乱!総選挙2014

12月14日(日) よる7:57〜深夜2:30

衆議院選挙は12月14日(日)

シリーズ衆院選

大企業に滴る円安の「恩恵」、“トリクルダウン”起こるか?

 「シャンパンタワー」は最近、結婚式の演出に使われることもあるようですが、上のグラスからシャンパンが下へと伝わっていく動き、これがまさにアベノミクスの考え方なのです。「富裕層が豊かになれば富がしたたり落ち、全体が豊かになる」というもので、「トリクルダウンの理論」ともいわれています。「トリクルダウン」が日本経済に起こるのか? 今回の選挙でも大きな争点となっています。

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 なめらかで繊細な動きはまるで熟練工。 ここはロボットがロボットをつくる工場です。

 「自動化率を71%まで引き上げて、ほとんどの工程を自動化」(安川電機・渡邊真祐課長)

 世界的な需要が高まり、海外での販売が好調でこの大手メーカーでは、売上高、最終利益ともに過去最高を更新しました。 来年には新しい工場を増設します。好調な業績の追い風となったのは・・・

 「円安は武器。為替の影響は非常に大きい。数十億円単位で売り上げ、利益面についても、為替の影響は当社にとってプラス」(安川電機東京支社・林田歩管理部長)

 円安のメリットをたっぷりと享受する大企業。 大手自動車メーカー5社で中間決算の最終利益が過去最高を更新しました。

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 今年の新語・流行語大賞の候補にも入ったトリクルダウン。 英語で、「したたり落ちる」という意味でまず大企業や富裕層が潤って経済が活性化すればその恩恵が中小企業や個人にもしたたり落ちていくという説です。

 満たされていく上のグラス。 しかし、下のグラスは・・・愛知県で自動車向けの部品をつくる下請けの中小企業。 従業員はおよそ90人。 金属部品を数百度の高温で熱し、硬く強くする熱処理をしています。

 「(重要な部分?)もちろん。これがないと車が走りません。(エンジン内で)7000回1分に打つ。それに耐えられる」(東邦金属熱錬工業・塚田悦造社長)

 しかし、こちらにとって円安は燃料費の価格が上がるなど、負担が増えるだけ。 発注する側の自動車メーカーが好調なら下請けに発注する価格も上がりそうなものですが・・・

 「全然無理。逆に(価格が)下がっている」(東邦金属熱錬工業・塚田悦造社長)

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 デフレの時代。 下請けの中小企業のほとんどは毎年、下請け価格の値下げを受け入れてきました。 それでも発注の量が増えることで成り立っていましたが、この数年は発注量が減ったため それも通用しなくなっています。

 「合理化とか量産効果は、もう限界ですよ我々では」(東邦金属熱錬工業・塚田悦造社長)

 広がっていく大企業と中小企業の格差。 なぜトリクルダウンは起きていないのでしょうか。

 「過去円高が70円台半ばまで進んだ中、海外での生産が進んでいるので、国内の中堅・中小含めた下請けへの発注が期待ほど伸びなかった」(みずほ総研・長谷川克之市場調査部長)

 リーマン・ショック後の円高で多くの大企業が生産拠点を海外に移し、部品の調達も海外で行うことが増えたため国内の下請け企業への発注が減ってしまったのが一番の要因だと言います。

 「我々におこぼれは・・・、もうマイナスですからね。(トリクルダウンとは)しみこむように利益が中小企業にも来るという話ですよね?そんなことは絶対、今のところはないです。逆ですよ」(東邦金属熱錬工業 塚田悦造社長)

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 円安が10円進むと大企業が多い上場企業には全体でおよそ1兆7000億円のプラスとなりますが、中小企業など非上場企業にとっては8000億円以上のマイナスとなるという推計もあります。

 「大企業でも景気回復の持続性に、十分な確信を今の段階ではまだ持てていない。トリクルダウンは時間がかかる」(みずほ総研・長谷川克之市場調査部長)

 円安を追い風とし、業績を伸ばしている先ほどの大手メーカー。 下請けとともにデフレ時代を脱していきたいと言います。

 「安川はサプライヤー(下請け)に助けてもらっているので、どちらかというと(部品などの)値段を上げていいと。我々も売価を上げていく」(安川電機東京支社・林田歩管理部長)

 アベノミクスを進めていけばいずれ、しずくはしたたり落ちてくるのでしょうか。 今回の選挙でも問われています。

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