ナビゲーターより|TBSテレビ:夢の扉


ナビゲーター/小川奈那

ナビゲーターより

私は今まで、障害者の方が車を運転する為の「運転補助装置」を見た事がありませんでした。また、友達や家族も、障害のある方々の車に対する思いも全く分かっていませんでした。

初めて「ニッシン自動車工場」にお邪魔した時、社長の亀田さんがニコニコと迎えてくれたのが印象的でした。後になって分かった事ですが、障害者同士は仲良くなるのが早いそうです。知り合いもどんどん増える、なんてお話を皆さんから聞かせていただきました。まずは私に対して、人見知りせずすっと優しく接していただいた事にまず感動しました。亀田さんもそうですが、取材中に知り合った竹腰さん夫妻、高橋さんと皆さん嫌な顔一つせず、様々なお話しを聞かせていただいたので、今回のテーマである運転補助装置の必要性をより理解することが出来ました。

初めて見た運転補助装置は、簡易的に感じ「これでいいの?」と思いました。亀田さんのお話しでは、障害のある方がどれだけ簡単に運転する事が出来るかを考え試行を重ねた結果、今の形になったとの事でした。実際に乗ってみて馴れてくると、「元々の車は、なぜアクセルとブレーキを足で操作する事にしたんだろう?」と疑問が湧くくらい簡単に運転する事が出来きました。ジョイスティックの運転補助装置についても同じです。「全部の車がジョイスティックでもいいのではないか」と感じました。まさに未来の車です。取材に行った私は、それぞれを感心し「凄いですね」と簡単に言ってしまいましたが、今までの亀田さんは私達の想像を超える苦労と努力をしてきたのです。その力の源がどこから来ているのか伺った時のお話しが、強く心に残りました。「同じ障害者だから、車への執着も良く分かります。車に乗りたいと思って私の所へすがって来られたら、何としてでも車に乗せてあげたいんですよね。」確かに、ジョイスティック車を初めて見た時の竹腰さん夫妻、高橋さんの目はキラキラ輝いていました。そんな皆さんの願いを叶える亀田さんは、もっと輝いて見えました。
私達は自分の生活を豊かにする事ばかりに気を取られて、本当に必要な物が分からなくなっているのではないか、そう強く感じた取材になりました。取材に協力していただいた皆さん、本当に有難うございました。私も影ながら「ジョイスティック車」の完成を応援しています。