菊野プロデューサーの無垢なる愛の戯言

字幕の話の続きで、もうひとつ・・・・
この「グレン・ミラー物語」には、僕にとってもうひとつ、印象的なセリフがあります。
それは、妻のヘレン（J・アリスン）が「私は、素敵なことがあると、首の後ろがピンとなるのよ。
髪の毛が逆立つような・・・」みたいな言葉を言い、実際、いろいろな場面で、ヘレンは
そのピンときたような仕草をします。

これも実際の英語ではなんて言っているんだろうと思ってましてね。
ほら、なんか、“首の後ろがピンとなる”　とか言われても　良くわからないじゃないですか・・

ということで、N女史の協力のもと、英語で何て言っているかを
調べてみると・・・・
「You know, when something is really wonderful like that, know it.
I get kind of a funny feeling up the back of my neck.
That’s how I can tell.
Sort of makes my hair stand on end.」

N女史の協力のもと、僕が訳しますと・・・
「私ね、（あの時みたいに）　何か素敵なことが自分に起きるな　って時にはね、
首の後ろに不思議な感覚を覚えるの。
いってみれば、髪の毛が逆立つ様な感じかしら。」

まあ、僕らでいう、鳥肌が立つ　みたいなもんですかねえ。

この夫婦は、結婚してからは、ともに信頼しあい、助け合うみたいな理想の夫婦として
描かれていますが、結婚するまでの展開は、かなり強引です。

2年ぐらい、ミラーがヘレンをほっとくんですが、（1本の電話も手紙も書きません）
突然、電話をかけてニューヨークに来い、結婚しよう　なんて言う。

このへんは、伝記映画とはいえ、相当フィクションも入っているんでしょうが、
逆に伝記映画だから、このエピソードも本当だったのかな、とも思える。

そして、この強引なプロポーズの電話の後、ヘレンは“ピン”とくるんですね。
（ヘレンを演じるJ・アリスンの顔もうれしそう・・）
それで、ニューヨークへ行ってしまう。
ヘレンはこのとき、ミラーとは別の男（エド）と付き合っていたんですが、
きっとエドには“ピン”と来なかったんでしょうね・・・。

この仕草は、この後も重要なシーンになっていきます。

この“ピン”も含め、この映画は伏線がはりめぐらされています。
小さな言葉、エピソードが後にきいてくるんですね。
さっきも書いたように、エピソードがどこまで本当なのかは、わかりません。
いくつかの事実を元にストーリーを作っているんだと思いますが、
とてもよく出来た脚本であり、よく出来た映画だと思います。

あと、伝記映画というと、時間が長いイメージがあるかもしれませんが（「ガンジー」とか）
この「グレン･ミラー物語」は2時間もありません。
今なら3時間以上になっちゃうんじゃないかな。
とっても　うまく省略してます。省略っていうと、悪いイメージぽいけど、映画を楽しませる
すばらしい技法だと思います。
それは、実際に見てみて確認してみてください。
（最近の映画、長すぎですよね・・・）

さて次回は、「グレン・ミラー物語」と同じジャンルの音楽映画で、僕の大好きな作品の紹介を
中心に書こうと思います。

ここで、ちょっと宣伝です。
この「グレン・ミラー物語」は、夢を追っている人を奥さんが応援する映画ですが・・・
今、開幕中の北京五輪に挑戦しているアスリートを支える妻、夫の物語を
8月27日夜6時55分～8時54分　に　TBS系列で放送予定です。

番組タイトルは「女たちの北京五輪SP～オリンピック選手の妻たち～」（仮）

今回、日本人・金メダル第1号となった、柔道・内柴選手に独占密着！
生みの母、育ての母、現在の母・・・、という、3人の母への内柴選手の想い・・。
さらに、北京五輪に出場する妻のため、炊事・洗濯、など家事一切を引き受けている夫など、
北京にかける家族の物語です。

「プロ野球戦力外通告」シリーズや「バース・デイ」「夢の扉」と同じスタッフが作りますので
良かったら、ご覧になってください。