Interview
—— 最終話の収録を終えてしまいました。
小原:私の望んだ通りの話に収まった!と思って嬉しかったです。最初のインタビューで、どうかこのままであってほしいと話したんですけど、丸く収まったというか…(笑)。それでいて話はまだまだ続いていくという感じで終わっていたなって。
鬼頭:全然終わった感じがしないです。
小原:ポッキンアイスのくだりとかも、すごく楽しかった!
鬼頭:オープニングにあったポッキンアイスだ!って思った。
小原:そうそう。オープニングで二人で食べてるから。そういう関係性が壊れないまま、また新しい方向に行くんだろうなっていうのが嬉しかったです。あと桃を探している途中でミカンが、魔法少女と魔族が出会うことは普通はありえないって言うんですよ。だけどシャミ子は魔族になったその日に桃に出会っている。何かしら運命的な不思議な力が働いたのかもって言われたとき、私はすごく嬉しくなりました。
—— 出会うべくして出会う存在だったんでしょうね。でも出ていった桃を追いかけて、ミカンとか、これまで会ったキャラクターに会うって、かなり最終回っぽいですよね(笑)。
鬼頭:確かに! 青春だ。
小原:吠える犬と犬のお姉さんも出てきたりしましたしね。
鬼頭:オールスターみたいな。
小原:でもご先祖はまた投げられるんですけど……。
—— シャミ子のお父さんの顔もわかりました。
鬼頭:ナレーションがお父さんだったっていう。
—— ここの二人のやり取りはいかがでしたか?
小原:シャミ子が説得するところは、シャミ子の必死さが伝わってきました。これまでは母が言うからとか、ご先祖が言うから、よくわからないままただ一生懸命にやっていたけど、ここはシャミ子の意思で言っていたというか。心から思っていることを言葉を選んで必死に言っていると感じたから、それを汲んだ上での長台詞は、尺などで難しい部分はありましたけど、何度も挑戦させていただけて。
鬼頭:桃としては、どうしても自分が許せないっていう頑ななところ、桃の頑固なところが出てるなと思ったので、私もそこは意識しながらやっていました。
小原:あかりん(鬼頭さん)は実際頑固なの?
鬼頭:うん。めっちゃ頑固!
小原:そうなんだ!
鬼頭:めちゃくちゃ頑固だから、(桃の気持ちが)よくわかる。だから台本とか、あまりやっていくと逆に良くないんです。これはこうだ!と思っちゃうと、それを成し遂げてしまうからディレクションに対応できなくなってしまって…。逆に何も考えず、その場で自然にやると、何かを言われてもすぐに対応できるというか。
小原:掛け合いしたときのバランスもあるから、かっちり作っていっちゃうと難しいよね。だからフラットな状態で行けるようにはするけど、尺には収まるように練習していくから、台本が本当に汚くなってしまうんです。
—— 結構書き込む方なんですか?
小原:かなり書き込んでました。多分何も言わないでいてくれたけど、隣で見てて汚いと思ったでしょ?
鬼頭:いやいや、全然思ってないよ(笑)!
小原:そっか(笑)。そのくらい不安になって、読める漢字でもふりがなを振っちゃうんです。あと台本でページをまたぐときは、書き直したり。
鬼頭:それは私もする。
—— アフレコ前日はけっこう大変ですね。
小原:Vチェックには3時間くらいかかってました……。
鬼頭:シャミ子はめっちゃしゃべるもんね。
小原:ここまでセリフが多い役は初めてだったから…。
—— その他に、好きなシーンはありました?
鬼頭:Bパートで、(ご先祖から)ピンクが似合ってないよと言われて、桃が黒いカーディガンを着てるところがすごくかわいいなって思いました。
小原:あれはひどいよ!
鬼頭:でも真に受けて、ちゃんと黒い服を着ちゃうところがかわいい。
—— ラストは、原作3巻冒頭の果たし状ネタでした。
小原:アニメって原作の途中で終わるけど、11話のラストがあんな感じだったので、どうなるのか気になっていたんです。そしたら関係性が変わりながらも、お互いを思いやる気持ちは変わらないままで。シャミ子の基本はかわってないんだなっていうのはすごく感じられました。
鬼頭:桃とシャミ子の関係はいろいろあったけど、結局いつも通りで終わるのはすごくいいなって思いました。
—— EDの入り方もすごくいいんですよね。おそらくアフレコのブースでは聴こえてなかったと思いますが。
小原:ここらへんかなとは思いましたけど、確かにどこから入るかはわからなかったです。でも、桃が河川敷に来たとき、お出かけスタイルになっていたところで、すごくキュンキュンしてました。
鬼頭:かわいかった…。
小原:何だその格好は!って、最後の最後でそのセリフ!って思ったけど、桃も「ももも~ん」っていうSEで終わってて(笑)。いつも通りでしたね!
鬼頭:日常に戻れた感じがしたね!
—— 最後、「がんばれ優子。誰よりも優しく、強くなるんだ」で終わるのもいいですよね。
鬼頭:泣けます!
小原:温かかった~。
—— ここで物語とは関係なく、インタビューであまり話題に上がらなかったけど重要なキャラである杏里について伺いたいのですが。
鬼頭:あの軽さがすごく良かったです! シャミ子がパソコンを持って帰るところ(5話)で、ラケットでボールをパコパコやりだしたときは、めっちゃ笑いました。
小原:嫌味のない軽さがいいよね。
鬼頭:千本木さんのお芝居がすごく良かったんです。
—— いろいろと説明とかもしてくれて、いないと困るキャラクターでしたよね。
小原:魔族と魔法使いの関係には入ってこないものの、小倉さんと同じくらい重要ですよね。
鬼頭:多魔市って、周りの人が、あまり魔族とかそういうのを気にしない穏やかな街だというのを、この2人が表現してくれている感じがしました。
—— では最後に、アフレコを終えてひと言お願いします。
鬼頭:さびしいです。
小原:怒涛のような感じでしたし、私はかなり修行になりました。あかりんと最初から最後まで全部一緒なのは初めてだったから嬉しかったし、キャストもお会いしたことがある方が多かったので、いい緊張感もありつつ、リラックスもできました。そういう空気感の中で収録できたので、いろいろな方に感謝したい気持ちでいっぱいです。それと桜井監督から、愛のある試練をいただいたので、1話でボロボロだったのをあかりんは横で見てくれてたと思うんですけど、まだまだ修行を積み重ねていかないといけないなっていう気持ちです。
鬼頭:12話通して、ギャグだったり温かいお話だったり、シリアスだったり、いろいろなものが詰め込まれた作品だったと思います。こういう温かい作品だからこそ、キャストの方も温かい人たちで固められていて、毎週楽しくアフレコさせていただきましたし、ぜひ! 2期があったらいいなと思います。
小原:そのときは、もっといろいろ一緒に稼働したいね!
鬼頭:(うなずきつつ)アフレコが終わって、ちょくちょく原作の続きを読んでいるんですけど、まだ見たいシーンがたくさんあるんです。だから続きができることを期待しつつ、みなさんお疲れさまでした!という気持ちです。