菊野プロデューサーの無垢なる愛の戯言

僕には映画、本、コミック…大好きな作品がたくさんあります。
それらの作品が僕の創っているTV番組はもちろんのこと
僕の人生や、ものの考え方にも影響を与えていると思います。
そうした僕の愛した作品についての戯れ言です。
『このコラムを初めて読む方へ』

『ぐるりのこと。』『その夜明け、嘘』(舞台)『青い山脈』『続・青い山脈』

2009年3月3日

「ぐるりのこと。」 
監督;橋口亮輔 出演;木村多江 リリー・フランキー

「その夜明け、嘘」(舞台)
脚本・演出;福原充則 出演:宮崎あおい 吉本菜穂子 六角精児

「青い山脈」「続・青い山脈」   
1949年 監督;今井 正 出演;原 節子 木暮実千代 池部 良 杉 葉子 龍崎一郎

WBC盛り上がってきましたね。
私も、レギュラー番組のほか、WBCの壮行試合の中継や特別番組のためのロケや準備で、
忙しくて、しばらくご無沙汰しておりまして、失礼いたしました。

TBSでは、清原和博さんをWBCスペシャル・ナビゲーターとして 
アメリカラウンドを独占中継いたしますので、どうぞ楽しみにしていてください。
「バース・デイ」でも、WBC企画を今後放送していく予定です。

さて、まずは、最近の映画・舞台関係の出来事で思ったことを書かせてもらいます。

「おくりびと」、アカデミー外国語映画賞受賞、本当におめでとうございます!!
近年の日本映画の充実振りが、ひとつのピークを迎えた感じですね。

気になったというのは、日本のアカデミー賞のほうです。
最優秀作品賞は、「おくりびと」でしたが、(おめでとうございます!)
その作品賞のノミネートに「ぐるりのこと。」(監督;橋口亮輔)が入っていないのは、
どうかと思いました。
(※ノミネート作品 「おくりびと」「母べえ」「クライマーズ・ハイ」「ザ・マジックアワー」
「容疑者Xの献身」)

「ぐるりのこと。」・・・とっても とっても 考えさせられる映画です。
若い人こそ、見なきゃいけない。木村多江さん、リリー・フランキーさんの演技もすばらしい。

映画の評価や、好き・嫌いは個人的なものです。
その日の気分によって、見たい映画も変わるし。
だから、最優秀というのは、時の運みたいなところもあると思います。

でもねえ、「ぐるりのこと。」 ノミネートも、しないのは、どうかと思うなあ。

もしかして、「ぐるりのこと。」は、全く無視なの?と思っていると、木村多江さんは、
主演女優賞をとるし!(これは、よかった!おめでとうございます!)

まあ、賞レースのこういう不満は、今に始まったことじゃないし、仕様が無いけど・・・
まあ、それだけ「ぐるりのこと。」は、いい作品だったと私は思う、ということで・・・

つづいて・・・・・・

突然ですが、なんか自転車に乗りたくなりまして・・・
自転車・・・ 何年、乗ってないんだろ・・・

というのも、先日、宮崎あおいさん出演の舞台、「その夜明け、嘘。」を見まして。
宮崎さんと吉本菜穂子さん、六角精児さんの3人芝居なんですが、
それぞれが何役も演じる舞台で、場面、場面で、急に役が変わっていく。
(といっても、見てない人にはイメージしづらいですよね・・・・すいません。
とにかくAの役を演じていると、たとえば、あるセリフをきっかけにBの役に代わり、
またCの役にかわり、またAの役に戻ったり、・・・ みたいな繰り返しです)

役者としては、とても大変だろうな という感じなんですが、みなさん、すごかったなあ。
アタマで考えるより、カラダで反応しないと、あんな風に演じられないだろうし、
役者さんたちの努力と才能に本当に感心しました。
 
その舞台上で、宮崎あおいさんと吉本菜穂子さんが、やたら、自転車をこいでる。
二人乗りなんかも、なんか気持ちよさそうで。

あー、自転車のってないなあ、と思ってたんですが・・・・

その数日後、神保町シアターで 「青い山脈」「続・青い山脈」を見まして。
「青い山脈」は何度も映画化されていますが、今回見たのは、1949年の今井正監督版。

まあ、現在からすると、気恥ずかしい場面もあるんですが、やっぱりいい映画でした。

海に向かって叫んだり、ラブレターの文字を間違えたり・・・
青春映画や学園モノの元は、みんなこの映画なのね・・・みたいな。

そして、町医者で校医の沼田先生(龍崎一郎)の自転車が、いい感じで映画に使われてます。
「きれいな女の人には必ず、 自転車の後ろに乗らないかって誘う」
みたいな、シーンもあって。

自転車っていうのが、いいよなあ。車じゃないのが、いい。

もちろん、みんなで自転車で海に向かう有名なシーンもあって。
いやあ、青春だなあ。

また、映画館の雰囲気がよかった。映画館は、満員。1席も空いてませんでした。
ほとんどのお客さんが60歳以上。私も含めて、40歳以下は、2人くらい。

そのお客さんが、シーンごとに一喜一憂して、
映画の最後は、映画館で拍手がおきました!!

いやあ、映画っていいね。年取っても、みんな楽しんでるね。
そして、楽しめる作品があるんだってことだからね。

そんなことを考えながら・・・、

自転車に乗りたくなりました・・・・(笑)


今、神保町シアターは東宝文芸映画という特集中ですが、
きっと、20年後の神保町シアターでは、角川アイドル映画特集とかやってて、
60歳になった自分が見に行っているんじゃないかなあ・・・・

というわけで、次回は、私の高校時代の思い出の映画、「Wの悲劇」です。

「顔、ぶたないで。 私、女優なんだから」


『菊野浩樹』の写真

菊野浩樹 プロフィール

1968年 5月14日 生まれ
1992年 TBS 入社
「アッコにおまかせ!」「ザ・フレッシュ」「筋肉番付」「ZONE」「世界陸上」「K1ダイナマイト」などを担当。

「バース・デイ」をはじめ、「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」「ラ イバル伝説…光と影」「プロ野球選手の妻たち」「SASUKE RISING」など、数々のス ポーツ特番やドキュメンタリー番組を手がける。

関連番組一覧

『バース・デイ』
毎週土曜午後5:00~
『サワコの朝』
毎週土曜午前7:30~