『アパートの鍵 貸します』最終回
2008年5月19日
「アパートの鍵 貸します」編の最終回です。
そこで、ビリー・ワイルダーという監督の逸話についてもうひとつ・・・
これは映画ファンには有名な話ですが、ビリー・ワイルダーには、一人の映画の師匠がいました。
その人の名は、エルンスト・ルビッチ。“ルビッチ タッチ"と言われた艶笑喜劇を得意とした大監督で代表作に「ニノチカ」(1939)「極楽特急」(1932)などがあります。
最近は、500円で買える名画シリーズなどの中に、「街角 桃色の店」(1940)なども入っていて、ルビッチの映画に触れる機会も得やすくなりました。
私が、エルンスト・ルビッチの名を知ったのは、今から20年近く前の大学生の時。
東大に蓮見重彦という教授がいて(後に東大総長になりました)
映画評論家としても、とても著名で、大学に、映画関係のゼミの講座を持っていました。
私も、そのゼミの受講生で、その授業で「生きるべきか 死ぬべきか」(1942)というルビッチの映画を見ました。
面白かったなあ。
そのゼミでは、小津安二郎監督の映画とかも、たくさん見たんですが、一番、印象深いのが、この「生きるべきか死ぬべきか」でした。
そのルビッチが若き日のビリー・ワイルダーの師匠でした。
先に記した「ニノチカ」では、ビリー・ワイルダーは、脚本家の一人として名を連ねています。
そして、監督となったビリー・ワイルダーは、映画製作をする際、アイディアが行き詰まったりすると、いつも「ルビッチならどうする?」と自問自答しながら、映画を作ったそうです。
だから、先に参考文献として記した「ワイルダーならどうする?ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの会話」という本の題名は、このワイルダーの「ルビッチならどうする?」をもじったものなんです。
(まあ、なんか得意げに書いていますが、ちょっと詳しい映画ファンなら、みんなわかることなんですが・・・・すいません・・・)
(ちなみにキャメロン・クロウというのは、「ザ・エージェント」や「あの頃、ペニー・レインと」「エリザベス・タウン」などの映画監督です)
このワイルダーの「ルビッチならどうする?」という言葉。
実は今、私も、よく、番組つくりの中で思い浮かべる言葉です。
もちろん、ルビッチの部分には、別の人の名が入ります。
私は、1997年から2004年まで、ある人の部下をやってました。
その人は、今はもうTBSをやめてしまいましたが、ある時期のテレビ界における最高の演出家の一人であり、最高のプロデューサーの一人でした。
今、自分がプロデューサーとして、よく考えます。
「○○さんならどうしたろう?」
『アパートの鍵 貸します』という作品は・・・
ビリー・ワイルダーという監督の存在も含めて・・
この映画を見るたび、
中学生時代に帰り、
大学時代に想いを馳せ、
今、仕事をする際の、自問自答するきっかけに
なっています。
ビリー・ワイルダーには、他にもたくさん大好きな映画があるので、また書きます。
娘たちよ、中学生・・・高校生でもいいかな・・・
そのくらいになったら「アパートの鍵 貸します」見てください。
パパより。
次回から映画「ライフ イズ ビューティフル」です。

菊野浩樹 プロフィール
1968年 5月14日 生まれ1992年 TBS 入社
「アッコにおまかせ!」「ザ・フレッシュ」「筋肉番付」「ZONE」「世界陸上」「K1ダイナマイト」などを担当。
「バース・デイ」をはじめ、「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」「ラ イバル伝説…光と影」「プロ野球選手の妻たち」「SASUKE RISING」など、数々のス ポーツ特番やドキュメンタリー番組を手がける。
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