週刊Scoop[3月9日号]

NPS新スナイパー・林イルマ巡査 陸上自衛隊から警察官へ 父親も元警察官「人を守るための仕事に就きたかった」

NPSに新たに配属された狙撃手・林イルマ巡査。彼女は以前、習志野駐屯地に本部を置く陸上自衛隊第一空挺団のSFGp(特殊作戦群)に所属していた。SFGpは自衛隊初の特殊部隊で、想定する任務や訓練などは極秘となっているが、林巡査は全日本ピストル射撃記録保持者であり、これまで女性隊員はいなかったものの、その腕前を買われての大抜擢だったそうだ。
もちろん警察関係者にもその腕前から名は知れていたが、彼女はSFGpをわずか1年で退官している。理由は上司からのセクハラなど、さまざまなことが取りざたされたが、取材を進めていくと、本来ならば急所を撃つべき狙撃手が、絶対に急所を外すという方向性の違いから対立したというのが真相のようだ。林巡査の父親も元・交番勤務の警察官であったことから自衛隊退官後警察官へと転向したのも頷ける。

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また、父親の林啓太郎元巡査は18年前に起こった繁華街通り魔事件で、犯人を射殺した人物であることも判明した。林啓太郎元巡査は、目の前で起こった凶行に対し「子どもたちだけでも守らねば」ととっさに体が動いたのだろう。当事の新聞にも大きく取り上げられたこの事件だが、警察は「犯人射殺」という衝撃から、林元巡査へのマスコミへの接触は徹底的に遮断していた。よって表立って林元巡査のコメントは出てはいないが、事件当時の目撃者の証言から、林元巡査は的確に犯人の急所を撃ち抜いており、直後に「子どもは無事か」という声を聞いたという。林元巡査の行動は服務規程に問われることはなかったが、その後警察を辞し、消息不明となっていたが、実家の宮崎で農業を営んでいるという。

(写真)たとえ凶悪犯であろうと「人の命を奪った」という事実は変わらない。重い十字架を背負った林啓太郎元巡査は、農業という「命」を育む仕事に就いた。そして、その姿を見て育った娘さんの林イルマ巡査は「父の背負ったものを少しでも軽くしてあげたかった」と、「人を殺さずに守るため」人体構造を知り尽くし、急所を撃つことはせずにいられるよう、腕を磨いたという。今、林元巡査が守った命は「人を守る」特殊部隊員、そして看護師となって実を結んでいる。林啓太郎元巡査が今は少しでも平穏な日々を送ってくれていればいいと記者は望む。

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