インタビュー

國村隼さん

脚本を読まれた感想を聞かせてください。

最近のドラマにしては珍しく登場人物が少ないですね。その分、ドラマとしての密度がすごく濃いと思いました。何の奇もてらわず、あくまでストーリーがメインになっていて、そこに登場する人たちのいろんな想いと状況が絡み合っています。そこに 311 の震災が絡んできたり、「欅」 という象徴的なもので自然と人の繋がりが感じられ、そういう世界感としての広がりを持っている素晴らしい脚本だな、と思いました。

演じられている秋山さんは時計師という役柄ですが、どんな人だと思われますか?

男の子というのは、機械とかプラモデルとか自分の手指を使って物を組み立てて作っていくというのが好きでしょう?
ぼく自身、機械が好きですしオーバーラップするところがあります。秋山さんという人はそういう一番シンプルな子どもの好奇心がずっとあって、そこから時計師という仕事を選んだんでしょうね。
年齢的には老齢に差し掛かってきていて、人生経験もそれなりに積んできた人なんでしょうけれど、ハートの部分は本当に少年のような人です。人付き合いはわずらわしいと感じているけれど、基本的に善人で、自分の興味のあるものに入り込んでいくのが一番楽しいんでしょう。だからこそ時計のように小さな世界を突き詰めていくと、まるでそれが宇宙のような大きな世界に突き抜けていく、そういうことをわかっている人だと思いますね。

突然やってきたリョウという女の子に対して、秋山さんはどう思ったのでしょうか。

秋山さんは、自分は強くはないし、迷って流されてきた過去を今はもう思い出したくないのでしょう。リョウの母親である知花子さんは、わがままな子どもっぽいところのある秋山さんを受け止めてくれる存在で、恋人として、そして大きな意味で母親的な存在でもあったんだと思います。
上司の娘さんと出かけたことも、知花子さんには黙っていれば良かったのに、自分では抱えているとしんどいから楽になろうとしてその 「重荷」 を渡してしまったんだと思います。でも、渡されたほうは困りますよね。秋山さんはそれも分からなくて、後からその重荷を渡してしまった過去の自分に対して自己嫌悪しているんだと思います。
リョウちゃんに関しては、自分の子どもなのか本当にわからないけれど、可能性も否定できないし、知花子さんなら何も言わないかも知れない、本当にそうだったらどうしようと、とてもとまどっているんでしょうね。

沢尻エリカさん、桐谷健太さんとの共演が主となっていますが、現場での雰囲気について聞かせてください。

沢尻さんとは、待ち時間に一緒にいても 「沢尻さん」 と思っていないんです。どういうことかと言うと、ただずまいも含めてそこにいる 「リョウ」 にしか見えないんです。

一方、桐谷くんの演じる 「司」 というキャラクターは、どこか別の風と言いますが空気を運んできてくれて、世界を一度リセットさせてくれる存在です。ちょっととんちんかんな状況になってクスッと笑えるようになる、この世界に必要ないいキャラクターで、まさに桐谷くんにぴったりです (笑)。
司が動くことによって物語も動きます。このドラマにはそれぞれの生活に欅の木が出てきますが、秋山さんが見ている欅を伐採から守ろうと司が立ち上がって、その欅がリョウの生まれた石巻の欅とキレイにシンクロしていきます。その流れが本当に見事なんですが、この欅の木も今回のドラマの重要な登場人物だとぼくは思っています。

ご覧になる皆さまにメッセージをお願いします。

2時間、じっくりと腰を落ち着けて見ていただけるドラマです。テレビの前に座っていただいて、どう思われるか見てくださった方それぞれですが、父の話、母と娘の話など、普遍的な物語がベースにあって、人の一生よりも自然という大きな世界が外にある、いろいろな角度からいろんなことを感じてもらえるドラマです。幅広くたくさんの方に見ていただきたいです。