水戸黄門第43部

毎週月曜日よる8:00から

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あらすじ

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水戸老公が、最後の旅を終えて数年が過ぎた。格之進は深雪と結婚し、二児の父となっていた。そして老公立会いの厳粛な雰囲気の中、助三郎と志乃の祝言が行われる。

婚礼の幸せな余韻も残るある日、老公と格之進の義父・厳兵衛が江戸の街の散策をのんびりと楽しんでいたところ、突然男たちに取り囲まれ連れ去られてしまう･･･。

全国各地では、「龍刃党」という謎の一味が大商人を襲い、金を奪う事件が相次いでいた。高松にある、お娟が嫁いだ塩問屋も被害を受けた。江戸城では将軍綱吉と柳沢吉保、僧の隆光が老公に事件解決を託そうと話し合っていた。

老公と厳兵衛は、惣右衛門という男が名主を務める貧しい村に連れてこられていた。

惣右衛門によると「龍刃党」は、各地の藩が改易になって浪人となり、幕府を恨む荒くれたちの集団だということだ。彼らは商家を襲い、金を奪ってそれを軍資金とし、豊臣家再興を旗印に幕府転覆を企てているというが･･･

江戸の水戸藩下屋敷では水戸藩の家老・藤井紋太夫が微行で訪れた柳沢吉保を迎え入れた。二人が固唾を呑んで見守る中、凄腕の浪人・黒田一馬がこちらも使い手の剣士を一瞬で叩き伏せた。柳沢は一馬に水戸老公の暗殺を秘かに命じる。

その数日後、老公は水戸の西山荘で、助三郎、格之進、八兵衛と共に畑仕事に精を出していた。

そこへ紋太夫が老公を訪ねてくる。私事で水戸へ帰って来たと語る紋太夫だった。

やがて柳沢の命を受けた一馬も水戸へ足を踏み入れた。一馬が老公を狙う刺客とは知らない楓と風車の弥七だが、偶然出会った一馬が鋭い殺気を発していることを知り驚くのだった。

そして一馬が新月の夜に老公の命を狙うことが決った。

助三郎、格之進、そして楓、弥七が次々と一馬に立ちはだかる。

双方力を振り絞って戦う助三郎たちと一馬の対決を老公は静止し、一馬を西山荘に招き入れる。一馬は老公に狙いを定め刀を構えるのだったが･･･

水戸老公一行は日光へ。老公は日光近辺で、百足の鬼蔵を頭目とする盗賊が出没し、東照宮への献上品などが奪われる事件が多発していることを知る。水戸藩からの東照宮へ献上する家宝の刀も盗まれ、警護役の峯田伊右衛門たちが負傷して、近くにある寺院、輪王寺で手当てを受ける。

輪王寺の住職・専修は飢饉が続いたために田畑を失った者が盗賊になったようだと嘆く。近く、東照宮修復のために幕府の御用金が日光へ運ばれることを知り、老公は警護の役割を買って出る。

怪我を負った峯田に代わって峯田の娘・琴江も警護に加わることになった。父親に剣術を仕込まれた琴江もかなりの使い手だ。

さて、老公は御用金運搬の偽物を仕立てて盗賊を欺く作戦を立てた。助三郎と琴江が本物に、格之進は偽物に寄り添いながらそれぞれが別の道を進む。案の定、偽物を盗賊が襲う。だがその頃、本物の御用金も意外な人物に持ち去られようとしていた･･･

水戸老公一行は前橋へ。一行は寺子屋の師匠・吉田貞晴と妻の美代と知り合う。

子どもたちに熱心に学問を教える二人に老公は感心した。貞晴は美代の父で今は亡き算術の師匠・吉田貞義の弟子である。前橋にいるもう一人の算術学者・井崎源斎が著した算術の本が評判で、賑わっていると美代は語る。

そこへ、十年前に算術修行のため貞義の元を飛び出した、橋本胤通(たねみち)が帰ってくる。江戸で井崎の本を目にした橋本は、それが盗作ではないかと疑いを持ち、真相を確かめるため秘かに戻ってきたのだ。

井崎の本には自分と貞義しか知るはずのない算術の研究が載っていたという。

ところで、前橋藩主・酒井忠拳は、新しい学問所を開くに当たり、優秀な教授を起用したいと考えた。そのために、井崎と貞晴を算術の問題で対決させ、勝者を採用することに。

算術試合の日、最後の問題を見た橋本の顔色が変わった。その問題は橋本がかつて自分が作ったものだった。

江戸に戻ってきた水戸老公は、岡っ引きの熊蔵が十手の威光を笠に着て、長屋で暮すお勝ほか市井の人々から金を巻き上げていることを知った。

老公は江戸城で将軍綱吉に謁見し、諸国では武士が不正を働き、人々が苦しめられていたと報告する。さらに綱吉のひざ元の江戸でも同じようなことが行われていたると語る。

そんなはずはないと綱吉は反論し、秘かに城を抜け出して町の様子を見にゆくことになった。

さて町中で昼間から酔っていた甚六を長屋に送り届けた綱吉は、甚六の酔態をとがめ、真面目に働くようにと諭す。甚六の嫁・お勝は自分たちは懸命に暮らしているのだと綱吉を叱責する。

ところでお勝たちの長屋は、熊蔵に立ち退きを迫られていた。熊蔵は地上げをして金儲けを企む両替商の大貫屋に雇われていた。

熊蔵は、綱吉が発した生類憐みの令を曲解して因縁をつけ、甚六を捕えた。甚六の命を助けたければ、長屋を出て行けと熊蔵は住民に迫るのだが･･･

木更津に着いた水戸老公一行は、雨が降り続いたため宿に足止めされていたが、その宿で殺人事件が起こる。

殺されたのは、客の一人、大吉。町で染物屋を営む多吉の次男である。真面目な兄の長一郎とは対照的に、大吉は遊び好きで家族の悩みの種だった。それで江戸へ奉公に出されたのだが、一時帰郷していたということだ。大吉はやくざの親分・源兵衛の情婦、お鈴と恋仲だったという。

知らせを聞き、目明しの義助が駆けつけ捜査を開始する。義助の強引な取調べに、助三郎、格之進と八兵衛は腹を立てる。

それで、義助の鼻を明かしてやろうと、一行も真犯人探しに乗り出した。事件の起きた夜、宿を出た人物はいないようだ。一行は関係のある人々に話を聞き、推理を働かせる。

義助は長一郎を容疑者として捕まえた。厄介者の弟を始末したのだと決め付け、白状しろと締め上げる。

老公は、事件当夜の記憶をあらためてたどり、意外な事実に思い至るのだが･･･

水戸老公一行は館山へ。旅籠でくつろいでいた一行は、宿の主人・惣吉に部屋を替わって欲しいと頼まれた。事情を聞くと徳川家に縁のあるお忍びの侍が泊まることになったからだと惣吉は打ち明ける。

侍は高山権之丞といい三つ葉葵の印籠を持っているという。だがそれは、真っ赤な偽物。挙動も不審で老公はすぐ嘘だと見破った。それでも印籠の威力はすさまじく、高山は旅籠などで印籠を見せ、かしこまる人々に金を貢がせて旅を続けていたようだ。

あきれながらも、一行が見張っていると、夜中、高山は宿を抜け出した。助三郎と格之進は、高山が貧しい人々にこっそりと小判を配って歩いていることを知り驚いた。高山は印籠を悪用しながらも困っている人々のために使っている様子だ。

さらにその翌日、高山は厳しい年貢の取り立てに苦しんでいる村人たちを印籠の威光で救おうとするが、すぐ偽物だと見破られ･･･。

伊勢神宮参拝を終えた水戸老公一行は、伊豆下田へ向かう。だが些細なことで口論になった助三郎と格之進は仲違いをした。

さて、一人で下田湊を散策していた助三郎は、やくざ者に追われている女・おけいを救った。飯屋で働いていたおけいは、悪者にだまされて遊女にされ、五年になるという。

自分の幸せは諦めたおけいだったが、夫婦約束をした畳職人のさぶが最近やっと居所を突き止めて迎えに来た。だがそれが叶うはずもなく、おけいはさぶの身を案じて遊郭を飛び出した、と助三郎に語る。

おけいを捜す追っ手は下田を縄張りにするうず潮一家のならず者…。老公は助三郎に格之進と和解して協力するよう諭すが、助三郎の突然の詫びの言葉を聞いた格之進は戸惑い、二人は仲直りすることができなかった。

さて、あきれたことに奉行所の同心・江森仙之進がうず潮一家を裏で操っていたことが分かる。一家の魔の手がさぶに迫り、さぶと助三郎は牢獄に捕えられて･･･

水戸老公一行は旅の目的地である伊勢に着いた。一行は、往来で粗悪な品物を売っているお滝と出会う。お滝は行き場のない子どもたちを集めて手懐け、いかがわしい商売を手伝わせていた。

一方、一行は亀吉という少年が、行方不明の母親を探していることを知った。亀吉の母は、数年前に大坂から伊勢参りに出かけたきり、帰らなかったという。その後父親も出奔し、天涯孤独となった亀吉は一人で伊勢まで旅をしてきたというのだ。

助三郎と格之進、八兵衛が母親探しを手伝うことになった。すると、先に知り合ったお滝が自分が亀吉の母親だと名乗り出る。名前は母親と同じで間違いないが、お滝が子どもたちを粗雑に扱う様子を見て、本当に亀吉の母親だろうかと老公は訝るのだった。

その頃、伊勢ではスリや盗人がはびこっていた。奉行所の与力・岩井右近がそれらの悪事の黒幕である。お滝も岩井に金を搾り取られていたが、一方で子どもたちを悪事から守っていた。

水戸老公は松坂へ。一行は元気のよい荷物運びの人足・源助と知り合った。老公は源助がかつて世話になった大店の主人・出雲屋市兵衛の娘・お佳世とその弟・倫太郎に秘かに金を送り、生活を支えていることを知って感心する。出雲屋は、三年前に扱った反物に不始末があり、店を失って自分は獄死した。妻も後を追うようにして死んだため、姉と弟は途方に暮れた。

源助は二人の世話をして同じ長屋で暮らしているが、金を渡すときは旅人の「助さん」と偽名を名乗り、自分は顔を合わせることなく、茶店の主人・彦蔵に金を渡してもらっていた。子どもたちに負い目を感じさせないための配慮である。

そこへ老公とは別行動の助三郎が現われた。お佳世と倫太郎は助三郎が、恩のある助さんなのではないかと、思いを巡らせる。

ところで、頭のよい倫太郎が江戸に出て学問で身を立てるため、十両という金が必要になった。源助は老公に事情を話して金を借りようとするが･･･。

水戸老公一行は亀山へ。その道中、一行は花村喜左衛門、おきみ夫婦と息子の新吉と出会う。老公は、家族の難儀を救い、宿を探してやる。喜左衛門とおきみは、親子ほど年が違っていた。

ところが驚いたことに、一行が宿泊する旅籠の女中・由比とその息子・孝四郎が喜左衛門の本当の妻と息子だと分かった。しかも喜左衛門は五年前に脱藩した罪人だということも判明する。

一方、孝四郎は父親が脱藩したことで、同年の藩士達にからかわれ、悔しい思いをしていたが、父親を信じて耐え忍んでいた。だが、喜左衛門が亀山に帰っていること、しかも若いおきみと夫婦を名乗り、子どもまでいることを知って激怒する。

その頃、亀山では藩主・板倉周防守重冬の世継ぎを巡り、家老の市川宗兵衛と奉行の塚田左内が二派に別れて争っていた。市川と塚田はそれぞれ喜左衛門の行方を追っていた。老公は喜左衛門の脱藩は、世継ぎ争いに深く関わっているのではないかと考えた。

水戸老公一行は知立に着いた。老公とは別行動の八兵衛は荒れ果てた小屋で暮らしている老婆・およねと出会う。およねは薬草を調合する名人で、八兵衛の腹痛をけろりと治して見せる。

およねによると知立を治める殿様、織部成明は老人が大嫌いで、人々は年をとると遠く離れた山に捨てられるのだという。およねはそれを嫌って追っ手から逃れ、廃屋に隠れ住んでいた。およねは老公がかつて憧れた男に似ていると語り、なれなれしく振舞うのだった。

ところで、織部の屋敷に忍び込んだ風車の弥七によると、織部は自分の身体を鍛えることに熱心で、不老不死を願って食事も薬しか口にしないという。弥七の報告を聞き、老公と助三郎、格之進は呆れるのだった。

老公と助三郎は織部の屋敷を訪ね、織部が噂どおりの愚か者だと知る。

その織部がまむしにかまれて大騒ぎ、老公に助けて欲しいと泣きついた。老公は織部におよねが調合する薬を勧めるのだが･･･。

水戸老公一行は岡崎へ。助三郎と格之進は、老公が二人の目を盗むようにして一人で町を散策する様子を不審に思っていた。老公は秘かに町を巡り、名物の八丁味噌を商う「枡塚味噌蔵」を探し当てる。

その店には、数十年前に、江戸で老公と恋仲にあった娘・なつが嫁いでいるはずだった。

老公を出迎えたなつの娘・こなつは、母親は前年に亡くなったと告げる。

落胆する老公に、こなつは母との思い出を聞かせて欲しいと促す。老公は、母にそっくりな娘に、かつての恋人を懐かしく思い出す。

こなつは老公と母が愛し合っていたのではないかと、思いを巡らせ･･･。

そこへ味噌屋の主で、こなつの父・半兵衛が現われ、代官の磯貝保朋に八丁味噌の商いを禁じられたと、困惑した表情で語る。

磯貝は上方の商人・岩田屋と結託して安価で粗悪な八丁味噌を作り、諸国で売りさばこうと企んでいる。その上、磯貝は美しいこなつに目をつけて、みだらな計略を巡らせていた･･･

老公一行は吉田に。老公は吉田神社の祭りで勇壮な手筒花火が奉納されると聞き、楽しみにしている。一行とは別行動の楓は、ふとしたことから花火師の丈太郎と知り合い、丈太郎の母・おせいに頼まれて家事の手伝いをしながら二人の家に留まることになった。

丈太郎の父・茂兵衛は有名な花火師で、画期的な工夫をして強力な火薬を開発したが、半年前、仕事中の不審な爆発事故で死亡していた。父を亡くして弱気になっていた丈太郎は、明るい楓に励まされ、楓に思いを寄せる。

ところで、幕府鉄砲方用人・青木民部と鉄砲商人の長崎屋は、茂兵衛の工夫を譲るよう、あの手この手で丈太郎を懐柔する。

丈太郎が断ると、技を盗むために強引に家捜しをし、さらに丈太郎を陥れて無実の罪で捕え牢に閉じ込める。おせいにも魔の手が迫る。

風車の弥七の調べで、青木と長崎屋が結託していることが判明。さらに茂兵衛は事故死ではなく、青木に殺されていたことが分かる･･･

水戸老公一行は浜松に着いた。一行は一度わらじを脱いだ旅籠「浜中屋」を上客が入ったとの理由で追い出され、小さな宿「松乃屋」に泊まることになった。

松乃屋は、冨美と千代という母と娘が営んでおり、一行は二人の心のこもったもてなしを喜んだ。

だが、宿は深刻な悩みを抱えている。冨美の夫・多平は、三月前、客から預かった百両を盗賊に盗まれ、その上、賊に殺されたという。その時、浜中屋の主人・藤兵衛に金を借りてしのいだが、宿には多平の幽霊が出るなどの噂が立ち、次第に客足が遠のいてしまった。

浜中屋に借金を返せなくなったところへ、藩主の弟・青山忠成が千代を妾に差し出せば、借金を肩代わりしてやると助け舟を出す。

だが、青山は身分を笠に着た悪い噂が絶えない人物だ。老公は楓を伴って青山の屋敷を訪ね、青山が評判どおりの悪人だと知った。

風車の弥七は、青山が藤兵衛と結託して、松乃屋を破産させようと企んでいることを知る･･･

藤枝宿に着いた水戸老公と助三郎、格之進、八兵衛は、住職・玄心のぼろ寺に宿泊する。

すると寺の土蔵で、やくざの伝蔵が開いている賭場で事件が起こる。ケガのため野良仕事がままならない貧農の吾助が、最後にすがった博打で有り金を無くし、いかさまだと口走ったために、仕置きをされたのである。

老公と玄心の取り成しで事は収まったが、吾助は年貢と借金が払えないと、思いつめた表情で嘆く。不作が続く藤枝では人々は高い年貢に苦しんでいた。

ついに吾助の娘・お里が遊郭に売られてゆく。その身を案じ、弥七は、楓を下働きとして遊郭に送り込む。

ところで老公は、家老の牧野忠右衛門に呼び出されて、孫娘・美世の祝いのために、京友禅を揃えて欲しいと頼まれる。

牧野は人々に苦しい生活を強いながら、自分は豪勢な暮らしを貪り、私服を肥やしていた。吾助とお里の悲しい身の上を思い、老公は怒りがこみ上げるのだった･･･

水戸老公一行は清水に着いた。一行は派手な着物に身を包んだお蝶とその子分たちが、船乗りたちと乱闘をしているところに出くわした。格之進がお蝶の加勢をするが、かえって騒ぎを大きくしてしまい老公に叱られる。

さて、お蝶は廻船問屋の主人・三郎の一人娘である。最近体調が優れない英三郎は、お蝶に婿をもらい、幸せな結婚をして欲しいと願っていた。英三郎は江戸の商人の息子・正太郎を婿に決め、祝言を三日後に行う段取りをつけていた。

そのことを知り、ますます英三郎に反発するお蝶を家に連れ戻すよう、老公は格之進に命じるが･･･。

さて、正太郎が清水にやって来た。正太郎に嫌われるため、お蝶はわざと喧嘩を仕掛ける。

正太郎の怪しい言動に気付いた弥七は、正太郎の後で代官の園部文左衛門が糸を引いていることをつかんだ。園部はお蝶の祝言を利用して英三郎を毒殺し、清水の実権を握ろうと企てていた･･･

水戸老公一行は三島に着いた。が、うかつにも助三郎は財布を、そして格之進は印籠を美人スリのお蔦に取られてしまった。二人はお蔦を必死に探す。

お蔦が川に捨てた印籠を楓が偶然拾い、格之進に届けた。

楓は自分もスリだと偽って、お蔦に近づき、事情を探る。

一方、風車の弥七は、街道筋で白狐（びゃっこ）と名乗る悪党団による子どもの誘拐が頻発していることを老公に報告する。

さて、お蔦の動きを警戒していた弥七と楓は、お蔦が町で侍から白い狐の根付（ねつけ）を盗む現場を捕えた。老公の人柄に触れ、お蔦は悲しい身の上を明かす。

お蔦は自分の不注意のために悪党団にさらわれた幼い息子を必死に探していたのである。唯一の手がかりだった白い狐の根付の持ち主に、お蔦はやっとたどり着いたのであった。

お蔦が手に入れた根付を頼りに、老公は白狐の首領にたどり着く。首領はなんと代官所の役人・佐伯新左衛門だと判明するのだが･･･

水戸老公一行は、貴船祭りが行われる真鶴に立ち寄った。祭りのため空き部屋が無く、一行はうらぶれた気味悪い旅籠に投宿する。

一方、老公、八兵衛と一緒に祭り前夜の見物に出た助三郎は、二人と別れ、ある橋の上で、美しい武家娘・志乃に出会い、あることを頼まれる。

それは翌日その橋に来る峰新三郎に自分は来られないと伝えて欲しいということだった。

だがその日、新三郎は現われなかった。

楓が志乃と新三郎について調べたところ、驚きの事実が分かる。二人は夫婦約束をしていたが、一年前、新三郎は江戸勤めとなり、真鶴を離れた。その後、志乃は新三郎の幼なじみの代官・吉井又右衛門の計略にはまり、吉井の妻にさせられてしまった。新三郎の帰国が迫り、自責の念から志乃は自害し、もうこの世にはいないという。

幽霊となった志乃は、なぜか助三郎にしか見えない。

その頃、吉井の裏切りを知った新三郎は、志乃の敵を討つ機会をうかがっていた･･･

平塚宿に向かっていた水戸老公は、流鏑馬（やぶさめ）の練習をする侍・松岡左馬之介の見事な腕前に感心する。松岡と愛馬、竜王の人馬一体となった技に助三郎と格之進も目を見張る。

そこへ、代官・岡部主水丞の手下・村田が現れ、松岡に竜王を譲れとしつこく迫る。松岡と幼い娘のおこまは家族同然の竜王は渡せないときっぱりと断った。平塚では、流鏑馬の奉納が近づいていた。岡部もそれに出るために優秀な馬を探しており、竜王に目を付けて無理強いしていたのである。

ところで、松岡宅に宿泊することになった老公一行に、松岡は、妻を病で亡くし、おこまと二人きりになった時、竜王が心の支えになったとしみじみ語る。

ところが翌朝、竜王の姿が馬屋から消えた。竜王をしつこく狙う岡部の仕業である。助三郎の妙手によって竜王は松岡の手に戻るが、その時、竜王が梅丸に大けがを負わせてしまった。馬の罪は飼い主の罪と非難して岡部は松岡を捕えるのだが･･･

水戸老公は将軍綱吉に秘かに面会する。綱吉は老公に伊勢神宮に代参してほしいと頼むが、実は、庶民の暮らしを見てきて欲しいというのが真の願いであった。

老公は、助三郎、格之進をお供に東海道を進み、品川宿に着いた。八兵衛が探したにも関わらず、あいにく宿場には空き部屋が無い。一行は気風の良い茶店の女・おせんの長屋に宿泊することになった。

その長屋は、町の元締め、大松助五郎の度重なる嫌がらせによって人々が立ち退き、後はおせんと数軒を残すだけとなっていた。助五郎は道中奉行・平山外記と結託して長屋に変えて、郭を作ろうと企んでいる。おせんに出て行けと凄む助五郎の子分を助三郎と格之進が蹴散らした。

身の危険を感じてまでも、おせんにはここを離れられない訳があった。おせんは先代の元締め殺しの罪で、三年間所払いとなっている夫・英次の帰りを待っていたのである。英次は助五郎のわなにはめられて無実の罪を着せられたのだ。

水戸老公は、将軍綱吉の呼び出しを受けて、助三郎と格之進をお供に江戸へ出てきた。

老公はある祭りの最中、貧しい身なりの侍家族が、ほかの侍と揉めているところに出くわし、仲裁に入った。侍家族は、桑畑清十郎、みち夫婦と二人の子、逸平とはなの四人である。

桑畑は播州の武士であったが、度重なるお家騒動のため藩が取り潰しとなり、浪人になって五年になるという。

老公は家族に食事と宿の世話をすることに。格之進は逸平を湯屋に誘い、楓は、みちとはなを甘味所へ連れてゆく。助三郎は老公立ち合いの下、桑畑と手合わせをしたところ、桑畑が一流の剣士であることがわかった。

その桑畑は、八兵衛が紹介した口入れ屋・惣兵衛の仲介で、運よく物産問屋の田島屋で用心棒の職を得ることができた。

風車の弥七が田島屋を調べたところ、多三郎と岩城が密貿易を行っていることが判明する。さらに、アヘンにも手を出していることが分かるのだが･･･。

キャスト

水戸光圀
・・・里見浩太朗

佐々木助三郎
・・・東　幹久
渥美格之進
・・・的場　浩司

楓
・・・雛形あきこ
八兵衛
・・・林家　三平
風車の弥七
・・・内藤　剛志

スタッフ

製作：
C．A．L

チーフプロデューサー：
中尾幸男

プロデューサー：
小野鉄二郎
樋口祐三
進藤盛延

脚本：
黒土三男　ほか

監督：
金鐘守　ほか

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