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●五箇山
富山県の南西部、奥飛騨の峰々の豊富な清水を集め、深い渓谷を刻みながら砺波平野をへて、はるか日本海へそそぐ庄川沿いにひっそりと佇む五箇山は、急峻な山々と深い谷が続く山峡の地である。五箇山とは、平村、上平村、利賀村の3村の地域の総称で、庄川沿いの5つの谷間、赤尾谷、上梨、下梨、小谷、利賀谷に集落があり、「五ヶ谷間」を音読して「ごかやま」と呼ぶようになったとされる。
ブナの生い茂る山々を背景に、天に向かって屹立する茅葺の大屋根。昭和の初期、ドイツの世界的建築学者、ブルーノ・タウトが惜しみない賞賛をおくったといわれる合掌造りは、雪国の風土と、先人の知恵と技の結晶。相倉(あいのくら)・菅沼の両集落には合掌造りの家屋が建ち並び、切妻の三角屋根と、水田、畑、石垣、雪持林が美しい景観を見せる。1995年12月、岐阜の白川郷とともに両集落は、後世に残すべき貴重な文化遺産として、ユネスコの世界文化遺産に登録された。合掌造りの家屋群を中心とする山村風景が世界的に評価されたのである。
冬の積雪は2メートルを優に超え、日本有数の豪雪地帯としてかつては秘境と呼ばれていた。現在は、安房トンネルや東海北陸自動車道・五箇山ICの開通によって、交通事情も格段によくなった。平地は少なく、狭い段丘面と山腹の緩斜面に小さな集落が点在しており、伝承では落人がこの地に安住の地を求め、集落をなしていったとされる。
様々な伝承と風俗、祭りや民謡の数々、古き良き日本の伝統を色濃く残した旅の路。先人の想いを受け継ぎ、大切に守られてきた合掌造り家屋と山村風景は、暮らしてきた山人のぬくもりを今に伝えている。この五箇山が今回富山のもうひとつの舞台である。

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