●2001年 3月27日
 地雷除去の方法 〜地雷の知識 (その2)〜


きょうの地雷の知識は地雷の除去方法についてです。まず少々専門的な話をしますと、地雷除去には軍事目的のものと人道目的のものがあります。軍事目的のものは戦時中に敵が敷いた地雷原を一刻も早く突破するためのものなので、除去率は8 〜 9割でかまわず、残った地雷で死傷者がでても、軍事上のコストとみなされます。また突破道の外側の土地は除去の対象とはなりません。  それに対して、人道目的の除去は、どれだけ時間がかかっても100%の安全確保が必須となります。また安全を確保した土地を元の住民に戻し、再び農業などに使えるようにすることを目的としているため、対象もそうした観点から面の除去になります。



【地雷除去の方法】
1)地雷原の特定とマーキング

1980年に国連で作られた条約では、地雷の使用にあたっては、埋めた場所の記録が義務付けられています。しかし適用された例はほとんどなく、人間や動物が死傷して初めて、そこが地雷原と認識されます。除去団体は、付近の戦闘状況、事故例、住民への聞き取りなどから地雷原を特定し、特定された地域を杭などで囲み、ドクロマークなどを立てます。

2)地雷の探知
一つ一つの地雷の場所を探す探知には、金属探知機、プロッダーと呼ばれる金属棒、地雷犬の方法がありますが、どれも万能とはいえずそれらを組み合わせて探知することもあります。また探知の前には、除去地域の特質(土壌、地形、植生、天候)、戦闘の質、地雷の種類、埋められた深さなどを調べ、探知から除去までの手順が決められます。

○金属探知機
地雷除去には必須の道具ですが、最大の弱点は、あくまでも金属探知機であって、地雷探知機ではないことです。金属が少ないプラスチック製の地雷の探知は不可能である一方で、銃弾や砲弾の破片にも反応してしまいます。もちろん鉱物性物質を含む土壌でも反応するため、結局、反応した全ての場所を金属棒などで探らなければならず、その区別に膨大な時間を要してしまうのです。国連によれば、カンボジアでは地雷1個につき、平均129個の金属片を取り除いているということです。

○プロッダー(金属棒)
20 〜 30センチほどの金属棒を数センチ毎に、30度以内の浅い角度で地中に差しこみ、物体に当たった感触や幅で地雷を探す方法です。金属探知機が使えない場所ではこの方法で探知しますが、土壌が比較的柔らかい地域でしか使用できず、時間もかかります。

○地雷犬
金属探知機が使えない場所で、プロッダーによる手作業を補完する方法です。火薬の臭いに反応した犬が主人にその場所を教える方法ですが、やはり万能とは言えません。金属探知機が地雷探知機でないように、地雷犬も火薬探査犬であって地雷探査犬でないからで、過去に爆発のあった場所にも反応してしまうからです。また人間に比べ集中力が持続する時間も限られ、天候や体調にも左右されます。

3)地雷の処理
作業員は見つけた地雷を、手で注意深く掘りだします。そして、安全ピンを差し込んだり、起爆装置を取り除くなどしたあと、1箇所に集めて爆破します。しかし除去防止機能がついた地雷は、その場で1個ずつ爆破するしかありません。

【機械による除去】
これまで説明した方法は手作業ですが、重機などを使ってより早く、安く、安全に除去しようとする試みも行われています。しかしその信頼性はまだ100%ではなく、軍事目的では効果的でも人道目的には不向きです。むしろ機械が取り残した地雷は衝撃で起爆装置が不安定化するなど、手付かずの地雷原の除去よりも作業員へのリスクが拡大する側面もあります。
すでに埋められている地雷は、6〜7000万個とも、1億1000万個ともいわれている一方で、国連によれば年間の除去数は約10万個程度です。このペースでは、全ての除去には30世紀までかかる計算になりますが、人道目的として地雷除去の対象を生活地域周辺に絞り、除去のペースを上げていけば、一般市民が犠牲になる状況を10年以内に解消することも可能となるのです。

参考文献:地雷問題ハンドブック 自由国民社

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