インタビュー

佐藤浩市さん&香川照之さん&橋爪功さん(Page.2)

愛知佐一郎を演じる佐藤浩市さんとご一緒して感じたことは?

香川
佐藤浩市さんとは、何度もご一緒させていただいているのですが、なんだろうな… 僕が5歳年下なのですが、最初の頃は父親のような存在だったのですが、歳を重ねるうちに、今は兄貴分のような存在になってきました。
浩市さんからも、そう言っていただいたのですが、お互いに “なぜ役者になったのか” という感覚がそう遠くない方だと思っています。
今回も、自分の中にある綺麗で澄んでいてさらさら流れているようなものではなくて、ドロドロして、澱んでいて、渦をまいている部分をつくっていこうと… そんな話は実際にはしていませんけど、そういうようなことを確認し合える、数すくない先輩俳優の1人です。
今回もそれをそういう確認し合える機会をつくっていただけたと思います。それは、カットの中のわずか1秒で確認し合える何かだったりするんですけど…

今のをお聞きして、いかがですか?

佐藤
一言で出所出自と言ってしまえば乱暴ですけど、その家、親子で全然違うわけです。
でもなんとなく抱えている泥臭い部分として… 失礼になるかもしれませんが、近しいものも感じます。そういった点で、何を考えて何をしているのかな、40歳過ぎてから自分の中で全然違う決断をしていくというところを含めて…。まあ嫌なとこもある男なんですけどね (笑)
香川
ありがとうございます (笑)
佐藤
でもね、この人の凄さというのは、後輩や年齢だけの問題ではなく、ある種、畏怖心… そういう凄まじさは感じます。
そういう人と一緒にやっていけるという面白みがありますね。楽しみの中で自分を鼓舞できるという存在であると思います。

橋爪さん演じる石山又造のキャラクター

橋爪
もう演出にお任せしているのでね…。この方は極めて実務的な方ですから。先代から、愛知に仕えていて、今度は佐一郎さんと一緒になるわけで… 番頭さんみたいな感じですかね?
愛知佐一郎の邪魔をしないように佐藤浩市の邪魔をしないようにという感じです。

橋爪さんは、佐藤浩市さんと共演していかがですか?

橋爪
香川さんともそうですが、そんなに付き合いが長くないんですよ、お2人とも。
なので、人間性はまだよくわかりませんが、お芝居を見ていてとても興味のあるお2人だなあと思っています。人間性って別にねえ… 知りたくもないしねえ (笑)
2人
(笑)
佐藤
必要ないですからねえ (笑)
橋爪
一緒のシーンでお芝居をしていると 「ああこういうお芝居なんだあ」 とかね。驚くようなことがいろいろあります。そういう意味では、楽しいですよ。この撮影現場は。

視聴者のみなさんに感じていただきたいこと。

佐藤
今とは貨幣の価値がまったく違いますし、当時のことを想像してもどれだけわかるかと言うと難しいと思います。
でもなんとなく… そうだったのだろうな、と想像しながら見ていただきたいです。それと、今の時代に欠けているものがあるとするならば何なのか。どう足掻いて、這い蹲って、日本がこうなってきたのかという根底の答えが、このドラマの中にある… とまでは言わないけれど、でもそんなことを思いながら見ていただけるといいな、と思っています。
香川
敗戦直後の日本というと、本当に小さいところから立ち上がって、コツコツやっていた時代に、愛知佐一郎という人がアメリカのフォード車に勝つには、小型車なんだ、と言って、“スモールジャパン” を描いていきながらも、すごく大きなスケールでそのスモールジャパンを福澤監督が演出するそのギャップ… とまではいきませんが、不思議な感覚が視覚的魅力でもあると思います。そこもぜひ、見ていただきたいなと思います。
橋爪
戦争という大きな事件がありましたからね。昭和には。それを挟んで、政治家でもなく、軍人でもない、いわば庶民が打ちのめされ、そこから這い上がったというのは、すごく大きなエポックだったと思います。
その中で、経済の元締めの日本銀行の方々がどう日本に向かい合ったのか…。
やはりすごい時代だったと思いますよ。たくさんのリーダーを輩出する地盤のあった時代でしたね。見ていただけたら元気になると思います。こういう時代が日本にあったんだというとを含めて、そういうのを体現できていたらいいなと思っています。