菊野プロデューサーの無垢なる愛の戯言

僕には映画、本、コミック…大好きな作品がたくさんあります。
それらの作品が僕の創っているTV番組はもちろんのこと
僕の人生や、ものの考え方にも影響を与えていると思います。
そうした僕の愛した作品についての戯れ言です。
『このコラムを初めて読む方へ』

『シカゴ』

2008年9月17日

今回は、いつもと比べて?あまり古くない映画で、2002年の映画「シカゴ」です。
ミュージカルが好きな人も、そうでない人も楽しめる傑作なんですが・・・

その前にひとつ、最近見た・・無垢なる愛を感じた作品を・・・・

先日、宮沢りえさん主演の舞台「人形の家」を渋谷・シアターコクーンで見てきました。
いやー、素晴らしかった!!舞台女優・宮沢りえさんのひとつの集大成ですね。
宮沢りえさんは、映画でも「たそがれ清兵衛」(2002山田洋次監督)を頂点に今、日本を代表する女優なのは間違いがないところですが、舞台でも大活躍なさっています。
近年では、「ロープ」(作・演出野田秀樹)「ドラクル」(作・演出長塚圭史)などの作品に
出演しており、私も拝見させて頂いていましたが、
特に今回の「人形の家」は、本当に素晴らしかったなあ。

「人形の家」というのは、イプセン作の、いわずと知れた演劇の古典的名作であり、
日本での初演は1911年(今からおよそ100年前!)。その後も、大竹しのぶさんら名女優が
主役ノラを演じてきた作品です。今回、りえさんが演じたノラも、りえさんならではの、ノラであり、
りえさんしか出来ない、ノラであり、いやー、本当に目が奪われました。

僕ごときが言うのはおこがましいですが、なんかりえさんが出会うべきタイミングで
出会った作品のように感じました。2年早くても、2年遅くても、違ったものになったような・・・
舞台女優として成長し、成熟した時に 古典の名作に出会えたのも、
りえさんの女優としての運と力ですね。

また「人形の家」は、舞台セットも大相撲のような、中央に舞台があって、四方に観客席があるかたちで、役者さんたちにとっては、本当に気が休まらないだろうなと思いましたが、
観客にとっては、役者さんとの距離感も近く、楽しめました。
また、2度3度、いろんな方向から、見てみたくなるような魅力ある舞台でしたね。

さて・・・・・・「シカゴ」なんですが・・・もうひとつ、その前に・・・
今回、「シカゴ」について書こうと思ったのは、最近、ある映画を観たからなんですが・・・
「シカゴ」はもともと大好きで、いつかここに書ければと思っていたのですが、
今回のきっかけは・・・「パコと魔法の絵本」。この映画、すごいよ・・・。
監督の中島哲也さんは「下妻物語」(2004年)「嫌われ松子の一生」(2006年)も手がけています。
特に「嫌われ松子の一生」は、衝撃を受けました。
日本映画にこんなかっこいい!!!!ミュージカルができるなんて!!
中谷美紀さんが歌い踊る“ハッピー・ウエンズデイ”のナンバーは、曲といい、ダンスといい、
映画の中の挿入のされ方といい、いやー良かった。
DVDでこのシーンだけ、何度、繰り返し見たことか・・・

今、上映中の「パコと魔法の絵本」も、
ホン、良し!役者、良し!演出、良し(テンポすごいです!)で、ぜひ自分の目で見て
確認してみてください。(映画館で見たほうが、いいですよ。色彩感覚もすごい!!)

この「パコと魔法の絵本」を見た後、家で、つい、「嫌われ松子の一生」のDVDを見てしまい、その時、きっと、中島監督は、「シカゴ」も好きなんじゃないか・・・とか、考えているうちに
またつい、「シカゴ」を見直してしまい・・・今回は「シカゴ」を書こうと思い立ったわけです・・・・。

いやー、前フリ、長かったですね・・・(笑)
というわけで「シカゴ」です。

『シカゴ』(原題CHICAGO)

2002アメリカ映画
監督;ロブ・マーシャル
脚本;ビル・コンドン
キャスト;
ロキシー・ハート・・・レニー・ゼルウィガー
ヴェルマ・ケリー・・・キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
ビリー・フリン・・・リチャード・ギア
ママ・モートン・・・クイーン・ラティア
エイモス・ハート・・ジョン・C・ライリー

2002アカデミー作品・美術・編集・音響・美術賞受賞
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ最優秀助演女優賞受賞
クイーン・ラティアジョン・C・ライリーアカデミー賞ノミネート

この「シカゴ」、音楽シーンを基本的に、主人公・ロキシーの空想のシーンとして描いています。
いわゆるミュージカルシーンと実際のセリフがカットバックされた編集で、
本当に映画全体のストーリーに音楽シーンが違和感なく、組み込まれています。

また、空想としてではない音楽シーンも、実際の舞台上でのシーンだったりして、
これまた違和感がない。

ミュージカルが、あまり好きでない人の代表的意見で、
ミュージカルって、とつぜん歌いだしたりして、わけわからない・・などの声が聞かれますが
(タモリさんも言ってましたね)こと、「シカゴ」に関しては、その心配は無用です。

監督のロブ・マーシャル、この「シカゴ」を作るうえで、参考にした映画として、
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「カイロの紫のバラ」という二つの映画をあげています。
とくに「カイロ・・・」は、主人公の空想シーンが無理なく映画に生かされていますので、
そのあたりを参考にしたのかもしれません。

ただ、ただ・・・私はいわゆる“突然歌いだすミュージカル”も大好きなんですがね!

えー「シカゴ」の本題の前に、話が長くなりすぎました。
次回から、「シカゴ」の更なる魅力、そして大好きなミュージカルについて
話を進めたいと思います。


『菊野浩樹』の写真

菊野浩樹 プロフィール

1968年 5月14日 生まれ
1992年 TBS 入社
「アッコにおまかせ!」「ザ・フレッシュ」「筋肉番付」「ZONE」「世界陸上」「K1ダイナマイト」などを担当。

「バース・デイ」をはじめ、「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」「ラ イバル伝説…光と影」「プロ野球選手の妻たち」「SASUKE RISING」など、数々のス ポーツ特番やドキュメンタリー番組を手がける。

関連番組一覧

『バース・デイ』
毎週土曜午後5:00~
『サワコの朝』
毎週土曜午前7:30~