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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2005年2月13日放送

特集

エコビジネス

ゲスト

石原良純さん・森永卓郎さん(UFJ総合研究所主席研究員 経済アナリスト)

番組内容

2月13日OAの中で紹介した情報に誤りがありました。
トウモロコシを原料にしてDVDを開発した日本ビクターのご担当者様のお名前は「日本ビクター技術開発部 川合登さん」ではなく、正しくは「日本ビクター技術開発部 辻田公二さん」でした。訂正の上謹んでお詫びを申し上げます。

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地球温暖化とは…

2月16日、日本経済を大きく揺るがすことが起こるのをご存知ですか?
それは…「京都議定書」発効!
何とこれは、日本経済を左右するビッグな巨額ビジネスチャンスでもあるのです!
みずほ情報総研環境戦略ソリューション室の瀬戸口泰史さんによると、ビジネスの市場規模としては、国内だけでも数千億円、世界全体で20兆円にも上るといいます!

昨年大ヒットした映画「デイ・アフター・トゥモロー」。
地球温暖化現象が進み、南極の氷が溶け出した結果、海抜が急上昇!
全世界を巨大津波が襲い大パニックになるという、近未来の地球環境の危機を描いた作品です。
このように昨今「地球温暖化現象」が叫ばれていますが、これに大きく関わっているのが「京都議定書」なんです。

では、地球温暖化とは…

地球は、厚い大気の層に覆われることで一定の気温に保たれています。
いわば地球が洋服を着ているようなもの。
ところが二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスが増えると、この洋服を何枚も厚着するような状況になり、地球の気温が上がってしまうのです。
実際に地球の平均気温は年々上がっており、それによって極地の氷が溶け出して海抜が上昇、インド洋のモルディブの島々などは水没の危険性があるというのです!

京都議定書とは

そこで、1997年。温暖化防止をテーマに、世界各国の代表が京都に集まって会議が開かれました。その時に出された文書が京都議定書。これは、世界中で協力し合って二酸化炭素やメタンガスを出さないようにしよう、と約束した文書なのです。

しかし!二酸化炭素やメタンを減らすといっても、簡単なことではありません。
石油や石炭などを燃やせば二酸化炭素が出てしまうし、廃棄物を埋め立ててもメタンガスが出てしまう!さらに自動車の排気ガスからは一酸化二窒素が!
これらをかなりの量、減らさなくてはならないのです。
各国首脳の中には、あまりの難しさにこの条約から降りてしまった国も。
それは…大量の二酸化炭素やメタンを出しているアメリカ!

みずほ情報総研環境戦略ソリューション室の瀬戸口さんは、
「温室効果ガスを減らす一番簡単な方法はエネルギーを使わなくすることですが、それは経済発展を抑制するブレーキを踏むことになるので、それを懸念したアメリカが途中で抜けた」
と説明しています。

それでは、この条約の意味がなくなってしまいます。
しかし、急遽ロシアが参加することになったので、京都議定書発効に何とかこぎつけることに!
ですが、これが決まるとどうなるのでしょう…?

瀬戸口さんによると、日本は温暖化ガスの厳しい削減を迫られるとのこと!
日本は2012年までに二酸化炭素やメタンの排出量を1990年レベルから6%減らさなくてはなりません。「たった6%」と思うのは、大間違い!
日本の企業は、ハイブリットカーや資源のリサイクルなど、世界の中でもトップレベルで環境問題に取り組んできました。
そのため、これ以上いくら絞っても何も出ないくらい環境問題には頑張っちゃった後なのです!

空気で儲ける!排出権取引というビジネス

そこで考えられたのが、排出権取引というビジネス。
京都議定書では、自国で二酸化炭素やメタンを減らすことがどうしても難しい場合、他国に行って二酸化炭素やメタンの削減に協力すれば、その分はその国が減らしたことにしよう、という驚きの抜け道を作ったのです。

例えば海外の国々に行って風力発電の開発を援助したり、優れたゴミ処理技術を駆使してメタンガスの発生を抑えたり…
このように、日本国内では減らせない分を海外で減らすというやりとりを「排出権取引」といいます。

では、日本の商社が取り組んでいる排出権取引を参考にして説明していきましょう!

丸紅の生活・環境機械部、池嶋則夫さん。
排出権の取引先として選んだ国はカンボジア。
この国で出ている二酸化炭素を減らそうとする計画が進行中である中で、彼が狙ったのは400万本ものゴムの木の植林。
大量に植えられたゴムの木は、大量の二酸化炭素を吸収して酸素に変えます。
こうして減らした二酸化炭素の分を排出権にしようとしている訳なのです。

現在、二酸化炭素の額は1トンで500円が相場と言われています。
今回の場合、300万トンの二酸化炭素を減らすことになるので、およそ15億円もの排出権が生まれるのです。

そして、こうして海外で手に入れた巨額な権利の排出権を、まだまだ二酸化炭素を減らさなければならない日本の企業に売る訳です。
こうした巨額な権利の売り買いを「排出権ビジネス」と呼ぶのです。
メタンガスは1トンおよそ600円。フロンガスは1トンおよそ700円。
きれいな空気をめぐって巨額マネーがやり取りされようとしています!

巨額なビジネスチャンスをはらんだ京都議定書。
これをめぐって世界的な経済問題になっていることを、あなたはどこまでご存知でしたか?

さて、京都議定書は発効までに1997年から8年もかかった訳ですが、一体なぜこんなに時間がかかったのでしょうか…?

ゲストの森永さんに聞いてみました。
⇒それは、
京都議定書とは一定の割合以上の国が参加しないと条約が発効(スタート)できないから。
一人当たりのエネルギー消費量は日本の2倍で、世界で最もエネルギー消費量が多い国であるアメリカが批准を拒否したので、京都議定書をずっと発効できないままだったのです。

⇒ところが、突然ロシアが批准したことにより、京都議定書発効が決定!!
このことは一見、ロシアのおかげとも思えそうですが…

⇒実は、ロシアは意外に腹黒かった!?
各国の排出量制限の基準は1990年時点でのガス排出量とされています。
1990年当時、ロシアは社会主義体制の末期で石炭を燃やし尽くして二酸化炭素を多く排出していましたが、その後発電設備などが整ってきたので、実は既に排出量が大幅に下がってきています。
だから、ロシアは何もしなくても排出権制限をクリアしている訳なんです!
そんなロシア参加の本当の目的は、何と莫大な排出権の売却。
環境を守る顔をしながら実は儲けることを考えていた、というロシアの裏情報を聞いちゃいました!

また、エネルギー消費量の世界2位の国である中国は、排出量の制限がありません!
発展途上国には規制がかかっていないため、京都会議の当時発展途上国だった中国は、今経済成長のために二酸化炭素を出したい放題なのです。

そのような状況の中、環境問題に真面目に取り組むのはコストなどの面で損をするのでは!?という考えもありますが、「温暖化ガス削減に一生懸命取り組んでいることに、誇りを持ってほしい」と石原さんは熱くその思いを語ってくれました!

また、EU諸国の温暖化ガス削減目標は1990年の量から8%マイナスということで(ちなみに日本は6%)、世界の国の中でも最も厳しいハードルを科せられているのだそうです。
このように、京都議定書を機に環境問題が注目されていますが、それをエコビジネスという形に生かすことで、成功を遂げた企業も出てきています。

トウモロコシからDVDとブラジャー?

今では私たちの生活に欠かせないプラスチック製品。
しかし作っても燃やしても二酸化炭素を出してしまうので、各企業は原料からの見直しを迫られました。
そこで注目されているのが、何とトウモロコシ!
実はトウモロコシからとれるでんぷんを合成して、プラスチックが作れるようになったんです。
二酸化炭素を抑えられる新時代の素材として、今トウモロコシへの期待が高まっています。
日本ビクターでは、トウモロコシからDVDを開発しました!
これで二酸化炭素が出るのを半分以下にできるのだそうです。

斬新なデザインで話題の下着メーカー「トリンプインターナショナル・ジャパン」は、トウモロコシから作った地球儀ブラを開発!
2、3年で土に返るという、まさに地球にやさしいブラ。

さらにNEC基礎・環境研究所では、トウモロコシから画期的な形状記憶プラスチックを開発!
ドライヤーの温風で温めると、元の形に戻るんです!
また160度の高熱を加えると、記憶された形状がリセットされるので、何度でも再利用ができるのです!

ゴミの再利用ビジネス

期待がかかるエコビジネス。
目のつけどころ一つで大きなビジネスに発展したケースをご紹介しましょう。

「月刊 廃棄物」。
この廃棄物専門誌には、儲かりビジネスが満載なんです!
中でも期待されているのは、「ゴミの再利用ビジネス」。
ゴミだから原価はゼロ!アイディア一つで大きな利益を上げられるんです。

霧島高原ビールの山元正博社長は、焼酎造りの際に出る「焼酎カス」を再利用して大成功しました!
それまでは処分に困る焼酎カスは厄介者でした。
ところが山元社長は、焼酎カスの高い栄養価に着目。
焼酎カスを麹菌で発酵させることで、良質な家畜の飼料を作り出すことに成功したんです!
そして、これが家畜業者の間で大ヒット!
値段も安く、質の良い肉になると評判です。
捨てていた焼酎カスの再利用に目をつけて10億円!
そんな山元社長の技術を買いたいと、世界中から注文が殺到しているとか!

さらに、こんな狙い目が!
太陽電池システムの設置、風力発電、リサイクルなどエコロジーを推進する事業をした地方自治体には、国から多額の補助金が出されるのです。

この巨額な補助金に目をつけ、大成功した人物がいます。
エコビジネスをプロデュースするコンサルティング会社であるキシムラインダストリーの岸村俊二社長。
ソーラーシステムを使った街路灯のプロデュースを手掛けてきましたが、そんな彼が次に狙っているのは、自治体の街路灯。
自治体が従来の街路灯をソーラーシステムの街路灯に変えると、国から補助金が出ます。
自治体としては、交換費用が安く済む上に省エネにも貢献できるとあって、ソーラー街路灯の発注が急増するというのです。
これを実現させれば、信じられないくらいの儲けが!
全国には街路灯がおよそ3000万機、ソーラー街路灯一機が約120万円。
全部ソーラー街路灯に変えたとすると、総額36兆円のお金が動くことになるのです!

今や世界各国が注目しているエコビジネス。
どこにビジネスチャンスを見つけるかは、あなた次第です!!

さてスタジオには、エコグッズでもある、マルハ株式会社の骨まで食べられる魚が登場!
特殊加工によって全部食べられるようにやわらかくしてあり、生ゴミが一切出ないのが特徴。
生ゴミの処理にもコストがかかるので、環境にやさしい食材といえるでしょう。

このように、環境負荷を下げたり排出権取引に取り組んだりするというエコビジネスが注目されていますが、これはまだ始まったばかり。
チャンスがたくさんある分野なので、私たちも環境問題に取り組む会社の株を買えば、儲けることができるのかもしれません!

そこで、森永さんに儲かる狙い目を聞いちゃいました。
それは、環境ビジネスに熱心な企業の株ばかりをセットで買える投資信託である、エコファンド!
2000年頃から流行り出したのですが、2003年頃にはその流行が減退。
ですが、そこに儲かるポイントがあるのだといいます。
「人の行く 裏に道あり 花の山」という森永さんの金言が示すように、人が注目しないことにいち早く目をつければ、もしかしたらたくさん儲けることも夢じゃないかも!?

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