どうする“高齢者医療費”、先送りされる医療費2割負担

急激に伸びている社会保障費。1991年には50兆円ほどでしたが、2010年には100兆円を超えました。この社会保障費のうち、およそ3割は医療費で、なかでも65歳以上の高齢者の医療費が大きな割合を占めています。財政再建の必要性が叫ばれているにもかかわらず、参院選挙では、多くの政党が「痛みを伴う改革」を訴えることに積極的ではないようです。

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東京・練馬区の病院。藤田和美さん73歳。10年前に糖尿病を患い、定期的な検診が欠かせません。

「糖尿病は完治の病気じゃないので、一生の問題なんでね」(医師)

長く付き合わなければならない病気だけに、藤田さんは今後の医療費を心配しています。この日の診察料は860円。73歳の藤田さんの窓口負担は、「特例」で1割に抑えられています。しかし、いまこの「特例」が大きな問題となっています。

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70歳〜74歳の窓口負担割合は、世代間の負担を公平化するため、後期高齢者医療制度が導入された2008年度から2割に引き上げられるはずでした。しかし、その前の年に当時の自民党政権が参議院選挙に敗北。高齢者からの強い反発もあり、「政治判断」で負担の引き上げは凍結されました。民主党政権でも、この「特例」は継続されいまも毎年2000億円の税金が投入されています。若い世代からは、「将来へのつけ回しだ」と不満の声も上がります。

「もうちょっと個人で負担してもいいんじゃないかと思います。年金ももらっていたりするし」(女性)

「(高齢者負担を)上げない方がいいに決まってるけど、将来子どもたちに負担がいくのも困るから。どっちがいいんだろうね」(女性)

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藤田さんは、処方された薬を毎日服用しなければなりません。年金は月およそ11万円。現在の一割負担でも、薬代を含めた毎月の医療費は1万円を超えます。もし、2割負担に引き上げられれば、その分生活は厳しくなります。

「切り詰めると言っても、普段の買い物をあまりしないということ。相当厳しいな」(藤田和美さん)

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今年2月、自民党の小泉進次郎衆議院議員は国会で、70歳〜74歳の負担を2割に引き上げ、浮いた2000億円を子育て支援などに充てるべきだと主張しました。

「『特例』でいま1割です。本来であれば2割なんです。法律通りいけば。2000億円あれば様々なことできますよ」(自民党 小泉進次郎衆院議員)

「これは2割、原則に戻すべきだ。必ず戻しますから。早くそのような形に戻すべきだということで努力してまいりたいと思います」(田村憲久厚労相)

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田村大臣はこう応じましたが、自民党は参議院選挙の公約に医療費の負担増を具体的に書き込むことはありませんでした。結局、負担割合は上がるのでしょうか、上がらないのでしょうか。

「選挙が終わった後、与党としっかりと話をさせていただきながら、できるだけ早く本則に戻すということですから、決して争点化を避けているわけではありません。戻します」(田村憲久厚労相)

自民党の宮崎謙介衆議院議員。当選1回、小泉氏と同じ32歳です。宮崎氏は、高齢者の医療費を段階的に引き上げるべきだと主張しています。例え目先の選挙で票を減らしても、丁寧な説明を続ければ、若い世代の支持を得られるという考えです。

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「次の世代のためにはどうしても負担を強いなければいけないんだという真摯な話をしてくれれば、わかってくれる方もある一定いるんじゃないかなと思うし、それを信じたいですね」(自民党 宮崎謙介衆院議員)

ところが、地元有権者との意見交換会では、意外な展開となりました。

「公平に負担していただいて、それをお子様やお孫さん達の教育投資なり、子育て支援の方に回したらどうかなという声も上がっていて、要は2000億円、税金が浮くんだと」(自民党 宮崎謙介衆院議員)

そろって頷く若い世代。そして、高齢世代は・・・。

「70〜74歳の方、いらっしゃいますか。今日はいない」(自民党 宮崎謙介衆院議員)

「私、1人だけ・・・。私らの年代としては、上げてほしくない」(女性)

年金も減額される中、負担が大きすぎるという女性。切実な話を聞くうちに、若い世代からも・・・。

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「今まで僕らの先輩で頑張ってくれた人に対して、その負担を増やすというのは、実はみんな反対だと思うんですよ。それがしかたないと言うのだったら、しかたないなりの何かを説明してもらわないと」(男性)

「上げたときにその人の生活として、負担がどれだけ増えるのか。それで大丈夫なのかが僕らには判断つかない」(男性)

結局、この日若い世代を含め、集まった人たちを納得させることはできなかったようです。

今後も高齢者の医療費が増えることが予想される中、将来の社会保障をどうするのか。各党は有権者に具体的な姿を示すことが求められる。

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