 |
れんと |
「ゆらちゃん……」 |
 |
カリラ |
「もういいだろ。あんなヤツのことは放っとこうぜ? だいたいさぁ」 |
 |
ほのか |
「でも、『ゾンビ』を自分で告白したのはいいことだと思うわよ?」 |
 |
八千代 |
「まーそうかもねー。黙ってればわからない、それがゾンビのいちばん問題な所じゃん?」 |
 |
ほのか |
「じゃ、始めるわよ『よいこのためのサバゲー講座 第9回:ゾンビ』」 |
 |
れんと |
「はじまりはじまりですー」 |
 |
ほのか |
「撃たれても撃たれても、絶対ヒットコールしないひとがいるの。それを『ゾンビ』って呼んでる。マナーもルールも守れない人、それがゾンビ」 |
 |
八千代 |
「まさに『腐った死体』じゃんね」 |
 |
カリラ |
「そんなヤツには至近距離で200発くらい撃ち込めばいーんだよ。パニックで悲鳴上げるからそれでヒットコール替わりだしな」 |
 |
ほのか |
「ううん、それは違うと思う。そんなことしたらカリラもゾンビと同じ所に堕落する」 |
 |
カリラ |
「!?」 |
 |
ほのか |
「わたしたちはサバゲーマーは常にゾンビの誘惑にかられるのよ。どうしてだと思う?」 |
 |
れんと |
「ええと……」 |
 |
ほのか |
「装備品や銃に当たってもヒット。靴のつま先でも指先でも当たったらヒット。味方に誤射されてもヒット。ゲーム開始1分で、これから活躍したいところで偶然の流れ弾でゲームオーバー。これ納得できる?」 |
 |
八千代 |
「んー。確かにガッカリじゃんね」 |
 |
れんと |
「本当はもう少し遊びたいですよね」 |
 |
ほのか |
「でも、そのちゃんが言ってたよね。サバゲーは本当の戦争とは違うって」 |
 |
カリラ |
「ああ、言ってたなー」 |
 |
ほのか |
「ぽろっと落ちてきたBB弾でも『戦死』なのは、サバゲーと殺人を区分するいちばん大切な部分なの」 |
 |
八千代 |
「サバゲーはヒットされても次のゲームで復活できるし」 |
 |
ほのか |
「そう。お手軽に死んでお手軽に復活。『リアル』と『ごっこ』の徹底的な違いはここ」 |
 |
カリラ |
「確かに、リアル戦争だと撃たれて奇跡的に死ななくても、後遺症がずっと残ったり、その時の記憶が永久に残ったりするしな」 |
 |
れんと |
「戦争はイヤなのです……」 |
 |
そのら |
「おー。お前ら何の話してるんだ?」 |
 |
八千代 |
「そのちゃん!?」 |
 |
れんと |
「今、ゾンビの話をしてたのです」 |
 |
そのら |
「ゾンビ? そんなのどーでもいいんじゃないか?」 |
 |
カリラ |
「どうでもいいのかよ!?」 |
 |
そのら |
「そのゾンビはわたしたちとは別の遊びをしてるからな。自分だけの世界でヒーローになりたいんだろ? だからほっとけばいいんだ。もちろん、そういうチームとはゲームしない。それでいいだろ?」 |
 |
ほのか |
「確かにそうだけど……」 |
 |
そのら |
「興奮状態でダッシュしてるときに1発流れ弾が当たっても気がつかないことだってある。もちろん確信犯のゾンビは問題だけどな。でも、当たった当たってないをイチイチ問題にしてたらきりが無いだろ」 |
 |
八千代 |
「まーたしかにそーだけどさー」 |
 |
そのら |
「嘘ついて誤魔化してルールを破って相手に勝って楽しいか? 何度も言うけど、楽しくなかったら負けだ。だからゆらは……負けたんだ」 |
 |
れんと |
「……」 |
 |
ほのか |
「そうね。24時間サバゲーで最大の敗北者はゆらちゃんかもしれないわね」 |
 |
カリラ |
「オイオイ、そんなにテンション下げるなよ? いっそさ、ゾンビだらけのサバゲーやってみようぜ? 題して『死霊の盆踊り』だ!」 |
 |
ほのか |
「パス」 |
 |
八千代 |
「不参加」 |
 |
れんと |
「わたしもちょっと……」 |
 |
そのら |
「てわけで、今日のゲームはゾンビなカリラをみんなで撃ちまくるゲームな」 |
 |
カリラ |
「ええええ?」 |
 |
そのら |
「ゾンビだからヒットコール禁止だぞ? 当たっても痛くても我慢だ!」 |
 |
カリラ |
「マテマテ。それひでーだろイジメだろ?」 |
 |
ほのか |
「至近距離で200発は誰のセリフだったしら?」 |
 |
八千代 |
「ゾンビ狩りじゃん?」 |
 |
れんと |
「楽しそうですっ♪」 |
 |
カリラ |
「そんなわけで今回はオシマイっ。オレは逃げるっ!(ササッ)」 |
 |
そのら |
「次回もお楽しみになっ!」 |