週刊Scoop[3月9日号]

女性拉致事件 元交際相手からのストーカー行為がエスカレート 止まらないDV、ストーカー被害の実情

(写真) 「ストーカー」という言葉が世に出始めてから、まだわずか20年も経つか経たないかという現在、恐ろしいことに「ストーカー」行為は減る気配どころか年々増加傾向にある。ストーカ規制法もその都度改定されてきているが、その手段もどんどんエスカレートし、被害も深刻さを増してきている。平成24年、警視庁発表によると女性の被害率が8割を超えており、元を含む交際相手からの被害が6割、面識がある相手からの被害というとなんと9割にも上る。
今回の容疑者・松本三郎も元交際相手であった小野恵理子さんに、復縁を迫った末の犯行であった。松本容疑者は交際時から恵理子さんに対し暴力を振るっており、恵理子さんはDV(ドメスティック・バイオレンス=交際相手、夫などパートナーからの暴力)被害、およびストーカー行為に対しても警察に相談に行っていたという。しかし、警察は「起こってもいない事件」に対しては腰が重い。また、恵理子さんが引越しをしていて所轄が変わってしまったことも後手に回ってしまった要因だと言われている。

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元ケーブルテレビ技術者の利点を活かし、ケーブルなどの張り巡らされた洞道に逃げ込んだ松本容疑者だが、ポインター3号はじめ警察犬の活躍もあり早期に発見、確保することが出来た。しかしパニックを起こしていた被害者の恵理子さんが松本容疑者にナイフを振りかざし、あわや刺してしまうところを、蘇我・林両巡査の狙撃でナイフを弾き飛ばされたことで事なきを得た。これまでの恐怖の日々を思えば許せないという気持ちもあるだろうが、もしあのまま松本容疑者を刺し殺してしまっていたら、過剰防衛で罪に問われるのは恵理子さんになってしまう。これまで充分に苦しんできた恵理子さんに安心してもらうため、林巡査が松本容疑者を「あまめ(=宮崎の言い方で「ごきぶり」のことだそうだ)」と呼び、銃をつきつけた行動は、警察官として褒められたことではないかも知れないが、苦しみを取り除いてあげたいという気持ちは、同じ女性として充分に理解できるところだろう。
DV、ストーカーに苦しむ女性は後を絶たない。「警察に行くことで逆恨みをされるのではないか」、そういう場合は自治体、病院などが相談窓口を開いていたり、シェルターとしての機能を果たしてくれる場合もある。「警察は何もしてくれない」とあきらめてしまわず、安全で幸せな日々を送れるよう、一人で悩まずに相談に行って欲しい。

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