どうなる“自然エネルギー” 「メガソーラー」にかけた町

シリーズ参院選、「エネルギー問題」について考えます。 「固定価格買い取り制度」が始まって1年が経ちました。 これは自然エネルギー促進のため、太陽光や風力などで発電した電気の全量買い取りを電力会社に義務付けた制度です。

「自然エネルギーの促進」については、今回の参院選でも、各党の公約には前向きな言葉が並んでいます。 しかし、普及に向けては、まだ多くの課題が残されているようです。

photo

「およそ3万3000平方メートル。結構広い」(富士見メガソーラー・中村吉孝事業部長)

東京ドームのグラウンドが2つ以上入る広さに設置される太陽光パネルは、およそ1万枚。長野県富士見町ではメガソーラーの建設が急ピッチで進められていました。

「こういった傾斜地を造成するのに2か月ちょっとかかっている。(開始予定の11月に)間に合わせたい」(富士見メガソーラー・中村吉孝事業部長)

今は町が立ち上げた第三セクターが主体となっていますが、主に事業を進めてきたのは富士見町です。

「富士見町の環境がいい。あとは土地開発公社の跡地に対する借金の分をなんとかしなければ」(富士見町総務課・五味健一企画統計係長)

photo

太陽光パネルを設置する場所は、元々、町の土地開発公社が企業誘致のために買い取った土地でした。しかし、誘致は失敗。公社は現在、11億7000万円の負債を抱えています。

そこで町が財政再建の切り札として取り組んだのがメガソーラー事業です。事業によって使い道のなかった土地の活用と、電力販売による負債の圧縮を狙います。

メガソーラーの出力は2メガワット。富士見町の電気使用量の800軒分をまかなえる計算です。町は20年間でおよそ20億円の収入を見込んでいます。 第三セクターによる事業の初期投資は8億円にのぼりました。町も2億円を出資しています。

去年運用が始まった再生可能エネルギーの「固定買取制度」。町議会では買取価格の下落など、リスクを問う声もあがりましたが、この事業を唯一のチャンスと位置づける町は、開始までなんとかこぎつけたのです。

「中部電力と協議する中で町としては担保が取れている。問題ないと考えている」(富士見町総務課・五味健一企画統計係長)

photo

長野県が所有する富士見町の土地でもメガソーラー事業が始まっており、町は「自然エネルギーの町」として売りだすことができると意気込みます。地元の商工会も期待を寄せています。

「将来的なことを考えると、いろいろな面でプラスになり、町の発展に貢献できるのでは」(富士見町商工会・窪田福美会長)

一方で疑問視する声がないわけではありません。 この町に16年住む下川さん夫妻。クリーンエネルギーには賛成していますが、町が事業を主導していることについて不安を口にします。

「町が借金を抱えているのは皆分かっているのに、さらに町が2億円出資する。行政がそんなことをするとは考えられなかった」(下川悦子さん)

下川さんからみる参院選は・・・
  「クリーンエネルギーを含めた環境を気をつけてくれる人がいるかどうか、看板見てたけど・・・。あまりそういう人がいないから困ったなと」(下川 潤さん)

photo

北海道・新冠町。サラブレッドの産地として有名なこの町でも去年、メガソーラー計画が持ち上がったといいます。

「3社ほど企業関係者から相談があった」(北海道新冠町・総務企画課・下川広司氏)

町が所有する東京ドーム2個分の土地に東京や札幌などの3社とメガソーラーを建設するプロジェクト。最大1.5メガワット、およそ330世帯の1年分を発電する計画で、土地の賃貸交渉直前まで話は進みましたが、交渉は突然頓挫します。

こちらの土地では当初、太陽光パネルを敷き詰める予定でしたが、現在その計画は白紙となっています。 その理由は送電網の問題です。

「北海道電力でも40万キロワットまでしか受けきれない。大規模なメガソーラーを誘致するのは厳しい状況」(下川広司氏)

今年4月、北海道電力は大規模な太陽光発電の受け入れを40万キロワット程度に制限すると発表。「天候次第で発電量が変わる太陽光の比率が高くなりすぎると、安定的に電気を送れなくなる」というのが理由でした。 さらに・・・

photo

「送電線がここは全然走ってなくて、一番近いところで約1キロ離れている。メガソーラーを造ると高圧線を引っ張らないといけない」(下川広司氏)

メガソーラー事業の断念に地元の住民からは落胆の声があがります。
  「残念ですね。新冠町自体に仕事がない」(地元の人)
  「工事する人とかたくさん来ると思うので、町にはお金が落ちるのではないかと・・・」(地元の人)

photo

これまで、国の認定を受けた企業が北海道電力に太陽光発電の買取を申し込んだのは87件、155万4000キロワットにのぼります。40万キロワットあまりが上限だとすると、7割以上が門前払いになる可能性があります。 受け入れを増やすには変電所や蓄電池の設置が必要となりますが、企業や町の負担では不可能だといいます。

「インフラの整備も進んでいない中で『やれやれ』と言われても難しい。国レベルで対策をとってもらわないと(普及は)厳しいのではないか」(下川広司氏)

国の電力全体を原子力や火力、自然エネルギーなどからどのような割合で作り出すのか、政府は年末までにエネルギー基本計画の改定を目指していますが、具体的な数値については先送りする方針です。

シリーズ参院選一覧へ

SNSで共有する

夏の決戦!参院選2013 ニッポンどこへ行く!? CM

夏の決戦!参院選2013 ニッポンどこへ行く!?Facebook