過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2005年1月23日放送

特集

ダイヤモンドビジネス

ゲスト

假屋崎省吾さん(華道家、假屋崎省吾花教室主宰)・伊藤洋一さん(株式会社住信基礎研究所主席研究員)

番組内容

全世界の女性たちの永遠の憧れといえばダイヤモンド!!!
このダイヤモンド、日本の市場は現在1兆円を越え、ここ最近急上昇中なんです!!!
そして、そのダイヤモンドビジネスにはある企業の一世紀にもわたる巨大な戦略が隠されていました。

そこで、今回の儲かりマンデーはまるごとダイヤモンドな30分!!!
妖しく光るダイヤモンド、その輝きの正体とは??
驚きのダイヤモンドビジネス、その裏側に迫りました。

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ダイヤモンドが宝石の王様なのはなぜ?

ダイヤの輸入量は他の宝石類の2倍以上、金額ベースでみるとなんと17倍と、他の宝石を圧倒しているんです。
資産価値という点で、同じ鉱物の金の値動きと比べてみても、その安定感は抜群!!
大きく値を下げたりすることはありません。

しかし、なぜダイヤモンドが宝石の王様なのか知ってますか??
世界一産出量の少ない希少な宝石だから。 …ではありません!!

ダイヤモンド原石の産出量は19世紀の終わり頃から現在まで、急カーブで上昇中。
他の宝石に比べても圧倒的に多いといわれています。
そんなダイヤモンドが宝石の王様になったのには、ある巨大な企業の存在があったからなのでした。

ダイヤモンドビジネスに詳しい、諏訪貿易取り締役営業部長の原田信之さんは
「もしもデビアスがいなかったら、ダイヤモンドのマーケットはこんなに大きくならなかった」
とおっしゃっていますが、デビアスとは…???

今、ダイヤモンドが宝石の王様として君臨しているのはこの企業が驚くべき戦略でダイヤモンドの地位を守り続けてきたからなのでした。

ダイヤモンド界の巨大企業、デビアスとは?

今、ダイヤモンドが宝石の王様として君臨しているのはデビアスという企業が驚くべき戦略でダイヤモンドの地位を守り続けてきたからなのでした。

その戦略は1世紀にも渡るデビアスの歴史に隠されています。
かつて紀元前の昔から、ダイヤモンドは限られた支配層だけが持つ希少な宝石でした。
しかし、1867年に南アフリカのキンバリーで巨大なダイヤモンド鉱脈が発見され、ダイヤ原石の供給が爆発的に増加。
ダイヤモンドラッシュともいえる原石の乱売はダイヤ採掘業者の経営を非常に不安定にしたのです。

そこに、一人のイギリス人が現れました…それが、セシル・ローズ。
彼は、ユダヤ系の資本をバックに、無法地帯となっていた鉱山一体を買収し1888年に設立したのがデビアス鉱山会社だったのです。

「新しい鉱山が発見されればそこの原石をすべて買い取る」という方法で20世紀に入って世界中のダイヤ原石をほぼ独占したデビアスは中央販売機構(CSO)を創設。
その目的は生産量と在庫の調整による、ダイヤの市場価格の安定でした。
そこでデビアスがつくり上げた特殊なダイヤモンド原石の販売システム、
それがサイトだったのです。

デビアスの戦略 その(1)ダイヤ原石の販売システム「サイト」

世界中から集められたダイヤの原石は年に10回行われる「サイト」と呼ばれる販売方法によって市場に供給されます。
このサイトに参加する資格を持つものは「サイトホルダー」と呼ばれ、デビアス中央販売機構の厳格な審査によって決められていました。
つまり、ダイヤの原石を手にすることが出来るのはデビアスから選ばれたサイトホルダーだけで、ダイヤの加工業者はこのサイトホルダーから原石を買う以外に方法がなかったのです。

このシステムは2005年の今も基本的には同じで、現在、デビアス中央販売機構(CSO)はダイヤモンド・トレーディング・カンパニー(DTC)と名称を変え、原石の販売とマーケティングを行っています。
そして、現在の世界のサイトホルダーの数は84社で、日本では、高級宝石メーカーの田崎真珠株式会社さんが唯一サイトホルダーの資格を持っているのです。

田崎真珠取締役の戎谷公伸さんが、
「一般の会社にとっては、株式市場に上場するということがステータスになるが、ダイヤの研磨業者にとってはサイトホルダーになることがひとつのステータスになる」
と、おっしゃるように、宝石メーカーにとってサイトホルダーという称号は名誉なことなのです!!!

さて、ある1冊の分厚い本に、かつての「サイト」の実態を鮮やかに記した文献が残っていました。
その本とは世界経済や政治の裏側を鮮やかに描写した作風で知られている「ゴルゴ13」!!!

登場する会社はデ・ロアズ社…
「当社とは古い付き合いのある方々ばかりですからサイトのルールはご存知でしょうが…」
サイトで語られるその驚くべきルールとは…

▼ルール(1) ダイヤの質、量に疑義をはさんではならない
取引するダイヤモンド原石の品質、量は売り手が決める。

▼ルール(2) プライスについては争ってはならない
サイトホルダーは値段に対して不平を言ってはならない。

▼ルール(3) こちらの提示した箱ごと全部引き取るか、さもなくば何も得られない
提示された原石のすべてを買うか、買わないかの二者択一しかない。

▼ルール(4) 次回のサイトへの参加資格は原石の売り手が判断する
次回のサイトへの参加資格は原石の売り手が判断する。

→以上、この4つのルールに違反した場合は来年のサイトへの参加が認められない。
こうして、デ・ロアズ社はダイヤモンドの市場を独占支配していたのです。

原石の供給量を調整することで市場価格をコントロールするという、デビアスグループがつくり上げたこの特殊なシステムによって、1世紀以上にもわたりダイヤモンドは、価値の低下をまぬがれてきたといえるのです。

「デビアスが安定して平等に販売することは、長期的にダイヤモンドの価格が上昇するという安心感につながる。」と、先ほどの戎谷さんもデビアスのビジネススタイルを評価していました!!
もしも、誰かがダイヤ原石の大安売りを始めて、ダイヤモンド市場が崩壊。
あなたのダイヤの価値が突然半分になったら、きっと世界中で大混乱がおきるでしょう。
そんな事態が起こらないためにも、「独占は全員の利益である」というデビアスグループの精神は、ダイヤモンドに関する限り永遠なのかもしれません。

ダイヤモンドの基礎知識

では、ここでダイヤモンドの基礎知識!!!

▼どうしてダイヤモンドっていうの?
2000年以上の昔、ダイヤモンドはインドからヨーロッパに持ち込まれたといわれています。
その硬い石は病気や悪霊から身を守ってくれるという伝説とともに、ギリシャ語で「アマダス」と名づけられました。「アマダス」とは「征服されざるもの」という意味。
アマダス→ダイヤマス→ダイヤモンドと変遷し、現在に至ったのです。

▼ダイヤモンドはどこで採れる?
ダイヤの産出国は現在20カ国以上、南アフリカを初めとするアフリカ諸国、オーストラリア、ロシアが主な産出国です。これまでにどのくらいの量のダイヤモンドが研磨、加工されたかというと…

戎谷さんによれば、
「今まで検出されたダイヤモンドの量は2階建てバスの1台分しかない」とか。
なんと、人類の歴史始まって以来加工されたダイヤモンドの量はたったの、たったのこれだけなんです!!!
そんな貴重なダイヤが手付かずのまま、採り放題の場所がありました!
それは…地球の奥深く、マントル層。
地球が誕生した45億年の昔、ダイヤモンドもその胎内で生まれたのです。

というわけで、400キロ地面を掘って、2000度の高温と、6万気圧の高圧に耐えることさえできれば、ダイヤモンドは採り放題、儲かる事間違いなしです!!!(出来るのでしょうか…???)

▼ダイヤモンドが粉々に?
地球上の鉱物でいちばん硬いもの、それがダイヤモンド。
原田さんも、「ダイヤモンドの魅力はその硬さと、永遠に風化しないこと」と断言!!
しかし、そのダイヤモンドを一発の銃弾で粉々にした男がいたのです。
それが、またまた登場、ゴルゴ13!!!ただ者ではありません!!
ビルの窓越しに1050カラットのダイヤモンドに狙いをさだめたゴルゴは、確かにダイヤモンドを粉々に!?!?
でも、こんなこと可能なのでしょうか…。
炭素の結晶体であるダイヤモンドには、結晶体の結びつきの弱い壁開(へきかい)という割れやすい性質があって、それを利用して職人さんたちはダイヤを加工しているんです。

デビアスの戦略 その(2)卓越したマーケティング広告

ここで話をデビアスに戻しましょう。
デビアスグループにはダイヤ市場価格の安定のため、原石の独占販売システム以外に、もうひとつの戦略があったのです。

みなさん、このキャッチコピー、覚えてますか?

a diamond is forever. ダイヤモンドは永遠の輝き、デビアス

これは人類史上最も成功したといわれているキャッチコピーで、1948年の作品です。
さらに、1972年には日本中の男性を震撼させたキャッチコピーが登場!!!

婚約指輪は給料の3ヶ月分

「デビアスが一番成功したマーケティング戦略の要因は"女性がダイヤモンドをもらって何を感じるか"ということ。このことによって、ダイヤモンドは男性が女性を真剣に愛していることの証明になる」のだと、戎谷さんは言います。

数ある宝石の中で、ダイヤを贈ることだけが特別な意味を持つ、というデビアスが作ったイメージ戦略は大成功をおさめていると言えそうです。

しかし2000年7月、デビアスグループは、60年以上にわたるダイヤモンドの価格維持政策を放棄。
宝石業界に衝撃がはしりました。

原田さんによると、「カナダやオーストラリア・ロシアの鉱山の単独行動」が原因とか。
かつてはデビアスグループで90%以上を独占していたダイヤ原石の市場も現在では50%程度までそのシェアが下がっているのです。

そこで王者デビアスが打ち出した次なる戦略、それは…
"ダイヤの消費市場を直接目指す"というもの。
そして、その最初のターゲットは日本なのです。
今現在、展開しているCMのキャッチコピーは?

スリーストーンダイヤのキャンペーンはサイトホルダー、ジュエリーメーカー、大手百貨店などが連携し、大きな成果を上げています。

その成功のキーワードは自分へのご褒美…

さらには世界有数の高級品ブランドグループ、モエヘネシールイビトンとの共同出資で新ブランドを展開。

その名もずばり「デビアス」!!!

とはいうものの、デビアスグループからは独立した形で営業を開始しました。
店内にはハイグレードなダイヤモンドがずらり。
時には、1千万程度のダイヤを求めに来るお客もいるとか…。
バブルの崩壊後、あらゆるものが価値を失っていく中で、ダイヤモンドくらいはその価値を保ったまま輝き続けて欲しい、人々がそう願えば願うほど、ダイヤモンドの守護者、デビアスグループの地位も揺るぎないものになるのです…。

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