週刊Scoop[3月2日号]

元警察庁次長・霧山六郎の悲願「制圧法」の成立 「ダッカを忘れるな」日本特殊部隊の歴史に新たな一文を

1977年、パリ行き日本航空472便がハイジャックされ、バングラデシュのダッカ空港に着陸したいわゆる「ダッカ事件」、このときの対策指揮を執っていたのが誰あろう、霧山氏だった。この事件を教訓として、特殊部隊の必要性を説き、日本初の特殊部隊を発足させたが、戦後、平和に馴染んでいたマスコミから、「警察による殺人」とのそしりを受け、霧山氏は引退を余儀なくされたという。

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特殊部隊の歴史、それは霧山氏の歩んできた道でもある。自らが発足させたSAP、零中隊の流れを汲むSATを日本の対テロ組織の最終手段として認知させたいという霧山氏。国民の生命を守るためには制圧いたし方なし、殺生与奪の権利は必要だという自説の元、警察法第2条に「制圧法」を加えたいというのが霧山氏の悲願だ。主催している「霧山塾」のメンバーは、この趣旨に賛同する者たちの集まりである。「犯罪者の命を守ると被害者が増え、殉職者も出る」という人身御供としてNPSを設立した霧山氏は各界の有力者を集め、足場を固め、着々と法改正に乗り出している。

(写真) 蘇我巡査が個人的には賛同できるというこの「制圧法」だが、すべての警察官が判断を誤らないとは限らない。香椎隊長の言うように「命のハードル」が下がってしまうという危惧は常に付きまとうのだろう。人を裁く権利、断罪する権利とは何か。六法全書だけでは判断しきれない「人間の心」に、日々犯罪に密接している警察官はどう向き合うのか。警察官たちは出口の見つからない答えを探してもがいているのかもしれない。国際テロリスト「M」こと正木圭吾も現在は目立った動きをしていないものの、その動向が気になるところであり、今後SAT、NPSの役割がどうなっていくのか注目される。

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