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―― 「ヨイショの男」を作るきっかけを教えてください。
実は3年位前から「主人公がヨイショするドラマを作りたいですね」と東城プロデューサーと話してはいたんですよ。コメディだし、孝太郎がこういうキャラクターだから、普通は(役者自身)もともと三枚目のイメージがある人に、と思いますが、そうすると視聴者の方に読まれちゃうと思うんですよね。こういう企画の場合、意外性のあるキャスティングの方がパワーあるかなと。ただ、普段クールで二枚目でも、芝居が出来なければダメ。僕は、『スマスマ』などを見ていて、稲垣さんはコメディセンスがあると感じていたので、イケるんじゃないかなと思いました。
実は個人的には『ヨイショの男』にはちょっと思い入れがあるんです。8年ほど前、日活という会社にいたのですが、当時倒産してしまったんですよ。その頃僕は管理職をしてまして、そのときの経験が割とベースになっています。今だから笑って話せますけど、債権者が押しかけてきたり、取締役が号泣したり…。自分も半年間謝りっぱなしで、当時はかなり深刻な状態でしたね。でも僕も楽観的だから、その時は「ただ
で取材できていいか、これを作品にすればいいか」などと思ったりしてました。その時の経験をリアルに書くと悲惨になっちゃいますけどね。
で、その時感じたのが、倒産やリストラなどがあった時にうまく生き延びる人と、ズルズルと破滅の方向に向かう人と2種類いるということでした。そしてこの『ヨイショの男』は“生き延びる男の象徴”として書いています。それは「ヨイショすれば生き延びる」ということではなく、基本的にはそういった人生の危機のときに、ネガティブな状況をいかにポジティブに変えていくかという視点をもっていないといけな
いのではないか。そのポジティブさやどんな状況でも切り抜けていく、ある種のたくましさというのを主人公に託して書いています。
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