
2026年9月27日(日)
パリ五輪世界選手権女王・北口榛花、初出場の自国開催アジア大会へ「金メダルを目指して思いっきり投げたい」
石川佳純に語る
TBSテレビでは、9月16日(水)から『アジア大会 愛知・名古屋』を独占生放送している。日本での開催は1994年の広島大会以来32年ぶり。
『アジア大会』は4年に一度、48億人の頂点を決めるアジア最大のスポーツの祭典。オリンピックを凌ぐ数の競技・種目(43競技469種目)が行われ(※)、約45の国と地域が参加予定。
(※)東京オリンピックは33競技339種目
このたび、TBSスペシャルアスリートアンバサダーの石川佳純と、パリ五輪・世界選手権を制した女子やり投の北口榛花選手との対談が実現した。
初出場の自国開催へ――王者の金メダル宣言と、フォーム一新で「リアルに追いかける」嚴子怡(げん・じい)
パリ五輪・世界選手権を制した北口選手にとって、『アジア大会』は意外にも初出場となる。日本開催の大舞台を、北口選手は“アジア版オリンピック”と位置づける。
「実は、アジア大会は初めてで。今まで出たことがなかったのですが、アジア版のオリンピックだと思うので、陸上だけではなくいろいろな種目が開催されているアジア大会は、雰囲気も陸上だけの試合とは違うのではないかなと思います。今回は日本開催ということで、たくさんの日本のファンの方々が競技場に見に来てくださると嬉しいです」
石川佳純が「昨年の世界陸上から、今回は名古屋のアジア競技大会。やっぱりホームで戦う試合は違いますか」と問いかけると、北口選手はこう応じた。
「去年の世界陸上は、少し怪我をした状態で出て、悔しい結果で終わってしまったので、今回はホームの国際大会で、思いっきり投げている姿を皆さんにお見せしたいです」
目標は明確だ。

「金メダルを取ることの素晴らしさは、自分が一番わかっていると思うので、金メダルを目指して、名古屋で思いっきり投げたいなと思います」
今シーズンから、北口選手は新たにヤンコーチとタッグを組んでスタートを切った。取り組みの軸にあるのは、動作を削ぎ落とす“シンプルさ”だ。
「今までよりも、よりシンプルにやろう、投げよう、というのが今の取り組みで。走って、最後にジャンプして投げる、というただ3つの動作をしっかり遂行することをベースにやっています。今までずっと投げてきた癖もあるので、最初からこれを習っていたら簡単だったのかもしれないことに、難しさを感じるときも多いです」
挑戦を後押ししたのは、まだ見ぬ記録への渇望だった。
「やっぱり“70メートルを投げたい”が一番の原動力だと思いますし、そのために、もっとできることがあると言ってもらえたので、すぐ変えられたと思っています」
そんな北口選手が、いま“リアルに追いかける”存在として名前を挙げたのが、今季台頭してきた中国の18歳・嚴子怡(げん・じい)選手だ。
「今季になって70メートル、71メートルを投げて、世界歴代2位の記録を出している選手なんです。まだ18歳なんですけど、体も大きくて、槍を投げるのもすごく上手で。自分より若い選手ですけど、見習わなければいけないところがあるなと思っています」
追われる立場にありながら、嚴選手の存在はむしろ北口選手の気持ちを軽くしたという。
「今まではオリンピックチャンピオン、世界選手権チャンピオンとして、次に狙うものは歴史に残るアジア記録や世界記録だなと思っていました。でも今回、その選手が実際に71メートルを投げていて、リアルに追いかけるものが突然生まれた感じになって、気持ち的にはすごく楽になったかなと思います。見えないものを追うよりも、彼女に追いつけるように努力したいという気持ちが芽生えましたし、アジア大会で、彼女としっかり勝負、面白い試合ができるようにしたいなと思っています」
同じ道を知る聞き手・石川佳純――プラハで重なる縁と、ライバルへ贈る“中国語”
二人を結ぶのが、チェコの縁だ。北口選手はチェコ・プラハ近郊のニンブルクを拠点に8年目を迎える。石川も現役時代、卓球のプラハ・オープンなどでこの地を複数回訪れており、対話はプラハの街の思い出で弾んだ。
「今は、チェコのプラハの近くのニンブルクというところで合宿しています。休みの日は、余裕があれば観光地に行ってみたりしています」
チェコ語も堪能な北口選手が「チェコにいる分には大丈夫です」と笑えば、石川も「私も試合で何度も行きました。綺麗で、いい町ですよね」と応じ、「本当にいい場所ですよね」と声が重なる。海外を拠点に戦う日々を、同じ競技者として知る二人ならではの空気が、対談の序盤から流れていた。
競技は違えど、二人には“フォーム変更”という共通の経験もある。石川は現役時代、卓球のボールの材質が変わった際にフォーム改造を迫られ、しっくり来るまで2年以上かかったという。同じ苦労を知るからこそ、石川は北口選手のいまの完成度に話を向けた。北口選手は、試合で6本しか投げられない競技ならではの難しさとともに、手応えの変化を明かす。
「難しいですね。6月ぐらいまでは、半分あるかないか、という感じで。私は試合でも6本しか投げませんし、練習でもそんなに数を投げないので、うまくいく率が少なかったんです。でも今は、7月、8月で6割、7割ぐらいまで、いい割合が増えてきているかなと思います」

石川がとりわけ感心するのが、北口選手の後半の勝負強さだ。「ここ一番で力を出せる一番の要因は」と問うと、返ってきたのは“開き直り”という言葉だった。
「開き直ることが一番重要かなと思っていて。やり投げは全力で一本を投げなきゃいけない種目だと思うので、試合のタイミングになると、考える量が自然と減って、より集中できる状態に入れるんじゃないかなと思います。やり飛ばすしかないと思って、練習してきたことを自信に変えて臨んでいます。」
対談の終盤は、ライバル・嚴子怡選手とのコミュニケーションへと話が及んだ。中国語しか話さない嚴選手に、自分の言葉で何かを伝えたい――そんな北口選手の思いに、中国での対戦経験も長い石川が言葉のレクチャーするシーンも。
「彼女が、中国語しか話せないんです。本当は良い中国語で話したいのに、私は『コングラチュレーション』としか言えなくて。“おめでとう”は伝わると思うんですけど、もうちょっと言えたらいいなと思って」
石川が「“おめでとう”なら“ゴンシー”(恭喜)ですよ」と発音を教えると、対談はさながら“オンライン中国語講座”に。熱心に耳を傾ける北口選手の姿があった。
「ネットで調べてもわからないところがあるので、本当に助かります」
石川は「発音はちょっと難しいですけど、完璧だと思います」と背中を押し、「アジア大会で、ぜひ使ってください」とエールを送った。ライバルへの敬意と、それを後押しする先輩の温かさが、同じ舞台を知る二人の距離の近さを物語っていた。
家族という一番の支え――“チーム北口”の絆と、レジェンドコーチの意外な顔
対話は、勝負の話から、それを支える存在へと移っていった。『アジア大会 愛知・名古屋』中継のテーマは「絆があるから強くなれる」。大きな支えとなる存在を問われた北口選手が真っ先に挙げたのは、家族だった。
「一番は家族です。どんな海外遠征でも送り出してくれるからこそ、8年間、チェコで指導してもらえる環境を手に入れることができたと思っています。ほかにもトレーナーさんや、サポートしてくださるスタッフの方がたくさんいるからこそ活動できている。応援してくださるファンの皆さんも含めて、みんな“チーム北口”だと思って頑張りたいです」
話題は、今季から二人三脚で歩むヤンコーチの人柄にも及んだ。石川が「北口選手から見て、どんな人ですか」と尋ねると、意外な一面が語られた。
「お願いする前までは、静かで厳格な人、レジェンドという印象だったんですけど、実際に一緒に練習していると、すごく面白くて。ジョークと本気の境目がわからなくなるときもあるくらい、ユーモアがある人です」
その“ユーモア”は、試合の本番でも顔を出すのだという。
「例えば、今季パリのダイヤモンドリーグに出たときは、1投目で63メートルを投げて、すごく調子がいい試合だったんです。そのあと61メートル付近を投げたら、『61はいいから、55か65にしてくれ』と言われたり。『体重が軽い人みたいに走ってくれ』と、練習では言われたことがないのに急に言われたり。アジア大会でも、想定外の言葉が飛んでくることがあるかもしれないです」

パリ五輪・世界選手権を制してなお、新たなコーチとフォームで“70メートル”に挑む北口選手。初出場となる自国開催のアジア大会で、金メダルを目指して思いっきり投げる姿に期待したい。
■番組情報
[番組名]
『アジア大会 愛知・名古屋』
[放送日時]
10月4日(日)までTBS系列にて独占生放送!
■番組公式サイト・SNS
[公式サイト]https://www.tbs.co.jp/asiangames/
[公式X]@TBS_TV_S1
[公式Instagram]tbs_sportsofficial
[公式TikTok]@tbs_asia2026
[公式YouTube]https://www.youtube.com/@TBSSPORTS6

