人。
シアトルマリナーズの成功をヒントにすれば、仙台の楽天は地域密着型の経営を進めることによって、3年で黒字化する可能性も秘めていると思います。

Q:結局スポーツビジネスっていうのはどこが儲かるのですか?
スポーツビジネスで一番儲かるのは国民でなければならない、と考えています。
この点は日本のプロ野球が一番理解していないところだと思います。
お客が試合を見に来ることによって、交通機関・レストラン・ホテルなど地域の産業が活性化し、最終的には国民が受益者となる。
このような流れを意識して、地方分権でスポーツビジネスを進めていかなければならないと思います。

Q:今後儲かりそうなスポーツは?
それはインドアスポーツ!
バレーボール・バスケットボール・アイスホッケーなどに代表されるインドアスポーツで使われるのは、体育館やホールなど。客席数が少ない分チケットに希少性が出るため、代わりにTV放映権料を高く設定できる可能性があると思います。

Q:二宮さんが一番好きなスポーツは?
全部好きなんですが、中でも一番緊張するスポーツはボクシング。
人間が何もつけずにグローブだけで戦うボクシングは、人間の闘争心が全て出てきて、知恵や根性、肉体的資質を含めたその人の人間力で戦う訳ですから、実に確証のない世界だと思いますね。

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