「神様のカルテ」&「プロ野球戦力外通告」
2010年12月27日
今年も年の瀬になってしまいました。
正直、今年は、つらいことの多い1年でした。
なんというか、浮き沈みが激しいというか、ジェットコースターというか・・・
自分の地位と立場が少しずつ上がっていく中で、責任とプレッシャーが増していき、かつ、人間関係が複雑になっていく・・、そんなことを実感した1年でした。
トラブルや悩みが尽きず、何週間も胃痛に悩まされたり、不眠になったり、夜中に急に具合が悪くなって救急病院に運ばれたりと・・・、正直、つらい1年でしたね・・・。
また、この不況の中、テレビ番組制作の現場も非常に厳しいものがあります。
現在、私のチームには50名以上のスタッフがいて、「バース・デイ」「夢の扉」「解禁!マル秘ストーリー」のレギュラー番組や、そのほかの特番を制作しています。
番組が増えれば、当然、スタッフが増えますし、仮に番組がなくなれば、スタッフの数は減らさざるを得ません。
少しでも結果を出して、良い仲間とともに、いつまでも良い番組を作っていきたいですね・・・。
頑張らないと・・・。
なんか、年の瀬で、愚痴っぽいですね・・・。
そんなさなかに、読んだ「神様のカルテ2」(夏川草介)が心に残りました。
1作目も、夏目漱石かぶれの消化器医のキャラクターにひかれ、愛読しましたが、
この2作目は、心に残る文章が、多く、良かったです。
簡単にストーリーです。
信州の病院に勤務する内科医の主人公。地域医療の一端を担うその病院は、24時間・365日診療を謳っており、主人公や同僚やスタッフは、日々の診療に気が抜けない激務をこなしている。
そんな主人公の癖のあるが暖かいキャラクターと、主人公を支える妻や、同僚の外科教師との交流が、患者のエピソードとともに描かれていきます。
地方の病院の医師の激務ぶりがすごいです。この病院は、24時間診療を謳っているせいですが、実際に、そうしないといけないのが地域医療の現実であることが語られています。
主人公が「1年で3日しか休んでいない」なんて話をしているんですが、そんなのを読むと、自分が今、どんなに忙しくても、まだまだだな、なんて思います。
この本は本屋大賞でも2位になった作品で、多くの読者の方がいらっしゃると思うのですが、私は、この本を、仕事というものと、仕事というものに向き合う人物の物語として、受け止めました。
たとえば、1作目には、こんなエピソードが出てきます。
休日のゴルフを中断して、病院に駆けつけた先生と主人公の会話です。
「そんなことより今日はゴルフだったのでは、ないですか?」
「バカヤロウ。こんな楽しいことをやってるってのに、
のんびりパターなんて振ってられるか。」
「楽しいこと?」
「死にかけている人間をなんとかして助けるってことだ。
グリーン脇のバンカーから直接ホールインを狙う時よりドキドキする。
一番楽しいときだろ?」
(『神様のカルテ』より)
仕事というものにプライドを持って頑張れる・・・
そんな男たち・・・
でも、人間とは忙しいことが本当にいいことなのか?最近、そう、考えてしまう自分もいます。
自分では頑張って、頑張って、頑張って・・・・頑張っているのに・・・
それでも、人からは「頑張れ!」とか「頑張って」といわれる日々・・・
言われなくても頑張ってるよ!そういいたい気持ちを飲み込んで
「ありがとう。頑張ります」と答える自分・・・
やばい、本当に愚痴っぽくなってきましたね。
このコラムは、私の好きな映画、本、などを、将来、娘達に読んでほしいと思って書いているのがもともとのコンセプトですから、まずい方向に行ってますね。
「神様のカルテ2」から、もう少し印象に残った言葉を・・・
「世の中、出世などすれば、責任と義務と窮屈が増すばかりだ。
肩書きなんぞというものは できるだけかなぐり捨てて、ただ人間でさえ あればいい。」
仕事というものと自分というものを 向き合うときに読んでみる・・・
「神様のカルテ」は、そんな読まれ方をしてもいいと思います・・・・。
さて、“仕事があるだけで、いいじゃないか、”そんな言葉も聞こえてきそうな男たちの魂の叫び!
「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」が12月29日 夜23時30分~放送します。
(一部地域のぞく)
今年も野球にかける男と家族達の戦いの物語です。
本当に、人生のつらく厳しい瞬間を取材させていただいたかたがたに、プロデューサーとして深く感謝を申し上げます。
願わくば、少しでも多くの人々に見ていただいて、彼らの頑張りと現実を知ってもらいたいです。
宜しくお願い致します。
ではでは、
良いお年を!!

菊野浩樹 プロフィール
1968年 5月14日 生まれ1992年 TBS 入社
「アッコにおまかせ!」「ザ・フレッシュ」「筋肉番付」「ZONE」「世界陸上」「K1ダイナマイト」などを担当。
「バース・デイ」をはじめ、「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」「ラ イバル伝説…光と影」「プロ野球選手の妻たち」「SASUKE RISING」など、数々のス ポーツ特番やドキュメンタリー番組を手がける。
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