TBS担当者:お二人が組んだ作品を振り返ると、あんまり徹底的な極悪人は出てくることがなかったように思いますが、リュシフは極悪人ですよね。
山田:木村監督の作品には極悪人は出ない。 ただ、書いている最中にはそこまで悪人にしようと思っていたわけではなく、 書いているうちにそうなっちゃったんです。彼の立ち位置が…。
木村:やっぱり、最後に二人を戦わせるための…ね。
山田:そお膳立てみたいな。
木村:悪人になっちゃったから、そんなにリュシフの内面には触れてないね。
山田:踏み込んでいるようで、実はお前どこまでわかってるんだ、と。
─そういえば、リュシフがどうして真なる世界を望んでいるのか、強い理由は明確に出ていませんよね。
山田:リリスのためだとか、ちらりと言っていますが、それも本気かどうかわからないし。
まあ、でも半ば本気なんだろうな、と。
木村:「ルチアが成長するまでの間、なんでリュシフは出てこなかったの?」とか。
突っ込みどころはいっぱいあるんですよ(笑)。
TBS担当者:それは、そうならないとフラグメントが覚醒しないからですよ!
山田:でも、それは後付け(笑)。
木村:真珠貝みたいに、真珠が育つまでの間ね…。でも、そうだとしたら、本当はその役目は名橋だと思う。
なら、本当に悪いヤツは名橋にしないといけない。じつは、「最後の悪役を名橋にしようか」という話も出たんだよね。
山田:さすがに、12話ではそれはまとまらない、と。 そうなると、ルチアとスミレが一緒に名橋を倒せばいいことになっちゃうし、先生もさすがに許してくれないだろう…って。
TBS担当者:先生、名橋好きらしいですから(笑)。
─これから作品を観られる方、または再度観る方へお勧めのエピソードを紹介していただけますか。
木村:やっぱり、第7話でルチアの汗を拭いているスミレ。それを見送った後、肩紐がズルっと落ちるルチア(笑)。
山田:そこは確かにシナリオを書きながら、ちょっとエロいと思ってました(笑)。
拭かれてドキッとするルチア、って書いた気がします。
触れあうことで二人が接近する、
という意味で。それがエロくなればOKだし。そう観てくれるのもアリかな、と。
─肩紐ズルっは意図的に?
木村:いやいや。
山田:意図的に決まってるじゃないですか。シナリオには書いていないんだから(笑)。
木村:肩紐がズルっ、はコンテですね。
山田:そもそも、第1話Bパート冒頭からエロいですからね。
TBS担当者:個人的には第8話のお風呂シーンがエロいなあ、と。
山田:ちっちゃな雪使いシュガーのときから、必ずお風呂シーンですからね(笑)。
木村:どれだけ反対されたか(笑)! まあ、お勧めはルチアの汗のシーンで…。
─山田さんからは?
山田:すべてお勧めなんですが…。
やはり、さっき言ったように、リュシフとリリスと名橋の三角関係はまったくの
オリジナルでやらせてもらったので、僕の中での出来はともかくとして面白かったです。
名橋のちょっとヘタレなところはあそこから始まっている訳ですし。全然振り向いてもらえないよアイツ、みたいな。
木村:もっと名橋の過去をやってもよかったよね。少年時代とか。何で魔術師を目指したのか、とか。
山田:そのへんは触れてないから。名橋の設定も結構揺らいでた気がする。どこまで知っているのか、とか。
木村:どこまでルチアにバラしてる、バラしてない、とか。
─相当な枚数になる文字資料を作られたようですね。
山田:でも、その割には穴や突っ込みどころがありますけどね(笑)。