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2004.8.1 放送 第213回 「日本人で最も金メダルに近い女達」 メダルラッシュは確実と言われる、日本女子レスリング。中でも最も金メダルに近い二人の女王、浜口京子(26)と吉田沙保里(21)。二人のメダルへの重圧と戦う若きアスリートの、こころの叫びを聞いた。
今年6月、レスリング界に嬉しい報せがあった。浜口京子が日本選手団の旗手に選ばれたのだ。旗手は過去のメンバーを見ても、その大会のシンボル的存在だ。そんな立場に娘がなれたことが、父・アニマル浜口は嬉しかった。 東京・浅草にある、元プロレスラー・アニマル浜口の道場。ここが、浜口京子の普段の練習場だ。練習場の壁には、父が自ら書いた勝つための極意で隙間なく埋められている。中でも、187か条におよぶ勝利への心構えは、練習前に必ず唱える、勝つための呪文。そして父の見守る中、普段通り男子選手を相手にスパーリングを行う。 練習は1日6時間。ほぼ毎日。浜口親子はこうして、12年以上も濃密な時間を過ごしてきた。26年前、プロレスラー・アニマル浜口の長女として生まれた京子は、父のように強くなりたいという願いから道場で鍛え抜いてきた。そして、今年2月にアテネ行きを決めた。その後も、今に満足せず鍛え抜いてきた京子。 5月半ば、子供の頃から参加していた三社祭には参加はしたが、大事をとって神輿をかつがなかった。ただ、神様が宿ると言われる神輿に向かって祈っていた。
今年2月、女子レスリング55kg級の日本代表決定戦が行われた。対戦したのは、59kg級世界王者の山本聖子と55kg級世界王者の吉田沙保里。世界で敵なしの二人が一つの代表枠を争ったこの戦い、事実上、アテネオリンピックの決勝戦とも言われた。そして、その試合は両者死力を尽くした戦いとなり、結局その死闘を吉田が制した。 ライバル山本聖子を下して、アテネでの金メダルはほぼ確実と言われている吉田。それほど吉田の世界での強さは際立っている。8年前から国際大会で16回連続優勝。公式戦でなんと、外国勢に負けたことがないのだ。指導してきた栄監督も高い評価を与えている。 現在、中京女子大学に通う吉田。キャンパスの華やぎとは無縁に、レスリング部で常に汗を流す日々。世界屈指のレベルを誇る女子レスリング部。練習は朝6時から多い日は1日7時間以上、休みは殆どない。練習が終って帰る場所は寮。さらに監督もすぐそばにいる。レスリングのことだけを考える環境に彼女たちはいた。 吉田は父が元アマチュアレスリングの全日本チャンピオンだったこともあり、3歳の頃からマットで戦ってきた。小学生で無敵を誇っていた吉田は男の子相手にひるむことなく勝ち続けた。途中、女の子らしいこともしてみたい気持ちもあったが、レスリングから離れることはなかった。 その甲斐あって13歳で世界一を獲得。以後、国際大会で一度も負けていない。前人未到の16連覇も達成した。そして気が付けば「金メダル確実」と言われる立場にいた。 近づくオリンピックに向けて、吉田はある特訓を行っていた。それは、最大の武器であるタックルを相手に読まれないようにする練習。監督の栄も必死にそのテクニックを叩き込む。吉田はその特訓でかなりの手応えを感じていたが、更なる難問が吉田を待ち受けていた。吉田の血液中の鉄分が一般女性よりも極端に少ないということが判明したのだ。そのため筋肉はつきにくく、スタミナも低下してしまう。そこでアテネまでの2ヶ月間、鉄分の点滴をし、食事を改善して肉体改造にも取り組んだ。 ■彼女たちの敵は今や外国勢ではない… そんな中今年6月、新潟県十日町で女子レスリング日本代表の合同合宿が行われた。ここで、最後の調整を行おうというのだ。体重別でクラスの違う4人の日本代表。だが合宿ではクラスを越えて互いのスパーリングパートナーを勤める。 吉田沙保里と浜口京子もマットの上で組んだ。浜口は吉田の得意のタックルを学ぼうと心掛け、吉田は浜口のパワーをどう凌ぐかを学んだ。互いに手応えを得ることになった今回の合宿。成果は十分だった。そしてスパーリングで連帯感も一層強いものになった。 アテネではともに金メダルを狙う戦友となる。彼女たちの敵は今や外国勢ではない。プレッシャーにいかに勝ち抜くかだ。
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