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撮影レポート 山内圭哉 篇

2017.09.05

IHIステージアラウンド東京で上演されている劇団☆新感線の『髑髏城の七人』、第3弾“Season風”で<兵庫>役を演じるのは山内圭哉さんです。新感線に出演するのは今回が4作目、いのうえひでのり演出という意味では5作目の参加となる山内さん。いわゆる“準劇団員”扱いとなり、スタッフたちも最初からリラックスモード。山内さんが衣裳をまとって出てくるなり「ワー、強そう!」「クール! めっちゃ男前!!」「今までにない兵庫だねえ」などなど、すっかり盛り上がっています。

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小道具担当の高橋岳蔵さんが「歴代の兵庫の中で一番賢そう」と分析するように、今回の兵庫のビジュアルはこれまでとはかなり雰囲気が違います。衣裳の前田文子さんによると、今回の兵庫を黒い衣裳でというのはいのうえさんからの指定だったとのこと。そこで日本の甲冑である当世具足をイメージしつつ、風に吹かれるとなびくアイテムを加えてパンクっぽくアレンジした衣裳にしたのだそう。

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まずは試し撮りとして撮影したショットがモニターに映し出されると、アートディレクターの河野さんから「もっと汚しを入れたい」とのリクエストが出て、高橋さんら小道具スタッフは山内さんの背中にかついだ大刀やそれをくくった紐などに改めて色を塗る作業を急ピッチで進めます。頭にある傷メイクも多少増やすことになり、ヘアメイクの宮内宏明さんがパレットを手に筆で描いていきます。

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準備が整い、撮影を開始してからも細々とした修正は常に行われています。今回は、顎をカバーする装備がちょっとした動きでズレてしまうので、それが目立たないようにと急遽衣裳スタッフが黒い布を用意して首周りに巻くことに。臨機応変にあらゆる注文に瞬時に対応していくこのチームワークには、毎度ながら惚れ惚れします。
カメラマンの野波さんに「もっと険しい表情で」と言われた山内さん、眉間に皺を寄せ、眼光をより鋭くして、なんだか怖いくらいの迫力が漂いだしました。するとそこで河野さんが「手の位置を下げようか」と提案。なぜかというと「思ったより可愛い手をしていたから」というのが理由だったので、モニター周りにいたスタッフはその手を改めてチェックしてクスクス笑い出してしまい、それには山内さんもつい苦笑い。

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「このビジュアルだと兵庫のバカさ加減は出ないけど、ええな?」と確認する野波さんに、河野さんは「いいよ、カッコイイ兵庫で!」と返答。片目だけをぐっと開けたり、ちょっと顔を歪めたり、空を掴むようなポーズなど、表情や立ち姿だけでも確かに見ためは過去の兵庫とはずいぶんと違うハードな印象です。

セットチェンジをした後は、サーキュレーターなどで風を本格的に起こしての撮影に。特に強めに風を巻き起こそうということになり、スタジオ中に吹き荒れるくらいの勢いで風がまわります。ブロワーを持ったスタッフが山内さんの背後に隠れるようにしてスタンバイ、マントのように装着した布をシャッター音のリズムにうまく合わせて吹き上げていきます。

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後半の撮影では河野さんから「ニュアンスとしては黒い火の玉みたいな感じ」と言われ、口を大きく開けて叫んだり、迫力ある表情での撮影が続き「全カットがカッコイイ、ため息が出る!」と大好評。しかしその直後の野波さんからの「目を閉じてから、ゆっくり開けていって」という注文が、前から横から強風を当てられている山内さんには聞こえなかった様子。「え?」とキョトンと素に戻ると一瞬でいきなりキュートな表情になってしまったため、「このギャップもいいねえ!」とここでまた周囲からはクスクス笑いが止まりません。

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撮影終了後、山内さんに『髑髏城の七人』という作品への想いや、今回の“Season風”の舞台に立つことについてなどをお聞きしました。



——今回の『髑髏城の七人』Season風へ参加することになり、山内さんとしてはまずどんな感想を抱かれましたか。
俺、死ぬんちゃうかな、と思いましたね。

——それはどういうことですか?(笑)
いや、ケガで降板だけはせんとことか、やっぱり考えましたから。それにしても、よう考えたら僕、『髑髏城の七人』って大阪の近鉄劇場で観ていたんですよね。

——ということは、1990年の初演ですね。
そうです。20歳ごろの時、友達に誘われて行ってて。そこから考えたらこの作品は、既に現代古典みたいなものなんじゃないかと思いましたね。ずっと、いのうえ歌舞伎と銘打ってはったけど、ほんまに歌舞伎みたいになってきましたよね、すごいなあ。

——劇団☆新感線の舞台を観たのは、その時が初めてだったんですか?
初めてでした。立ち見の当日券かなにかで観て、「すげえな、こんなことをやってはる人がおんねんな」と思っていました。その作品に何十年も経って、こうして呼んでいただけたことの因果を感じます。

——今回は<兵庫>という役をやられるわけですが、どういうイメージを抱かれていましたか。
兵庫といえばやっぱり(橋本)じゅんさんのイメージですよね。僕が観た1990年版も1997年版も、じゅんさんがやってはったから。だけど今回は“花・鳥・風・月”と4連続で同じ演目をやることになるので、バリエーションをいろいろ変えていくから、そこからキャスティングを考えられたんだなあということをひしひしと感じました。だって、じゅんさんと俺、どこもかぶらへんもん(笑)。

——しかも、観客席が360°回転するという新しい劇場での上演になります。
実際に立ってみないと想像つかないですよね。最初、スタッフさんにチラッと劇場の図面を見せてもうたりしたときには、吐きそうになりましたよ(笑)。“Season花”に出ていた吉田メタルや(村木)よし子姉さんに「どうでんねん」って聞いてみたんやけど、「いや、死ぬ死ぬ、あんなもん」って言われました。それを聞いて、自分の健康をなんとか確保するためにもなんか考えなと思って、このたび車を買いました。

——車、ですか?
豊洲まで、車で通おうと思って。電車よりも早く着きますから。僕はお酒好きなんですけど、たぶん豊洲でそのまま飲むことは少ないやろうなと思ったんで、さくっと帰って飲んだほうがいいかなと。なにしろ公演期間が長いですしね。車があったら俺も帰らざるを得んやろ、そうでもせんとこれは最後まで無事に乗り切られへんぞと覚悟を決めたわけです。

——『髑髏城〜』きっかけで車を買われたという話は初めて聞きました(笑)。では公式サイトをご覧の方へ向けて、山内さんからお誘いメッセージをいただけますか。
こういう演目を観に来はる方というのは、ふだんから演劇によく行く方もいらっしゃるでしょうけど、こういう新しい劇場に興味があって来られる人も多そうですよね。なんだかここ10年くらい、ひとつのホビーとして演劇に行く人って減っている気がするんですよ。確かに、チケット代も安くないですしね。でもたとえ演劇に馴染みのない方も、この公演を観に来ることをきっかけにしてほかの劇場にもぜひ来てもらえたらなと思うんです。初めてでも、観やすい演目だと思いますし。そしてできれば、早めに観に来てほしいですよね。公演期間が長いと言っても、この劇場の機構に負けたらアウトですから途中で何が起きるかわかりませんし(笑)。

——兵庫役ということは、たくさん走り回ることになるかもしれませんしね。
もう、それだけが気が重いですよ。でもちゃんと考えておかんと怖いですもんね。

——そして“Season風”には、松山ケンイチさんと向井理さんもいらっしゃいますが。
松山くんとは映画で一度ご一緒していて、向井くんとは舞台で一度共演しています。あの子らの世代って、面白い子が多いですよね。きっと、いのうえさんのもとで一緒にやるというのは他とはまったく別ものの感覚になるんだとは思いますけど、お二人とお芝居さしてもらうのも久しぶりなので、どんな感じになってはるのかも楽しみです。そう考えると今回は楽しみ、多いですねえ! 楽しみは多いけど、公演は長いし、たくさん走ることになるだろうから絶対しんどいやろけどなあ〜(笑)。