木村:最初に受けたときには、まだコミックが2巻までしか出てなくて。
山田:色々な決めごとがまだ決まってない段階でしたね。
木村:まだラフなキャラ表を見せてもらい「これがこれから出る予定の登場人物です」という段階でした。
「えー、こんなにキャラ出るの?」「こういう設定がこれから展開するの?」「真なる世界ってなあに?」って…。
木村:だってまだ、1、2巻では登場人物も揃っていないしね。
山田:だから、全体の流れの構成表みたいなのがあったんですよ。原作漫画用の。
木村:我々としては、まず作品タイトルが読めないところから始まって(笑)。
で、「女神対悪魔なんろうだな」「じゃあ対決モノなんだな」と。
そうやって、どんどん連想ゲームみたいに…。
「だったら、最初は対決シーンからスタートしなくちゃいけないな」と。
山田:女の子二人だから、結局最後は戦うんだろうなあ、と(笑)。
─1話のアバンは、そういう発想から始まったんですか!?
木村:そうそう
山田:結局キャラクターがほとんど二人しかいなかったので、何やるかといったら戦うしかない、と。
木村:後からルチアの目の秘密を知って。
「えっ、そんな能力があるの~?」「フラグメントって何なんですか」という世界で(笑)。
山田:文字面の設定だとなかなか頭に入ってこなくて、それがちょっと辛かったな、というのはありますね。
木村:鈴見先生自身がまだ設定を作りかけている最中だったと思うんです。
だから、先生の中でも確立されていない段階で、こちらから「どうなるんですか!」
「教えてくれー!」と矢継ぎ早に質問したものだから、先生も慌てて「これから、こういう展開になる予定です」
みたいな形で書いていただいたんだと思います(笑)。
─では、毎回先生や編集部と、いろいろやりとりが。
木村:先生がシナリオ打ち(本読み)にもずっと参加してくれて。
忙しい追い込みのときとかは無理でしたけれど、そんなときは編集の方が来てくれて。
木村:ローラのチョコ好きとか、そこで決まったようなものだし。
山田:原作読んだら「そのまんまやんけ!」って(笑)。
良くいえば、フィードバックされている。みんなでワーッとやっていると、
いろんなネタというかアイデアが出てきますから。
木村:先生も「そのネタ美味しいからいただき~」って(笑)。それはそれでいいんじゃないかと思います。
─原作の通りではなく、一緒に作っていったというのは面白いですね。
木村:ことあるごとに「先生、これで大丈夫?」って聞いたりね(笑)。
TBS担当者:でも、先生に「大丈夫?」って聞いて、「ダメ」って言われたことなかったですよね。
木村:いつも笑ってましたよね(笑)。
TBS担当者:「みんな泥人形だけど、いい?」ってとこまで(笑)。
山田:結構割り切って、「違うもの」って見てくれていたような気がします。
実際、原作のままだと話の途中で終わるしかなくなっちゃいますから。
それはそれでアリなんでしょうけど、微妙なところだったので。
木村:月刊誌での掲載ですからね。どうしてもこっちが先に終わっちゃう。
─その点については、先生の方から何かアドバイスなどがあったのでしょうか。
木村:あったような、なかったような…。
─「真なる世界」についてはの解釈も原作漫画とアニメとでは違うようですね。
木村:当初、まだ先生の頭の中にしかない「真なる世界」の世界観が、我々はなかなか把握出来なくて。
山田:なんなんだろう。いい世界なのか、悪い世界なのかとか、いろんなことがわからなくて。
勝手に「理想郷だよ」と。アニメ本編でも言葉だけで、具体的な絵が出てこなかったじゃないですか。
あれは、そのためなんです。
木村:先生には、「何もない真っ白な空間」って言われて、「えー、それが理想郷か!?」って思いながら。
じつは、俺の中ではオープニングでルチアとスミレの二人が白い服を着て
寝そべっているあそこが二人の真なる世界というイメージなんです。荒野より平和の方がいいだろうって(笑)。
山田:シナリオ的には、微塵も出て来ないですからね。
─シリーズ構成を担当される上で、ご自分の「真なる世界」のイメージはなかったのですか?
山田:監督みたいに「オープニングのそういう絵みたいなものだよ」というのは
シナリオではなかなか書けないんです。「光に満ちた世界」と書くことはできますが、
「そうなのかなあ」と思いながら。結局シナリオ的に、真なる世界は否定的に書くしかなかった。
それも、何もないから嫌だっていうのだと絵に描けないじゃないですか。
木村:だから、こちらも映像で描くときにはちょっと勝手にダークな暗い世界として…。
ルチアのイメージする父親が母親を殺すシーンは、真っ赤な草地に黒い太陽に青紫の空、
みたいな変な異空間にしちゃった。
TBS担当者:鈴見先生は「パラレルワールドだから」とおっしゃっていましたし。
山田:まあ、「こういうのもあるんだ」っていう感じで見てくださっていましたね。