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撮影レポート 田中麗奈 篇

2017.08.23

IHIステージアラウンド東京『髑髏城の七人』、第3弾“Season風”で<極楽太夫>役に挑戦するのは田中麗奈さん。これが、劇団☆新感線には初めての参加となります。

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衣裳とメイクの準備をひととおり終えた田中さん、控室から出て来て最後の仕上げとして髪飾りを整えます。額の真ん中に宝石を垂らす形になるので、センター位置がずれないように慎重に、慎重に調整。髪は丸くリボン型に大胆に結い上げて、そこに赤い紐を巻き付け、ピンクのバラの花飾りも装着。華やかでキュート、これまでにない“カワイイ”系の極楽太夫が降臨しました。

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衣裳もサーモンピンクの透ける素材を使用。着物のようでもあり、異国風のドレスのようでもあり。袖と裾には花びらをデザインしたパッチワークがカラフルです。衣裳担当の前田文子さんに聞くと「今回の極楽太夫は無国籍風。“オランダ渡り”というか、外国の影響を受けている雰囲気にしてみました。まさに(『髑髏城〜』の物語の背景ともなっている)天正時代の外国趣味の渡来の絵とかを参考にしつつも、小袖のところを大袖にしたりしているので、半分だけクラシカルという感じです。ヘアスタイルも、実は天正時代のトラディショナルですしね。絢爛豪華というよりは華奢なイメージで、麗奈さんの印象を重ねながら考えました」とのこと。

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周囲からは「乙姫様みたい!」「いや、弁天様だよ!」「ウエスト細っ!」「裾が割れるとナマ足が色っぽい!」などなど、同性異性関係なくハイテンションな反応。もしかしたら、これまでで一番薄着の極楽かもしれません。そして最初に持つ小道具は扇子。この扇子にも、袖や裾のパッチワークと同じような、ペイズリー風の細かい柄が入っています。結あげた髪の丸い部分にハイライトの光が反射するように照明を調整している合間、田中さんはこの扇子を開いたり閉じたり、またふわーっと腕を柔らかく動かしたり。

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カメラマンの野波浩さんに「表情がまだ優しいから、もう少し冷たい感じで」と言われた田中さん。「もっとクールな感じですか?」と確認すると、「一応、無界の里のボスだからね」と野波さんはニッコリ。さらに目線を強くキリッとさせる田中さん。その表情をモニターで見守っていたアートディレクターの河野真一さんも「うんうん、綺麗だ!」と、満足そうに頷いています。

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また、次のポーズでは「唇を、ちょっとだけ開ける感じでセクシーに」と、野波さんがリクエスト。「顔の側に扇子を入れるようにしながら、思いっきり色っぽく」「ちょっと挑むような表情で」「背中を反る感じ。足もチラッと見えるように右足だけを曲げてみて」などの具体的な注文にひとつひとつ応えていく田中さん、また先程とは違う雰囲気を漂わせ始めています。「おぉ、いいねえ。OKです!」と河野さんの声が響くとスタッフたちも、ほうっと一息。

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“風”を起こしながらの撮影では「左手の袖の部分だけふわっとさせたい」と言われたスタッフが、複数のサーキュレーターとブロワーを駆使しながら工夫を重ねて絶妙な空気の流れを生み出しています。その最中、田中さんの衣裳の左肩だけが少しだけ下に落ちてしまったのですが、「その落ちた感じもカッコイイな」ということになり、衣裳の前田さんがギリギリの際どいラインまで戻して固定。「さあ、いくよ!って感じで、手を広げて」と河野さんに言われた田中さん。風にあおられて、ふわっと袖が広がった瞬間「はいはい、それそれ!」「いけたん、違う?」「いけた、いけた!!」 どうやら、渾身のショットが撮れた様子です。

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長時間に渡る撮影終了後、田中さんにも『髑髏城の七人』Season風に出演するにあたっての想い、意気込みを伺いました。

——今回、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』への出演の話が来た時、最初はどう思われましたか。
ビックリしました。「おっ、来た!」って、そして喜びと恐怖を同時に感じました(笑)。新感線の舞台はこれまで、いろいろな作品を観させていただいていますが、いつも役者さんが身体を張って、全身を使ってエネルギーを出していて。客席にいながら、そのエネルギーに圧倒されつつ楽しませていただいてきたので、そこに自分が参加できるとなると喜びはもちろんなのですが、自分にこれからかかってくるであろう体力的負担も想像してしまいますからね。それを瞬時にぶわっと察知して、恐怖を感じてしまったというわけです(笑)。でも、やっぱり本当にうれしかったです。

——新感線は何回かご覧になっていらっしゃるんですね。
古田新太さんの『五右衛門ロック』や『薔薇とサムライ』、『乱鶯』、生田斗真くん主演の『Vamp Bamboo Burn〜ヴァン・バン・バーン〜』など、観ていますよ。基本的に新感線は好きなので、よく行かせていただいています。

——『髑髏城〜』の作品としてのイメージはいかがでしたか。
映像で2004年版の『アカドクロ』と『アオドクロ』、あと2011年版の『ワカドクロ』を拝見したんですけれど、やっぱりカッコイイですよね。渋いですし。冒険もの、みたいな感じでワクワクさせられました。もちろん、天魔王に関する部分とか、歴史にまつわる深刻な部分もありますけれど、すべてにダイナミックで。殺陣も皆さん、本当に素晴らしかった。登場人物もそれぞれ魅力的で、同じ役でもバージョンが違うと印象が全然違いましたし。それは、役者さんひとりひとりの個性を拾って脚本を書いて、その個性に合わせて演出をされているからなんだろうなって、思ったりしました。

——その中で田中さんは今回、極楽太夫という役柄をやられるわけですが。
私が観た三つのバージョンではそれぞれ女優さんが三者三様にやられていたので、自分はどんな太夫になるんだろうとすごく楽しみになりました。共通するところとしては、仲間を大事にするところ、仲間から慕われているところ、そして気風のいい女っていうのも素敵ですよね。色里の太夫ですけれど、品や知性がある。さらに綺麗なだけじゃなくて「私も戦うよ!」っていうたくましさがあって、しかも戦力になるんですからね。そういうギャップがいいですよね。また愛されて、愛して。改めて、ものすごくいい役だなあと思います。

——相当、やりがいがある役ですよね。
はい。情に厚くてね。哀しみも、強さもあって。いろいろな感情を出す場面があるので、すごく見応えもある役だと思います。

——舞台で時代劇をやるということに関してはいかがですか。
「やりたい!」という気持ちはすごくあって。実は『阿弖流為』を観たときに、あまりの面白さに興奮していて。歌舞伎の音や踊りやにらみをネタにしちゃうようなところなんか歌舞伎好きとしては本当にたまらなかった!それで『阿弖流為』を観たあと、いのうえひでのりさんにお芝居を観終わったばかりの高揚感冷めやまぬままのテンションで「私、時代劇の、こういうのがやりたいんです!!」って訴えちゃって。たぶん、いのうえさんは驚かれたかもしれないですけど。

——じゃ、その願いをいのうえさんが叶えてくれた?
それを覚えていて声をかけてくださったんだとは聞いています。

——アピールしておいて良かったですね(笑)。
そうですね。時々、いのうえさんには舞台を観に行った時とかにお会いはしていたのですが、『阿弖流為』の時のテンションはいのうえさんからしたら「おぉっ、なんだぁ?」って感じだったかも。そしてその『阿弖流為』の脚本を書かれた中島かずきさんがお書きになった『髑髏城の七人』なので本当にうれしいです。頑張らなきゃですね。

——稽古までに、特に準備をしようと思っていることはありますか。
みなさんから体力、体力って言われているので、既にもう、時間がある時はトレーニングをしています。今日も、撮影の前にジムに行ってちょっと走ってきたんですよ。

——えっ、今日もですか?
はい。昨日は、初めてキックボクシングをやってみました。あれは、気持ちよかったですねえ。それと日舞は優先的にお稽古しています。

——それは準備万端ですね。身体を動かすのは昔からお好きなほうなんですね。
まあ、好きですけど、でもやっぱり目的とか目標がないとなかなか続かないですね。でも今回はやはり、本格的な稽古に入る前にどんどん自分に負荷をかけておいたほうがいいんじゃないかと思っているので。有酸素運動も大事だから走ったりもしていますし、身体の使い方にしても、足の運び方にしても。いのうえさんの演出って、ここで止まってとか、ここで走ってとか、こういう身体の形にしてということをすごく言われるというのを耳にしたので。

——役者さん同士で情報交換されているんですね(笑)。
そうですよ、既にいろいろと情報は聞いています(笑)。そう思うとやっぱり瞬発力、身体の伝達を瞬時にできるようにしておいたほうがいいかなと思ったので、それでいろいろやっているところなんですけれど。だけどこうして身体を動かしていると、実際に身体が軽くなりますし、自分も変わっていくのがわかるから楽しいですね。

——ではお客様に向けて、お誘いのメッセージをいただけますか。
まずはやはり、360°回転する新しい劇場で観られる劇団☆新感線、というこの最高の組合せが必見だと思います。エンターテインメント、プラス、アミューズメントという感じですから。これはもう絶対観てください!(笑) そして『髑髏城〜』というのは昔からある、新感線の歴史的な作品で、ここでまた新たな歴史を刻むことになるこけら落とし公演でもありますからね。劇団☆新感線のチケットはなかなか取りにくいと言われているとは思いますが、ここはなんとしてでもチケットを取って、ぜひ観ていただきたいです。みなさん、がんばってください!(笑)