年金不信と世代間格差 “自分年金”に走る女性たち

年金不信。「いくら払っても、結局、たいしたお金をもらえないんじゃないか?」・・・今、若い世代を中心にこうした不安が広がっています。公的な年金は頼りにならないと、あの手この手で自衛策に走る人たちが政治に求めるものとは?

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都内のオフィス街にある会議室。金曜日の夜、仕事帰りの20〜30代の女性たちが耳を傾けているのは、年金に関する話です。

「公的年金だけに頼るのではなく、ご自分でも準備をしていただく必要がある」(年金セミナーの講師)

保険会社が主催するこのセミナーのテーマは「自分年金」。民間企業の保険商品などを活用し、老後の生活資金を若いうちから積み立てるというものです。

「(年金を)もらえるかどうかもわからない。自分で少しは(老後の)準備ができたらと」(セミナーの参加者)
  「少子高齢化なのでしかたないと思うが、自分が払っている額(保険料)以下しか(年金を)もらえないと思う」(セミナーの参加者)

ほぼ毎週開催されるこのセミナーには、これまでに3000人が参加しています。

「国に頼るのではなく、自分でしっかり備えていきたいとか、自分から(年金の)情報を取りに来る女性がすごく増えている」(ライフサロン・西野宮由香さん)

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大手商社のグループ企業で働く寺口敦子さん(28)。都内で1人で暮らす寺口さんは、3種類の「自分年金」に加入しています。

「国の年金は国の財政によって変わってくると思う。(国の年金は)あればいいかなというくらい。自分年金でしっかり守っていこうと思っています」(寺口敦子さん)

寺口さんの月収はおよそ30万円。ここから2つの「自分年金」に合わせて毎月3万円を積み立てています。寺口さんの「自分年金」のプランでは、60歳から65歳までは毎月8万円、65歳から70歳までは13万円、70歳から75歳までが5万円を受け取ることができるといいます。

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「私たちはバブルが終わってから育ってきた世代。浪費というより堅実にという世代。(公的年金に関して)そんなに楽観できないかなと思います」(寺口敦子さん)

寺口さんは、厚生年金などの公的な年金は信用できないと感じています。厚生年金保険料として給与から3万7000円が天引きされていますが、将来、その金額に見合うだけの年金を受け取ることができないのではないかと考えているからです。

専門家が試算したこんな数字があります。公的年金について、世代ごとに生涯に受け取る年金の総額から支払った保険料を差し引いた収支を計算しました。1940年生まれでは3460万円の“黒字”ですが、寺口さんと同じ85年生まれはマイナス1840万円の大幅な赤字になってしまいます。

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「率直に全く信頼はできない。不安なことしか聞こえてこない。当てにできないというのが正直なところ」(寺口敦子さん)

東京・荒川区のマンションで暮らす堀川桂さん(41)。小学1年生の娘と会社員の夫の3人暮らしです。会社員の堀川さんは、老後への備えとして投資信託や株などでおよそ1500万円の資産を運用していますが、さらに、それに加えて・・・

「(資産)全部に対する20%〜30%は外貨。ほとんどまるごとポンド。日本円にすると1000万円規模」(堀川桂さん)

将来、円の価値が大きく下がるリスクもあるとして、イギリスのポンドを1000万円以上保有するなど、資産を幅広く分散させています。

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「どれかは何とかなるんじゃないかと」(堀川桂さん)

堀川さんも厚生年金に入っていますが、公的な年金は割に合わないのではないかと感じているといいます。

「(厚生年金の収支は)ほとんどマイナスだと思います。プラスにするにはえらい長生きをしないといけない」(堀川桂さん)

先ほどの専門家の試算では、堀川さんが生まれた年と近い1970年生まれの人が平均寿命まで生きても、生涯の年金の収支は560万円の赤字になってしまいます。

「税金を納めているような感覚です。(厚生年金が)自由参加だと言われたら、多分、入らないと思います」(堀川桂さん)

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政府の社会保障制度改革国民会議の委員でもある西沢和彦氏は、有権者の多数を占める高齢者に負担を強いる政策については政治が議論を避けてきたことも、若い世代の年金不信を強めてきたと指摘します。

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「年金をカットすることで、孫や孫の子どもの世代の負担が少し抑制される。正面から説得するのが政府・政治の役割だが、それが見えてこない。若い人たちが社会保障制度に不信を持つ」(日本総研上席主任研究員・西沢和彦氏)

若い世代の年金不信の根底にある世代間格差をどうすればいいのか・・・議論は深まらないまま、参院選は後半戦に突入しようとしています。

「誰がどれだけ分担して痛みを受け入れるのかの議論を始めてほしい」(堀川桂さん)
  「若者がないがしろにされているなと感じているので、自分たちも意識を変えていって、政治家たちを変えていかないといけない」(寺口敦子さん)

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