消費税増税判断へ、「景気」か「財政再建」か?

積もりに積もった額、991兆円。これは、国債を中心とした日本の借金の総額です。その返済の方法で議論の中心になっているのは、来年4月に予定される消費税の増税です。ただ、景気回復の実感が広がらない中での増税にアベノミクスの産みの親が慎重な声をあげるなど、財政再建に向けた議論は一筋縄ではいかないようです。

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自動車を中心に製造業が盛んな愛知県。地元、愛知銀行の営業担当者は、この日も融資交渉へと取引先を訪問していました。

「ぜひ、地元の銀行としてご支援させていただきたいと思っています」(愛知銀行の担当者)

「国内に投資する物流拠点についても、積極的に導入する予定です」(佐久間特殊鋼・佐久間貞介社長)

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自動車や造船向けの特殊な鉄鋼材を製造する取引先は、地元に新たな物流拠点の設置を検討していました。交渉の結果は・・・

「できるかぎりお願いする・・・予定」(佐久間特殊鋼・佐久間貞介社長)
  「頑張ってご提案をさせていただくということになると思いますので、よろしくお願いします」(愛知銀行の担当者)

貸出しに向け確かな感触をつかんだようです。
  「アベノミクス効果で国内の設備投資も増えていくのではないか。(ただ)実態は変わっていないというお客さんがほとんど」(愛知銀行・松井智弘主任)

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預金を元手に企業などへの融資を担う民間の銀行ですが、長引くデフレで本来の貸出し業務は伸ばせていません。では、集めた資金はどこにいっているのでしょうか・・・

「貸し出しはある程度増加しているが、それ以上に預金は伸びている。基本的に国内債券を主体に有価証券残高を積み増していく」(証券運用担当)

向かう先は国債を中心とした金融商品。いまやこの銀行が預かった資金の40%近くを占め、「国債頼み」の運用にリスク管理を徹底しているといいます。

「リーマンショックの時期に市場が大きなクラッシュをして、リスク管理というものをしっかりウオッチしていかないといけない」(愛知銀行証券外国部・高橋知之部長)

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4月初め、日銀の「異次元緩和」をきっかけに長期国債の金利は一時、1%以上に跳ね上がり、市場の凶暴な側面が露になりました。

「(金利上昇による)リスク量の増大には、頭を悩ませている」(第二地方銀行協会・菊池康雄会長)

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1000兆円に迫る日本の借金。その多くを担っている銀行は、いまのところ国債中心の運用方針を大きく変更していませんが、日本の財政破たん懸念が高まり、ギリシャショックのような制御不能な「国債の暴落」が生じるとの「まさかのシナリオ」も描いているといいます。

こうした中、「日本国債はまもなく暴落する」と声高に叫ぶ投資家がいます。1年前に我々のインタビューに応じたアメリカのヘッジファンド代表は、「そのシナリオに変化はない」と語ります。

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「日本の国債、または借金は、克服できないほどのレベルに達してしまった。国債の持続可能性において問題があるとすれば、私たちが見るところ今後18か月以内に起こりそうだ」(ヘイマンキャピタルマネジメントのカイル・バス氏)

市場に渦巻く様々な思惑。国は、避けては通れない「財政再建」にどのように取組むのでしょうか? 大きな柱として掲げられたのが来年4月以降、段階的に10%へと引き上げる消費税の増税です。

「景気上向き」を示す指標の発表が相次ぎ、参院選後の安倍総理による増税実施の最終判断を前に環境は整いつつあります。しかし、アベノミクスの教祖は苦しい胸の内を明かします。

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「せっかく今、金の卵を産む鶏か分からないが、大きく育っている。早くそれを回収しようとしてそれを殺してしまっては、もう卵は出てこない」(エール大学・浜田宏一名誉教授)

景気回復が確かなものとなる前に増税に踏み切れば、経済は失速し、かえって税収が減る事態もありうるのではないかと懸念を示しました。その上で・・・

「繰り延べしたり、段階的に(増税を)やるというのは、一種の安全運転としてはいいのでは」(エール大学・浜田宏一名誉教授)

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あくまで総理が判断することだと断った上で、景気の腰を折らないように増税の先送りや毎年1%ずつなどより緩やかに税率を引き上げることも選択肢だと指摘しました。ただ、国際公約となっている増税が延期されれば、日本の財政への信認が失われ、長期金利が跳ね上がる可能性も否定できません。

「経済の再生」と「財政再建」は同時に進められるのでしょうか? 国のトップには困難な舵取りが課せられています。

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